ポータルに掲載しているのに、反響が増えない
不動産営業の現場では、よくお聞きする悩みのひとつです。しかし、広告費を追加投下する前に試せることがあります。ChatGPTをはじめとした無料のAIを使って、集客の土台を作り直すことです。
本記事では、特別なシステムもIT知識も必要なく、ブラウザひとつで今日から動ける方法に絞ってご紹介します。まず何から手をつけるか迷っている方は、ぜひご覧ください。
AIで変わるのは「書く時間」ではなく「反響の質」
AIを使うと何が変わるのか。真っ先に思い浮かぶのは「時間の節約」かもしれません。しかし、それよりも大きな変化があります。
同じ物件でも、誰に向けて書くかによって、問い合わせにつながる言葉はまったく違います。AIを使うと、「この物件はこういう人に刺さる」という訴求軸を素早く試せるようになります。1つの物件に対して複数のアプローチを検討できるようになる、これが本質的な変化です。
集客業務の中で「書く」作業が占める割合は意外と大きいはずです。物件説明文、SNSの投稿、問い合わせへの返信、口コミへの返答⋯これらすべてにAIが使えます。
最初の一歩:ChatGPTに無料登録する
まず使うべきツールはChatGPTです。無料で使えて、日本語での応答も自然。情報量も多く、使い始めるハードルが最も低いAIツールです。
| ツール | 特徴 | 集客業務での使いどころ | 費用 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 操作がシンプル。まず最初に触るならここ | 物件説明文・SNS投稿・メール文・広告コピーの下書き | 無料(無制限ではないが十分) |
| Gemini | Google検索との連携が得意。最新情報に強い | 地域情報のリサーチ、Googleドキュメント連携 | 無料 |
| Perplexity | Web検索しながら回答を生成してくれる | 競合調査・周辺環境・地域相場の把握 | 無料 |
| Claude | 長文の読み取り・整理が得意 | 書類の要点まとめ・マニュアル整理の補助 | 無料(一定量まで) |
ChatGPTの登録方法
https://chat.openai.com にアクセスし、メールアドレスで無料アカウントを作成するだけです。
PCでもスマートフォンのアプリでも動作します。登録から使い始めるまで5分程度です。
まず試すなら物件説明文のリライト
最初に手をつけるなら、物件説明文の作成がおすすめです。効果が見えやすく、失敗しても損失がない。AIとの相性も抜群です。
なぜ既存の説明文では反響が取りにくいのか
多くの方が書く物件説明文は「2LDK・南向き・駅徒歩5分・築10年」のように、スペックの列挙になりがちです。情報として間違いではありませんが、見た人が「この部屋で暮らす自分」をイメージしにくく、内見の問い合わせにつながりにくい傾向があります。
AIを使うと、同じスペックからでも「誰向けか」を意識した言葉を選んでくれます。物件のスペックをそのまま渡すのではなく、ターゲットを一緒に伝えることがポイントです。
入力の型:ターゲット+スペック+字数
ChatGPTへの依頼は、この3点を含めると精度が上がります。
【入力例】
次の物件スペックをもとに、育児中の30代共働き夫婦が内見したいと感じる物件説明文を200字程度で書いてください。
スペック:2LDK・54平米・築8年・駅徒歩6分・南向き・保育園徒歩3分・宅配ボックスあり
このように書くだけで「保育園への送迎にも便利な立地」「宅配ボックスで共働きの受け取りもスムーズ」といった、生活に寄り添った表現が出てくるようになります。
「ターゲットを変えるだけで全く違う説明文が生まれる」という体験が、AI活用の入り口になります。単身者向け・シニア向け・投資目的と変えながら複数パターンを作り、読み比べてみてください。
【人間がチェックすべきこと】
AIが生成した説明文には、実際の物件と異なる内容が混入することがあります。
「最高の立地」「最安値」のような根拠のない最上級表現は景表法上の問題になり得るため、必ず担当者が内容を確認してから掲載してください。
ネタ切れを解消する:SNS投稿をAIで量産する
InstagramやX(旧Twitter)、地域のFacebookグループへの投稿は、続けることで少しずつ集客への効果が積み上がります。しかし「何を投稿すればいいかわからない」「書く時間がない」という理由で止まってしまうケースがほとんどです。
この問題は、AIで月単位の投稿計画を一括して作ることで解消できます。
月間投稿カレンダーをまとめて生成する
【入力例】
不動産仲介会社のInstagramアカウント向けに、今月の投稿ネタを10個提案してください。
対象エリアは〇〇区で、ターゲットは子育て中のファミリー層です。
物件紹介・住まいのコツ・地域情報をバランスよく混ぜてください。
納得できるネタが出たら「そのうち3番を投稿文として書いてください(Instagramらしく改行多めで)」と続けると、そのまま使える下書きが出てきます。
投稿の種類は大きく4パターンを用意しておくと、ネタが偏りません。
● 物件紹介:写真に添えるキャプション・間取りの見どころ解説
● お役立ち情報:「住宅ローンを選ぶときのポイント」などの教育コンテンツ
● 地域情報:周辺スーパー・公園・子育て環境のレポート
● スタッフ紹介・事務所の日常:親しみやすさを伝える投稿
生成した下書きをそのまま使う必要はなく、地名や固有名詞を修正し、自分の言葉でひと言加えるだけで「AIっぽさ」は消えます。月2〜3時間の作業で、週2〜3本の継続投稿が実現します。
コストゼロで集客の土台を作る:Googleマップ口コミへの返信
Googleビジネスプロフィールの口コミに丁寧に返信を続けると、地域検索(MEO)での表示順位に影響することが知られています。しかし毎回の返信文を考えるのは、地味に手間がかかります。
30秒で返信の下書きを作る
【入力例】
以下のGoogleマップの口コミに対する返信を書いてください。不動産会社のスタッフとして、丁寧で感謝の気持ちが伝わる文体でお願いします。
————————
(口コミの文章をここに貼り付ける)
————————
出てきた返信文を軽く読み返して、自分の言葉でひと言加えてから投稿するだけです。
口コミ返信を継続するだけで、Googleマップ上での会社の存在感が少しずつ高まります。広告費を一切使わず、積み上げ型で集客の土台を作れる方法として、地味ながら効果が出やすい施策です。
少し慣れたら:追客メールもAIに任せる
問い合わせから成約までの間に顧客が離脱する理由の多くは、追客のタイミングと内容のミスマッチです。ChatGPTを使えば、状況に合わせた追客メールの下書きをすぐに作れます。
シーン別のテンプレートを蓄積する
以下のようなシーンごとに下書きを作り、Googleドキュメントなどに「テンプレート集」としてまとめておくと、問い合わせが来たときにすぐ動けます。
● 初回問い合わせへの御礼メール
● 内見後のフォローアップ(まだ迷っている段階のお客様向け)
● しばらく連絡が取れていないお客様への再アプローチ
● 新着物件が出たときのご案内
【入力例】
不動産の内見後にフォローするメールの下書きを作ってください。
お客様はまだ迷っている状態で、他の物件も見ている様子です。
押しつけがましくなく、また気軽に相談しやすい雰囲気を伝えたい文体で。200字程度でお願いします。
10パターンほど蓄積できれば、日々のメール業務が大幅にスムーズになります。大切なのは、生成された文章に自分らしい一言を加えること。それだけで受け取った相手の印象は変わります。
発展型:地域情報コンテンツでポータル依存から抜け出す
ポータルサイトへの掲載だけでは、大手や広告費の多い会社に埋もれがちです。しかし「〇〇区 子育て 賃貸」「〇〇駅 ファミリー マンション」のような地域×ニーズ型の検索ワードは競合が少なく、自社サイトで上位表示を狙いやすい領域があります。
こうした地域情報記事の骨格は、AIで効率よく作れます。「〇〇区でファミリー向け賃貸を探すときのチェックリスト」「〇〇駅周辺の住環境レポート」といった記事テンプレートをChatGPTに構成させ、自社スタッフが実地知識を肉付けするだけで、独自コンテンツが完成します。
Perplexityを使うと、地域の最新情報(新しいスーパーのオープン、再開発の動向など)をWeb検索しながら整理してくれるため、地域情報リサーチの効率が上がります。ChatGPTで文章化、Perplexityでリサーチ、という使い分けが有効です。
何から始めるか迷ったら:AIをマーケターとして使う
「物件説明文・SNS・メール、全部やるのは大変そう」「自社の場合、どこから手をつけるのが正解なのか」そう感じ方もいるはずです。
そういうときは、ChatGPTに「マーケターとして助言をくれ」と役割を与えて、自社の状況を相談するところから始めるのが有効です。何をすべきかをAIに整理させてから動くと、手戻りが少なくなります。
AIマーケターへの相談プロンプト
以下のプロンプトをChatGPTにそのまま貼り付けて、〔〕の部分を自社の情報に書き換えてみてください。
【入力例:自社状況を伝えてアドバイスをもらう】
あなたは不動産仲介会社の集客を専門とするマーケターです。
以下の状況をもとに、AIを使った集客改善の優先順位と具体的な最初のアクションを提案してください。
・会社規模:〔例:スタッフ5名の地域密着型の仲介会社〕
・主な取り扱い:〔例:賃貸仲介メイン、ファミリー層が多い〕
・現在の集客方法:〔例:SUUMOとHOME’Sへの掲載のみ。SNSはほぼ更新していない〕
・課題感:〔例:反響数は横ばいで、広告費を増やさずに問い合わせを増やしたい〕
・AIの使用経験:〔例:ChatGPTを少し触ったことがある程度〕
どこから手をつけるべきか、順番とその理由を教えてください。
自社の状況を具体的に書くほど、返ってくるアドバイスの精度が上がります。「うちはこういう状況なんだけど、まず何から始めるべき?」という感覚で気軽に使ってみてください。
返ってきた回答をそのまま行動計画にする
ChatGPTからアドバイスが返ってきたら、「その中で今週中にできることを1つだけ教えてください」と続けて質問します。大きな計画より、今日・今週動ける具体的な一手を引き出すことが重要です。
この「状況を伝えて相談する」という使い方は、物件説明文を書かせるよりも少し応用的ですが、一度やってみると「AIはこういう使い方もできるのか」という気づきになります。集客の戦略を考える壁打ち相手として、AIを使い続けるきっかけになることも多いと思います。
AIと人間の役割分担を決めて動く
AIを集客に使う上で重要なのは「すべてAIに任せる」のではなく、役割を分けることです。
| 作業 | AIに任せること | 人間が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 物件説明文 | 訴求軸の提案・複数パターンの下書き生成 | スペックの正確性・景表法上の表現チェック |
| SNS投稿 | 投稿ネタの発案・下書きの文章化 | 地名・固有名詞の修正・自社らしい言葉への加筆 |
| 口コミ返信 | 返信文の下書き生成 | 内容の確認・自分の言葉でのひと言追加 |
| 追客メール | シーン別の下書き作成 | お客様の状況に合わせた調整・送信タイミングの判断 |
| 地域情報記事 | 構成案・骨格テキストの生成 | 実地知識の肉付け・情報の正確性確認 |
AIはあくまでも下書きを作る補佐役です。「この物件の良さをどう伝えるか」「このお客様に今何を伝えるべきか」という判断はできません。それができるのは、物件を見て、お客様を知っている担当者だけです。
AIで生まれた時間を、顧客との会話や物件の深掘りに使えるようになったとき、集客の質が変わってきます。
| タイミング | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 今週 | ChatGPTに登録して、手元の物件説明文を1本だけ書かせてみる | 完璧でなくていい。「ここまで書いてくれるのか」という感覚をまず体感するのが目的 |
| 今月 | SNS投稿のネタを10個出してもらい、そのうち2~3本を実際に投稿する | 投稿の質より継続が大事。下書きはAIに任せて、投稿だけ自分でやる分業で始める |
| 1~2ヶ月後 | 追客メールのテンプレートを5~10パターン作り、Googleドキュメントに保存する | 準備しておくことで、問い合わせが来たときにすぐ動けるようになる |
講師:ナカソネ
AI活用スペシャリストのナカソネです。ビジネスパーソン向けに「現場で使えるAI活用」をサポートしながら、少しでもAIに興味を持ってもらえるよう情報を発信しています!


