洗濯機に排水トラブルが起きると、今日しておきたい洗濯ができずに、生活リズムが狂ってしまうので影響が大きいですよね。衛生面のほか床材や階下への影響も心配です。
本記事では、洗濯機の排水トラブルが起きた際の対処方法をケース別に紹介するので、すぐお試しいただけます。
さらに、二度と起こしたくない排水トラブルに役立つ、日頃のお手入れ方法を紹介するので、ぜひお掃除のルーティンに取り入れてください。
洗濯機で水が溜まる原因とは?
まずは、洗濯機に水が溜まったままになってしまう原因を突き止めましょう。洗濯機の買い替えが必要かどうかの目安も解説します。
排水問題とその影響:何が原因で起こるのか?
洗濯機の排水問題は、お手入れ不足による「汚れ」が主な原因ですが、「凍結」「ホースの設置状態」「洗濯機の設置状態」が原因で起こることもあります。原因箇所によって排水経路が遮断されてしまうと、洗濯槽に水が溜まったままになってしまいます。
洗濯機で水が溜まる一般的な原因
一般的な原因を紹介します。思い当たる箇所を重点的に調べましょう。
汚れ
洗濯機の水が溜まったままになってしまう主な原因のひとつが、汚れによる詰まりです。汚れには主に、「洗濯物の一部」「水垢」「糸くず」「洗剤」があります。
洗濯物の一部
ベビー用の小さな靴下などが排水ホースに紛れ込んでしまい、水をせき止めてしまうことがあります。また、誤って投入してしまったオムツを洗濯してしまうことにより、流出したポリマーが排水口をせき止めてしまうこともあります。
水垢
水垢は、排水に含まれる汚れやカビが、洗濯槽や排水ホースの内側、排水口、排水トラップに溜まっていってしまうものです。汚れが通り道をふさいでしまうと、洗濯機に水が溜まったままになってしまい、洗濯機の排水エラーとなります。
排水ホースの状態を確認するには、洗濯機と排水口から取り外して、ホース自体に直接水を流してみてください。スムーズに流れない場合には、排水ホースが詰まっている可能性があるので、ホース内部の清掃か、交換が必要です。
排水口の状態を確認するには、洗濯機の排水ホースを外して、排水口に直接水を流してみてください。スムーズに流れない場合には、排水口が詰まっている可能性があります。
糸くず
洗濯物から出る繊維が溜まってしまうと、洗濯機のエラーが出て動作が停止してしまうことがあります。特に、排水の勢いが比較的弱めのドラム式洗濯機でよく起こります。糸くずキャッチャーの状態を確認してください。
洗剤
規定量を守って注入しないと、詰まりを起こす原因になってしまいます。洗剤ケースの表示や取扱説明書を確認しましょう。
凍結
洗濯機を屋外に設置する場合に、冬場の冷え込みで凍結する場合があります。洗濯機内の水が凍ってしまうと、ホースなどが詰まりを起こして排水に影響します。
ホースの設置状況
排水ホースが折れ曲がっていたり潰れていたりすると、排水をせき止めてしまいます。また、防水パン(洗濯機の下に敷いているプラスチックの板)などでおおむね10cm以上の段差ができてしまっている場合も水はけに影響が出てしまいます。
洗濯機の設置状況
洗濯機は、水平に置かないと、エラー停止してしまいます。元は少しのズレであったとしても、洗濯機を使用し続けるうちに振動でズレが大きくなっていってしまうことがあるので、改めて、水平に設定されているか確認してください。
特定のモデルで見られる問題点
一般に、ドラム式洗濯機は、縦型洗濯機と比較して複雑な造りになっているため、故障のリスクが高い傾向にあるともいわれます。
特に糸くずフィルターのお手入れは念入りに行いましょう。
メーカーごとに、排水に関する洗濯機のエラーコードを表記しておくので、参考にしてください。
故障かそれとも一時的な問題かを判断する方法
洗濯機の寿命は、メーカーが定める標準使用期間では6~7年で、実際には10年ほどで買い換える人が多いようです。
製造年から7年以上経過した洗濯機を使用している場合には、寿命による故障の可能性が高くなります。
清掃したり設置状態を見直しても、洗濯機の使用の度にエラー停止したり、頻度が上がっていくときは、故障の可能性があります。
洗濯機にエラー表示が出ている場合には、取扱説明書やメーカーサイトで原因を確認してください。解決しない場合には、まず、メーカーのカスタマーセンターへの相談がおすすめです。
洗濯機の排水問題の直し方
排水トラブルの原因箇所を突き止めましょう。排水トラブルが起こりやすい排水口付近は定期的にメンテナンスしましょう。
排水不良の症状別対処法
排水不良が起きている原因箇所を突き止めましょう。洗濯機に出ているエラーコードを参考にしながら、状態を確認してください。
排水口の詰まり
洗濯機の排水ホースを外して、排水口に直接水を流してみてください。
スムーズに流れない場合には、排水口が詰まっている可能性があります。
詰まっている物が見えれば、取り除きましょう。ぬめりがある場合には、使用方法を確認した上でパイプクリーナーを使用しましょう。
排水ホースの詰まり
洗濯機と排水口から取り外して、ホース自体に直接水を流してみてください。
スムーズに流れない場合には、排水ホースが詰まっている可能性があるので、ホース内部の清掃か、交換が必要です。
50倍に薄めたカビ除去剤で30分ほど付け置き洗いするとキレイになります。
糸くずフィルターの詰まり
糸くずフィルターは取り外して汚れを取り除き、付け置き洗いするとよい箇所です。ドラム式洗濯機は、縦型洗濯機よりも、洗濯中に糸くずが出やすいため、糸くずフィルターや乾燥機フィルターのこまめな掃除が必要です。
DIYでできる排水口とホースのメンテナンス
排水口や排水ホースは、汚れが溜まりやすいため、年に1度は清掃するとよい箇所です。素人でもできるメンテナンス方法を詳しく紹介します。
排水口のメンテナンス
排水口には、排水トラップという仕組みが備わっていて、汚れが溜まりやすい構造のため、清掃が必要です。
- 洗濯機の電源コンセントを抜き、給水元の水栓を止める。
- 排水口のフタを外し、排水トラップのパーツを取り出して洗浄する。
- パイプクリーナーなどで排水口を洗浄する。
- 元の状態に戻す。
排水ホースのメンテナンス
排水ホースは、洗剤や汚れを含んだ水が通り抜けるため、汚れが溜まりやすく、定期的な掃除が必要です。
排水ホースを取り外せる場合は、脱水後に洗濯機から取り外し、ホース内部や排水エルボを50倍に薄めたカビ除去剤で30分ほど付け置き洗いしてください。
排水ホースが取り外せない場合は、洗濯機の洗濯槽に、ぬるま湯と重曹を入れて洗浄していきます。重曹が溶けた後に「排水コース」または「通常コース」で洗濯することで、排水ホースの内部の汚れも落ちていきます。
◆排水ホースの詳しいメンテナンス方法はこちらの記事で解説しています。排水ホースの外し方や取り付け方法の詳細もお読みいただけます。
強制排水のやり方とリセット
洗濯機を強制的に排水させることができます。排水口など原因箇所の詰まりを取り除いてから行いましょう。
方法はかんたんで、洗濯機の強制排水は、脱水運転のみを稼働させるとできます。
操作のためにボタンを押しても反応しない場合には、一度、リセットしましょう。方法は機種別に異なるため、取扱説明書を確認してください。
専門家に依頼するべき状況とその費用
家庭で掃除や洗浄をしてみても症状が直らない場合には、メーカーへ相談しましょう。
洗濯機のメーカー保証期間は、購入方法や購入時に依頼した延長保証期間などで変わってきます。1年を超えている場合には、修理費用が発生する確率が高くなります。
保証期間を超えている場合は、メーカーや家電量販店による修理は費用が高くなりがちなため、専門の修理業者への依頼も検討してみましょう。費用の目安は5千円~数万円で、症状によって異なります。
専門の修理業者へ依頼しようとする際にも、まずはメーカーのカスタマーセンターに問い合わせ、エラー状況を伝えて対処法や費用を確認してからにしましょう。
また、洗濯機本体に異常がなく、排水口の奥が詰まってしまっている場合には、高圧洗浄機などでの作業が必要となるため、専門の水道業者への相談が必要です。
費用の目安は、1万円前後~となり、出張料金や基本料金も別途かかってくる可能性があります。
専門家へ依頼する際には、まずはメーカー保証期間を確認してからにしましょう。
頻繁に起こる排水問題への緊急対策
排水問題がしょっちゅう起こってしまうと、感電被害や床材への影響も心配されます。被害を抑えるため、すぐに対処しましょう。
まずは、漏電防止のため、洗濯機の電源を切ってコンセントも抜いてください。
床下や階下へ被害を拡大させないために、水気は素早く取り除き、除菌剤で拭いておくことも対策となります。
洗濯機の日常的なお手入れと予防策
洗濯機を清潔に長持ちさせるためのちょっとした使い方のコツやお手入れ方法を押さえていきましょう。
定期的な洗濯機メンテナンスのスケジュール
洗濯機のメンテナンス頻度と方法は以下を参考にしてください。機種ごとにお手入れ詳細は変わってくるため、取扱説明書を確認してから行いましょう。
洗濯機周りのメンテナンス頻度
頻度 | 方法 | |
洗濯槽 | 2ヵ月に1度(夏場は1ヵ月に1度) | 洗濯槽用クリーナーで洗浄する。 |
糸くずフィルター、洗剤入れ | 1ヵ月に1度 | ゴミを取り、洗剤で付け置き洗いする。 |
排水ホース | 半年に1度 | カビ除去剤で付け置き洗いする。 |
排水口 | 半年に1度 | ゴミを取り除き、カビ除去剤(パイプクリーナーなど)で付け置き洗いする。 |
さらに、ホコリや髪の毛が溜まりがちな防水パンや排水口周りの掃除は、週1度を目安に行いましょう。使い捨てできる排水口カバーを取り付けておくと、掃除がラクになります。
◆洗濯機のカビなどイヤな臭いの原因となる汚れの取り方の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。
洗濯機を長持ちさせるためのヒント
毎日使う洗濯機は、使い方の5つのポイントを押さえておくと、長く清潔に使えます。
洗濯物を入れ過ぎない
洗濯物を入れ過ぎてしまうと、洗濯機に余計な負荷がかかってしまいます。
大量の水を使用して排水するために、排水ホースの劣化も早まってしまいます。
また、ぎゅう詰め状態の洗濯物が入っていると、洗濯機を稼働させても、汚れが落ちにくくなってしまって、逆効果です。目安の量を守って使用しましょう。
洗剤を入れ過ぎない
洗剤を大量に投入してしまうと、排水経路に詰まりを起こしてしまったり、泡が排水口から溢れ出る事態になることもあります。
洗剤による詰まりが気になる場合は、粉タイプではなく、溶けやすい液体タイプの洗剤を使ってみてください。
洗濯カゴ代わりにしない
脱いだ衣類などを、洗濯するまで洗濯槽に入れっぱなしにしてしまうと、カビが発生しやすく、不衛生です。使用時以外は、洗濯機の中は空にしておきましょう。
洗濯機のフタを開けておく
洗濯機の使用中以外は、フタを開けた状態にしておきましょう。
フタは閉めた状態が正位置ではありますが、そうすると、内部の湿気がこもってカビが繁殖しやすくなってしまいます。
カバーを使用する(外置きの場合)
洗濯機を外置きする場合は、カバーをかけておくと、雨風や紫外線による劣化を軽減できます。
◆故障が少なく寿命が長い洗濯機メーカーとおすすめの洗濯機は、こちらで豊富に紹介しています。
排水トラブルを防ぐためのベストプラクティス
洗濯機は、一度設置したら、置きっぱなしになることが多いものです。ですが、排水トラブルを防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
洗濯槽や糸くずフィルター、排水ホースや排水口の内部は汚れが溜まりやすい箇所ですが、いざとならないと、取り外したり、汚れに気づくことはないでしょう。
紹介したお手入れを定期的に実施することで、未然にトラブルを防ぎましょう。
シーズン毎の洗濯機の管理方法
洗濯機周りは湿気が多いため、カビや水垢による汚れが発生しやすいです。
梅雨や夏場は、半月に1度を目途に、洗濯槽クリーナーなどで清掃すると安心です。
カビは、温度20~30度、湿度80%の環境を好みます。
洗濯機には、カビの栄養となる、衣類の汚れや洗剤カスも多いため、繁殖しやすく、注意が必要です。
さらに、毎日使っている洗濯機よりも、週に2、3回と使用頻度の低い洗濯機の方がカビの検出率が高いという研究結果もあります。(参考:エステー化学による調査)
使用頻度が低いからと安心せず、洗濯機周りのカビ対策はぜひ、行ってください。
引越し時の洗濯機の取り扱い方
引越し時の洗濯機の扱い方を確認しておきましょう。洗濯機を動かすため、ふだんは億劫になりがちなパーツのお手入れもしやすいタイミングです。
引越し前の洗濯機の準備方法
引越しで移動させる前に、洗濯機は「水抜き」をしておく必要があります。
洗濯機やホースに溜まっている水を抜いておくことで、本体の故障や、ほかの運搬物への影響を防ぎます。
作業時間は30分ほどです。移動の前日までに完了させておくのがベターです。
かんたんな作業なので、素人でも完了できます。引越業者に依頼することもできますが、別途料金が発生することがあります。
水抜きに必要な道具
ドライバー、洗面器・バケツ、雑巾、ビニール袋
- 洗濯槽を空にして給水元の蛇口を閉める。
- 洗濯機の電源を入れ、「標準コース」で1分ほど稼働させる。(給水ホースの水抜き)
- 電源を切って、給水ホースを取り外す。
- 「脱水」モードで1分(最短)稼働させる。(洗濯槽の水抜き)
- 排水ホースを取り外す。
ドラム式の場合は、手順4.のあとに、糸くずフィルターのつまみをゆるめ、糸くずフィルターの水抜きを行ってください。
機種ごとに作業の詳細が異なるため、取扱説明書を確認してください。
ホースを抜くときは、水がこぼれてくるので、雑巾で押さえてください。
外したホースは、ビニール袋にまとめて入れましょう。
洗濯機のフタは、移動中に動かないようにテープで留めておきましょう。
なるべく早めのタイミングで作業にかかり、糸くずフィルターや排水ホース内部の洗浄をしておくと、新居で気持ちよく使えます。
冬場の凍結防止策としての水抜き方法
外置きしている洗濯機は、気温が0度以下に冷え込むと、洗濯機内に残留している水が凍ってしまうことがあるので、水抜きが必要です。
凍結して膨張した水分は、洗濯機の故障やホースの破損の原因となってしまうので、注意してください。
「最低気温が-4度以下」の日や「日中の最高気温が0度以下」の日は凍結しやすい日です。予報を確認し、前日に水抜きをしておきましょう。
凍結してしまった場合は、ぬるま湯で少しずつ解凍するか、自然解凍するのを待ちましょう。50度以上のお湯を使うのはやめましょう。破損や変形の原因になってしまいます。
新居で洗濯機を設置する際の注意点
洗濯機は、必ず本体を水平に設置する必要があります。
引越し後にスムーズに設置するためには、内見時に、引越先のスペースを計測して確認しておきましょう。
- 防水パンのサイズ
- 洗濯機置き場の幅・高さ
- 洗濯機の扉を開けた状態でのゆとり
- 排水口の位置
- 廊下など搬入経路の幅
蛇口の形状や、排水口に排水エルボが付いているかも確認しておくと、設置がスムーズです。
◆排水エルボについて詳しくはこちらの記事で紹介しています。洗濯機の排水にあたって重要なパーツなので、ぜひ確認しておいてください。
新居の洗濯機スペースの床の状態によっては、振動による騒音が発生しやすくなってしまう恐れがあります。対策として、防振マットや耐震マットを用意しておくと安心です。
洗濯機を安全に移動させるコツ
洗濯機を移動するときには、傾けずに、水平に移動させることが大切です。そのため、2~3人体制で行いましょう。
洗濯機を傾けてしまうと、洗濯槽の固定部分を中心に余計な負荷がかかり、中心軸がズレて故障の原因となります。
なるべく傾けずに水平に持ち上げたら台車に載せて、水平のまま移動させ、積み荷しましょう。
まとめ
洗濯機に水が溜まったままになってしまう原因は、設置状態のほか排水経路の詰まりが主な原因です。ホースはねじれや折れがないよう設置し、こまめな掃除と、カビ除去剤を使った定期的な清掃によって、排水トラブルの発生を抑えましょう。
お掃除の推奨頻度
洗濯槽・糸くずフィルター・洗剤入れ:1~2ヶ月に1度
排水ホース・排水口:半年~1年に1度
6~7年を超えた洗濯機は寿命で故障している可能性もあります。メーカー窓口へ相談の上、買い替えを検討しましょう。
排水口の奥で詰まりが起きている場合には、専門業者への作業依頼が必要です。
無理な負荷がかからないように水平に設置し、ツボを押さえたメンテナンスを実施することが、洗濯機を長く快適に使うコツです。ぜひ紹介したポイントをお試しください。