ぐっすりと快適な眠りを求めるなら、マットレスの寿命には注意が必要です。もし、朝起きたときに体が痛かったり、疲れが取れずに残っている感じがあったりしたら、マットレスの寿命が来ているかもしれません。
本記事では、マットレスはいつ買い替えるべきなのか、そしてどのように長持ちさせることができるのかについて、詳しく解説していきます。マットレスの寿命について正しい知識で適切なケアをすることで、質の高い眠りを手に入れるコツを探っていきましょう。
マットレスの寿命の目安
実家にいた頃から使っているマットレスだけど、使い続けても大丈夫かな?
マットレスってどのくらいのペースで買い換えればいいんだろう?
マットレスの寿命は、その素材や使用状況によって異なります。マットレスの素材や種類には、主にコイルマットレス、ウレタンマットレス、ファイバーマットレス、そしてラテックスマットレスなどが挙げられます。
ここで紹介する寿命はあくまで目安であり、実際の使用状況やメンテナンス方法によって変わりますが、買い替え時期などの参考にしてみてください。それではさっそく、素材別のマットレスの寿命を見ていきましょう。
コイルマットレス
コイルマットレスは、体重や寝姿勢に応じてコイルが沈み込んだり戻ったりすることで、身体を支える役割を果たしています。一般的には7〜10年が寿命の目安とされており、長期間にわたって同じ場所に圧力がかかると、コイルの弾力が低下したり、破損したりする可能性があります。
コイルが劣化するとマットレスの表面がでこぼこになったり、へたりによって寝心地が悪くなったりします。寿命を延ばすには、マットレスを定期的にひっくり返してへたりを防ぎましょう。
また、コイルマットレスは湿気や汗を吸収しやすい素材形状なので、カビやダニの発生も気になる問題です。湿気を防ぐため、敷きパッドやシーツをこまめに交換したり、除湿器や扇風機で湿気を飛ばしたりしてケアしましょう。
ウレタンマットレス
体圧分散効果が高いウレタンマットレスは、柔軟性の高さが特徴のマットレスです。使用頻度や環境、メンテナンス方法などによって大きく異なりますが、使用寿命の目安は一般的に5〜10年程度です。
ウレタンマットレスは、体圧によって沈み込みやすく快適な寝心地ですが、長期間使い続けると反発力が低下して形が崩れてへたりやすくなります。定期的にひっくり返したり裏返したりして、沈み込みやへたりを防ぐのがポイントです。
湿気や汗などでカビやダニが発生しやすいので、掃除機や除湿機などで湿気やホコリを取り除き、カバーやシーツをこまめに洗濯するのも大切です。そして、製品の保証期間や品質表示を確認し、メーカー推奨の使用期間を守って使いましょう。
ファイバーマットレス
綿やポリエステルなどの繊維で作られているファイバーマットレスは、柔らかく快適な寝心地が特徴のマットレスです。ファイバーマットレスは比較的寿命が長く、10〜15年以上使用できることがあります。
風通しや湿気に気を付ければ長持ちしますが、経年劣化や湿気によって繊維が崩れやすく、ダニやカビの発生源になりやすい欠点もあります。定期的にマットレスをひっくり返して両面を均等に使用し、汚れが付いたらすぐにケアして清潔に保ちましょう。
ラテックスマットレス
ラテックスマットレスは、天然ゴムや合成ゴムを発泡させて作られたマットレスで、高い弾力性や通気性を持っています。体圧分散や温度調節に優れ、快適な睡眠をサポートしてくれる高品質なマットレスです。
劣化しにくい天然素材のラテックスは耐久性の高さがメリットで、使用状況によっては15年以上使い続けられることもあります。ただし、重量が重くて持ち運びが大変だったり湿気やカビに弱かったり、独特の臭いが気になるデメリットもあります。
ラテックスマットレスには、コットンやリネンなど汗や汚れを吸収しやすい素材のシーツやカバーを使い、通気性を意識しましょう。また、ラテックス素材は直射日光や紫外線によって劣化が早まるので、干し方に注意が必要です。
マットレスの寿命がわかるサイン
マットレスの寿命を知るための、分かりやすいサインを教えてほしいな。
マットレスにへこみやへたれが生じていたらサインのひとつです。もともと平坦だったマットレスが凹んでしまったり、体の形がくっきりと残るようになったりすることがあります。
購入時よりもマットレスがやわらかく感じる場合も、寿命の兆候です。最初は適度な固さだったのに体が沈み込んでしまったり、サポート性が低下したりする場合があります。
軋む音が気になるようになってきたけど、そろそろ寿命かな?
使用時に軋む音を発する場合や異音がする場合も、内部が摩耗して劣化している可能性があります。起床時に体の痛みや不快感が生じる場合も寿命の兆候です。適切な買い替え時期を判断するための寿命のサインについて、詳しく解説していきましょう。
マットレスにへこみやへたれがある
マットレスの寿命が分かるサインのひとつは、へこみやへたれがあることです。長く同じ場所に体重がかかると、マットレスの中身が圧縮されて反発力が低下してしまいます。特に腰部分はへたりやすい部分なので注意しましょう。
マットレスにへこみやへたれがあると寝心地が悪くなるだけでなく、体にも悪影響を及ぼします。体をきちんと支えられなくなると、寝姿勢が崩れて筋肉や関節に負担がかかり、肩こりや腰痛などの症状を引き起こすのです。
へこみやへたれが見られたら、マットレスを早めに交換することをおすすめします。新しいマットレスを選びでは、自分の体型や好みに合ったものを選びましょう。
購入時よりもやわらかくなった
徐々に劣化して寿命が近づいたマットレスは、購入時よりもやわらかくなっていることがほとんどです。マットレスがやわらかくなる原因は、素材の劣化や形状の変化です。中に入っているスプリングやウレタンなどの素材が、使用回数や時間によって弾力や硬度を失っていきます。
マットレスがやわらかくなると、体を支える力が弱まり、不自然な寝姿勢によって腰痛や肩こりなどの原因になります。睡眠の質が低下すれば、疲労回復や免疫力の低下にも影響します。
やわらかさは目に見えて判断しにくいので、自分の感覚で判断しましょう。「購入時よりやわらかい」「寝心地が悪い」「起床時に体が痛い」などの不快感を感じたら、寿命が近づいているサインです。目視で確認できる場合には、表面にへこみや盛り上がり、変色などの異常が見られます。
軋む音がする
マットレスから軋む音がする場合は、中に入っているスプリングが劣化している可能性が高いです。スプリングはマットレスの弾力や体圧分散を担っていますが、長年使っているとサビや変形などで機能が低下します。その結果、寝返りを打ったり動いたりするたびにギシギシとした音が鳴ってしまうのです。
スプリングが劣化した状態になると寝心地も悪くなりますし、音が気になって睡眠の質も低下してしまいます。コイルスプリングのタイプでは、ポケットコイルが7〜10年、ボンネルコイルが5〜8年くらいが寿命の目安です。
劣化したままで使い続けると、スプリングが飛び出したり刺さったりする危険性もありますので、安全面にも配慮して、適切なタイミングで新品のマットレスに交換しましょう。
体に痛みが生じる
マットレスの役割とは、寝ている間に体を支えて正しい姿勢を保ち、快適な睡眠を促すことです。しかし、劣化によってへたりやへこみができたり、反発力やクッション性が低下したりすると、体に合わない寝心地になってしまいます。
寝姿勢が崩れると、血流が悪くなって筋肉や関節に負担がかかり、起床時に腰痛や肩こりなどの体の痛みを感じやすいです。購入から数年以上経過していて、寝心地の悪さや睡眠の浅さ、起床時の体の痛みなどを感じるようになったら、マットレスの寿命を疑ってみると良いでしょう。
また、年齢を重ねていくにつれて体に合うマットレスの硬さが変わることがあります。まだ寿命のサインがきていないマットレスでも、違和感があれば買い替えや見直しを検討してみてください。
カビや汚れが目立つ
マットレスを使い続けると、マットレスに含まれている綿やウレタンなどの素材が劣化して、湿気や汗を吸収しやすくなり、カビや汚れが溜まってしまいます。
定期的な掃除やメンテナンスで清潔さを保っていても、長期間使い続ければどうしても素材は劣化してしまうものです。カビや汚れが目立つようになったら寿命のサインです。
汚れはマットレスに付着したホコリやダニなどのアレルゲンの温床にもなります。アレルギーや皮膚炎などの健康被害を引き起こす可能性があるので、汚れが目立つようになったマットレスは早めに交換することをおすすめします。
マットレスを長持ちさせるコツ
マットレスを長持ちさせるためには、定期的なお手入れと適切なケアが欠かせません。まずは湿気対策として、定期的にマットレスの除湿を行ないましょう。湿気はカビやダニの繁殖を促し、マットレスの寿命を短くします。
同じ場所に圧力をかけていると劣化が進みますので、定期的にマットレスを裏返したり回転させたりして、ローテーションを意識することも大切です。定期的に位置を変えることで均等な使用を心がけましょう。
ベッドパッドなどを併用して汗や皮脂を吸収しやすくして、マットレス本体への汚れや臭いを防ぐのも長持ちのポイントです。お手入れのコツを実践することで、マットレスの寿命を延ばし、より快適な睡眠環境を保てます。続いては、マットレスを長持ちさせるコツを詳しく解説しましょう。
定期的にお手入れして除湿する
マットレスは毎日使うものなので、汗や埃が付着しやすくなります。長持ちさせるためには、定期的なお手入れでマットレスの除湿を心がけましょう。
晴れた日には、マットレスをベランダや室内などで影干します。表面に付着した埃やダニなどは掃除機で取り除きましょう。湿気を防ぐために、マットレスの下に通気性の良い敷物を敷いたり、除湿器や扇風機を使ったりするのもおすすめです。
湿度の高い部屋に住んでいる場合は、除湿剤でマットレスの中の湿気を効率よく吸収できます。市販の除湿剤や乾燥剤をマットレスの下や周りに置いておきましょう。
ローテーションさせて使用する
毎日使うマットレスは、同じ場所に体重がかかり続けているとへたりやすくなります。マットレスの寿命を延ばすには、マットレスの上下や左右を入れ替えて、定期的にローテーションさせて使用するのがおすすめです。
ローテーションによって表面にかかる圧力を均等に分散させられます。頻度はマットレスの種類や使用状況によって異なりますが、一般的には1ヶ月に1回程度が目安です。
製品によっては、マットレスの裏面に通気性の良い素材が使われている場合がありますので、裏返しにしないほうがいいケースもあります。使っているマットレスの素材に注意してローテーションを行なってください。
ベッドパッドなどを併用する
ベッドパッドは、ベッドの上に敷いて寝心地や清潔さを向上させる寝具です。マットレスにベッドパッドなどを併用することで、マットレス本体にかかる摩擦や汚れを軽減して寿命を延ばす効果があります。
ベッドパッドの素材は、生地と中わたの2種類です。肌に直接触れる生地は、肌触りや吸水性、放湿性などから選ぶのがおすすめです。素材としては主に、綿、ポリエステル、レーヨン、麻などがあります。
綿は適度な柔らかさや滑らかさで、快適な肌当たりです。吸水性が高くて蒸れにくく、価格帯が手頃な点もメリットです。通気性の良いポリエステル素材は乾きやすく軽いのですが、綿より蒸れやすいので他の繊維素材とブレンドされたものを選びましょう。
柔らかく肌当たりがやさしいレーヨンは、吸水性が高く蒸れにくい素材ですが、繊維がやや繊細なので傷みやすく毛羽立ちやすい欠点があります。ポリエステル素材同様に、他の繊維とブレンドされているものがおすすめです。
ハリ感があって通気性の高いリネン素材は、吸水性と発散性のどちらにも優れていて、洗ってもすぐに乾くのがメリットです。オールシーズン爽やかな寝心地を得られます。
汚れはすぐに対処する
毎日使うマットレスを長持ちさせるためには、マットレス本体に汚れが付いたらすぐに対処することが大切です。素材によって対処方法は異なりますが、柔らかい布やスポンジを使って、薄めた中性洗剤などを含ませて拭き取りましょう。
汚れが落ちにくい場合は、マットレスに使える市販のクリーナーを使ってみてください。また、マットレスの表面だけでなく、側面や裏面も定期的に掃除するのがおすすめです。ニオイが気になる場合には、天日干しや除菌スプレーを利用すると効果的ですよ。
■マットレスの素材別や汚れ別の掃除の仕方については、以下の記事で詳しく解説しています。
シーツなどをこまめに洗う
マットレスを長持ちさせるコツは、シーツなどの寝具類をこまめに洗うことです。汗や皮脂で汚れやすいシーツやタオルケットなどは、マットレスに染み込むとカビやダニの発生につながります。
カビやダニはマットレスの品質を低下させるだけでなく、アレルギーやかぶれなどの健康被害をもたらす可能性があります。シーツをこまめに洗うことで、マットレスに汚れが移らないようにしましょう。
シーツの洗濯頻度は季節や寝汗の量によっても異なりますが、一般的には週に1回程度が目安です。週末などの休日を利用して洗濯するよう決めておくと、定期的なお手入れができますね。
しっかりお手入れをしてマットレスの寿命を延ばそう
マットレスの寿命を長くするためには、しっかりとお手入れして清潔さを保つことが大切です。日々のこまめな掃除やメンテナンスによって、マットレスの耐久性が向上し、快適な状態で長く使い続けられます。下記のお手入れポイントを守って、マットレスの寿命を延ばしましょう。
- 定期的な除湿と掃除
- マットレスのローテーション
- ベッドパッドの使用
- 突発的な汚れやシミにはすばやく対処
- 寝具類のこまめな洗濯
人生のおよそ3分の1を費やす計算になる睡眠時間。快適な睡眠環境を整えることは、毎日のパフォーマンス向上や健康維持にも直結する大切なものです。
手間を惜しまず丁寧なお手入れでマットレスの寿命を延ばすことは、自分自身の健康を大切にすることにも繋がります。今日からでもすぐにお手入れを始めて、上質な睡眠を手に入れましょう。