エアコンから1mmほどの小さい虫が出てきたら、チャタテムシの可能性があります。チャタテムシは体長1mmほどの淡黄色〜淡褐色の虫で、よくダニと間違えられます。カビやホコリなどを餌にし、やや湿度の高い場所を好みます(東京都保健医療局)。
エアコンの中で虫が増える原因と対策は、次の3つに集約できます。
- 原因①湿気…冷房を止めたあとのエアコン内部は湿度85%以上になることがあり、カビが育ちやすい(三菱電機)
- 原因②餌…内部にたまったホコリやカビが、チャタテムシの餌になる
- 原因③侵入口…ドレンホースの先や、配管が壁を通る穴のすき間から入ってくる
対策は、フィルター掃除・冷房後の送風で内部を乾かす・ドレンホースと配管のすき間をふさぐ、の3つが基本です。チャタテムシ自体は人を刺したりしないとされていますが、エアコンに殺虫スプレーを直接吹きかけると故障の原因になるので、駆除の仕方には注意が必要です。この記事で順に解説します。
この記事でわかること
- エアコンの中の小さい虫はチャタテムシの可能性があり、湿気・カビやホコリ・ドレンホースや配管のすき間が原因になる
- 駆除は殺虫スプレーをエアコンに直接かけず、運転を止めて掃除・燻煙剤・業者の順で考える
- 予防はフィルター掃除・冷房後の送風乾燥・ドレンホースの防虫キャップ・配管のすき間ふさぎ
エアコンの中によくいる虫


エアコンを使っていたら虫が落ちてきた!エアコンの中に虫が発生することはあるの?
エアコンの中で虫が見つかると驚きますが、多くは家の中にふつうにいる虫が、湿気と餌のあるエアコン内部に入り込んだものです。見た目で、おおよその見当がつきます。
| 見た目 | 考えられる虫 | 特徴 |
|---|---|---|
| 体長1mmほど、淡黄色〜淡褐色、羽がない | チャタテムシ(コナチャタテ類) | ダニと間違われやすい。カビやホコリを食べる |
| 体長2mmほど、羽があり飛ぶ | 羽のあるチャタテムシ | 新築の家や湿度の高い場所で発生し、カビを好む |
| 数mm〜数cm、茶色や黒色で素早く走る | ゴキブリ(幼虫を含む) | 暗く湿った場所や食べかすのある場所を好む |
このほか、季節によっては屋外の虫がドレンホースなどから入り込むこともあります。小さな虫が何匹も出てくるときは、まずチャタテムシを疑い、エアコン内部の湿気とカビを減らす対策をとりましょう。
チャタテムシ
チャタテムシは、家の中で目にすることの多い小さな虫です。千葉市保健所によると、成虫の体長は1〜1.3mm、灰褐色〜暗褐色で羽はなく、メスは生涯に140〜150個の卵を産みます。東京都は、体長1mmほどの淡黄色〜淡褐色の虫で、よくダニと間違えられると説明しています。
餌はカビ、床にたまった食べこぼし、人のフケやホコリ、本の糊、貯蔵食品などです。高温多湿の時期に湿気のこもる部屋で大発生した例も報告されています。エアコンの内部は冷房中に結露して湿気がたまり、ホコリやカビも付きやすいため、チャタテムシにとって住みやすい場所になりがちです。
人への害については、毒はなく、血を吸ったり刺したりもしないため、直接の害はないと考えられています。ただし、チャタテムシを餌にするツメダニが人を刺すことがあるため、大量に発生しているなら放置せず対策しましょう。千葉市は、相対湿度60%以下ではチャタテムシの発育や繁殖が止まるという報告も紹介しています。
参照:千葉市「チャタテムシ」/東京都保健医療局「チャタテムシとシミ」
ゴキブリ
ゴキブリもエアコンの中や周りに潜むことがある虫です。暗くて湿った場所や、食べかすのある場所を好み、ドレンホースや配管のすき間から入り込むことがあります。エアコンからカタカタ、カサカサという音がする場合は、ゴキブリが中にいる可能性もあります。音の原因の見分け方と侵入を防ぐ方法はエアコンのカタカタ音はゴキブリ?原因と対策で詳しく解説しています。
エアコンから虫が発生する原因

エアコンの中で虫が見つかる原因は、湿気・餌・侵入口の3つです。どれか1つでも減らせれば、虫は住みつきにくくなります。
エアコン内部に湿気が溜まりやすいから
エアコンは冷房中、室内機の熱交換器で空気を冷やし、空気中の水分を結露させて外へ排水しています。そのため内部は湿気がたまりやすく、三菱電機によると、冷房運転を止めたあとのエアコン内部は湿度85%以上になり、カビが成長しやすい環境になっています。
チャタテムシはやや湿度の高い環境を好むため、湿ったままのエアコン内部は住みつきやすい場所です。冷房のあとに送風で乾かすと、この条件を断てます(後半の対策で紹介します)。
エアコン内部のホコリやカビが餌になるから
三菱電機は、エアコンのカビの原因は空気中のホコリで、フィルターをすり抜けた細かなホコリやカビ菌が多湿な内部でホコリを食べて増える、と説明しています。そしてチャタテムシは、そのカビやホコリを餌にします。つまり、ホコリ→カビ→チャタテムシの順に増えていくため、餌を断つにはフィルター掃除と内部の乾燥が欠かせません。エアコンのカビそのものの対処はエアコンのカビは問題ない?原因と掃除方法で解説しています。
参照:三菱電機「教えて!霧ヶ峰」今すぐできるカビ対策/千葉市「チャタテムシ」
外部から侵入しやすいから
エアコンには、屋外とつながる部分が2か所あります。ひとつは結露水を外へ流すドレンホース、もうひとつは室内機と室外機をつなぐ配管が壁を通る穴です。
- ドレンホース…先端が地面や排水口の近くに開いているため、湿気を求める虫が入り込みやすい
- 配管の穴…パテのやせや取り付け時のすき間があると、そこから虫が入る
エアコンの中をきれいにするだけでなく、この2か所の入り口をふさぐ対策もあわせて行いましょう。
虫がいるかも?エアコンの症状

エアコンに虫がいるかどうかは、外から見ただけではわかりにくいものです。次のようなサインがあれば、虫を疑ってフィルターや吹出口を確認しましょう。
- 吹出口やフィルター、エアコンの下に小さな虫が落ちている
- 運転していないときに、カサカサ・カタカタという音がする
- フィルターを掃除しても、風の出が弱いまま
異音がする
運転を止めているのにカサカサ、カタカタという音がするときは、ゴキブリなど大きめの虫が中で動いている可能性があります。一方、チャタテムシのような1mmほどの虫は、音で気づくことはまずありません。音がするときは、吹出口のまわりやエアコンの下に虫の死骸やフンが落ちていないかを確認しましょう。エアコンの音にはほかにも原因があり、ポコポコ音ならエアコンのポコポコ音の原因(24時間換気)、カタカタ音ならエアコンのカタカタ音はゴキブリ?で見分け方を解説しています。
エアコンの風の通りが悪い
風の出が弱いときにいちばん多い原因は、フィルターの目詰まりです。まずフィルターを掃除し、それでも改善しないときは、内部の汚れや虫の死骸などがたまっている可能性があります。内部の分解掃除は自分で行わず、購入した販売店やメーカーのサービス窓口、エアコンクリーニングの専門業者に相談しましょう。
エアコンにチャタテムシやゴキブリがいたら

エアコンの中で虫を見つけたときは、エアコンを傷めない方法で取り除くことが大切です。殺虫剤などのスプレーをエアコンに直接吹きかけるのは避けてください。三菱電機は、殺虫剤を含むスプレー類を直接吹きかけると電子基板が故障したり、熱交換器の冷媒配管が腐食したりするおそれがあると注意しています。日立も、市販の洗浄剤や殺虫剤をかけると熱交換器のコーティングがはがれ、排水の詰まりや水漏れの原因になるとしています。
参照:三菱電機「教えて!霧ヶ峰」スプレー類の使い方に要注意/日立「市販の洗浄スプレーでエアコンのお手入れはできますか?」
まず運転を止めて、フィルターと吹出口の虫を取り除く
見えている虫を追い出すときは、エアコンを叩くのではなく、運転を止めてから掃除で取り除きましょう。叩くと内部の部品を傷めるおそれがあります。
- 運転を止め、取扱説明書の指示に従って電源プラグを抜く(またはブレーカーを切る)
- フィルターを外し、付いた虫やホコリを掃除機で吸い取ってから水洗いし、よく乾かす
- 吹出口や本体の外側に見える虫は、掃除機で吸うか、乾いた布でふき取る
- エアコンの下の床や壁に落ちた虫も掃除しておく
チャタテムシは家の中で完全に絶やすのは難しい虫なので、取り除いたあとは、後半の「湿気を減らす」「入り口をふさぐ」対策で数を増やさないことが大切です。
参照:千葉市「チャタテムシ」
燻煙剤で殺虫する
部屋にゴキブリなどの害虫が多いときは、燻煙剤(くん煙剤)で部屋全体を駆除する方法があります。使う前に、パッケージに書かれた対象の害虫に、駆除したい虫が入っているかを必ず確認してください。燻煙剤を使うときの主な注意点は次のとおりです。
- エアコンは止めておく…三菱電機は、スプレー類はエアコンの運転中を避け、停止中に使うことをすすめています
- 火災警報器・ガス警報器は袋などで覆う…煙や微粒子に反応することがあります(終わったら必ず外す)
- ペット・観葉植物・水槽は部屋の外へ…バルサンは、水槽は家の外へ出し、3日間は使用した部屋に戻さないよう案内しています
- 使用後は十分に換気…バルサンは30分〜1時間ほどの換気を目安にしています
煙がエアコンの中まで届くとは限らないため、燻煙剤だけで終わらせず、フィルター掃除や内部の乾燥とあわせて行いましょう。
参照:バルサン「よくあるご質問」/三菱電機「教えて!霧ヶ峰」スプレー類の使い方に要注意
駆除業者に依頼する
虫が何度も出てくる、エアコン内部にカビや汚れが目立つといった場合は、専門業者に相談しましょう。虫の駆除は害虫駆除業者、エアコン内部の汚れはエアコンクリーニングの業者が担当です。内部の洗浄を自分で行うのは避けてください。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、誤った内部洗浄による火災事故が2019年度までの5年間に20件起きており、内部洗浄は正しい知識を持った業者に依頼し、購入先の販売店やメーカーのサービス窓口に相談するよう呼びかけています。業者選びの注意点はエアコンクリーニングはしないほうがよい?理由とリスクで解説しています。
エアコンの害虫対策

虫を増やさないための対策は、餌を減らす(フィルター掃除)、湿気を減らす(送風で乾燥)、入り口をふさぐ(ドレンホース・配管のすき間)の3つです。
| 対策 | ねらい | 目安 |
|---|---|---|
| フィルター掃除 | ホコリ(カビと虫の餌)を減らす | 2週間に1回 |
| 冷房後の送風運転・内部クリーン | 内部を乾かしてカビを防ぐ | 冷房を止めたあと3〜4時間 |
| ドレンホースの防虫キャップ | ホースからの侵入を防ぐ | 冷房シーズン前に点検 |
| 配管穴のすき間をパテでふさぐ | 壁の穴からの侵入を防ぐ | すき間を見つけたら |
| 部屋の湿度を下げる | チャタテムシの繁殖を抑える | 相対湿度60%以下が目安 |
参照:三菱電機「教えて!霧ヶ峰」冷房の節電術/三菱電機「教えて!霧ヶ峰」今すぐできるカビ対策/千葉市「チャタテムシ」
フィルターをこまめに掃除する
もっとも手軽な対策が、フィルターのこまめな掃除です。フィルターにたまったホコリは、カビやチャタテムシの餌になります。三菱電機は、メーカーが推奨するフィルター掃除の頻度は「2週間に1回」と説明しています。掃除は運転を止めてからフィルターを外し、掃除機でホコリを吸い取ります。汚れがひどいときは水洗いし、日陰でしっかり乾かしてから戻してください。濡れたまま戻すとカビの原因になります。
◆以下の記事で、エアコンのフィルター掃除とその効果について詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
送風機能で内部を乾燥させる
冷房のあとはエアコン内部が湿ったままになり、三菱電機によると湿度は85%以上になります。そこで、冷房を止めたあとに送風運転を3〜4時間行い、内部を乾かすのが効果的です。運転停止後に自動で内部を乾かす「内部クリーン」などの機能がある機種は、普段からオンにしておきましょう。内部クリーン中は運転を止めたあとも風が出るため、故障や「勝手に動いた」と間違えやすい点に注意してください(エアコンが勝手につくのはなぜ?)。
送風運転がない機種では、室温が30℃以下のときに設定温度をいちばん高くして冷房運転すると、室温が設定温度より低いため自動的に送風運転になる、と三菱電機は案内しています(三菱電機のエアコンの場合)。部屋全体の湿度を下げることも大切で、エアコンの湿気対策はエアコンの湿度戻りしないメーカーと対策でも解説しています。
エアコン内部のクリーニングをおこなう
熱交換器やファン、ドレンパン(結露水の受け皿)にたまった汚れは、カビや虫の温床になります。気になるときは、エアコンクリーニングの専門業者に内部の洗浄を依頼しましょう。市販の洗浄スプレーで内部を洗うのはおすすめできません。日立は、市販の洗浄スプレーはエアコン内部に残った洗浄剤で樹脂部品の破損や電気部品の絶縁不良が起き、発煙・発火につながるおそれがあるため使わないよう案内しています。NITEも、誤った内部洗浄による火災事故を受けて、内部洗浄は業者に依頼するよう注意を呼びかけています。
参照:日立「市販の洗浄スプレーでエアコンのお手入れはできますか?」/NITE「エアコンの内部洗浄による事故に注意」
ドレンホースにキャップをつける
ドレンホースは、エアコンの中でできた結露水を屋外へ流すホースです。先端が開いているため、湿気を求める虫の入り口になりやすい場所です。ホースの先に防虫キャップ(防虫弁)を付けると、排水しながら虫の侵入を防げます。注意したいのは詰まりです。防虫弁のメーカーである因幡電機産業は、取扱説明書で定期的な点検が必要とし、冷房を使い始める時期や、長く使わなかったとき、付着物があるときは弁を点検・清掃するよう求めています。点検を怠ると弁が開かず、排水が逆流するおそれがあります。室内機から水が垂れてきたら、まずドレンホースの先の詰まりを疑いましょう。水漏れの原因と対処は水漏れしているエアコンを使い続けてもOK?で解説しています。
参照:因幡電機産業「ルームエアコン用消音/防虫弁 DHB 取扱説明書」(PDF)
◆ドレンホースに付ける防虫キャップについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
隙間や開口部をパテでふさぐ
室内機と室外機をつなぐ配管が壁を通る穴は、本来エアコン用のパテでふさがれています。しかし、取り付け時にすき間が残っていたり、年数がたってパテがやせたり割れたりすると、そこから虫が入ります。ドレンホースに防虫キャップを付けても虫が出る場合は、こちらの入り口を疑いましょう。
確認するのは次の3か所です。
- 室内側…配管が壁に入る根元(配管穴のカバーのまわり)にすき間がないか
- 屋外側…配管が壁から出る根元のパテが、やせたり割れたりしていないか
- 化粧カバーの継ぎ目…配管を覆うカバーの端が外れていないか
小さなすき間なら、エアコン配管用のすきまパテを手でちぎって押し込むだけで埋められます。固まらない不乾性のタイプなら形を整えやすく、ホームセンターや通販で手に入ります。一方、パテが大きく欠けている、高い場所で手が届かない、化粧カバーの中から虫が出ているといった場合は、無理をせず取り付けた業者に相談してください。
虫対策グッズを活用する
ゴキブリの侵入が気になるときは、エアコンまわりの対策グッズを組み合わせると効果的です。ただし、どのグッズもエアコン本体に向けて薬剤を吹きかけないことが前提です。種類ごとの使いどころは次のとおりです。
| グッズ | 使う場所 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 屋外用の毒餌剤(ベイト剤) | 室外機のまわり、ベランダ、家の外壁ぞい | 家に入る前のゴキブリを減らしたい |
| 殺虫スプレー | 見つけた虫、製品が指定する侵入しやすい場所 | 目の前の虫をすぐ駆除したい |
| 燻煙剤 | 部屋全体(エアコンは停止) | 部屋の中に害虫が多い |
ベランダの室外機の近くは、ゴキブリが家に近づく通り道になりやすい場所です。外に毒餌剤を置いて家に入る前に減らし、室内で見つけた虫にはスプレーを使う、という分担にすると使い分けに迷いません。毒餌剤を室外機の近くに置くときは、室外機の吹出口や吸込口をふさがない位置にしてください(室外機まわりの注意点はエアコンの室外機のブーンという音の原因と対処法でも解説しています)。どの製品も、使う前に対象の害虫と使用場所をパッケージで確認しましょう。
まとめ:エアコンの小さい虫は「乾燥・掃除・すき間ふさぎ」で防ごう

エアコンから出てくる1mmほどの小さい虫は、カビやホコリを餌にするチャタテムシの可能性があります。人を刺したりはしないとされていますが、大量に出るのは、エアコン内部に湿気と餌があり、ドレンホースや配管のすき間から入り込める状態になっているサインです。
駆除は、殺虫スプレーをエアコンに直接かけず、運転を止めて掃除で取り除くのが基本です。部屋全体に虫が多ければ燻煙剤、内部の汚れがひどければクリーニング業者に相談しましょう。予防は、フィルターを2週間に1回掃除する、冷房のあとに送風で内部を乾かす、ドレンホースに防虫キャップを付けて定期的に点検する、配管のすき間をパテでふさぐ、の4つです。部屋の湿度を下げることも、チャタテムシを増やさない近道です。














