日常使いの掃除機には、ぜひとも省エネタイプを選びたいですよね。
本記事では、消費電力に着目した掃除機選びで、ぜひ押さえたいポイントを紹介、おすすめの機種もピックアップしています。
掃除機は同じ機種でも、使い方次第で消費電力を抑えることもできますよ。分かりやすくお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
省エネ掃除機の選び方
掃除機を大まかに分けると「キャニスター型(昔ながらのコード付き掃除機)」「スティック型」「ハンディ型」「ロボット型」があり、集じん方法には「紙パック式」と「サイクロン式」があります。省エネで掃除機を選ぶときに確認したいポイントを見ていきましょう。
消費電力と吸込仕事率のバランス
掃除機は、消費電力(W)が低く、吸引仕事率(W)が高い製品がおすすめです。
消費電力も吸込仕事率も表す単位はW(ワット)で混合しやすくなっていますが、別物です。
吸引仕事率は、少し聞きなれない言葉ですが、数値が高いほど、吸引パイプを含む掃除機本体の吸引性能が高いことを表しています。
吸込仕事率は、絨毯の奥などに入り込んだチリまで吸い込むには、最低300W程度が目安とされています。
吸込仕事率目安
紙パック式 | 500~680W |
サイクロン式 | 300~400W |
スティック型 | 50~100W |
吸引仕事率が高い500~680Wの吸引力の掃除機は、集じんタイプはほぼ「紙パック式」で形状は「キャニスター型掃除機」に限定されます(標準は500W以上)。
ノズルの性能の違いにも着目して性能の高いモデルを選びましょう。
吸込仕事率は、掃除機の吸引力を表す目安で、JISに規定されているので(消費者庁HP)、国内メーカーの掃除機のほとんどに表示されています。
海外由来のサイクロン式掃除機では、吸引仕事率の記載がなく、「ダストピックアップ率」での評価が主流です。
ヘッドを装着した状態で、床にまかれたゴミのサンプルをどれくらい吸い取れるかを数値で表しています。
吸込仕事率の注意点は、実際にその掃除機を使って掃除をした場合の能力を表すものではない点です。
あくまで吸引性能を表す1つの目安で、掃除機でキレイに掃除するためには、ヘッド部分の性能など他の要素も関わってきます。また、吸込仕事率は、掃除機にゴミがたまると低下していく点も知っておいてください。
ロボット掃除機はコードレスなので、吸込仕事率が記載されていないこともあります。ロボット掃除機を吸引力で選ぶ場合には、ダストピックアップ率と「Pa(モノを浮き上がらせる力)」を確認しましょう。いずれも数値が高いほど高性能になります。
省エネランキングで注目すべき掃除機
省エネで人気の掃除機のなかから注目の製品をピックアップしました。
10分間運転した場合の電気代を記載しています。
電気代の算出方法
電気代=消費電力(W)÷1,000×1日の使用時間(時間)×1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)
・1kWhあたりの電力量料金を27円/kWhとする。
・1日の使用時間10分とする。
日立 かるパック CV-KP90K
便利な「ecoこれっきり」運転モードに切り替えできて、「中」運転での掃除に比べ、消費電力を最大約60%低減できるモデルです。
「ごみハンターヘッド」は、床質や操作力に合わせてパワーやブラシ回転数を自動コントロールしてくれます。
軽量・コンパクト構造で持ち運びもラクな、紙パック式掃除機です。
電気代目安 | 5.05円 |
消費電力 | 1,170W |
吸込仕事率 | 620W |
重量 | 2.7kg |
シャープ 遠心分離サイクロン掃除機 EC-MS330
フローリングやカーペットなどの床面を判別し、運転を自動制御、消費電力を最大約40%低減できます。
ゴミと空気を高速旋回気流で強力に遠心分離できるので、ゴミをカップの底にしっかり残して、フィルター付着を抑えます。
スリムな車体とデカ車輪で、狭い場所もスイスイ移動できます。
自動判別で、消費電力を低く抑えられるようにモード切替してくれる掃除機は、節電のお役立ちアイテムです。
電気代目安 | 3.67円 |
消費電力 | 850W |
吸込仕事率 | 300W |
重量 | 2.4kg |
コードレスと有線掃除機の消費電力比較
コードレス掃除機と有線掃除機の消費電力を比較してみましょう。
コードレス掃除機の消費電力
シャープの「EC-SR9」の場合:
充電中:約58W
充電完了後:約0.3W
サイクロン式掃除機です。大容量バッテリーで急速充電し、最長約45分の長時間運転ができます。
有線掃除機の消費電力
ツインバードの「TC-E123」の場合:
270W
サイクロン式掃除機です。ハンドルを外すとハンディタイプとしても使える便利なモデルです。
コードレス掃除機の電気代
わかりやすく電気代に換算してみましょう。
10分使用あたりの電気代に換算すると以下の通りです。
シャープの「EC-SR9」の場合:
充電中:約0.25円
充電完了後:約0.001円
シャープの「EC-SR9」の充電時間は約100分なので、充電が完了するまでに約2.6円の電気代がかかります。
有線掃除機の電気代
ツインバード「TC-E123」の場合:
1.17円
掃除機の消費電力を抑える使い方
掃除機は、使い方やメンテナンスで消費電力を抑えることもできます。
効率的な掃除のテクニック
掃除機の消費電力を抑えながら、効率的に床をキレイする方法を見ていきましょう。
ポイント
掃除機のオンオフを繰り返さないようにする。
掃除機も、ほかの電化製品と同じく、起動時に最も電力を消費します。
そのため、いったんスイッチをオンにしたら、一気に掃除機をかけていけるように工夫しましょう。
掃除機をかける前に、床置きしているモノを片付け、掃除機を一気にかけられるようにしましょう。掃除機を稼働させている時間の短縮化にもつながり、節電になります。
ただ、掃除機をかけるときは、ゆっくり動かす方がゴミを効果的に吸い取れます。吸い込み口を床に密着させて、往復5~6秒を目安に、じっくりかけていきましょう。
一度掃除機がけをした場所を再度通らなくていいように、部屋の奥から掃除機がけをスタートし、後退しながら手前に向かうと効率よくかけられます。
広いスペースでは、延長コードの利用も役立ちます。
掃除機のメンテナンスと節電効果
掃除機自体に汚れが詰まっていて、吸引力が弱まっている状態で使用すると、掃除機をかける時間が長くなってしまいます。
また、吸引力が弱まっている状態では、掃除機のモードを、消費電力の高い「強」に切り替えて使いがちになるので、結果として電気代がかさんでしまいます。
フィルターは、紙パック式、サイクロン式とも、ゴミやホコリがたまりやすいので、まめにケアしましょう。容器の7分目を目安として、紙パックを交換したり、ダストカップのゴミを捨てましょう。
水洗いできるタイプのフィルターは、洗った後、陰干しで充分に乾燥させましょう。洗剤や漂白剤は、フィルターの変形や破損の原因になったり性能を低下させてしまうこともあるので、使用しないでください。半乾きのまま使用してしまうと、フィルターの目詰まりや吸込不具合を起こしたり、異臭発生の原因にもなるため、完全に乾燥させてからセットしてください。
回転ブラシには髪の毛が絡まりやすいので、定期的にチェックして取り除きましょう。
お手入れにはは、掃除機専用のお手入れブラシを使用します。使い古しの歯ブラシなどは、フィルターを傷めてしまう原因になるので、避けましょう。
ロボット掃除機の場合は、各種センサーの送受信部もキレイに保つようにしましょう。汚れが気になるときに中性洗剤を薄めたぞうきんで拭き掃除すればだいじょうぶです。
掃除機はマメにメンテナンスすることで、節電効果を保つことができます。ただし、汚れが気になるからといって、掃除機を自己判断で分解するのはやめましょう。
掃除機使用時の電力管理
掃除機を使っている間にも、ちょっとしたコツを押さえると、上手に電力管理できます。
掃除機に搭載されているモード切替は、ぜひ利用しましょう。
カーペットなら「強」、フローリングや畳なら「弱」で充分です。
「強」と「弱」では消費電力に5倍の差があるとも言われています。
まんべんなく「強」でかけてしまうよりも、モード切替を賢くして、節電しましょう。
「エコモード(節電モード)」が搭載されているモデルなら、自動で切り替えてくれます。掃除機を持っている人の動きやゴミの量に応じて動作モードを自動調整してくれるモデルもあります。
掃除機の電気代を節約するコツ
少しでも抑えたい毎月かかる電気代、掃除機で節電できる方法を見ていきましょう。
電気代を抑える掃除機の選び方
気になる電気代を抑えてくれる掃除機は、3つのポイントに気をつけて選びましょう。
- 消費電力
- エコモード(節電モード)の搭載
- メンテナンスのしやすさ
まずは消費電力を確認しましょう。電気代に直結します。国内メーカーなら製品ごとに記載されています。吸込仕事率とのバランスも確認しましょう。
エコモード(節電モード)を搭載していると、電気の消費量を抑えながら運転したり、運転モードを自動的に切り替えて、無駄な電力を使わないで済みます。
掃除機の性能を保つには、日ごろお手入れをして、内部にホコリがいっぱいになったままにしないことが大切です。メンテナンスがしにくいと、本来の性能が発揮しにくくなってしまいますので、お手入れしやすい製品を選びましょう。
日常の掃除での節電テクニック
いつものお掃除で節電をするためには、3つのポイントに気をつけましょう。
- 掃除機のオンオフを繰り返さないようにする。
- 掃除機の使用時間を少なくする。
- 使用する時間帯をずらす。
具体的なお掃除テクニックはこちらです。
床を整頓
床にどかさなければならないモノがたくさん置かれている状態で掃除機をかけると、モノをどかす度に掃除機のスイッチを切ったり入れたりすることになるため、電気代が余計に嵩んでしまいます。
掃除機をかける前に、床置きしているモノを片付け、掃除機を一気にかけられるようにしましょう。掃除機を稼働させている時間の短縮化にもつながり、節電になります。
ほかのアイテムと併用
電気を使わなくていい掃除アイテムで大まかなチリやホコリを取り除いておいてから、掃除機をかけるようにしましょう。
フロアワイパーやコロコロシートが手軽です。また、小さなほうきとチリトリのセットを備えておくと便利です。
ピークシフト
電気料金は、電力会社によって、高い時間帯と安い時間帯が設定されています。
電気料金を低く抑えるには、ピーク時間帯を避けて電化製品を使うのが有効です。ロボット掃除機など静音設計の掃除機なら夜間稼働することも検討できます。
長期的な電力消費とコスト削減
長期の目線で電気代を安く抑えるには、「電気プランの見直し」と「省エネ性能の高い家電選び」がポイントです。
各電力会社では、電気を使う時間帯によって料金が変わるプランを用意していることが多く、一般的には深夜帯の料金が低く設定されています。
利用中の料金プランを再確認してみましょう。ライフスタイルに合わせてプランを選び直すと、無駄な電気代をコストカットできます。比較サイトなどが役立ちます。
おすすめ比較サイト:
電力会社の切り替えは、新しく利用する電力会社との契約手続きをすればよく、複雑ではありません。
また、ふだん使用している家電は数々ありますが、新規購入や買い替えの際には、省エネ性能の高い製品を選び、エコモード(節電モード)で使用するようにしましょう。冷蔵庫、エアコン、照明器具、掃除機などによる電気代をチリツモで低く抑えられます。
掃除機選び方についてアドバイス
買ってから後悔しないように、掃除機を選ぶ際に避けておきたいポイントを押さえましょう。人気ブランドごとの消費電力を一覧にしています。
掃除機選びで避けるべきポイント
不便に感じやすくて避けた方が良い掃除機の特徴をぜひ知っておきましょう。ポイントは3つです。
ヘッドのブラシ形状
ヘッドのブラシは、パワーブラシや自走式パワーブラシが扱いやすくおすすめです。
安く手に入る掃除機の場合、ヘッドの部分の性能が良くない場合があります。
単なるブラシやターボブラシの場合は、カーペットや絨毯に入り込んだゴミがなかなか吸えません。力を込めたり時間がかかったりと疲れてしまいますので、避けた方が無難です。
保証やアフターサービス
日常的に長く使用する掃除機は、保証やアフターサービスの内容も重要です。日本向けにカスタマーサービスを展開していない無名メーカーには注意が必要です。その点、有名メーカーや国内メーカーは安心できます。家電の寿命は、一般的には6年〜8年ほどと言われることが多く、購入から時間が経ちすぎた製品の場合には、メーカー側でも交換部品の用意がなくなったりしているケースも多いことも知っておきましょう。
ユーザー評価
レビューのコメントは参考としてぜひ目を通しましょう。明らかに低評価ばかりが目立つ場合は、購入を避けた方が無難です。多くの人が不満に感じている点は、自分にとっても同様に感じられることが多いものです。家電量販店に行ける場合は、店頭で使用感を試してみたり、気になるポイントをスタッフに訊ねてみるのもひとつの手です。
ダイソンなど人気ブランドの消費電力比較
人気ブランドの消費電力を比較していきましょう。
消費電力は、メーカーや製品によっても異なりますが、紙パック式掃除機が約1100W、サイクロン式掃除機が約800Wが目安です。
ダイソン(Dyson)
ダイソン(Dyson)は、価格は高価格帯ですが、耐久性と機能面に定評があります。主流となっているのが「V」シリーズです。海外メーカーで、消費電力を公表していません。サイクロン式なので、目安が800Wです。
シャーク(Shark)
シャーク(Shark)は、本国アメリカでシェア率No.1を誇ります。人気は「EVOPOWER SYSTEM」シリーズで、吸引力が高く稼働時間が長いのが人気のポイントです。ダイソンよりも手ごろな価格帯です。消費電力を公表していませんが、サイクロン式なので、目安が800Wです。
国内の人気ブランド製品の消費電力を比較してみてみましょう。
集じん方式 | 消費電力 | 吸込仕事率 | |
日立 かるパック 「CV-KP90K」 | 紙パック式 | 1170W | 620W |
シャープ 遠心分離サイクロン掃除機 「EC-MS330」 | サイクロン式 | 850W | 300W |
パナソニック 紙パック式掃除機 「MC-JP860K」 | 紙パック式 | 850W | 300W |
三菱電機 Be-K 「TC-FJ2C-C」 | 紙パック式 | 1000W | 500W |
日立 かるパック CV-KP90K
日立の「かるパック」は、高性能ファンモーター搭載で、ゴミがたまっても吸引力が長持ちします。省エネ機能に優れ、パワーやブラシ回転力を自動コントロールする「ecoこれっきり」運転モードも搭載しています。
シャープ 遠心分離サイクロン掃除機 EC-MS330
シャープのサイクロン掃除機は、自動エコモードを搭載しています。自走パワーアシスト付きなので軽い力でお掃除でき、髪の毛などがからみにくいブラシも特徴。ダストカップは水洗いできます。
パナソニック 紙パック式掃除機 MC-JP860K
パナソニックの紙パック式掃除機は、高性能なモーターを搭載した高い吸引力が魅力。軽くて持ち運びしやすいので、高い場所もラクラクお掃除できます。LEDナビライトで照らすのでゴミを見逃しにくくなっています。
三菱電機 Be-K TC-FJ2C-C
三菱電機の「Be-K」シリーズは、独自のタービンブラシで拭いたかのように床面を仕上げます。リビングに馴染みやすいナチュラルなデザイン。軽量でもハイパワーな紙パック式です。
まとめ
消費電力を抑える掃除機は、消費電力が低く、吸引仕事率が高い製品がひとつの目安です。
一般的に、消費電力はサイクロン式の方が低く済みますが、吸込仕事率は紙パック式の方が高くなります。
掃除しやすさやゴミの吸い込みには、掃除機の仕様全体が影響してくるので、ブラシ形状やノズルにもこだわって選ぶと満足度が上がります。
また、同じ掃除機でも使い方やお手入れによって発揮できる能力が変わってきます。
- オンオフを繰り返さないで一気にかける。
- モード切替を利用する。「強」カーペット「約」フローリング・畳
- フィルターは7分目を目安に交換や清掃する。
- 回転ブラシやセンサー送受信部もキレイに保つ。
- コロコロシートなどほかの掃除アイテムと併用する。
電気プラン見直しも視野に入れつつ、電気代を押さえて快適なお部屋に保ちましょう。