電話線とLANケーブルは見た目がよく似ています。「電話線をLANケーブル代わりに使える?」「2つの違いはどこで見分けたらいいだろう」など悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この2つは、コネクタ部分を見ればかんたんに見分けられます。電話線はそのままの状態ではLANケーブルの代わりとして使えませんが、変換コネクタを使えば代用可能です。
この記事では、電話線とLANケーブルの違いや見分け方、代用方法などについて解説します。売り場で迷わないように、2つの違いや見分け方をよく知っておきましょう。
電話線とLANケーブルの違いやそれぞれの特徴
電話線とLANケーブルは同じように見えるものの、機能が異なる別物です。接続する対象が違うため、使用する際は注意しましょう。ここでは、電話線とLANケーブルにはどのような違いがあるのかについて解説します。
電話線(モジュラーケーブル)
電話線は、壁に設置された電話回線と固定電話をつなぐ際に必要なケーブルのことです。電話線の端にモジュラージャックがついているため、モジュラーケーブルと呼ばれることもあります。
LANケーブル
LANケーブルは、インターネット回線とパソコンやルーターなどのネットワーク機器をつなぐ際に使用するケーブルです。インターネットは無線でも接続できますが、LANケーブルを使って有線でつなぐほうが通信が安定します。
電話線とLANケーブルの種類
電話線もLANケーブルも、それぞれ複数の種類があります。電話回線に電話線をつなぐ場合、誤った種類を差し込むと使えない場合があるので注意が必要です。
ここでは、電話線とLANケーブルでそれぞれどのような種類があるか紹介します。
電話線(モジュラーケーブル)
電話線は、芯数の違いによって3種類に分類できます。芯数とは、コネクタ部分の溝(極数)のなかにある芯の数のことです。また、一般に電話線の極数は6極です。
芯数 | 特徴 |
6極2芯 | ・一般的な家庭用電話機でよく使われているタイプ ・簡易的な構造で、価格も安い ・モデムやファックスの接続にも使える |
6極4芯 | ・オフィス用の電話機でよく使われているタイプ ・芯数を増やすことで、会社の受付や他部署からの内線にも対応可能になっている |
6極6芯 | ・ドアホン対応テレフォンや多機能な家庭電話機に使われるタイプ ・特殊な電話機のみで使うため、家電量販店では扱ってないこともある |
下位互換はできませんが、上位互換は可能です。必要な電話線の種類がはっきり分からないときは、6極6芯のものを購入するとよいでしょう。
形状は、スタンダードタイプ・フラットタイプ・巻き取りタイプの3種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
形状 | 特徴 |
スタンダードタイプ | ・ごく一般的な丸いケーブル |
フラットタイプ | ・平らな形状のケーブル ・机と壁の間などの狭い場所やカーペットの下などに通すのに便利 ・引っ張りに弱い点に注意 |
巻き取りタイプ | ・くるくると巻き取って収納できるタイプ ・劣化しやすい |
特にこだわりがなければ、スタンダードタイプを選ぶとよいでしょう。
LANケーブル
LANケーブルはカテゴリと呼ばれる規格で分類されています。現在販売されているLANケーブルのカテゴリは5~8(5・5e・6・6A・7・7A・8)です。数字が大きいほど高い周波数帯域でデータのやり取りができ、ノイズ耐性も高いため、通信速度が速くなります。
カテゴリ5e相当の機器や回線にカテゴリ8のLANケーブルを差して使うといったことも可能です。ただし、もともとの機器が持つ性能以上の速度が出ることはないので、利用する機器や回線の性能に合致したカテゴリのLANケーブルを選びましょう。
通常、カテゴリはLANケーブルに表示されています。カテゴリ6は「CAT.6」、カテゴリ7は「CAT.7」と書かれていることが一般的です。
電話線と同じように、LANケーブルにも複数の形状があります。主に、スタンダードタイプ・スリムタイプ・フラットタイプです。それぞれ、以下のような特徴があります。
形状 | 特徴 |
スタンダードタイプ | ・一般的な断面が丸いケーブル ・太めの導線が使われており、丈夫 |
スリムタイプ | ・柔らかい素材で取り回しやすい細いケーブル ・家具の隙間など狭い場所に通すのに向いている |
フラットタイプ | ・平たく薄い形状のケーブル ・カーペットなどの下に配線するのに適している ・引っ張りに弱い |
特にこだわりがなければ、スタンダードタイプを選ぶとよいでしょう。
◆LANケーブルのカテゴリの見分け方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
電話線とLANケーブルの見分け方
電話線とLANケーブルはどちらも同じようなケーブルですが、コネクタ部分を見れば見分けがつきます。
電話線は極数(溝)が6つで芯数は2~6本です。一方、LANケーブルは極数も芯数も8本あります。
電話線はLANケーブルの代用として使える?
電話線とLANケーブルはよく似ているので、代用できるのではと思う方もいるのではないでしょうか。
残念ながらそれぞれ機能が異なるため、そのままの状態で代用することはできません。ただし、専用コネクタを利用すれば代用可能です。とはいえ、電話線をLANケーブルの代用にすると通信速度が低下します。電話線はもともと電波の影響を受けやすいので、通信も不安定になるでしょう。
電話回線をLAN回線に変換するには
建物の壁に設置されている電話回線は、そのままではLAN回線として使うことはできません。ただし、モデムを通してアナログ信号をデジタル信号に変換すれば、LAN回線として使えるようになります。
ここでは、電話回線をLAN回線に変換する方法を解説します。
プロバイダとの契約
インターネット接続するなら、まずは回線業者・プロバイダと契約する必要があります。回線業者とは、インターネットに接続するための回線を提供する会社です。ただし、回線を通しただけではインターネットに接続できるようにはなりません。回線業者が通した回線は、プロバイダと契約してインターネットにつなげてもらう必要があります。
つまり、インターネット接続するためには、回線業者・プロバイダの2社との契約が必要です。近年は、2社が一体になっているサービスも普及しています。
複数の業者がサービスを提供しているので、通信速度や契約内容、料金などを考慮して最適な1社を選びましょう。
モジュラーケーブルでモデムを接続
プロバイダと契約すると、モデムやモジュラーケーブルが送られてきます。壁にある電話回線の接続口にモジュラーケーブルを差し、モデムの裏側にあるモジュラージャックにもコネクタを差し込みましょう。
モデムは、電話回線から送られてくるアナログ信号とネットワーク機器から発するデジタル信号を相互交換する装置です。
LANケーブルでパソコン等の機器と接続
LANケーブルを使って、モデムとパソコンやルーターなどの機器を接続しましょう。これで、電話回線をLAN回線として利用できるようになりました。
ただし、電話回線はもともと遅く、さらに信号を変換する手間がかかるため、通信速度は遅くなります。
【注意】電話回線はサービス終了が決まっている
実は、電話回線を利用したサービスは終了が決まっているため、注意が必要です。
現在のインターネット回線には、大きく次の5つがあります。
回線の種類 | 特徴 |
アナログ回線 | ・かつて主流だった回線 ・銅線に音声をそのまま乗せて伝送する仕組み ・インターネット接続中は電話ができない ・利用量に応じて電話料金がかかる |
ISDN(デジタル)回線 | ・デジタル信号を用いてデータをやり取りする方式 ・インターネット接続中でも電話は可能 ・利用の際に電話料金が発生する |
ADSL回線 | ・電話回線のなかでも、普段は使用しない高周波帯を利用する方式 ・ISDNよりも速い通信速度が出る ・インターネット接続中でも電話は可能 ・大容量のデータのやり取りには不向き |
テレビ回線 | ・あまり一般的ではなく、一部のテレビ会社のみ取り扱っているサービス ・テレビ回線を利用してデータを伝送する仕組み |
光回線 | ・現在、インターネット回線として広く普及している回線 ・光ファイバーと呼ばれるケーブル内に光信号を通してデータを伝送する仕組み ・高速で安定している |
アナログ回線・ISDN回線・ADSL回線は固定電話回線を利用した接続です。これらの電話回線を使ったインターネット接続サービスは、ほぼすべての通信会社で新規の受付をしていません。また、順次終了することが決まっています。
現在はモデムを使うことで電話回線をLAN回線として使えますが、早めに光回線に乗り換えたほうがよいでしょう。
まとめ
電話線とLANケーブルの違いや見分け方、代用する方法などについて解説しました。
電話線は電話回線と固定電話をつなぐためのケーブル、LANケーブルはLAN回線とネットワーク機器をつなぐためのケーブルです。両者はよく似ていますが、コネクタ部分で見分けがつきます。電話線は6極で2~6芯、LANケーブルは8極8芯です。2つは構造が違うので、そのままでは代用できません。ただし、信号を変換する専用コネクタがあれば電話線をLANケーブルとして使用することも可能です。
とはいえ、電話回線を利用したインターネット接続サービスは順次終了することが決まっています。早めに光回線への乗り換えを検討するとよいでしょう。
◆おすすめのLANケーブルはこちらの記事で紹介しているのでチェックしてみてください。