「相談相手のChatGPT」と「作業担当のGemini」
「ChatGPTは使ってみたけれど、GoogleのAIはどう違うの?」 そんな疑問をお持ちの方も多いはず。Googleが開発した最新AI「Gemini(ジェミニ)」は、私たちが日々仕事で使っているGoogleマップ、Gmail、Googleドライブと「直接つながる」という、他のAIにはない唯一無二の強みを持っています。
不動産業界でのおすすめは、「相談相手のChatGPT」と「作業担当のGemini」のように、この2つを使い分けること。
例えば、「クレーム対応の言い回しを考えたい」「斬新な集客アイデアが欲しい」といった、正解のないクリエイティブな相談はChatGPTの得意領域です。 一方で、「最新の金利動向を知りたい」「Googleドライブにある資料を探したい」「地図情報と絡めて提案したい」といった、具体的で情報の鮮度が重要なタスクはGeminiの独壇場です。 どちらか一つを選ぶのではなく、用途に合わせて「優秀な部下を2人使い分ける」イメージを持つと良いでしょう。
Geminiとは?Googleの技術を結集した「マルチモーダルAI」
Geminiは、Googleが持てる技術のすべてを注ぎ込んで開発した最新のAIです。最大の特徴は、テキスト(文字)だけでなく、画像、音声、動画、さらにはプログラムのコードまでを同時に理解して処理できる「マルチモーダル」という設計にあります。
不動産業界における具体的なメリットは以下の通りです。
図面の読み取りと魅力付け
物件のマイソク(図面)を読み込ませて「この間取りのメリットとデメリットを箇条書きにして」「ファミリー層に刺さるキャッチコピーを考えて」といった指示が可能。間取り図から、生活動線をイメージした提案文を瞬時に作成します。
現地動画の要約とアピール
スマホで撮影した物件の内見動画を見せて「この部屋のセールスポイントを3つ挙げて」と依頼したり、「動画内のキッチンはシステムキッチンか、コンロは何口か?」といった設備確認をAIに行わせたりできます。
手書きメモ・FAXのデジタル化
現地調査で走り書きした手書きのメモや、業者からFAXで届いた紙資料をスマホで撮影するだけで、Geminiが高精度に文字起こしを行います。事務所に戻ってからの入力作業が不要になります。
リフォーム・修繕の提案補助
室内の汚れた壁紙や傷の写真をアップロードし、「この状態を修繕するための一般的な方法と、費用の概算を教えて」「ここに北欧風の家具を置いた場合のインテリアイメージを言葉で表現して」と指示すれば、オーナー様への提案材料が即座に揃います。
音声メモの報告書化
移動中の車内で録音した「〇〇様との商談内容のボイスメモ」をGeminiに聞かせるだけで、要点をまとめた日報や、次回のアクションプラン(ToDoリスト)として出力できます。
最大の強みは、Googleエコシステムとの連携
Geminiが他のAIと決定的に違うのは、Googleが提供する各種サービスとシームレスに連携できる点です。
Googleマップ連携で、簡単エリア調査
「〇〇駅から徒歩10分圏内で、評判の良いカフェとスーパーをリストアップして」 このように指示すると、GeminiはGoogleマップの膨大な最新情報を参照し、場所や営業時間を正確に回答します。お客様への周辺環境の説明資料が、数秒で完成します。
Gmail・Googleドライブ連携で、事務作業の自動化
「先週届いた、〇〇様からの内見希望メールの内容を要約して」 「Googleドライブ内の『重要事項説明書テンプレート』を使って、今回の物件用の下書きを作って」 このように、自分のアカウント内にある情報をAIが探し出し、整理してくれます。メールを探す手間や、ファイルをコピーして貼り付ける作業から解放されます。
YouTube連携:動画から「街のリアル」を収集
Google傘下のYouTubeとも連携できるのがGeminiの隠れたメリットです。 例えば、馴染みのないエリアの物件を担当する際、「『世田谷区 〇〇町 住みやすさ』で解説している動画を探して、街の雰囲気や治安についてのコメントを要約して」と指示してみてください。 動画を見なくても、その街のリアルな情報や、住人の口コミ(コメント欄)の傾向を把握できるため、新人営業マンのエリア研修や、お客様への小ネタ提供に役立ちます。
Googleフライト・ホテル連携:遠方客へのコンシェルジュ対応
転勤や投資物件の視察など、遠方から来られるお客様への対応にも威力を発揮します。 「来週の土曜日に大阪から東京に来るお客様のために、新幹線の時間と、品川駅周辺で1万円以下の評判の良いビジネスホテルを探して」 このように依頼すれば、Geminiが瞬時にフライト情報や宿泊施設を検索。お客様に気の利いたスケジュール提案が即座に行え、他社との差別化に繋がります。
Googleカレンダー連携:スケジュール調整の自動化
「来週の空いている時間で、〇〇様との内見予定を1時間入れたい。候補を3つ挙げて」 GeminiはあなたのGoogleカレンダーを読み込み、移動時間などを考慮した上で最適な日時を提案してくれます。ダブルブッキングのミスを防ぎ、日程調整のメール作成までスムーズに繋げられます。
なぜGeminiは「検索」に強いのか?
AIは一般的に、学習データが古いと最新の情報を答えられません。しかし、Geminiは世界最強の「Google検索」と直結しています。
最新ニュースや法改正を即座に反映
例えば、「今朝の住宅ローン金利に関するニュースをまとめて」といった質問に対し、Geminiはリアルタイムでウェブ上を検索し、最新の一次ソースに基づいた回答を生成します。
「回答を再確認」機能で信頼性をアップ
Geminiには、回答の下に「Googleで検索(Gマーク)」ボタンがあります。これを押すと、AIの回答がネット上の情報と一致しているかを自動で検証し、根拠となるサイトを表示してくれます。情報の正確性が求められる不動産実務において、この「裏取り機能」は非常に心強い味方です。
情報ソースの「リンク表示」が、提案資料の根拠になる
他の生成AIは、情報の出どころがブラックボックスになりがちです。しかし、Geminiは回答の中に、参照したウェブサイトのリンク(出典)を提示してくれます。 例えば「〇〇エリアの今後の再開発計画について教えて」と聞いた際、自治体のホームページや都市計画のニュース記事へのリンク付きで回答が生成されます。 営業マンは、そのリンクをクリックして一次情報を確認し、そのままお客様への提案資料に「根拠」として添付することができます。
PDFや行政文書の検索にも強い
不動産調査では、自治体が公開しているハザードマップや都市計画決定のPDF資料を探す場面が多々あります。 Geminiは、Google検索のインデックス能力を活かし、ウェブページだけでなく、こうした「埋もれがちなPDF資料」の中身まで検索対象に含めることができます。 「世田谷区の浸水ハザードマップの最新版のURLと、注意すべきエリアの概要を教えて」といった指示でも、的確に該当資料を探し出してくれます
不動産業務での具体的なAI活用シーン5選
Geminiを使うと、日常業務が以下のように変わります。
1. 物件確認・調査の「時短」
住所を入力するだけで、Googleマップと連携して周辺の坂道の多さや、街灯の有無、コンビニまでの実際の距離などのローカル情報を瞬時に収集できます。 さらに、「このエリアの雰囲気が分かるYouTube動画を探して」と指示すれば、わざわざ現地に行かなくても街のリアルな空気感を把握でき、お客様への提案トークに深みが出ます。
2. メール対応・追客の「自動化」
「〇〇様からの問い合わせメールに対し、明日の14時なら内見可能だと返信して。トーンは親しみやすく」と指示するだけで、過去のやり取り(文脈)を踏まえた完璧な下書きが完了します。 長期間やり取りしているお客様のメール履歴を読み込ませ、「これまでの希望条件の変遷をまとめて」と要約させることも可能です。
3. 資料作成・競合調査の「ワンクリック化」
「〇〇駅周辺の競合物件(1LDK)を5つピックアップして、家賃と管理費を表にまとめて」と検索させます。 ここからがGeminiの真骨頂です。「この表をスプレッドシートに書き出して」の一言で、Excel形式のファイルが自動生成されます。コピペ作業はもう必要ありません。
4. インバウンド顧客への「多言語コンシェルジュ」
海外のお客様から英語や中国語で問い合わせが来ても、焦る必要はありません。 GeminiはGoogle翻訳のエンジンを搭載しているため、文脈を汲み取った自然な翻訳が可能です。「日本の賃貸契約における『礼金』の概念を、外国人にも分かりやすく英語で説明して」といった難易度の高い依頼も難なくこなします。
5. SNS・ブログ集客の「ネタ出し担当」
「今、20代のカップルに流行っているインテリアのトレンドを検索して、それをテーマにしたインスタグラムの投稿文を作って」 Geminiはリアルタイムの検索に強いため、古い情報ではなく「今」検索されているキーワードに基づいた集客コンテンツを作成できます。
GoogleユーザーならGeminiを選ばない手はない
もし、あなたの会社ですでに「Google Workspace(Gmailやドライブ)」を使っているなら、Geminiは最も導入しやすく、効果を発揮しやすいAI。
検索の手間を省き、地図情報を活用し、日々のメール処理を劇的に速くする。Geminiは、不動産営業マンの「移動時間」と「事務時間」を、付加価値の高い「接客時間」に変えてくれるはずです。
また、Geminiの進化はここで終わりません。Googleは現在、AndroidスマホとAIの完全統合を進めています。
近い将来、スマホのカメラを物件にかざすだけで、「外壁の修繕目安」や「周辺の家賃相場」をAIがリアルタイムで教えてくれる——そんなSFのような世界が、Googleの技術(Project Astraなど)によって現実のものになろうとしています。
地図、メール、検索、そしてスマホOS。これら全てを握っているGoogleのAIは、不動産ビジネスにおいて最も確実で、将来性のある投資になるはずです。
講師:ナカソネ
AI活用スペシャリストのナカソネです。ビジネスパーソン向けに「現場で使えるAI活用」をサポートしながら、少しでもAIに興味を持ってもらえるよう情報を発信しています!
