引っ越しをする際、多くの人が引っ越し業者を利用しますよね。引っ越しには「閑散期」と「繁忙期」があることを知っていますか?同じ量の荷物を運んでもらう依頼をしても、閑散期と繁忙期では値段が1.5倍から2倍異なることも。
この記事では閑散期と繁忙期に引っ越しをするメリットやデメリット、引っ越しするおすすめの時期を紹介します。引っ越しを検討している方は、新生活の初期費用をおさえるためにも、ぜひ参考にしてくださいね。
引っ越しの閑散期と繁忙期とは
引っ越しには、依頼の件数が落ち着いている「閑散期」と依頼が集中する「繁忙期」があります。一般的に、入学や人事異動など新生活を始める人が多い時期は引っ越しの需要が高まるため繁忙期にあたり、それ以外の時期は人があまり動かないため閑散期となります。
繁忙期では依頼の件数が多いので、料金は上がる傾向にあります。引っ越し料金が高くても新生活を始める時期が決まっている人は契約せざるを得ないため、件数は多くなり、価格も上がります。
反対に閑散期では依頼の件数が少ないため、少しでもお客さんを集めようと引っ越し料金は下がります。閑散期の大型連休や土日祝日には引っ越し件数が多くなるため、値段が上がることも。まとまった休みに引っ越しを済ませたい人が多いからと考えられます。
この閑散期と繁忙期は物件の空き状況や価格にも影響がある要素なので、引っ越し時期と自身の要件を照らし合わせて検討する必要があるでしょう。
引っ越しの時期別の特徴
それぞれの引っ越し時期における特徴を考えていきましょう。繁忙期では閑散期の1.5倍から2倍ほど料金が高くなることがあります。引っ越しする時期の選択肢が自由である場合には、閑散期を選ぶことで引っ越し料金を安くおさえることができますよ。
今のアパートから引っ越しをするから、契約の更新月も考えないといけないなあ…
賃貸物件の場合は、契約更新の時期以外で引っ越しをすると違約金がかかることもあるので更新月は把握しておきましょう。引っ越し料金や更新料金など、入居・退去時の費用をトータルで考える必要があります。
1月~4月前半|たくさんの人が引っ越す繁忙期
1月~4月は、入学や人事異動に伴い、多くの人が一斉に部屋探しを始めて引っ越しを決めます。引っ越しの需要が高い繁忙期となり、業者としては何もしなくても予約が入るため、引っ越し料金は年間で最も高くなります。
特に3月〜4月前半は予約が集中。その他の期間でも土日は人気があり、いざ予約しようと思ったら希望している日にちが空いていないということもあるかもしれません。新年度に合わせた引っ越しの場合は、自分で時期を変えることは難しいですよね。
同じ時期に部屋探しや引っ越しを検討しているライバルが多いため、この時期の引っ越しを考えている人は、物件選びから引っ越し日程の決定まで、スピーディーにおこなうことをおすすめします。
4月後半~8月|比較的落ち着いた閑散期
4月前半までの繁忙期が終わり、引っ越しをする人の数は少なくなる閑散期です。業者は少しでも予約が入るよう、引っ越し料金を下げる傾向にあります。
日本には四季があるので、天候も料金に反映されます。例えば6月は梅雨の時期で雨が多いので、大事な荷物を濡らしたくないと考える人が多いことから人気がない傾向があります。また、7月〜8月は猛暑日や台風の恐れがあり、引っ越しするには大変な日であることから避ける人も。
このように、この時期は天候的な理由からも需要が下がるため、引っ越し料金も下がります。物件数は繁忙期に比べると多くはないですが、家賃は繁忙期より下がっていることが多いです。
初期費用のことを考えても、気に入った物件があれば引っ越し料金をおさえて引っ越しすることができるので、おすすめの時期とも言えるでしょう。
9月~10月|カップル・ファミリー向けの物件が増える時期
9月~10月は、1月〜4月前半の繁忙期ほどではありませんが、物件が増えて引っ越しする人が多くなります。なぜなら、9月〜10月は大学の後期日程が始まったり、会社の人事異動がある時期。結婚式に適したシーズンでもあり、単身用の物件だけでなく、同棲しているカップルやファミリー向けの空き物件が増えるのです。
また10月は、新築物件が建ち始める時期でもあり、新しい設備が備わった新築にこだわりを持つ人には、引っ越しのベストタイミングになります。新築物件は人気なので、すぐに埋まってしまいます。
需要が高まる分、引っ越し料金は上がりますが、カップル・ファミリー向けの物件を探している人や新築物件を狙っている人にとっては、ぴったりの物件に出会えるかもしれない、おすすめの引っ越し時期です。
11月~12月|時間をかけて考えやすい時期
11月~12月は、1月からの繁忙期を前に、引っ越しの数は比較的落ち着いている時期。多くの人が4月からの新生活に向けて、今住んでいる物件を退去します。契約上は退去する1ヶ月から2ヶ月前に告知をすることになっているので、空き物件の数は1月からがピークに。
ただ、人気のエリアや物件は出たらすぐに埋まってしまうので、この時期に住みたいエリアや駅からの距離など物件の条件を整理して、目星をつけておくことをおすすめします。
もしかしたら少し早めに空きの出る人気物件が見つかることも。閑散期だからこそ、時間をかけて考えることができますね。引っ越しの閑散期でもあるので、もし良い物件が見つかればお得に引っ越しができるでしょう。
閑散期に引っ越しをするメリット
ここまで引っ越しの繁忙期と閑散期について解説してきました。物件探しと引っ越しを合わせて考えると繁忙期にも閑散期にもそれぞれメリット・デメリットがあります。新生活をはじめるにあたって住環境はとても大事ですよね。それと同じくらい初期費用を下げることも重要です。
それぞれの良さをしっかり理解して引っ越しの時期を検討しましょう。
引っ越し料金をおさえられる
閑散期に引っ越しをする一番のメリットは価格です。引っ越し料金には定価がありません。閑散期では引っ越しの依頼件数が少なくなるため、業者は引っ越し料金を低く設定しています。
「お客さんが入らず赤字になるくらいであれば、料金を下げてでも依頼が欲しい」と考えているため、業者の提示する料金が予算と合わない場合は、値段交渉に応じてくれる場合もあります。引っ越し料金の相場を調べて、それを基に値段交渉すると良いでしょう。
◆引っ越し費用の相場については、以下の記事も参考にしてください。
またひと月の中で引っ越しをする時期にもポイントがあります。多くの人は、今住んでいる物件の家賃を月単位で支払っているので、なるべく月末まで住んでから引っ越しをしたいと考えています。
そのため引っ越し料金も月末にかけて高くなる傾向にあると言えるでしょう。家賃の日割り計算ができれば、月初に引っ越しをすると、引っ越し料金がおさえられるのでおすすめです。
家賃や礼金の交渉をしやすい
引っ越しの閑散期は不動産業界の閑散期でもあります。物件が多く出回らないこの時期は、引っ越し業者と同様に大家さんも「空き物件はなるべく避けたい」と考えています。
空き物件になるよりは値下げをしてでも早く入居をしてもらいたいと考えるため、家賃や礼金を下げてもらう交渉がしやすい時期です。礼金は敷金とは異なり、大家さんに対して支払うお礼で退去時の返金はないので安いに越したことはありません。
家賃は、一度契約すると期間内には変更できないため、契約前にしっかりと検討する必要があります。物件の築年数や周辺の物件の家賃と比較することに加えて、閑散期に入居することも踏まえて家賃や礼金の交渉をしてみると良いでしょう。
家探しや引っ越しの時期を閑散期にすることで、長期的に見てお得に生活できますよ。
不動産会社と時間をかけて相談しやすい
多くの人が、2年間など、ある程度の期間住む予定の物件を探すことが多いでしょう。契約内容によっては、契約期間より前に解約をすると違約金が発生する場合もあります。同じ物件を検討している人がいるからと慌てて契約して、いざ生活してみたら思っていた部屋と違ったということも避けたいですよね。
閑散期は物件を探す人が減るので、慌てずに不動産会社と相談しながら決めることができます。生活の拠点となる場所なので、契約する前にしっかり内見したり、一日の中のいろいろな時間に行ってみて周辺の環境を観察したりすることが大事です。
もちろん家賃などの金額面でも不動産会社と時間をかけて相談できるのもメリットと言えます。
閑散期に引っ越しをするデメリット
引っ越し業者や不動産会社と時間をかけて値段を交渉しながら、家探しや引っ越しができる閑散期は、メリットばかりのように思えます。しかし閑散期に引っ越しをすることのデメリットもあります。
繁忙期をずらして引っ越しをしようとしたら失敗した、と後悔しないようデメリットも理解した上で引っ越しする時期を検討しましょう。ここからは、閑散期に考えられるいくつかのデメリットを紹介します。
物件数が少なく比較検討できない
閑散期には入居する人に加えて退去する人も少なくなるためその分、出回る物件も少なくなります。人気の物件は退去する人が出たらすぐに埋まってしまうので閑散期まで残っていないことも。
物件数が少ないと比較して検討することができない可能性があります。広さや築年数などの条件が近い物件は、比較をして家賃の交渉に使うこともできるので、物件の数は多い方が嬉しいですよね。
このように物件数が少ない点は、デメリットになり得ます。ただ気に入った物件があれば、繁忙期とは異なり、不動産会社に物件をキープしてもらえることもあるので、物件のチェックをこまめにしておくことをおすすめします。
家電などの新生活応援フェアを活用しにくい
新生活をスタートする人が多い繁忙期は、家電量販店などで新生活の準備に必要なものがお得に販売される新生活応援フェアがあります。例えば家電なら、新生活で必須になる家電をセットで安く販売しており、中には相場よりも1万円もお安く手に入れられる場合も。特に3月は総決算の時期と重なるため、通常よりかなりお値打ちに購入できるかもしれません。
新生活を始めるにあたって、家電や家具を買い替えたり、買い足したりする人も多いでしょう。このようなキャンペーンは閑散期では開催されていないことが多いので残念な点です。閑散期に購入する際は、必要なものをまとめて購入することで価格交渉ができる可能性はありますが、セールの恩恵を受けにくい時期であると言えるでしょう。
繁忙期に引っ越しをするメリット
ここまで閑散期に引っ越しをするメリットとデメリットを紹介してきました。
値段を下げたい場合は、閑散期の引っ越しするのがいいのね!
ただ、入学や人事異動でどうしても繁忙期に引っ越しをすることになる人もいるでしょう。閑散期の引っ越しが安いからといって物件だけを先に契約してしまうと入居までの家賃がかかってしまいますよね。
繁忙期の引っ越しにもメリットはあります。この時期に引っ越す人はこのメリットを活かして引っ越しをすることをおすすめします。
物件数が多い
繁忙期に引っ越しをする一番のメリットが物件の多さ。この時期は入学や人事異動に伴って退去する人が多く、出回る物件数は多くなります。その分、選択肢が増えるので気に入った物件に出会える可能性が上がりますね。
特に、人気の物件では退去と同時に入居者が決まることがほとんどなので繁忙期にはそのような物件を見つけやすいというメリットがあります。閑散期には出回らないような物件が見つかることも。
物件の動きが激しいのでネット上に公開されず店頭で案内してもらえる非公開物件もあります。ぜひ店頭へ足を運んで相談しに行くことをおすすめします。物件数が多ければ、築年数や駅からの近さなど自分の要望をより厳しめに絞り込んでも物件を選択する余地があるでしょう。同じような物件をいくつか比較検討することもできます。
自分にぴったりの物件を選ぶために、物件数が多いことは嬉しいですよね。
新築物件が増える
新生活がスタートする繁忙期に合わせて新築物件が増えることもメリットのひとつ。新築物件では設備が新しく、前の入居者がいない綺麗な部屋に住むことができるので人気です。価格は他の物件に比べて高くなりますが会社から住宅補助がある人など予算に余裕のある人にはおすすめ。
ただし新築物件の場合、部屋が完成する前に募集することが多いため契約前に外観や内装を見学できないことがあります。内見をせずイラストイメージのみを見て契約をしてしまい、実際に住んでみたら思っていたのと違うとなれば残念ですよね。中には、工事中の内装を見せてもらえる物件もあるので不動産会社に相談してみましょう。
このように新築にこだわりのある人は、繁忙期を狙って新築物件を探すことをおすすめします。
繁忙期に引っ越しをするデメリット
繁忙期には物件が多く選択肢が広いことは良いのですが、同じ時期に家探しや引っ越しをする人が多いことでデメリットもあります。
入学や人事異動で時期を選べず繁忙期に引っ越しをする人も、繁忙期に引っ越しをしたい人も、事前にデメリットを理解しておくことは大事です。いくつか紹介していきます。
引っ越し料金が高い
これまで記事で説明してきたように、繁忙期には引っ越しの需要が高まるため引っ越し料金は高く設定されています。値段を下げなくても予約が入るので業者としては稼ぎ時なのですね。場合によっては閑散期の1.5倍から2倍になるのでこの点がデメリットになります。引っ越し料金には定価はありませんが費用の内訳としては下記です。
「引っ越し料金=基準運賃+割増料金+実費+オプション料金」
割増料金は、休日・深夜・早朝の時間外運賃などのこと。実費は人件費や梱包資材費などのことです。引っ越し料金の仕組みは複雑になっており、特に実費の部分では内訳がわかりにくいこともあります。
各社で引っ越し料金を決める条件が異なりますが、繁忙期には軒並み料金が高くなります。繁忙期に引っ越しをしなければいけない場合は時間外運賃がかからないようにするなど、工夫すると良いでしょう。
すぐに物件を決めなければならない
繁忙期には部屋を探す人が多くなるため人気の物件はすぐに埋まってしまうことがあります。そのため気に入った物件は他の人に契約される前にすぐに決断しなければなりません。閑散期であれば物件をゆっくり内見して、周辺環境をチェックしたりできますが繁忙期では内見中に他の人に取られてしまう可能性も。
繁忙期に部屋を探すことになりそうな人は、他の人が動き出す前に早めに行動することが大事です。物件の動きが激しいのでこまめに物件をチェックして、一足先に情報を入手しましょう。
人気物件はすぐに契約が入るのでネットに出る前に店頭でのみ紹介されることもあります。ネットだけではなく店頭でも相談することで人気の物件に出会えるかもしれません。良い物件が見つかったらなるべく早く契約するようにしたいですね。
値下げ交渉ができない
家賃も引っ越し料金も繁忙期には値下げ交渉ができないことが多いです。値下げをしなくてもそのままの価格で契約したい人が見込めるためですね。
特に家賃の場合、毎月定額で支払っていくものなので収入に見合わない物件は暮らしていくのが大変です。閑散期と違い、繁忙期では値下げはしてもらえないものとして家賃を考えておいたほうが良いでしょう。引っ越し料金も同じく、トラックや作業員の数は限られているため需要が高い繁忙期は定価のまま申し込むことが多いです。
もともとの設定金額が高い上に値下げ交渉ができないため、繁忙期の部屋探しや引っ越しは予算を多めに考えておくことをおすすめします。
引っ越し費用をおさえるポイント
ここまで閑散期と繁忙期それぞれに引っ越しをするメリットとデメリットを紹介してきました。どの時期に引っ越しをするとしても、値段が安いに越したことはありませんね。
引っ越し料金の面だけで考えれば閑散期を選ぶのがベストですが、事情で繁忙期に引っ越しする方もいるでしょう。ここからは引越し費用をおさえるためのポイントを紹介します。中には自分でできる工夫もあるので、ぜひ活用して引っ越し料金を下げられないか検討してみてくださいね。
引越し業者の相見積を取って比較する
引っ越しの契約をする前に必ずチェックしていただきたいのが引越し業者の相見積もりです。これまで説明してきたように、引っ越し料金には大体の相場はあっても定価はなく料金の仕組みは引越し業者によって異なります。
引っ越しはあまり経験がないから相場がわからないなあ
物件を契約して引っ越したい時期が決まったら、なるべく早く引越し業者に見積もりを取りましょう。その際は引っ越しの条件として、同じ時期、同じ荷物の量で引っ越しをした場合、いくらになるのか見積もりを取ってもらうことをおすすめします。
少なくとも数社は見積もりをしてもらうと相場がわかりますし、値段を比較することができます。もし気に入った引越し業者があって、他の業者よりも値段が高い場合は値下げ交渉をすると良いですね。ただし、繁忙期ではできない可能性もあるので注意が必要です。引っ越したい時期の一ヶ月くらい前から動き出せば、じっくり業者の検討ができますし希望の日時を選ぶことができるでしょう。
不用品はあらかじめ処分する
引っ越し料金はトラックの大きさによって異なります。運ぶ荷物が多ければ大きなトラックを使用することになりますし、必要な作業員の数も増えるので値段が上がります。業者は見積もりの際に荷物の量をチェックしてトラックの大きさを決めるため、引っ越しの見積もり前に不用品は処分しておくことをおすすめします。特に使っていない大型家電は運ぶとスペースを取ってしまうので注意しましょう。
中には引っ越しと同じタイミングで不用品を回収してくれたり買い取ってくれたりするサービスをしている業者もあるので契約前にチェックすると良いですね。
できる作業はなるべく自分でやる
引っ越し料金の中にはオプション料金があります。オプションの内容は各社によって異なりますが、例えばエアコンや洗濯機の取り付け、小物類の荷造りや荷ほどきなどがあります。難しかったり手間になる作業はついお願いしたくなりますが、オプション料金が発生してしまうので自分でできる作業はなるべく自分でやることをおすすめします。
特に、荷造りは引っ越しの日程が決まったら少しずつ始めることで余裕を持って準備ができますし、荷ほどきも必要なものから順番に整理していけば自分でもできそうです。ただし、電化製品の取り付けは無理に自分でやると故障や事故の原因になる可能性があるのでプロに任せる方が安心ですね。
オプション料金も業者ごとに設定しているため、見積もりの段階でオプション料金を含めて予算を検討しましょう。
引っ越し費用をおさえるためにおすすめの時期は6月~8月!
この記事では引っ越しの閑散期と繁忙期について説明してきました。引っ越し費用をおさえるためにおすすめなのはやはり閑散期です。中でも6月〜8月は梅雨や猛暑日、台風のシーズンでもあるので避けられがちです。天候の良い日に比べると配慮することが多い季節ですが、引っ越し業者の方は最善の注意を払って荷物を運んでくれます。安心してプロに任せましょう。
引っ越し業者のウェブサイトには引っ越しカレンダーが掲載されています。お得になる時期を参考に検討してみてくださいね。
じっくりと値段交渉をしながら納得の行く物件を選べるのも閑散期の良さ。もし自由に引っ越し時期を選ぶことができるなら、ぜひ6月〜8月に引っ越して新生活準備にかかる費用をおさえましょう。