二世帯住宅の電気は1つにまとめるか分けるか|別契約にできる条件と料金の差

二世帯住宅を建てる・住むときに迷いやすいのが、電気の契約を1つにまとめるか、世帯ごとに2つに分けるかという点です。
「まとめたほうが基本料金は安い?」「メーターを分けるには何が必要?」「電気代はどれくらい?」——こうした疑問を、公的統計や電力会社・送配電会社の公式情報をもとに整理します。
この記事では、まとめるか分けるかの判断、まとめた場合のアンペアと料金の考え方、分けるための条件と手続き、電気代の目安と節約のコツを解説します。
- 電気の契約を1つにまとめるか2つに分けるかの判断
- 1つにまとめた場合のアンペア・基本料金の考え方と料金の差
- 2つに分けるための条件と、メーターを増やす手続き
- 二世帯住宅の電気代の目安と節約のコツ
- 使用量が増えると効いてくる賦課金
二世帯住宅の電気は1つにまとめるか2つに分けるか
最初に決めたいのが、電気の契約を1つにまとめるか、世帯ごとに2つに分けるかです。
これは好みだけでは決められず、メーター(計量器)がいくつあるかで決まります。
| メーター | 契約 | 基本料金 | 電気代の負担 |
|---|---|---|---|
| 1つ(共用) | 1つにまとめる | 1契約分。2世帯が同時に使う分をまかなえる容量が要る | まとめて請求→世帯間で分担を決める |
| 世帯ごとに分かれている | 世帯ごとに別々に契約できる | 契約ごとにそれぞれかかる | 各世帯が使った分をそれぞれ支払う |
電気の契約は、原則として1つの需要場所につき1つの引込み・1つの計量(メーター)で行われます(出典:東京電力パワーグリッド 託送供給等約款)。
そのため、メーターが世帯ごとに分かれていれば契約も請求も分けられ、共用で1つなら原則として1契約になり、世帯間の負担は当事者どうしで分担を決めることになります。
メーターが1つの家を2契約に分けたいときは、メーターを増やす工事と申込みが必要です(くわしくは次の「2つに分けるための条件と手続き」で解説します)。
1つにまとめる場合のアンペアと基本料金
1つにまとめると、契約も基本料金も1つ分です。
そのかわり、2世帯が同時に使う電気をまかなえる契約容量が必要になります。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの基本料金は10Aから60Aまでの区分で、6kVA以上の場合は従量電灯C(基本料金は1kVAあたり・1kVAは10Aに相当)の契約です(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
2世帯分を合わせて60Aを超えるなら、従量電灯Cの対象になります。
関西電力では従量電灯Aの対象が最大需要容量6kVA未満、従量電灯Bの対象が契約容量6kVA以上で原則50kVA未満と、区分の境目や呼び方は会社によって違います(出典:関西電力公式サイト)。
基本料金そのものは、まとめても大きくは変わらないことがあります。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの基本料金は、2026年11月1日からの単価で30Aが1,176.18円、50Aが1,960.30円、60Aが2,352.36円です(税込)(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
この単価では、30A×2契約と60A×1契約の基本料金は同じ2,352.36円です。
2世帯が同時に使う量が少なく50Aで足りるなら、2契約より月392.06円安くなります。
契約アンペアの目安は世帯人数別の契約アンペアの目安の記事、60Aを超える場合は従量電灯BとCの違いの記事で解説しています。
まとめると電力量料金が上がることがある
注意したいのは、使った量にかかる電力量料金です。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯B・Cは、使用量が多いほど1kWhあたりの単価が上がる3段階で、2026年11月1日からの単価は最初の120kWhまで29.85円、120kWhをこえ300kWhまで36.45円、それをこえる分40.54円です(税込)(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
2世帯の使用量を1つのメーターで合算すると、単価の高い第3段階にかかる量が増えます。
同じ使用量で、分けた場合とまとめた場合を試算すると次のとおりです。
| 項目 | 2つに分ける 30A×2契約 |
1つにまとめる 60A×1契約 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 1,176.18円×2=2,352.36円 | 2,352.36円 |
| 電力量料金 | 8,320.50円×2=16,641.00円 | 18,251.00円 |
| 合計(月) | 約18,993円 | 約20,603円 |
分けた場合、各世帯の250kWhは「120kWh×29.85円+130kWh×36.45円=8,320.50円」で、第3段階には入りません。
まとめた場合の500kWhは「120kWh×29.85円+180kWh×36.45円+200kWh×40.54円=18,251円」で、200kWh分に第3段階の単価がかかります。
この前提では、まとめたほうが月約1,610円高くなる計算です。
燃料費調整額と再エネ賦課金は1kWhあたりでかかるため、同じ単価なら、合計の使用量が同じ限り分けてもまとめても合計額は変わりません。
各世帯の使用量の配分や、契約する会社・プランによって結果は変わるので、実際の検針票の使用量で計算してみてください。
2つに分けるための条件と手続き
では、どんなときに世帯ごとに分けられるのでしょうか。
東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、1つの居住用の建物に会計主体の異なる部分がある場合で、次の3つのいずれにも該当するときは、各部分をそれぞれ1つの需要場所(=別メーター・別契約)にできるとされています(出典:東京電力パワーグリッド 託送供給等約款)。
- 各部分の間が固定的な隔壁または扉で明確に区分されていること
- 各部分の屋内配線設備が相互に分離して施設されていること
- 各部分が世帯単位の居住に必要な機能(炊事のための設備等)を有すること
この場合、共用する部分は原則として1つの需要場所とされます。
つまり、完全分離型(玄関・キッチン・配線が世帯ごとに独立)なら分けやすく、キッチン等を共用する一部共用型・完全同居型は3つの条件を満たしにくい、という整理になります。
分けるときに必要なこと
条件を満たす建物でも、メーターを増やして契約を分けるには工事と申込みが必要です。
東京電力パワーグリッドの託送供給等約款では、メーターと引込線について次のように定めています(出典:東京電力パワーグリッド 託送供給等約款)。
- メーター:料金の計算に必要な計量器は、原則として送配電会社が選び、送配電会社の所有として、送配電会社の負担で取り付けます。取付場所は利用者が無償で提供し、低圧では原則として屋外です。
- 引込線:架空引込線の場合、建物の引込線取付点までは送配電会社が施設し、そこから引込開閉器までの配線(引込口配線)は契約者の負担で施設します。1つの建物の2つ以上の需要場所に、共同引込線による1つの引込みで供給する場合の定めもあり、引込線を世帯ごとに増やすとは限りません。
- 屋内配線:分けるための条件のとおり、各世帯の屋内配線が相互に分離している必要があります。
メーターを増やす申込みの方法は送配電会社ごとに案内されています。
たとえば東京電力パワーグリッドは、申込者を「電気工事店、小売電気事業者等」とし、申込みのあとに設計、有償工事の場合は工事費負担金の請求、工事日程の調整(工事規模に応じ1週間〜数か月)、工事・調査を経て、低圧では原則として調査日を供給開始日とすると案内しています(出典:東京電力パワーグリッド公式サイト)。
新築時の申込みの流れは新築の電気の申込みの記事で詳しく解説しています。
実際に分けられるか・どんな工事が必要かは、建物の配線状況により個別の判断になります。
建てる前・改修前に、管轄の一般送配電事業者や電力会社に必ず確認しましょう(ここで紹介したのは東京電力パワーグリッドの約款で、ほかのエリアは各社の約款での確認が必要です)。
二世帯住宅の電気代は家電の台数で上振れする
二世帯住宅は、同じ人数の世帯の平均より電気代が高くなることがある点に注意が必要です。
完全分離型でキッチンや冷暖房、冷蔵庫が各世帯にあると、家電の台数が増えた分だけ電気代が積み上がるためです。
目安になる平均額も見ておきましょう。
総務省統計局の家計調査(2025年)では、二人以上の世帯の電気代の1か月平均は、4人世帯で13,928円、5人世帯で15,665円、6人以上の世帯で17,322円でした(出典:家計調査 家計収支編 二人以上の世帯)。
ほかの人数の平均は 世帯人数別の電気代の平均の記事 にまとめています。
家計調査の世帯人員別の平均は二世帯住宅だけを集めた数字ではないため、完全分離型では目安より上振れすることがあると考えておくと安全です。
メーターが世帯ごとに分かれている家なら、検針票を2枚並べて合計すると、家全体の電気代と使用量がつかめます。
二世帯で電気代を抑えるコツ
世帯・家電が増える二世帯は、1台分の節約効果が台数分に積み上がるのが特徴です。効くところから見直しましょう。
- 契約アンペアを適正化する:必要以上に高いアンペアだと基本料金が高くなります。中部電力ミライズは生活スタイルに合わせた変更で無駄な出費を抑えられるとしています(出典:カテエネ)。※関西電力・中国電力・四国電力の従量電灯A、沖縄電力の従量電灯は、アンペアごとの基本料金ではなく、最初の一定量まで最低料金がかかる仕組みです(出典:関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力公式サイト)。自社の料金体系を確認しましょう。
- エアコンの設定を見直す:資源エネルギー庁は、エアコン(2.2kW)1台について、冷房(1日9時間使用)の設定を27℃から28℃にすると年約940円、暖房(1日9時間使用)の設定を21℃から20℃にすると年約1,650円、フィルターを清掃すると年約990円の節約になるとしています(出典:資源エネルギー庁)。台数が多い二世帯ほど効果が大きくなります。
- 冷蔵庫は台数に注意:冷蔵庫の電気代は、目安単価31円/kWh(税込)で計算してファミリー向け(400〜500L)1台で1か月約670円、一人暮らし向け(150〜200L)1台で約700円が目安(出典:東京電力エナジーパートナー「くらひろ」)。2台あればその分加算されます。
アンペアを下げる考え方は契約アンペアの見直しの記事、家電ごとの電気代はエアコンの電気代の記事で詳しく解説しています。
使用量が多いほど効いてくる賦課金
電気の使用量に応じてかかる電力量料金には、燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が別途加算されます。
再エネ賦課金は2026年度で1kWhあたり4.18円。1か月400kWh使うモデル世帯で月額1,672円・年額20,064円の負担です(出典:経済産業省公式サイト)。
使用量が大きくなりやすい二世帯・大人数世帯ほど、賦課金の負担も比例して大きくなります。
賦課金は1kWhあたりでかかるので、契約を分けてもまとめても、2世帯の使用量の合計が同じなら負担の合計は変わりません。
燃料費調整額は電力会社・エリア・月ごとに変わるため、契約中の会社の公式単価表で確認しましょう。
使用量が多い世帯ほど、契約プランや電力会社の見直しの効果も大きくなります。切り替えは電力会社の切り替え手続きガイドをご覧ください。
二世帯住宅の電気とあわせて読みたい記事
- 契約アンペアの見直し(基本料金を下げる考え方)
- エアコンの電気代(台数が増える二世帯で効く節約)
- 電力会社の切り替え手続きガイド(使用量が多い世帯ほど効く見直し)
- 契約アンペアの目安(世帯人数別の早見表)
- 従量電灯BとCの違い(60Aを超える家の契約)
- 新築の電気の申込み(電気工事店が出す申込みの流れ)
- 世帯人数別の電気代の平均(1人から6人以上までの一覧)
よくある質問
まとめ
二世帯住宅の電気を1つにまとめるか2つに分けるかは、メーターがいくつあるかで決まります。
1つにまとめると契約も基本料金も1つ分ですが、2世帯が同時に使う分をまかなえる容量が必要で、3段階料金では合算した使用量に高い単価がかかりやすくなります(東京電力エナジーパートナー 従量電灯Bの試算で、各世帯250kWhなら月約1,610円の差)。
2つに分けるには、東京電力パワーグリッドの約款では、会計主体の異なる部分が隔壁・配線分離・世帯機能の3条件のいずれにも該当することが必要です。
東京電力パワーグリッドでは、メーターの増設などの申込みは電気工事店や小売電気事業者などが行います(ほかのエリアは各送配電会社で確認)。
実際の可否は建物の設備によるため、建てる前・改修前に送配電会社・電力会社へ確認しましょう。
電気代は同居人数で大きくなり、4人〜6人以上の世帯では月13,000円台〜17,000円台が目安です(総務省統計局 家計調査2025年)。
台数が増える二世帯は、アンペアの適正化・エアコンの設定・冷蔵庫の見直しが効き、使用量が多いほど契約の見直し効果も大きくなります。
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