「スマホで撮った写真や動画の思い出を大画面で共有したい」「NetflixやYouTubeを大画面で迫力の音で鑑賞したい」「スマホやPCゲームを手元で操作しながら大画面で楽しみたい」そんなときは、USBからHDMIに変換するケーブルやアダプタを用意しましょう。
接続作業はかんたんですが、お使いの機器のUSBやHDMIの規格やバージョンに合った製品を用意しないと、うまくいきません。なかにはお使いの製品自体がもともとHDMIには出力できない場合もあります。
ケーブルやアダプタをせっかく手に入れたのに無駄になってしまう事態を避けるためにも、ぜひ本記事をお読みください。初心者にも分かりやすくまとめています。
USBとHDMIの基礎知識
変換ケーブルやアダプタを選ぶ際は、まず「なにをどこに出力するか」を明確にして、数ある種類の端子を見極め、的確な端子を備えた製品を選ぶ必要があります。端子の形状が合っていないと、そもそも接続できないので、せっかく購入しても無駄になってしまいます。
そこでまずは、USBとHDMIのそれぞれについて、種類や特徴を押さえていきましょう。
USBの種類と特徴
USBとは、「Universal Serial Bus」という規格の略称で、コンピューターに周辺機器を接続するために使用されます。データの通信だけではなく、電力供給にも使われます。
USBケーブルは主に7種類あります。各特徴をまとめます。
- USB Type-A(2.0)
最も標準的な規格でパソコン側に接続されることが多いUSBです。
端子の形状は、平べったい長方形です。
- USB Type-B(2.0)
プリンターなどパソコンに接続する周辺機器などのためのUSBです。
端子の形状は、2つの角が削られた六角形です。
- mini USB Type-B
デジカメなど、比較的小型の機器などのためのUSBです。
端子の形状は、正面から見ると、横の辺が少しくびれています。
- Micro USB Type-B(2.0)
少し前のAndroidスマートフォンや、タブレットなどのためのUSBです。
端子の形状は、台形を平たくつぶしたよう形です。
- Micro USB Type-B(3.0)
ポータブルHDDや外付けDVDドライブなどのためのUSBです。
端子の形状は、中央付近にへこみのある薄い長方形です。
- USB Type-C
最近主流で、AndroidスマートフォンやノートPCのためのUSBです。
端子の形状は、楕円(だえん)形で、上下の向きを気にすることなく機器に差し込めます。
- Lightning
iPhone や iPad などApple製品のためのUSBです。
Appleが開発した規格で、厳密にはUSB規格ではありませんが、 iPhone や iPad 、AirPods などをパソコンや充電器に接続するために使われています。
「2.0」「3.0」と付いているのは、規格のバージョンを表しており、数字が大きいほど新しいバージョンであることを示しています。バージョンが新しくなるほど、転送速度が速くなります。たとえば、USB3.0はUSB2.0の約10倍もの速さで転送できます(理論上の数値)。
パソコンや周辺機器のUSB規格は、メーカーの製品説明書にも記載されています。説明書を紛失した場合も、メーカーサイトで調べられることも多く、カスタマーセンターを利用することもできます。
HDMIの種類とそれぞれの用途
HDMIとは、「High-Definition Multimedia Interface」の略称で、 映像と音声を一本にまとめてデジタル信号でやりとりできる通信規格のことです。
HDMIケーブルは、テレビやゲーム機、パソコンなどさまざまな機器に使われています。HMDIが対象にしているのは、主にディスプレイです。
HDMIケーブルは、「バージョン」と「コネクタの種類」のそれぞれを、用途や目的に合わせて選定しないと、本来の映像出力がうまくいきません。
バージョン
ウルトラハイスピード(最新タイプ) | プレミアムハイスピード | ハイスピード | スタンダード(初期タイプ) | |
用途 | 8K映像 | 4K映像 HDR | フルHD映像 | 1080iの映像 |
通信速度 | 48Gbps | 18Gbps | 10.2Gbps | 4.95Gbps |
解像度 | 7680×4320 3840×2160 | 3840×2160 4096×2160 | 3840×2160 4096×2160 | 1920×1080 |
バージョン | HDMI 2.1 | HDMI 2.0 | HDMI 1.3~1.4 | HDMI ~1.4 |
ウルトラハイスピード(Ver.2.1)は、最大8K映像に対応。4K解像度なら1秒間120フレームの画像を伝送する能力を備えています。スムーズで精細なゲームプレイやコンテンツが楽しめます。最新のHDMI規格(HDMI 2.1)が採用されているPS5やXbox Series X、ゲーミングPCにおすすめです。
プレミアムハイスピード規格は、「HDR」(ハイダイナミックレンジ)」に対応しています。これから購入するならこちらがおすすめです。白飛びや黒つぶれを抑えた鮮明な映像を見られるので、PS4やPS4 Proなど、HDR対応のゲーム機や、衛星放送などの4Kコンテンツにおすすめの規格です。
ハイスピードHDMIケーブルは、4K対応ビデオカメラや、デジタルカメラなどに多く採用されていますが、やや古い規格です。Ver.1.4は、3D映像にも対応しています。また、1秒間30フレームなら4K映像も伝送できます。さらに、ハイスピードHDMIケーブルがあれば、LANケーブルを使わなくてもインターネット接続が可能です。
スタンダードHDMIケーブルは、かつて主流だったタイプです。今でも使えますが、最大解像度が1,920×1,200と低めで、もうあまり見かけません。
コネクタの種類
HDMIにはコネクタの形状にも種類があります。現在使用されているのは3種類です。
- HDMIコネクタ(タイプAコネクタ)
HDMI機器の中で最も普及している標準タイプです。主にテレビやBDプレイヤー、ディスプレイ、ゲーム機、パソコンなど多くの機器で使われています。
- ミニHDMIコネクタ(タイプCコネクタ)
ミニHDMIコネクタは、その名の通り、主に小型の機器で使用されています。ビデオカメラやノートパソコンなどで使われています。
- マイクロHDMIコネクタ(タイプDコネクタ)
マイクロHDMIコネクタは、ミニHDMIコネクタよりもさらに小型です。スマートフォンやタブレット、デジタルカメラなどで使用されています。
バージョンは通信速度の速いものを選ぶのが快適です。コネクタの種類は、接続する機器によって選びましょう。
USBとHDMIの互換性について
まず、最近主流のUSB Type-Cの場合、外部モニターに出力できるのはそもそものモードが「代替モード(Alt Mode)」のタイプです。
「代替モード(Alt Mode)」には「Display Port」と「Thunderbolt3」という規格があります。
ですので、まずは、使っているPCやスマートフォンが映像出力をサポートしているかどうか、を確認しましょう。
映像出力ができないUSBの場合は、ケーブルやアダプタでHDMIに接続できたとしても、ディスプレイに映像を映し出すことは不可能です。
MicroUSBの場合は、スマートフォン側に「MHL」対応の性能が必要です。MHLとはMicroUSB端子からHDMI信号をやりとりするためのものです。MHL非対応スマーとフォンは、変換ケーブルやアダプタを使用しても、HDMI経由で映像出力できません。
USBからHDMIに変換するためには?
USBからHDMIに変換するためのツールには、「変換ケーブル」と「変換アダプタ」があります。違いや、使い方、起こりがちな問題の対処法を見ていきましょう。
変換ケーブルと変換アダプタの違いについて
変換ケーブルと、変換アダプタは、どういうシーンで使い分けるの?と気になりますよね。
選び方は、ディスプレイ側にHDMIケーブルがあるかないか、です。
変換ケーブル
接続先の機器にHDMIのポート穴がある(差し込めるようになっている)場合には、変換ケーブルを選びましょう。変換ケーブルは、接続したい機器の双方に、差し込み口がある場合に選びます。
変換アダプタ
接続先の機器(モニターなど)からHDMIケーブルが伸びている場合には、変換アダプタを選びましょう。既存のケーブルを使えるので、余計なケーブルを新たに収納する必要もなく、スッキリします。
スマートフォンやPCなどのUSBポートに差し込むと、モニターなどの機器のHDMIケーブルを差し込めるようになります。
USBからHDMIに変換する方法
USBからHDMIに変換するのは、USBやHDMIの種類やバージョンを確認して適した製品を選んだら機器に接続するだけで、難しい設定はありません。
以下は、おおまかな手順です。細かくは製品によって違いがあるので、取扱説明書に従ってください。
スマートフォンやタブレットの場合
Apple製品(iPhoneやiPad)には純正アダプタを用意しましょう。または「MFi認証」マークが付いている製品がおすすめです。MFi認証品は、Apple純正品ではなく、他社(サードパーティ)による製品ですが、Apple社から兌換性が認められています。
Androidスマートフォンの場合は、さまざまなメーカーがあるため、機種によって、接続方法や対応か非対応かなども違ってきます。また、USBも「USB Type-C」「micro USB」の2種類があるため、お手持ちのスマートフォンがどちらか確認してください。
「USB Type-C」の場合は、「代替モード(Alt Mode)」に対応しているかを確認します。
「micro USB」の場合は、Android本体が「HML」に対応しているかを確認しておきます。
- アダプタ用のアプリをスマートフォンにインストールする。
- USB端子をスマートフォンやタブレットに接続する。
- HDMI端子を接続する。
- アプリでテザリングする。
スマートフォンやタブレットが縦画面のままだと、余白がもったいないので、回転させて横画面表示にしましょう。
テレビに映し出す場合には、テレビのリモコンの「入力切替」を使って対応するポートを選択すればOKです。
PCの場合
WindowsもMacもほぼ同様です。
- USB端子をPCに接続する。
- PCのドライバー画面を開き、ソフトウェアをインストールする(画面指示に従う)。
- パソコンを再起動する。
- HDMI端子を接続する。
- PCの「ディスプレイ」の設定画面から表示モードを選択設定する(2in1など)。
テレビに映し出す場合には、テレビのリモコンの「入力切替」を使って対応するポートを選択すればOKです。
変換時によくある問題と対処法
変換ケーブルやアダプタを使っても、映像や音声が出力されない問題が起こることがあります。
よくあるケースは、OSの間違いです。
変換アダプタがOSに対応していない場合は、出力ができません。
たとえば、Windowsには対応しているがMacには対応していない、という場合があります。購入前の要チェックポイントです。対応品をよく確認して購入しましょう。
また、iOS(Mac、iPhoneやiPadなど)の場合には、Apple純正アダプタがおすすめです。または「MFi認証」マーク付きを選びましょう。iOS端末の場合は、Apple純正品との接続しか保証していないので注意が必要です。
合っているはずなのに、うまく映し出されない場合には、接続がうまくいっていないケースもあります、各端子を抜き差しし直してみましょう。
ほかには、相性問題があります。
規格も合っていて接続もケーブルも問題ないのに映らなかったり、不安定になるということがありえます。
もともと変換に無理がかかっているのが原因です。ケーブルやアダプタとの相性によっては、どうしても接続自体が不安定になってしまい、あきらめざるを得ない場合も出てきてしまうことも知っておきましょう。
◆iPhoneとHDMIの接続がうまくいかない人は以下の記事も参考にしてください。
おすすめの変換ケーブルやアダプタの選び方
お手持ちの機器と合う選び方のポイントを見ていきましょう。
変換ケーブルやアダプタを選ぶ時のポイント
3つのポイントに気をつけて選びましょう。
- 端子の種類(適合するか)
- ケーブルの長さ(接続しやすさ・配線しやすさ)
- 転送速度
端子の種類
変換ケーブルやアダプタが変換したい端子に対応しているかどうか(端子形状)を確認しましょう。
端子形状が合っていないと、接続できないので無駄になってしまいます。
USBやHDMIには、前述のようにたくさんの種類があります。製品サイトには必ず適合する製品の詳細が書かれていますので、よく確認して間違えないようにしましょう。
ケーブルの長さ
ケーブルの長さは、ご自身がやりたいことに合わせて選びましょう。目安はこちらです。
1~2m:スマートフォンやタブレット端末などの接続に便利。
3~5m:部屋の中で離れた機器同士を接続しやすい。ゲーミングPCを大画面で楽しみたいときなど。
HDMIケーブルは、長くなるほど画質・音質が下がる傾向にあることや、細すぎる場合には使っているうちに画質・音質のクオリティが下がるケースもあるので、注意しましょう。
転送速度
USBは、バージョンが新しくなるほど、転送速度が速くなります。「3.0」や「2.0」などの表記ですが、数字が大きいほど新しいバージョンです。最新のUSB4は、最大40Gbpsでデータ転送できます。
USBは、基本的に、変換アダプタや接続機器、ケーブルなどの規格が異なる場合、下位規格の速度でデータ転送を行うことになります(下位互換性)。基本的には、規格が異なる機器同士でも使用できるのですが、本来の性能は発揮できなくなるので、注意が必要です。
USBからHDMIに変換できるおすすめ変換ケーブル
おすすめの変換ケーブルを紹介します。気になる製品はぜひ、リンク先で詳細を確認してみてください。対応機器や使い方の詳細が確認できます。
エレコム [MPA-CHDMI10BK] (android対応)
USB Type-C(TM)端子搭載のPC・スマートフォン・タブレットなどの映像を、HDMI入力端子を搭載したディスプレイなどに出力できます。
「スマートフォンやタブレットのゲームやお絵かきアプリを大画面で楽しみたい」などのシーンに最適です。もちろん、ノートPCをモニターに映し出すのにも便利です。
Topaka [TOPK-SJX-BAI] (iPhone)
iPhoneやiPadに対応しているHDMIケーブルです。
「ビデオアプリの動画を大画面で楽しみたい」シーンにも最適です。無料のビデオアプリに連携すると、InstagramやYouTubeなどの映像を、プロジェクターやモニターなどの大画面に手軽に映し出せます。
USBからHDMIに変換できるおすすめ変換アダプタ
おすすめの変換アダプタを紹介します。別途、HDMIケーブルを用意して接続しましょう。
StarTech社の変換アダプタ
こちらは、Windows PC用ですが、ITプロ用に各製品を出しているメーカーで、ほとんどの種類のUSBをサポートしています。そのため、お手持ちの機器のUSBに合わせて選べます。
一般的なパソコンならUSB Type-A、プリンターやスキャナなら USB Type-B、ノートパソコンやタブレットならUSB Type-C、デジカメはmini USB Type-B、Androidスマートフォンならmicro USB Type-Bのように選びましょう。購入前には、必ず詳細を確認して間違えないように気をつけてください。
Apple純正 HDMI-Lightning
「iPhone・iPadの写真や動画を大画面で楽しみたい」場合には、純正アダプタがおすすめです。
Lightning端子は、iPhoneやiPadなどApple製品に付いている端子です。
純正品以外のアダプタでは、著作権保護されたコンテンツ(NetflixなどのVODサービスやYouTubeなど)は再生できない場合があります。Netflixなどの動画コンテンツを再生したい人は、純正品もしくは「MFi認証」マークが付いている製品がおすすめです。
ロジテック ドッキングステーション LHB-PMP6U4
ノートPCのUSBにつないで、便利に使えるアダプタです。
USB Type-Cに接続して、HDMIほか、あらゆるタイプのポートにつなげられます。
コンパクトでありながら6つのインターフェースを搭載しているので、タブレットやノートPCなどポートが不足しているノートパソコンに便利です。ケーブルのごちゃつきを無くし、1台でスッキリまとめられます。
まとめ
本記事では、USBをケーブルやアダプタでHDMIに変換する方法を紹介しました。
せっかく購入したケーブルやアダプタが使えなかった…という事態を防ぐためには、「なにをどこに出力したいか」によって、お使いの製品のUSBやHDMIの規格をよく調べ、適合するケーブルやアダプタを選択してください。
本記事を参考に、ぴったりの製品を選んで、スマートフォンやタブレット、PCの映像データやゲームを大画面で楽しんでください。