寒い時期になると部屋の乾燥が気になりますよね。空気が乾燥すると、肌のトラブルを引き起こすだけでなく、風邪やウイルスにかかりやすくなってしまいます。そんな時、部屋の空気に潤いを与えてくれるのが加湿器です。
部屋の潤いを保つには長時間使用することもありますが、電気代が気になりますよね。冬場は暖房代だけでもかなりの出費になるため、できるだけ費用を抑えたいところです。加湿器は、加湿方式によって「気化式」「超音波式」「スチーム式」「ハイブリッド式」の4タイプに分けられますが、それぞれ特徴や仕様が異なります。
本記事では、加湿器を選ぶ際の参考になるようにタイプごとの特徴と電気代の目安を紹介します。また、加湿器の電気代を節約する方法も解説するので、この記事を参考に加湿器を上手く使って冬の乾燥を乗り越えましょう。
加湿方式別の電気代の目安
加湿器の種類によって電気代に差はあるの?
加湿器を選ぶ際、最も気になるポイントの一つが電気代です。加湿方式によって消費電力が異なるため、電気代も変わってきます。ここでは、気化式、超音波式、スチーム式、ハイブリッド式といった主要な加湿方式ごとの電気代の目安を詳しく解説します。
各方式の基本的な特徴とともに、どれくらいの電気代がかかるのかを紹介するので、ライフスタイルや予算に合った加湿器選びの参考になるでしょう。加湿器を選ぶ際は機能性だけでなく、継続的なコストも考慮することが重要です。この記事を参考に、賢い加湿器選びをしてください。
気化式
気化式加湿器は、水を含ませたフィルターに風を当てることで、気化した水蒸気を放出する加湿器です。ヒーターを使用せず、送風のみのため、本体が熱くなりません。
その反面、加湿能力が他のタイプと比較して低い傾向があります。加湿能力を上げるために送風量が多くなり、ファンの音がうるさく感じることもありますが、運転音を軽減するモードが搭載されているモデルもあります。フィルターは定期的な掃除と交換が必要ですが、お手入れが不要なモデルもあるため事前にチェックしておくとよいでしょう。
電気代はヒーターが付いているものに比べ、安いです。
消費電力を20W、電気代の単価を31円/kWhとして計算すると、
1時間あたりの電気代は、20W÷1,000×31円/kWh=0.62円となります。
気化式加湿器は、できるだけ電気代を抑えたい人におすすめです。
超音波式
超音波式加湿器は、超音波により水をミストに変えて空気中に放出する加湿器です。気化式同様にヒーターを使用しない為、本体が熱くならず、電気代が安い傾向にあります。また、デザイン性が高い商品が多く、アロマオイルを使用して香りを楽しめるモデルもあります。
一方で雑菌やカビが繁殖しやすく、放出する水に混ざっている場合は雑菌も一緒に部屋に振り撒く恐れがあるため、こまめなお手入れが必要です。
電気代は気化式に並んで安い傾向にあります。
消費電力を30W、電気代の単価を31円/kWhとして計算すると、
1時間あたりの電気代は、30W÷1,000×31円/kWh=0.93円となります。
超音波式加湿器は、部屋の加湿をしながらインテリアやディフューザーとしても楽しみたい人におすすめです。
スチーム式
スチーム式はヒーターで水を加熱し、蒸発させた水蒸気を空気中に放出する加湿器です。他の加湿方式の中で最も加湿力が高く、広いお部屋にも適しています。また、高温の蒸気を放出するため菌が繁殖しにくく、室温を高める効果もあります。中にはアロマオイルを使用できるモデルもあり、加湿しながらお気に入りの香りを楽しむことも可能です。
また、カルキが付着しやすいため、加湿能力を低下させないようにこまめなお手入れが必要です。しかしフィルターが搭載されていないため、お手入れがしやすい構造になっています。
一方で加湿力は優れているものの電気代は一番高く、ヒーターを使用しているためお子様がいる家庭など、安全面では気を付ける必要があります。
消費電力を300W、電気代の単価を31円/kWhとして計算すると、
1時間あたりの電気代は、300W÷1,000×31円/kWh=9.3円となります。
スチーム式加湿器は、お部屋を一気に加湿したい場合におすすめです。
ハイブリッド式
ハイブリッド式は「加熱+気化式」と「加熱+超音波式」の2種類があります。
「加熱+気化式」は、気化式の特徴はそのままで、水を含ませたフィルターに温風を当てる仕組みです。ファンがついているので、スチーム式の加湿器よりも短時間で広範囲を加湿することができます。しかし、ヒーターとファンが搭載されている為、加湿機本体の価格がやや高めです。
「加熱+超音波式」は、ヒーターで加熱した水を超音波によりミストに変えて放出する仕組みです。通常の超音波式は雑菌が繁殖しやすいというデメリットがありましたが、加熱されることにより雑菌が発生しにくくなっています。また「加熱+気化式」に比べてコンパクトなサイズが多く静音性にも優れていますが、ファンがない分加湿力はやや劣ります。
2種類に共通しているのは、電気代が通常の気化式、超音波式に比べて高いものの、スチーム式よりは安いという点です。
消費電力を100W、電気代の単価を31円/kWhとして計算すると、
1時間あたりの電気代は、100W÷1,000×31円/kWh=3.1円となります。
ハイブリッド式は電気代を抑えながら、加湿力も欲しいという場合におすすめです。
各加湿器の1か月の電気代の目安
加湿器を選ぶ際、その機能性はもちろん、継続して使用する上での電気代も重要なポイントです。特に冬場など長期間にわたって使用する場合、電気代の差は家計に大きく影響を及ぼす可能性があります。
各加湿器を1日8時間、30日使用した場合の電気代は以下の通りです。計算式は「1時間あたりの電気代×8(時間)×30(日)」で求められます。
加湿方式 | 1か月の電気代 |
---|---|
気化式 | 148.8円 |
超音波式 | 223.2円 |
スチーム式 | 2,232円 |
ハイブリッド式 | 744円 |
まず、気化式加湿器は1時間あたり約0.62円、1か月あたりでは約148円と、一番低コストです。この方式は自然蒸発を利用するため、電力消費が少なく経済的です。次に、超音波式加湿器は1時間あたり約0.93円、1か月では約223円と、気化式の次に低コストで使用できます。
一方、スチーム式加湿器は1時間あたり約9.3円、1か月で約2232円と、他の方式と比べて電気代が高くなります。この方式は水を沸騰させて蒸気を発生させるため、高い加湿効果が得られますが、それに伴い電力消費も大きくなります。
ハイブリッド式加湿器は気化式と超音波式の両方の機能を持ち、使用状況に応じて電気代が変わりますが、1時間あたり約3.1円、1か月で約744円なので、スチーム式よりは電気代を抑えることが可能です。
このように、電気代を節約したい場合は「気化式」や「超音波式」がおすすめです。加湿効果を重視したい場合は「ハイブリッド式」や「スチーム式」を検討してみてはいかがでしょうか。
加湿器の電気代を節約する方法
加湿器の電気代はどうやって節約すればいいんだろう?
加湿器を使いたくても電気代が気になって使えないという人もいるのではないでしょうか。何も考えずに加湿器を選び、そのまま使っていると電気を無駄に使ってしまう可能性があります。
しかし、ちょっとした工夫で電気代を抑えることができるので、節約するポイントをいくつかご紹介します。
部屋の広さに合った加湿器を使う
加湿器の能力を最大限に発揮するには、部屋の広さに合った加湿能力の加湿器を選ぶことが重要です。広い部屋で加湿能力が低い加湿器をフルで稼働させても無駄に電力を消費してしまったり、十分に加湿できなかったりしてしまいます。
そのため、部屋の広さよりも大きめの部屋に対応した加湿器を使用することで、電気代を節約することができます。加湿器によって加湿できる部屋の広さが異なるため、「加湿能力」と「適用畳数」は購入する前にチェックしておきましょう。
こまめに掃除をおこなう
無駄な電力を消費しないためにもこまめな掃除を行うことが大切です。水を使用するだけなので、あまり汚れないようにも思えますが、水にはミネラルをはじめさまざまな成分が含まれているため、掃除をしていないと汚れが溜まっていきます。加湿器に汚れが溜まると加湿能力が低下し、無駄に電力を消費してしまう可能性があります。
タンクの水は毎日変え、フィルターは月に1回掃除を行うのが理想です。掃除の頻度を極力減らしたい方は、お手入れが簡単な構造になっている加湿器を選ぶと良いでしょう。
◆加湿器に掃除方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
就寝中などはタイマー機能を活用する
多くの加湿器にはタイマー機能が備わっており、これを賢く使うことで電気代の節約につながります。就寝時に加湿器を運転させ続けると、部屋が過剰に湿った状態になりがちです。これは結露やカビの発生リスクを高めるだけでなく、無駄な電力消費にもつながります。
タイマーを設定しておくことで、必要な時間だけ加湿器を動かし、適切な湿度を保つことができます。また、朝起きた時の乾燥を防ぐために、就寝前にタイマーをセットし、朝の一定時間だけ運転させるという方法も有効です。
エアコンの設定温度を下げる
冬場のエアコン使用は、家庭の電気代を大きく左右する要因の一つです。加湿器とエアコンを上手に併用することで、より快適な室内環境を低いエネルギーコストで実現できます。湿度が適切に保たれると、体感温度が上がるため、エアコンの設定温度を若干低めに設定しても快適に過ごすことが可能です。
例えば、通常よりも1度低い設定にするだけで、エアコンの消費電力を5~10%削減できるとされています。このように、加湿器を利用して室内の湿度を適切に保ちつつ、エアコンの設定温度を少し下げることで、快適さを保ちながら電気代の節約が期待できるのです。加湿器とエアコンの賢い使い方で、冬の快適生活を楽しみましょう。
加湿器を使わない加湿方法を併用する
お部屋を加湿する方法は、加湿器以外にもあります。これらを加湿器と併用することで、加湿器の電気代を抑えることができますよ。
- 洗濯物を部屋干しする
- 観葉植物を置く
- 浴室のドアを開けておく
洗濯物を部屋干しすることでお部屋の乾燥を防ぐことが可能です。気化式の加湿器と同じ原理で、洗濯物が乾く際に水分が蒸発し、部屋の湿度を上げてくれます。普段洗濯機の乾燥機能や、浴室乾燥を使用している方も、部屋干しにすることで電気代を節約しながら加湿できます。洗濯物がない時はタオルを濡らして干しておくだけでも加湿効果がありますよ。
また、植物には殺風景な部屋に彩りを与えてくれたり、光合成によって空気を浄化する効果がありますが、実は加湿効果もあるのです。根から吸い上げた水分を葉っぱから出し、天然の加湿器としての役割も持ちます。特に大きな葉を持つサンスベリアは加湿効果が高く比較的育てやすいためおすすめです。
さらに、加湿したい部屋と浴室が近い場合には、湯船にお湯を張った日はすぐに水を抜かずに、浴室のドアを開けておくだけで加湿効果が期待できます。シャワーのみの場合でも効果があり、浴室のカビ防止にもなるため、冬場は開けておくことをおすすめします。
◆加湿器を使わずにできる身近な加湿方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
加湿器の電気代はさほど高くない!上手く使って乾燥を防ごう
加湿器には「気化式」「超音波式」「スチーム式」「ハイブリット式」の4種類のタイプがありそれぞれ電気代や特徴が異なります。ヒーターが搭載されているものほど加湿能力が高くなりますが、電気代も高いです。
電気代を安く済ませたい方は「気化式」や「超音波式」がおすすめです。また、電気代はかさむものの、加湿効果を重視したい場合は「ハイブリッド式」や「スチーム式」を選びましょう。
しかし、自分の環境に合ったものを選んだり、電気代を節約するポイントを押さえておけば安く活用することも可能です。「今まで乾燥で悩んでいたけど手が出せなかった」という方もこの機会に加湿器を検討してみてはいかがでしょうか。
◆おすすめの加湿器は、床置きタイプからコンパクトな卓上タイプまで、以下の記事で詳しく紹介しています。