冷蔵庫の電気はついているのに、中が冷えていない…こんなとき、夏場だと食品類がすぐに傷んでしまうので焦りますよね。
冷蔵庫の電気がついているのに冷えていないときは、機器の故障を疑う前にいくつかの考えられる原因を確かめていきましょう。案外すんなりと解決して、問題なく使えるようになるかもしれません。
この記事では、冷蔵庫が冷えていないときの原因や対処法などを紹介していきます。ご自身に当てはまるパターンがないかチェックしてみて、自分で対処できるのか、もしくは修理や買い替えを検討するべきなのか探ってみてください。
冷蔵庫が冷える仕組み
冷蔵庫の冷却機能には、液体が気体へ蒸発する際、周囲の熱を吸収して冷やす「気化熱」という現象が用いられています。
分かりやすい例だと、入浴後に体を拭かず濡れたままでは体が冷えますよね。これが気化熱による現象で、皮膚についた水分が蒸発するとき熱を吸収して体が冷えるのです。夏場に打ち水をして周囲の温度を下げるのも、この気化熱を利用しています。
冷蔵庫には人間でいう心臓のように、機械の要の部分にあたる「コンプレッサー」という機器があり、基本的には冷凍室に内蔵されています。冷蔵庫内の菅には「冷媒」という物質が常に循環しており、この冷媒物質がコンプレッサー(圧縮機)を通して液体から気体に変化し、冷やされているのです。
気体の冷媒がコンプレッサーを通って高温の液体になり、コンデンサー(放熱器)によって熱を下げられ、冷蔵庫内の管を通るうちに再び気体へと変化します。冷蔵庫内では、常にこの循環が繰り返されています。
冷蔵庫の電気は付くのに冷えていないときに考えられる原因
食生活の要ともいえる冷蔵庫が冷えていないと、日常生活に支障をきたしてしまいます。
もし冷蔵庫の中が冷えていない場合、いくつかの原因が考えられます。考えられる理由をひとつずつ確認して、不調の原因を探ってみましょう。
ドアが長時間空いていた
冷蔵庫のドアが長時間開いていたために、冷気が逃げてしまったという原因が考えられます。特にご家族が多いご家庭では、自分はしっかり閉めていても他の家族がきちんと閉め忘れていたということもしばしばです。
調味料のビンや容器が引っかかっていたり、中の物が前に出過ぎて引っかかっていたなど、物理的にドアが閉まりきらないことも十分にあり得ます。
きちんとドアを閉めていたし、中の食品類も引っかかっていないという場合は、ドアのゴムパッキンが劣化しているのかもしれません。パッキンで冷蔵庫は密閉されていますが、劣化によって外気が入り込めば冷蔵庫内の温度が上昇します。
劣化による変形が少ない場合は、お湯で絞った布やタオルで温めることにより復活することもあります。劣化がひどい場合には、新しいパッキンを取り寄せるか、修理を検討しましょう。
庫内にものを入れすぎている
冷蔵庫の中は密室ですから、あまりに多くの物を入れすぎては循環が悪くなってしまいます。夏場などに狭い部屋の中でぎゅうぎゅうに人が密集していると、なかなか冷房が効かずいつまでも涼しさを感じないのと同じです。
冷蔵庫の中もある程度の余裕がなければ、十分な冷却効果が得られません。送風口が塞がれていれば、さらに冷えは悪くなります。
また、生鮮食品をラップせずにしまったり、粗熱が冷めないまま食品をしまったりすると、冷蔵庫内の温度は上昇し冷えるまでに時間を要します。
冷蔵庫の中をちゃんと冷やすためにも、家族の人数や生活スタイルに合った冷蔵庫を使うようにしましょう。
冷蔵庫の周りに隙間がない
気加熱の仕組みを利用している冷蔵庫は、放熱板を使い周囲へと熱を逃しています。放熱板は冷蔵庫の上部・裏側・側面のいずれかに設置されていますが、ここに家具や壁が密接していると十分に熱を逃すことができず冷えにくくなります。
周囲にスペースを確保できていない場合は、冷蔵庫を少しずらしてみましょう。また、冷蔵庫の上に物を置きすぎている場合も、物をどかしたり隙間が確保できるようにしてください。
放熱板にホコリが積もっている場合も同様に熱を逃しにくくなるので、定期的に掃除するよう心がけましょう。
◆冷蔵庫の放熱スペースや壁との隙間の開け方などについては、下記の記事で詳しく解説しているのであわせて読んでみてください。
吹き出し口に霜がついている
冷蔵庫のドアを長時間開けたままにしていたり、頻繁に開け閉めすると、外気との温度差から結露が生じ霜が発生する原因になります。ドアのパッキンが劣化している場合も同様です。
霜が冷風の吹き出し口に発生して塞がれてしまうと、冷気の循環が悪くなり冷蔵庫内が冷えにくくなります。
温度設定が高い
冷蔵庫は温度設定が可能ですが、外気が高くなる夏場に設定を「弱」にしたままだと冷えにくくなってしまいます。よくあるのが、突然訪れた夏日に冷蔵庫が冷えていないと感じるケースです。
夏場は「中」「強」に設定し、冬場は「弱」に設定するなど、季節に応じた適温に調節しましょう。節電モードが搭載されている冷蔵庫では、解除するとしっかり冷蔵庫内が冷え始めることもあります。温度がぬるいと感じたら、節電モードをオフにしてみてください。
冷却装置の故障
冷蔵庫が冷える仕組みでご紹介したように、冷蔵庫には冷やすために欠かせないコンプレッサーやコンデンサーといった、いわば要の装置があります。この冷却装置などが故障すれば、当然ながら冷却機能に異常が発生します。
もし装置の異常であれば自分では対処できません。メーカー業者などに見てもらい、修理を依頼する必要があります。ここまで解説してきたいずれかの原因に該当しない場合は、内部装置の故障が原因かもしれません。
機械としての寿命を迎えた
冷蔵庫のように長持ちする家電でも、機械には寿命があります。10年以上大切に使っている冷蔵庫であれば、すでに機械としての寿命を迎えているのかもしれません。
修理を頼めば一時的には直るかもしれませんが、いつまた故障してしまうか分かりません。また、それだけ長く使用している冷蔵庫ですと、メーカー側で必要部品を保持していない可能性もあります。場合によっては、修理よりも買い替えを検討したほうがいいケースもあります。
冷蔵庫の電気は付くのに冷えていないときの対処法
さて、冷蔵庫が冷えていないときに考えられる要因がいくつかあると分かりましたが、具体的にはどのように対処すればいいのでしょうか。
ここからは、冷蔵庫内の冷えが悪いときにおこなう対処法をご紹介していきます。
基本的な状況や設定を確認
まずは温度設定をチェックしましょう。食品を入れる際に設定のつまみがずれてしまっていることもよくあります。設定が「弱」になっていたら、「中」や「強」にしてしばらく様子を見てみます。節電モードになっている場合は解除してみましょう。
冷凍庫を確認して氷が溶けていなければ冷蔵庫の機能には問題がないと言えます。冷蔵庫のほとんどは、冷凍庫部分にコンプレッサーがあるため、冷凍庫で氷が凍っている状態であれば冷凍庫が0℃以下に保たれていると分かります。
霜を取り除く
冷蔵庫の機能自体に問題がなさそうなのであれば、内部機器の問題ではなく外的な要素を疑ってみましょう。例えば、霜の発生により冷気の吹き出し口が遮られているケースです。
長時間ドアを開けていたり、頻繁に開閉したりしていると、外気との温度差により結露が生じることで霜ができてしまいます。近年の冷蔵庫には自動の霜取り機能が搭載されていますが、これが上手に機能していないという可能性もあります。
霜を取り除くいちばん確実な方法は、食材をすべて出して電源を抜いて霜が溶けるまで放っておくことですが、手間がかかりますし生鮮食品や冷凍食品を一時的に置いておくのも心配ですよね。
霜が小さいうちはヘラなどで削り落とす方法も有効です。また、40℃以上の湯に浸した布やタオルを使って溶かしながら拭き取るのも効果的です。
ドライヤーの温風を当てて霜を溶かす方法もありますが、これはメーカーが推奨している方法ではないため、保証外になる可能性がありますので注意してください。
◆霜取りが面倒な方は、霜取り不要タイプの冷蔵庫を使うのも一つの選択肢です。霜取り不要タイプの冷蔵庫はこちらの記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
庫内を整理して物を減らす
食品をギチギチに冷蔵庫内に保管していると、冷気がうまく循環せず冷えにくくなります。冷蔵庫の中は7割程度の保管量が目安です。
要らない食品や食品以外の化粧品類などを取り出したり、循環を妨げないように食品の置き方にも気をつけてみましょう。
食品から出る水気も霜の原因になりますので、水気のある生鮮食品などはタッパーやジップロックを活用することが基本です。また、調理後の粗熱が取れていない食品などを冷めないうちに冷蔵庫へ入れてしまうことも、冷蔵庫内の温度が上昇して再び冷えるまで時間がかかる原因になります。
冷蔵庫内の食品の入れすぎは冷えにくい原因ですが、実は冷凍室ではかえって良い効果を生み出します。凍った食品が保冷剤代わりになるので、省電力で冷凍温度を保てるというメリットがあるのです。
冷蔵庫が冷えないときの修理費用
冷蔵庫の電気が付くのに冷えない場合の修理費用は、約1万円~10万円ほどです。故障部位やメーカー、冷蔵庫の大きさなどによって金額は大きく変わります。
また、メーカーの修理に出すか街の修理業者に出すかでも変わります。メーカーの修理は1番確実で安心ですが、すぐに直したいという急ぎの場合には街の修理業者のほうが早い可能性があるので、比較して選びましょう。
主なメーカーの修理費用は下記のページで確認できます。
まずはメーカーの保証期間内かどうかを確認してみましょう。保証期間内であれば無料で修理できる可能性があります。
◆冷蔵庫の壊れにくいメーカーについて下記の記事で紹介しています。
修理費用に関しては、メーカーや発売時期、本体の大きさなどによっても異なるので、事前の相談や見積もりが必須です。
冷蔵庫を買い換える目安は?
冷蔵庫の平均的な寿命は10年ほどです。
家電メーカーでは、修理用部品の保有期間を該当製品の製造が終了した9年後までとしているので、かなり古い冷蔵庫では修理部品がなく交換が不可能な場合もあります。
また、古い冷蔵庫は修理してもまた別の部分が故障して、修理費用がかさむ可能性もあります。そのため、すでに10年近く使っている冷蔵庫であれば、買い替えを検討するのがおすすめです。
◆以下の記事で、おすすめの冷蔵庫を紹介しています。参考にしてみてください。
電気が付くのに冷蔵庫が冷えない原因は故障や寿命の可能性も
今回は、冷蔵庫の電気がついているのに、中が冷えていないときの原因や対処法について、詳しくお伝えしてきました。
毎日使う冷蔵庫は、なくてはならない家電製品ですから、故障したと思うとかなり焦ってしまいます。でもまずは、初歩的な基本部分から順に確認していき、冷えにくい原因を探りましょう。
冷蔵庫の冷気を滞りなく循環させるには、冷蔵庫の周囲にスペースを空けること、中に食品を詰め込みすぎないこと、霜取りやホコリ取りなど、こまめに掃除をおこなうことが大切です。
もし10年以上使用している冷蔵庫であれば、これを機に買い替えを検討するのもいいタイミングかもしれません。修理してもすぐに不調を起こしそうだったり、劣化が見られたりする場合には、名残惜しいですが新しい冷蔵庫を迎えましょう。