空気清浄機は、生活環境を清潔に保つために役立つ家電ですが、正しくメンテナンスされていないと性能が低下して、清浄効果が薄れてしまいます。
本記事では、空気清浄機の正しい掃除方法やメンテナンス方法について詳しく解説。適切な掃除の頻度や、クエン酸、重曹などの掃除用品を使った方法についてもご紹介します。空気清浄機を使い始めたばかりで、掃除方法がいまいち分からない人は、参考にしてみてください。
空気清浄機の掃除の頻度
空気清浄機を効果的に稼働させるには、適切な頻度で定期的な掃除やメンテナンスを行なうことが不可欠です。本体のフィルターや内部だけでなく、吹き出し口や本体表面などの清掃を定期的に行なう必要があります。
掃除が必要なのは分かってるんだけど、やっぱり面倒…。どのくらいの頻度で掃除すれば問題なさそうかな?
いったいどの程度のスパンで掃除を行なうべきなのか、まずは掃除頻度のポイントから詳しく説明していきましょう。
フィルターの掃除
空気清浄機のフィルターの掃除と交換は、空気清浄機の正常な動作と、清潔な室内環境を維持するために極めて重要です。使用頻度や周囲の環境によって最適な頻度は異なりますが、一般的には2週間に1回の掃除が推奨されます。
汚れたフィルターをそのまま使用すると、空気清浄機の性能が低下し、室内の空気を効果的に浄化できません。ニオイや有害な微粒子が拡散し、快適な生活環境を損なう原因となります。また、フィルターのケアが不十分だと余分な電力を消費することもあり、エネルギーの無駄遣いにつながります。
最悪の場合、フィルターの目詰まりによる故障の可能性も考えられます。最低でも月に1回はフィルターの掃除を行ないましょう。掃除頻度は製品によっても異なるので、取扱説明書などから確認しておくことが大切です。フィルターの交換時期もメーカーの表示や取扱説明書で確認できますので、定期的に点検しましょう。
加湿機能付の場合
加湿機能付きの場合には、加湿フィルターの掃除も必須です。加湿フィルターのお手入れの目安は1ヵ月に1回程度ですが、環境や使用状況によって頻度を調整しましょう。加湿フィルターのお手入れは、タンクを取り外し、トレイごと引き出し、水で洗い流してフィルターを洗浄します。
また、水タンクは水垢やカビなどが特に発生しやすい場所なので、給水のタイミングでこまめに様子を見て、汚れていれば洗い流すのがベストです。そしてタンク内の水は、1日に1回は新鮮な水に取り替えるよう心がけましょう。これにより、空気中に放出される水蒸気が清潔で、快適な室内環境を維持できます。
空気清浄機を掃除しないとどうなる?
空気清浄機を定期的に掃除しないことが、我々の健康と生活環境に与える影響は決して軽視できません。空気清浄機は、空気中の浮遊粒子や有害物質を除去し、清潔な空気を提供する役割を果たしていますが、空気清浄機を定期的に掃除しないと、その効果が低下し、さまざまなデメリットが生じる可能性があります。
かえって空気中に有害な物質が増加して、健康上の問題やリスクをもたらす可能性があるのです。続いては、空気清浄機のお手入れを放置することで考えられる影響についてご紹介します。
カビやウイルスを放出してしまう
空気清浄機は、空気中のほこりや花粉、ペットの毛などの微粒子を吸い込んでフィルターに捕らえますが、そのフィルターが汚れるとカビやウイルスの温床になります。空気清浄機を掃除しないことで、空気清浄機の吹き出し口からカビやウイルスを放出して拡散されるのです。
空気をきれいにするどころか、アレルギーや感染症の原因になって健康に害を及ぼす原因となってしまいます。特にアレルギー体質の人は、体調面などへの影響が顕著に生じやすいので、こまめなメンテナンスを忘れないように注意しましょう。
電気代が高くなる
ほこりや花粉、ウイルスなどの微粒子を捕らえて空気をきれいにする部分であるフィルターが汚れると、清浄効果が著しく低下します。
汚れたフィルターは空気の流れを妨げるため、空気清浄機がより強いパワーで動かさなければならず、電力消費量が増えて電気代が高くなるというデメリットにもつながります。空気の質が悪くなるだけでなく、経済的にも損をしてしまうので、やはり定期的なお手入れは必須です。
吸い込みが悪くなり機能が低下する
有害物質などの微粒子を捕らえるフィルター部分の掃除がおろそかになってしまうと、空気清浄機の吸引率が下がって機能が低下してしまいます。吸引率が下がるということは、室内の空気を吸い込む力が弱くなるということです。
結果、空気中の微粒子を十分に捕らえられなくなり、室内の空気の質が悪化します。フィルター汚れを放置するとカビや細菌が繁殖するリスクを高めるため、有害物質が空気に混じってしまう恐れもあります。
空気清浄機の掃除方法
空気清浄機は、定期的なメンテナンスや適切な掃除によって、清浄効果を最大限に発揮します。清浄機の効率的な動作と寿命を延ばすためには、正しい掃除方法を実践することが大切です。
ここからは、空気清浄機の具体的なメンテナンス方法について詳しく説明していきます。適切な頻度と方法で本体を掃除して、いつでも気持ちよく室内の空気品質を保てるようにしましょう。
ここでは一般的な空気清浄機の部分別のお手入れ方法を解説しますが、メーカーによって細かな掃除方法や注意点は異なるため、必ずお使いの取扱説明書もチェックしながら、お手入れをおこないましょう。
集じんフィルター
まずは、空気清浄機が室内の空気をきれいにするための、もっとも重要な部分である集じんフィルターです。集じんフィルターは、空気中のさまざまな汚れやほこりを集める要ともいえる役割を果たしており、空気清浄機の能力や稼働に大きく関係する部分です。
集じんフィルターのお手入れ方法はメーカーや機種によって多少異なりますが、一般的な手順は以下のとおりです。
- 空気清浄機の電源を切り、本体から集じんフィルターを取り外す
- フィルター表面に付着したほこりやごみを、掃除機やブラシで除去する
- 水で薄めた中性洗剤などに約30分間つけ置きする
- 流水ですすぎ、直射日光を避けてよく乾燥させる
- 乾いたフィルターを本体に戻して電源を入れる
水洗いが推奨されていないタイプのフィルターの場合は、乾いた布や固く絞った布などで汚れを拭き取ってください。掃除頻度は使用頻度や環境によって異なりますが、目安としては1か月に1回程度行なうことが推奨されています。
オキシクリーンなど、酵素系漂白剤に浸け置きするのも良いでしょう。さらに消臭効果や除菌効果が見込めます。
脱臭フィルター
脱臭フィルターは、空気中のにおいや有害物質を吸着する役割を果たしています。しかし長期間使用すると、フィルターが汚れて効果が低下したり、悪臭を発したりする可能性がありますので、定期的に脱臭フィルターも掃除しましょう。
- 本体の電源を切って脱臭フィルターを取り外す
- 表面に付着したほこりやごみを、掃除機やブラシでやさしく除去する
- 水洗いOKのものは、軽く水洗いして汚れを落とす
- フィルターを陰干しでしっかり乾燥させる
乾燥させる際に、直射日光の下で乾燥させると、脱臭フィルターが変形したり劣化したりして、使用できなくなる恐れがあるので注意してください。もし脱臭フィルターの汚れや目詰まりなどがひどい場合には、純正品への交換をおすすめします。
加湿フィルター・トレイ
加湿機能付きの製品の場合には、加湿フィルターやトレイの掃除が必要です。水を吸って空気に蒸発させる加湿フィルターは、その過程でカビやほこりが付着することがあります。
水を貯めておくトレイ部分には水垢やカルキが溜まりやすいので、以下の手順で加湿フィルターとトレイもこまめにメンテナンスしましょう。
【加湿フィルターの掃除手順】
- 空気清浄機の電源を切り、加湿フィルターを取り外す
- フィルターを水道水で洗い、汚れがひどい場合には中性洗剤を薄めた水に浸けておく
- よくすすいでから水気を切り、乾いた布で水分を拭き取って陰干しで乾燥させる
【タンク・トレイの掃除手順】
- トレイを取り外して水洗いする
- 水垢やカルキが付着している場合は、酢やクエン酸を使って除去する
- トレイをよくすすいで水気を切り、乾いた布で拭き取る
注意点として、フィルターやタンク、トレイの掃除の際には、塩素系漂白剤やアルカリ性洗剤などは使わないでください。表面が変質したり変形したりする可能性があります。
除菌や消臭に力を入れたい場合には、集じんフィルター同様、オキシクリーンなどの酵素系漂白剤を使用しましょう。
空気清浄機本体
空気清浄機の掃除は、内部だけでなく本体表面の掃除も必要です。本体の外側はほこりや汚れが付着しやすく、気づくとほこりが積もっていることもあります。
本体の表面にも気を配って、柔らかい布やよく水気を絞った布巾などで定期的に拭き掃除をしましょう。汚れが気になる場合には、中性洗剤を溶かした水を含ませて、固く絞った布で拭き取ります。タワシなどの硬い素材で拭き取ると表面が傷ついてしまうので使用しないでください。
またスイッチ部分は頻繁に触るため、不衛生になりがちです。お掃除頻度に関わらず、気付いたときに、アルコールティッシュなどでサッと拭いておくだけで、きれいな状態を維持できるでしょう。
クエン酸を使った掃除方法
クエン酸を使った掃除は、汚れを落とすだけでなく、消臭や除菌効果も期待できるのでおすすめです。
- 電源を切り、フィルターやタンクなどを取り外す
- 水洗いが可能なフィルターは、水で軽く洗って、水1Lに対してクエン酸大さじ1杯を溶いたクエン酸水に10分ほど浸ける
- 水洗い不可のものは、クエン酸水に浸けず掃除機やブラシでほこりを除去する
- 本体やカバーの拭き掃除は、柔らかい布やキッチンペーパーなどにクエン酸水を含ませて、やさしく拭き取る
- 各部品を直射日光に当てないよう日陰でしっかり乾かす
- 本体の電源を入れ、動作確認をして完了
ただし、クエン酸をお手入れに使用できるかは各メーカーや機種によって異なるため、必ず取扱説明書を確認してから実践するようにしてください。
重曹を使った掃除方法
天然のアルカリ性物質である重曹は、自然にやさしく油汚れや臭いを分解してくれます。抗菌作用もあり、菌の繁殖を防ぐ効果も期待できます。スーパーやドラッグストアで安く手に入り、入手のしやすさやコストパフォーマンスの高さも魅力です。
【重曹を使ったフィルター掃除】
- 電源を切り、フィルターやタンクなどを取り外す
- フィルターのほこりやごみをブラシや掃除機で除去する
- フィルターに水をかけて濡らし、約大さじ1杯分程度の重曹をまんべんなく振りかける
- 重曹がなじむように手で軽くもみ込み、15分ほど放置する
- 水で洗い流して、よく水気を切ってから直射日光を避けて陰干しする
- フィルターと本体が完全に乾いたら、組み立てて完了
【重曹を使った本体の掃除】
- 水1Lに重曹大さじ1杯を溶かした重曹水を用意する
- 重曹水をやわらかい布巾などに含ませてよく絞り、本体表面を拭く
- 吸気口や排気口は汚れが溜まりやすいので、念入りに拭いておく
重曹は無臭なので、香料などの添加物が苦手な方にもおすすめです。重曹でフィルター掃除や本体の拭き掃除に使う場合には、必ず取扱説明書を確認してから行なってください。
空気清浄機を衛生的に使うコツ
空気清浄機を衛生的に使うためには、いくつかの大切なコツがあります。これらのコツを実践することで、清潔な室内環境を保ち、空気清浄機の性能を最大限に活かせます。以下では、空気清浄機を衛生的に使うためのアドバイスを詳しくご紹介していきましょう。
使い捨てプレフィルターを付ける
空気清浄機を衛生的に使うには、使い捨てのプレフィルターを付ける方法がおすすめです。プレフィルターとは、本体のフィルターの前に取り付ける簡易的なフィルターのことで、大きなほこりや毛などの目に見える大きなごみなどもキャッチしてくれます。
プレフィルターを付けることで、本体のフィルターの汚れを軽減して寿命を延ばせます。また、汚れたらすぐに捨てて新しいものに交換できるため、手間がなく簡単で安価な方法です。
加湿タンクは使用の度に洗う
加湿機能付きのモデルの場合、加湿タンクに水が残っていると細菌が繁殖しやすくなってしまいます。加湿機能を使っている場合には、給水や交換の都度、加湿タンクを洗うのが清潔に使用するコツのひとつです。
こまめにタンクを洗うことによって菌の繁殖を防ぎ、清潔な空気を保てます。カビやカルキなどの汚れがひどい場合には、中性洗剤を薄めた水で洗うのもおすすめです。洗剤を使ったお手入れのあとは、水でよくすすいで成分を洗い流してください。
使用しないときはタンクの水を捨てる
加湿機能付きの空気清浄機の場合、加湿機能を使わない場合にはタンク内の水を必ず捨てておき、中を空にしておくことも大切です。タンクの水を入れたままで放置していると、水分中の細菌やカビが繁殖して、タンク内部が菌の温床となってしまいます。
梅雨の時期など、室内の湿度が十分保たれていて加湿機能を使わないときは、タンクの水を捨てて乾かしておきましょう。
中の水を捨てたらしばらく日陰などで乾かし、タンク内をきちんと乾燥させることもポイントです。そして再度加湿機能を使う場合には、給水前にタンクをしっかりすすぎ洗いしてから水を補給しましょう。
部屋を清潔に保つ
空気清浄機は、室内のほこりや花粉、ウイルスなどの有害物質を除去して、空気をきれいにするための家電です。しかし、ただ空気清浄機を稼働させているだけでは、部屋の衛生状態が良くなるとは限りません。空気清浄機の効果を最大限に発揮するためには、室内環境を清潔に保つことがポイントです。
清浄効果を高めるには、定期的な部屋の掃除が欠かせません。掃除機がけや、床の掃き掃除や拭き掃除、家具、カーテンなどのほこりを取り除くなど、フィルターへの負担を減らすことで性能を維持できます。また、1日に数回は窓やドアを開けて外気と入れ替え、新鮮な空気を取り入れることも必要です。
空気清浄機を定期的に掃除して衛生的に使おう
本記事では、空気清浄機の正しいお手入れの方法や衛生的な使い方のコツについて、詳しくご紹介してきました。
- 集じんフィルターは2週間に1回、最低でも月1回は掃除する
- 加湿フィルターは1ヶ月に1回の掃除が推奨される
- 掃除が行き届かないと、菌の発生につながり空気清浄効果が下がる
- フィルターの目詰まりによる機能低下で、電気代がかさむデメリットもある
- 汚れ具合がひどい場合には、クエン酸や重曹などを使うのもおすすめ
- フィルター掃除の手間を軽減する、使い捨てのプレフィルターも便利
空気清浄機は、室内の生活環境を清潔に保ってくれる家電ですが、清浄効果を維持して衛生的に使い続けるためには、定期的な掃除と適切なメンテナンスが欠かせません。
加湿機能月の空気清浄機の場合には、加湿フィルターや水タンクなどの掃除も必須です。清浄効果を最大限に発揮するため、お手入れと掃除を定期的に行なって、室内の空気をいつでも清潔に保てるようにしましょう。
◆そのほかの家電の掃除方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。