車でエアコンを使っていて、風が冷たくなったりぬるくなったりと、風温の変動を感じたことはないでしょうか。
特に夏の暑い日は、熱気のこもる車内をできるだけはやく涼しくしたいですから、冷風が出続けてくれないと困りますよね。
エアコンの風が冷たくなったりぬるくなったりする原因はひとつではありませんが、原因を把握してメンテナンスをすることが大切です。
本記事ではこうした原因を詳しく解説し、対策をご紹介していきます。
この記事でわかること
- エアコンが冷たくなったりぬるくなったりするのは、フルオートエアコンの機能であったり、フィルターの詰まりであったりすることが考えられる
- 初歩的な原因を解消しても問題が解決しない場合は、内部的な故障や不具合、エアコンガスの漏れなどが考えられる
- 原因を特定できない場合には、放置したり自分で解決しようとしたりせず、プロの整備士に相談する
車のエアコンが冷たくなったりぬるくなったりする原因
車のエアコンが冷たくなったりぬるくなったり不安定なんだよね。故障かな?
一般的にエアコンの温度変化の原因は、システム内の技術的なトラブルから、掃除が行き届いていないことが原因などさまざまです。
車のエアコンが冷たくなったりぬるくなったりすると車内の温度が不安定になってしまい、快適なドライブが楽しめなくなってしまいます。
まずは温度変化の要因を詳しく把握してから、それぞれの原因に合った適切な対策を講じてみましょう。
フルオートエアコンによる機能
フルオートエアコンは、車内の快適な温度維持を自動で行なうシステムです。
設定した温度に合わせて、室内の温度、湿度、外気温といった多様な環境データをセンサーで感知し、最適な冷暖房レベルを自動で調整します。
フルオートエアコン機能を使用していると、設定した温度に達した時点で、冷風が出てこなくなり、送風に切り替わります。
また設定温度より暑くなると、冷風を出して室内温度を調整するのです。
つまりフルオートエアコンを使用していると、設定温度と室内温度に応じて、冷風や送風が自動で出るため、エアコンが冷たくなったりぬるくなったりといった状態になりやすいと言えるでしょう。
この場合は、故障ではなく、エアコンの機能であるため、正常に運転しています。
フルオートエアコン機能は、自動で省エネに運転してくれるため、燃費の効率も良くメリットでもあります。
冷房の効きが悪いと感じるときは、フルオートエアコンの設定温度を下げてみると良いでしょう。
エアコンガスが抜けている
車のエアコンシステム内で冷媒ガスが不足すると、冷却効果が大きく低下してエアコンから出る空気の温度が不安定になってしまいます。
冷媒ガスは車内に冷たい空気を送ることが役割です。
しかし経年劣化で自然減少したり、配管の接続部分やホースから微細な穴や亀裂を通じて漏れ出したりもします。
エアコンガスが抜ける主な理由は、システム内部の圧力変動や、エアコンの頻繁な使用による劣化、そして外部からの物理的なダメージです。
エアコンを使用することで生じる振動が配管などに微細な亀裂を生じさせ、そこからガスが漏れていくことがあります。
車が長期間使用されずに放置されると冷媒ガスが漏れやすくなるケースも考えられます。
マグネットクラッチの不良
マグネットクラッチとは、コンプレッサーを動かす役割を持ち、エンジン動力をコンプレッサーに伝える部分です。
機能しないとコンプレッサーが正常に動かず、エアコンの冷却性能に影響します。
主な不良の原因としては、コイルの焼損、摩耗、または電気的な接触不良です。
コイルが焼けるとクラッチを引き付ける電磁力が弱まり、コンプレッサーがうまく連動しなくなるのです。
クラッチプレートの摩耗も同様にクラッチの正確な動作を妨げ、エアコンが冷えない原因となってしまいます。
マグネットクラッチの不良時は、なるべく早く修理工場などで診断を受けましょう。
コンプレッサーの故障
エアコンのコンプレッサーは、冷媒ガスを圧縮して循環させる心臓のような役割です。
正常に機能しないとエアコン全体の冷却効果が著しく低下します。
コンプレッサーがうまく動かない主な理由は、内部の摩耗、冷媒ガスの漏れ、電気的なトラブルなどです。
長期間使用することでコンプレッサー内の部品が摩耗し、圧縮力が弱まることがあります。
エアコンが使われる度に徐々に進行する自然な劣化で、特に古い車や高走行車ではよく見られるものです。
また、冷媒ガスが漏れるとコンプレッサーが十分な冷媒を圧縮できず、冷却能力が落ちてしまいます。
電気的なトラブルの場合は、コンプレッサーを動かすためのクラッチやリレーの故障が原因です。
冷媒ガスの補充やコンプレッサーの交換は適切な設備と知識がないと困難なので、定期的なメンテナンスと早めのトラブル対応が鍵です。
エパボレーターが凍結している
エアコンのエバポレーターは、車内の空気を冷やすために冷媒が蒸発する場所です。
エバポレーターが凍結する主な理由は、エアコンシステム内の湿度と温度のバランスが崩れることです。
通常、エアコンは冷媒を使って車内の暖かい空気を冷やし、余分な湿気を取り除きます。
しかしエアフローが不十分だと、エバポレーターの表面に冷たい空気が滞留し、周囲の湿気が露となって結露します。
結露が多量に発生するとエバポレーターの表面温度がさらに下がり、霜や氷が形成されるのです。
エアコンの冷媒量が不足している場合も、エバポレーターが凍結する原因です。
冷媒が少ないとシステム内での冷媒の圧力が低下し、エバポレーターの温度が適切に制御されなくなるため氷が形成されやすくなります。
エバポレーターが凍結すると運転効率が大きく落ちるため、定期的に冷媒量を点検して補充を行なうのが効果的です。
フィルターが詰まっている
エアコンフィルターは、外気から車内に入る空気から、ホコリや花粉、排気ガスの粒子などを捕らえます。
フィルターが詰まると空気の流れが悪くなり、冷却効果の低下につながるのです。
フィルター詰まりの主な原因は、使用による汚れの蓄積です。
特に都市部では排気ガスや工事現場からのホコリが多く、フィルターが詰まりやすいです。
車内にペットを頻繁に乗せる場合も、ペットの毛がフィルターを詰まらせることがあります。
フィルターが詰まると、エアコンのファンが正常に働いても、冷たい空気が車内に十分に供給されません。
エアコンを最大にしてもほとんど冷えず、冷気が出てもすぐにぬるくなる状態に陥ります。
冷却効率を下げないためにも、フィルターを定期的に掃除・交換することが推奨されます。
ほとんどの車体ではエアコンフィルターは手軽に交換できる設計になっているので、手順さえ覚えれば自分でメンテナンスすることも可能です。
特定の条件下によってエアコンがぬるくなる原因
車のエアコンが特定の条件でぬるくなる現象は、主にエアコンシステム内の原因によるものが大きいです。
風がぬるくなる原因はさまざまですが、ここでは主に考えられる要因を挙げて解説していきます。
どんな条件下での使用でエアコンの風がぬるくなるのかを把握して、それぞれに最適な方法で故障だと焦らずに対処しましょう。
走らないと冷えない場合
車のエアコンが停車中に冷えず、走行時のみ冷える場合、原因はシステムの特定部品がきちんと機能していないことにあります。
主にはコンプレッサー、冷媒の流れ、そして冷却ファンの動作不良です。
エアコンのコンプレッサーは、車のエンジンが回ることで駆動され、冷媒を圧縮して冷却サイクルを始動させます。
通常、エンジンの回転数が上がるとコンプレッサーの効率も向上し、エアコンが冷えやすくなります。
しかしアイドリング状態で低回転だと冷媒が十分に圧縮されず、風がぬるくなるのです。
また、ラジエーターと同様にコンデンサーの熱を外気に放出する役割を持つ冷却ファンも、エアコンの効果に大きく影響します。
外気温が高い日には冷却ファンが機能していないと、コンデンサーが過熱して冷媒の冷却効率が下がり、冷たい空気を生み出せなくなります。
改善するには、エアコンシステムの点検が必要です。
コンプレッサーの圧力を測定し、冷媒の量が適正であるか確認すること、冷却ファンの動作テストを行なうことが基本的な対策です。
夏の昼間だけ冷えない場合
気温が高い中での長時間運転は、エアコンにとって厳しい状況です。
エアコンのコンデンサーは冷媒ガスから吸収した熱を外気に放出する部品です。
外気温が高い中での使用は大きな負担をかけ、効率よく熱を放出できなくなることがあります。
渋滞などで停止状態が続くとエアフローが減少し、コンデンサーの冷却効率が下がって冷気がぬるくなるのです。
エアコンフィルターがホコリや汚れで詰まると空気の流れが阻害されるので、フィルターの目詰まりも原因として挙げられます。
最初だけ冷えてその後冷えなくなる場合
エアコンを稼働させても最初しか冷えない場合には、システム内部の機能不全や外部環境の影響によって引き起こされることが多いです。
ひとつの可能性として、冷媒ガスの不足が挙げられます。
ガス漏れは接続部の緩みやホースの破損、老朽化したシールから起こることがあり、専門的な検査で補充や修理が必要です。
また、エアコンのコンプレッサーの故障も原因として考えられます。
特に長時間の運転や高温下ではコンプレッサーへの負担が大きくなり、システムが保護モードに入ることで冷却が停止する場合があります。
サーモスタットやプレッシャースイッチの不具合も、冷却の不安定さを引き起こす原因です。
サーモスタットが正しく温度を感知できない場合や、プレッシャースイッチが不適切な圧力を検知すると冷却効果が落ちるケースがあります。
冷えるまでに時間がかかる場合
エアコンが冷えるまでに時間がかかる場合は、システム内の部品の老朽化や不具合、メンテナンス不足などが原因と考えられます。
冷媒ガスが適量でないと圧力が不均衡となり、冷却効果が得られるまでに時間がかかって車内が冷えるまでに長い時間を要します。
コンプレッサーが摩耗や故障を起こしてうまく機能していない場合も、冷却に時間がかかる一因です。
ラジエーターを冷やして冷媒ガスの熱を外部に逃がす冷却ファンに不具合があるときも、冷えるまでの時間が長引くことがあります。
車のエアコンに異常があるときは点検に出そう
車のエアコンの効きが悪い、異音がする、冷えない、臭いがするなど異常を感じたら、すみやかに専門技術者による点検や診断を受けましょう。
エアコンのトラブルは、冷媒ガスの漏れ、コンプレッサーの故障、エアフィルターの詰まりなど、さまざまな原因によって引き起こされます。
エアコンシステムは複雑で、一見しただけでは原因を特定しにくい問題も多いため、専門知識と設備を持つ工場などでのチェックが必須です。
適切なメンテナンスと点検は、小さな問題が大きな故障につながるのを防ぎます。
点検・修理の費用
カーエアコンの修理は、冷媒ガスの補充から、コンプレッサーやエバポレーターの交換など、それぞれの作業に必要な費用もさまざまです。
故障・不具合箇所 | 修理費用相場 |
---|---|
ヒューズ | 1,000~2,000円 |
エアコンガスの不足 | 3,000~5,000円 |
エアコンフィルター | 3,000~5,000円 |
コンデンサー | 5,000~30,000円 |
サーボモーター | 5,000~30,000円 |
リレー | 10,000~20,000円 |
ブロアファンモーター | 20,000~40,000円 |
コンプレッサー | 50,000~100,000円 |
エバポレーター | 50,000~100,000円 |
冷媒ガスが不足しているときに必要なのはガスの補充作業ですが、これは比較的簡単に行なえて、費用は約5,000円から15,000円程度が相場です。
しかしガスが漏れている場合は、漏れ箇所を特定し修理する必要があり、20,000円から50,000円程度が目安です。
もっと複雑なトラブルとして、エアコンのコンプレッサーの故障があります。
コンプレッサーはエアコンシステムの心臓部であり、この部品が故障すると新品に交換しなければなりません。
交換費用は部品価格と労力を含めて50,000円から100,000円以上が目安です。
エバポレーターやコンデンサーの故障も高額な修理が必要な部品で、30,000円から70,000円程度の出費が必要です。
車のエアコン修理の費用は、故障の原因や部品の価格、作業の難易度によって大きく変わります。
異常を感じたら早めに専門の整備工場で診断を受け、必要な修理を行なうことが、結果的にコストを抑える方法と言えるでしょう。
自分で異常を解消できる?
車のエアコンに異常が現れたとき、自身で解消できるかどうかは原因によって異なります。
エアコンフィルターの詰まりや汚れ程度であれば、自分で清掃や交換ができるでしょう。
フィルターは、車のグローブボックスやダッシュボードの下に位置しています。
取り外しや清掃、交換はユーザーマニュアルに従えば自力で行なえるでしょう。
エアコンから異音がする場合、小さな異物やゴミがファンに触れていることによるものなら、清掃で問題を解消できます。
生じた問題が単純なものであれば専門的な知識がなくても対処可能ですが、複雑な故障や深刻な障害があればプロの技術者による点検と修理が必要です。
特に冷媒ガスに関しては適切な処理が必要なため、専門のサービスセンターでの対応が必要です。
深刻な症状がある場合は迅速に修理サービスを利用しましょう。
また自身で原因を特定しきれなかったときにも、ディーラーや整備工場に相談すると安心です。
車のエアコンの不調を見つけたときの注意点
車のエアコンが冷たくなったりぬるくなったりする現象は、特に暑い夏場には不快を感じる要因です。
エアコンの不調があったとき、冷媒不足やコンプレッサーの故障などは専門的な修理が必要です。
しかし、すぐに修理に出す前にいくつか確認すべきポイントがあります。
プロの整備士に点検してもらう前に、まずは以下を参考にして不調の原因を自分で特定してみましょう。
まずは初歩的なチェックポイントを確認する
エアコンの不調を感じたら、まずは初歩的なチェックポイントから確認してみると、簡単に解決できる問題を見逃さずに対処できます。
エアコンの電源が正しく入っているかどうか、フィルターが詰まっておらず清潔であるかを確認し、必要であれば交換しましょう。
内気循環と外気導入の設定確認も忘れないでください。
内気循環に設定すると車内の空気を再利用するため早く冷えますが、外気導入に設定すると外気が取り込まれて車内が冷えにくくなります。
これらの初歩的なチェックポイントを確認することで、多くの場合、簡単にエアコンの不調を解決できます。
改善しない場合はプロに相談する
初歩的な問題のチェックをして、それでも解決しない場合には専門家の助けを借りるのが最善です。
簡単なチェックで問題が解決しないなら、深刻な原因が考えられます。
冷媒の漏れやコンプレッサーの故障、電気系統の問題などが原因である場合、自力で修理するのは難しく、専門的な知識と設備が必要です。
基本的な点検を行ってもエアコンの不調が改善しない場合は、プロの整備士に相談することを強くおすすめします。
整備士は専門的な診断機器を使って正確に問題を特定し、適切な修理を行ないます。
信頼できる整備工場やメーカーのディーラーなどに持ち込んで、すみやかに修理してもらいましょう。
ガス抜けの場合は原因を特定する
車のエアコンにガス抜けが発生すると、冷却性能が低下して最終的にはまったく冷えなくなることもあります。
ガス抜け・ガス漏れの場合、ガスを補充すれば冷房性能はその時点では解決できますが、漏れの原因となっている箇所を特定しないことには、再発の恐れがあると言えるでしょう。
漏れの主な箇所は、コンプレッサー、エバポレーター、コンデンサー、配管やホースの接続部分などです。
原因としては、部品の経年劣化、取り付けの不良、外部からの物理的なダメージなどが考えられます。
エバポレーターやコンデンサーが腐食して穴が開くこともありますし、ホースや配管の接続部分が緩んでいる場合もあります。
特に古い車両ではこの部分が摩耗しやすく、ガス漏れが発生しやすいです。
漏れを特定するには、ガスリーク検知器を使用して漏れ箇所を探す方法や、蛍光染料を注入してブラックライトで確認する方法などがありますが、プロに見てもらうのが一番確実です。
ガスの補充とともに、ガス漏れの原因を特定、さらに必要に応じて修理までをプロに依頼し、根本的な解決を目指しましょう。
時間の取れない方は、以下のような出張車両整備サービスを利用するのもおすすめです。
エアコンが冷たくなったりぬるくなったりする原因を特定しよう
エアコンの不調の原因を特定するには、まずエアコンの設定やフィルターの詰まりといった、初歩的な点検から行ないましょう。
簡単に確認できるばかりでなく、多くの問題が初歩的なポイントから解決することも多いです。
基本的な点検を行なっても問題が解決しなければ、冷媒漏れやコンプレッサーの故障、電気系統の問題など、より深刻な原因を疑わなければなりません。
内部システムに関する原因は専門知識と専用工具が必要なので、無理に自分で修理しようとせず、プロの整備士に相談してください。
車のエアコントラブルを未然に防ぐには、定期点検やメンテナンスを行なうことが大切です。
カーエアコンは使用頻度が高い季節には特に負荷がかかりやすいので、こまめにフィルター掃除などを行ないましょう。
エアコンの不調は放置せず、早めに対処することで快適な車内環境を保てます。