モニターアームは、パソコンなどのモニターを支えるためにデスクに設置する器具です。モニターをデスクの上に直置きするのではなく、あえてモニターとデスクの間にモニターアームを入れることでモニターの高さや角度を自由に調節でき、快適な視野角と適切な作業環境を確保できます。
ただモニターアームについては「取り付けが難しい」という声も聞かれます。そこでこの記事では、モニターアームを取り付けるときの注意点を解説したうえで、おすすめの製品を紹介します。
モニターがVESA規格に対応しているかチェック
モニターって結構重いけど、それをモニターアームで持ち上げて大丈夫なのかな。パソコンを操作しているときにモニターが落ちちゃうことはないのだろうか。
VESA(Video Electronics Standards Association)規格は、モニターやモニターアームなどの映像周辺機器の規格で、VESA規格対応のモニターとモニターアームであれば問題なく結合できます。
そのためモニターもモニターアームもVESA規格対応の製品を選んだほうがよいでしょう。VESA規格外のモニターとモニターアームでも結合できることもありますが、安定性は保証できません。
モニターアームを使うと、モニターを高く持ち上げることができるので、デスクのスペースを有効活用できます。しかしモニターを持ち上げるとその分だけ落下リスクが高まるのでモニターアームとの結合は確実でなければなりません。VESA規格製品を選ぶことは安全確保につながります。
モニターアームの取り付け方
モニターアームの取り付けは製品に添付されている説明書のとおりに行うわけですが、ここでは一般的な方法を紹介します。以下で紹介するモニターアームの取り付け方の基本をマスターしておけば、説明書の解説をよく理解できるようになるはずです。
標準のスタンドを取り外す
まずは必要な工具をそろえましょう。必要な工具は説明書に記載されていますが、基本的にはドライバーがあれば取り付けられます。モニターには標準のスタンドがついていますが、モニターアームを使う場合は必要ないので取り外します。
モニター本体と標準スタンドは、通常はネジまたはロック機構で結合しているので、それに適した工具を使って外しましょう。将来、モニターアームの使用をやめることになったら標準スタンドを使うことになるので、丁寧に外して保管しておいたほうがよいでしょう。
ドライバーは以下のような商品です。家にないという人は、この機会に購入してみてくださいね。
モニターの背面にアームを付ける
モニターアームにマウントプレートという結合用の部品があるので、それをモニターの背面に取り付けます。これでモニターとモニターアームを結合させることができます。ネジで固定するのが一般的です。
デスクに支柱・土台を固定する
モニターアームの部品に支柱または土台があるので、デスクに固定します。固定方法はボルト止めのほかに、クランプというデスクの天板を挟む(つかむ)部品を使うことがあります。
支柱・土台にアームを設置する
続いてモニターアーム本体を支柱・土台に設置します。このときモニターアーム本体にはモニター本体が結合している状態なので、かなり重い状態になっています。落とすことのないようにしっかり支えながら作業をしてください。2人でやるとよいでしょう。
取り付けのポイントは「モニター本体とアーム本体の結合」と「アーム本体とデスクの結合」の2点です。この2つの結合を確実に行ってください。作業が完了したら、手でモニターやモニターアームにわざと力を加えたり、デスクを少し揺らしたりしてゆるみがないか、簡単に外れることがないか確認しましょう。
モニターアームを取り付ける際の注意点
モニターアームを取り付ける際の注意点をさらに詳しく解説します。
クランプで机を傷つける可能性がある
クランプでモニターアームをデスクに取り付けることがあります。クランプはデスクの天板の上下を挟む方法です。金属製の天板の場合は表面の塗料がはがれたり、木製の場合はクランプが食い込んで深い傷ができたりします。
デスクに傷をつけないようにするには、クランプと天板の間にクッション材を挿入する方法があります。しかしクッション材が滑ってしまうと落下の危険があるので、クッション材を使ったら定期的に固定具合を確認したほうがよいでしょう。
重量が重いのでケガや破損の恐れがある
モニターは小型のものでもそれなりに重量があり、さらにモニターアームも強度を出すために頑丈な素材をつかっているので重量は重いです。
これらが落下すると破損するだけでなく、足の上に落ちればケガを負うこともあります。設置する際は、できれば2人で作業を行いましょう。
クランプを取り付けられない机もある
デザイン性が高いデスクの天板は、曲線が多用されていたり、薄かったり厚かったりするので、モニターアームのクランプを取り付けられないことがあります。ボルトを買ってきて天板に穴を開けて強制的に固定するといった、メーカーが想定していない方法は用いないほうがよいでしょう。
ただ業務用デスクのなかには配線用の穴が元から開いているものがあり、ここにモニターアームの正規部品であるボルトを差し込むことで固定できる場合があります。モニターアームを購入する前に、設置できるデスクの条件を確認して、取り付け予定のデスクがその条件に合致するかどうか確認してください。
ケーブルは余裕のある長さを用意する
モニターアームを使うとモニター本体と電源が離れるので、長いケーブルが必要になります。ケーブルに余裕がないとモニターを動かしたときに突っ張ってしまい、事故の原因になります。また、ケーブルが長すぎるとだぶついてこれも危険なので、そのときはケーブルをクリップで止めるなどの処置をしておきましょう。
モニターアームが取り付けられない場合の対策
自分のデスクがモニターアームを取り付けられない場合、次の2つの方法で解決できます。
- モニタースタンドを使う
- 壁掛けのモニターアームにする
1つずつ解説します。
モニタースタンドを設置する
モニタースタンドはいわばデスクの上に置く小型のデスクです。モニタースタンドはモニターアームを設置できるように設計されているので、これを使えばどのようなデスクでもモニターアームが使えます。
モニタースタンドにモニターアームを取り付け、それをそのままデスクの上に置くことになります。
モニタースタンドは各社から様々な商品が出ているのですが、以下のような商品はAmazonや楽天市場で評価が高い商品です。
壁掛けのモニターアームにする
壁掛けモニターアームは、モニターアームの片方を壁に直付けする仕組みになっています。モニターアームをデスクに接触させないので、どのようなデスクにも使えます。
しかし壁掛けモニターアームはそもそも壁がないと使えないので、壁に接するようにデスクを置かなければなりません。また、壁に穴を開けることになるので賃貸物件では導入が難しいでしょう。
さらに、壁の素材に十分な強度がない場合、モニターアームとモニターの重量に耐えられない可能性もあります。こうしたことから、壁掛けモニターアームは限られたケースでしか使えない方法です。
賃貸ではなく壁の素材にも問題がない人には、以下のような壁掛けのモニターアームを検討してみてください。
おすすめのモニターアーム
エルゴトロン LX デスク モニターアーム
最大34インチ(11.3kg)のモニターを支えることができるモニターアームです。昇降33cmと広い可動域が売りで、モニターを上下左右、手前、回転と自由自在に動かすことができます。もちろんVESA規格対応。
モニターアームとデスクの結合方式は、クランプ式とグロメット式の2つを用意。グロメット式は天板の配線口の穴を利用してボルトで固定する方式です。
大きさ | 45.72×27.05×17.78cm |
重量 | 4.42kg |
取り付け可能モニター | 34インチ(11.3kg)まで |
エレコム モニターアーム シングルアーム
32インチ(9kg)までのモニターに対応。本製品を取り付けると、モニターを水平90度、縦横回転、垂直+70度・-45度といったように動かせるようになります。VESA規格対応で価格は5,000円前後とリーズナブル。
モニターにつなげるケーブルをモニターアームの内部に通せるようになっているので、デスク周りがスッキリします。
大きさ | 40.9×30.8×11.1cm |
重量 | 2.22kg |
取り付け可能モニター | 32インチ(9kg)まで |
HUANUO モニターアーム ディスプレイアーム
27インチ(6.5kg)までのモニターに対応。モニターの左右は各90度まで傾けることができます。モニターの上下は上の傾きは90度まで、下の傾きは85度まで。モニターの回転は360度可能です。
デスクの取り付け方法はクランプ式で、天板の厚さは1~7.5cmまで対応。
大きさ | 40×30×13cm |
重量 | 2.76kg |
取り付け可能モニター | 27インチ(6.5kg)まで |
Amazonベーシック モニターアーム 1画面 シングル
30インチのモニターまで対応可能。価格が数千円と安価ですが、可動域が少なめ。モニターを少し動かすことができればよい、という人向きです。
対応できるデスク天板の厚みは2~10cmです。
大きさ | 50.8×46.05×11.43cm |
重量 | 2.54kg |
取り付け可能モニター | 30インチまで |
HUANUO モニターアーム ディスプレイアーム
32インチ(9kg)までのモニターに対応。モニターは、上下の傾きは+85度~-30度、左右の傾きは+90度~-90度、回転は360度といったように動かすことができます。対応できるデスク天板の厚さは、クランプ式は1.5~7.5cm、グロメット式は1~10cm。
モニターを下げるときと上げるときは、まずモニターアームを水平にしてから六角レンチでガス圧を調節する必要があります。モニターのケーブルを収納できるタイプになっています。
大きさ | 40.6×23.7×13.4cm |
重量 | 3.93kg |
取り付け可能モニター | 32インチ(9kg)まで |
アイリスオーヤマ モニターアーム
価格が2,000円前後とリーズナブルでありながら、8kgまでのモニターを支えることができます。ただし可動域は限定され、モニターを回転、上下、左右にしか動かすことができません。
クランプ式の対応可能な厚みは1~8.5cm。
大きさ | 16.5×11.7×59.8cm |
重量 | 2kg |
取り付け可能モニター | 8kgまで |
Amazonベーシック デスクマウント シングル
32インチ(11.3kg)までのモニターを支えることができます。モニターを360度回転、横回転、縦回転、傾き後方70度、前方5度まで移動でき可動域は十分です。
モニターアームとしては大型の部類に入りますが、素材がアルミなので3.54kgと比較的軽量にできています。ただし価格は15,000円超え。
大きさ | 65.02×15.24×41.15cm |
重量 | 3.54kg |
取り付け可能モニター | 32インチ(11.3kg)まで |
◆おすすめのモニターアームは下記の記事でも紹介しています。
モニターを複数台使うなら導入したい
モニターアームを使うとモニターの位置を簡単にずらすことができるので、作業者は自由な姿勢を取ることができます。顔にモニターを近づけて凝視することも、椅子の背もたれに寄りかかって作業することも可能です。またモニターが宙に浮く形になるのでデスクを広く使えます。
パソコン仕事をするときにモニターが複数台あると作業がはかどりますが、そのうちの1台のモニターをモニターアームで支えることで、作業効率はさらに上がるはずです。快適なデスク環境づくりに一役買うアイテムです。
◆おすすめのパソコンモニターは下記の記事で紹介しているのでチェックしてみてください。
◆デュアルモニターの設定方法などはこちらの記事で紹介しているのでチェックしてみましょう。