卒FITの売電先は後から変えられる|違約金なしとされる1回目の契約と切り替えの手順

本記事の情報は2026年9月時点のものです。制度の運用や各社の買取メニュー・手続き方法は改定される場合があります。最新情報は資源エネルギー庁および各電力会社・小売電気事業者の公式サイトでご確認ください。

「買取期間がもうすぐ終わります」という通知が届いた。
そのあと電話や訪問が増え、「早く決めないと0円で引き取られてしまう」と言われて焦っている方も多いのではないでしょうか。
じつは資源エネルギー庁は、旧一般電気事業者にあたる大手電力会社が満了後に結ぶ1回目の買取契約には、違約金など解除を制限する条項を設けないことが望ましいとして、国として要請し了承されていると公表しています。
つまり、いま慌てて決めた相手と一生付き合う必要はありません。
この記事では、公式に決まっていることだけを手がかりに、何もしなかったときに起きること、売電先を切り替える順番、そして急かす説明のどこが事実と違うのかを整理します。

📋 この記事でわかること
  • 卒FITで終わるのは何で、終わらないのは何か
  • 放置した結果が、契約の自動継続の有無で正反対になること
  • 売電先を切り替える4つの手順と、事業者の探し方
  • 大手電力との1回目の契約に違約金を設けないよう国が要請していること、その例外
  • 「今決めないと損」という4つの説明に対する国の見解

卒FITで終わるのは固定価格での買取だけ

まず、何が終わるのかをはっきりさせておきましょう。
住宅用太陽光発電の余剰電力は、固定価格での買取期間が10年間と定められています。
2009年11月に始まった余剰電力買取制度の適用を受けた方から、2019年11月以降、順次その10年が満了してきました(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
世間で「卒FIT」と呼ばれているのは、この満了のことです。

ここで誤解されやすいのが制度そのものの扱いです。
同じ資料は「固定価格買取制度自体が2019年に終了するわけではありません」と明言しています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
終わるのはあなたの設備の固定価格での買取期間であって、制度でも、売電そのものでもありません
満了後も売電は続けられますし、電気を自分の家で使うこともできます。

自分がいつ満了を迎えるのかは、手元の書類から逆算できます。
資源エネルギー庁は「買取りを行っている電気事業者と締結した契約書や案内書、検針票などにより具体的な買取開始時期を確認することで買取満了時期が分かります」と案内しています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
売電を始めた時期がわかれば、その10年後が目安になります。

満了通知が届く時期と同封書面の意味

満了が近づくと、いま買取を行っている事業者から通知が届きます。
時期は「買取期間満了の6か月から4か月前(買取者のシステムの都合によっては3か月前)を目途に、現在買取りを行っている事業者から、買取期間の満了時期などについて通知が届くことになっています」とされています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
満了の数か月前には、契約している相手のほうから知らせが来る仕組みになっています。
業者からの電話や訪問は、この公式の通知とは別のものだと考えてください。

この通知は、どんな見た目のものかまで公開されています。
資源エネルギー庁は大手電力会社10社について、買取期間満了通知のサンプルを掲載しています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 主なスケジュール)。
同じ会社でも「小売買取」と「送配電買取」で様式が分かれており、離島向けが別に用意されている会社もあります。
届いた封筒が本物か不安なときは、この公式サンプルと見比べるのがいちばん確実です。

同封物についても説明があります。
「一部のエリアの電力会社では、買取期間満了通知に併せて、他の小売電気事業者の買取プランを掲載した書面も同封しています」とされ、これは2019年7月の国の審議会で新電力側から提案があったことを受けた取組だと説明されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 主なスケジュール)。
他社の案内が入っていても、それは通知を出した電力会社が乗り換えを勧めているという意味ではありません。

よくある心配についても公式の記載があります。
「電力会社から、小売電気事業者等に対して、卒FIT対象者の個人情報は提供しておりません」と明記されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 主なスケジュール)。
勧誘が増えたとしても、電力会社から名簿が渡ったわけではありません。

何もしないとどうなるかは契約の自動継続で正反対になる

ここがこの記事でいちばん大事なところです。
放置したときの結果は1つに決まっていません。
いまの契約が自動継続になっているかどうかで、結果が正反対になります

いまの契約 満了後に何もしないと
自動継続になっている 新しい単価で継続して買取が行われる
自動継続になっていない 買取者が不在となり、余剰電力は一般送配電事業者が無償で引き受けることになる
出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問「買取期間満了後に何もしないで放置しているとどうなるのですか。」

公式の表現はこうです。
「買取期間の満了後も契約が自動継続となっている場合は、新しい単価で継続して買取が行われます」。
いっぽうで「契約が自動継続となっていない場合は、いずれかの小売電気事業者へ申込みのうえ、買取契約を結ばない限り、買取者が不在となってしまうため、余剰電力は一般送配電事業者が無償で引き受けることになります」(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
まず確かめるべきは他社の単価ではなく、自分の契約がどちらなのかです。
通知や契約書を読んでもわからなければ、いま買取を行っている事業者に直接確認してください。

無償引き受けについても、誤解されたまま営業に使われがちです。
公式には「どの小売電気事業者とも買取等の契約を締結していない場合のみ、自家消費できなかった余剰電力について一時的・例外的な『受け皿』として一般送配電事業者が無償で引受けることになります」と説明されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
そもそもこの受け皿が用意されたのは、事業者を儲けさせるためではありません。
買い手が不在だからといって系統から切り離してしまうと「住宅用太陽光発電の場合は、配線状況によっては電気の供給まで遮断され、過大な不利益になってしまうことが懸念されます」と説明されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
0円での引き取りは罰ではなく、家の電気まで止まらないようにするための一時的な受け皿です

離島にお住まいの場合は扱いが異なります。
「離島においては、小売供給を担う一般送配電事業者が買取メニュー等を定めて提示することを国から要請しています」とされています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
離島だから売電先が無くなる、という話ではありません。

売電先を切り替えるときの4つの手順

切り替えるかどうかを決める前に、選択肢が大きく2つに整理されていることを押さえておくと迷いません。
資源エネルギー庁は買取期間満了後の選択肢として、電気自動車や蓄電池などと組み合わせる自家消費と、小売電気事業者などに相対・自由契約で売電する方法の2つを挙げています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 自家消費・相対・自由契約)。
この2つは、どちらか一方を選ばなければいけないものではありません。

STEP
満了時期と、いまの契約の扱いを確認する

契約書・案内書・検針票から売電の開始時期を確認し、その10年後が満了の目安です。
あわせて、満了後に自動継続となる契約かどうかを確かめます。

STEP
自家消費を増やすのか、売電を続けるのかを決める

蓄電池や電気自動車と組み合わせて使い切る方向か、これまでどおり売る方向かを決めます。
どちらか一方に絞りきらず、組み合わせても構いません。

STEP
自分のエリアで買い取っている事業者を探す

資源エネルギー庁が買取を希望する小売電気事業者の一覧を公開しており、都道府県を選んで絞り込めます(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 売電できる事業者)。

STEP
満了の日までに申し込む

買取期間の満了までに希望するプランを選び、事業者へ申し込みます。
「事業者の手続きに一定の期間を要しますので、早めのお申込みをお勧めします」とされています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。

事業者一覧を使うときに、知っておいたほうがよい前提があります。
この一覧は「小売電気事業者から当該ページへの掲載希望登録があった場合に、随時更新いたします」とされ、掲載内容も「小売電気事業者から当庁へ情報提供がされた時点の情報です」と注記されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 売電できる事業者)。
載っていない会社が買い取らないという意味ではなく、逆に載っている内容が最新とも限りません
候補を見つけたら、条件はその会社の公式サイトで確かめてください。

単価については、この記事では具体的な金額を示しません。
「買取りを行う小売電気事業者によって、単価や買取メニューは異なります」とされているためです(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
なお大手電力会社の買取メニューについては「2019年6月までに発表されています」と記録されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー 主なスケジュール)。
いまの金額は、契約先の候補となる会社の公式サイトでご確認ください。

「通知は届いたけれど、どこから手をつければいいかわからない」という方は、電気手続き受付センターにご相談ください。
お住まいのエリアの電気の契約まわりを、まとめてサポートします。

大手電力との1回目の契約には違約金を設けないよう国が要請している

「いま決めないと選べなくなる」と急かされたときに思い出してほしいのが、この取り決めです。
国の審議会では、買取を行ってきた大手電力会社の競争力を踏まえ、契約を結ぶ際に一定の制約を設けることが議論されました。
その結果、旧一般電気事業者が買取期間満了後に締結する1回目の買取り等の契約については、違約金など契約の解除を制限する条項は設けないことが望ましいとされ、国として要請し、了承されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
ここでいう旧一般電気事業者とは、自由化の前から地域で電気を供給してきた大手電力会社のことです。

これが意味するのは、順番を選べるということです。
まずはいまの会社の継続メニューで様子を見て、比べたうえで別の事業者に移る。
その進め方が成り立つ前提が、この要請です。
ただし2つ注意点があります。

注意点 公式に書かれていること
設備投資をともなうメニューの場合 蓄電池等の設備設置など、旧一般電気事業者の負担による相当程度の設備投資が必要なメニューはこの限りではないとされている
法律による禁止ではない 条項を設けないことが「望ましい」とされ、国が要請して了承されたもの
要請の相手 この要請の対象として挙げられているのは旧一般電気事業者
出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問「買取期間満了者に対して、自社の製品・サービスを提供したいのですが、既存の買取事業者の方が優位な立場にあるのではないでしょうか。」

つまり、電力会社の負担で蓄電池を設置するようなメニューや、旧一般電気事業者以外との契約では事情が変わります。
契約書のどこに解約の条件が書かれているかを、申し込む前に必ず確認してください。
電気を買う側の契約でも解約の条件は会社ごとに違い、その考え方は 電力会社の乗り換えにデメリットは?注意点と確認リスト で整理しています。

今決めないと損をすると言われたら国の見解と照らし合わせる

資源エネルギー庁は、卒FITを狙った勧誘で実際に使われている説明を4つ挙げ、それぞれに見解を示しています。
前提として「太陽光で発電した電力の0円での引き取りは、一時的に買手が不在となった場合の例外的なケースです」と明記されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー ご注意ください)。

よく使われる説明 国の見解
0円買取となるため、蓄電池を付けなければ損をすることになる 自家消費の拡大は可能だが、蓄電池を設置しなければ必ず損をするということはない
0円買取となるため、当社と売電契約しなければ損をすることになる 買取を表明している事業者は複数あり、特定の1社と契約しなければ必ず損をするということはない
売電より、蓄電池と組み合わせて自家消費する方が絶対に得である どちらがお得かは個々のケースによって異なる
現在買取を行う電力会社は買取終了のため、当社と契約しなければ損をする 契約内容にもよるため、必ずしも現在買取を行っている電力会社が買取をしないとは言えない
出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー ご注意ください。左列はセールストークの例、右列は同ページに示された国の見解を要約したもの。

損得そのものについても、国は断定していません。
「電気料金や蓄電池の価格及び小売電気事業者等の買取メニューによっても異なるため、一概にどちらが経済的にメリットがあるかということを申し上げることはできません」という回答が公表されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
国が一概に言えないとしていることを、その場で断言する説明は、いったん持ち帰って確かめてよいということです。

すでに契約してしまった場合の道も残されています。
訪問販売で強引に勧められてその場で契約した場合について、資源エネルギー庁は「解約したい場合はクーリング・オフ制度を利用することができます」とし、相談先として消費者ホットライン188を案内しています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
一定期間内であれば、無条件で契約を解除できる制度です。

蓄電池を後付けするときは事前変更届出で足りる

自家消費を増やす方向に進むなら、国への届出が関係します。
もともとFIT認定後に蓄電池を設置する場合は「自家発電設備等の変更」に当たるため、買取期間が終わったあとでも、廃止届出が受理されるまでは変更認定が必要という扱いでした。
ただし2019年8月2日に関係法令が改正され、買取期間終了後に蓄電池等の設置などの事業計画変更を行う場合は、変更認定ではなく事前変更届出で足りることとされました(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
認定を取り直す重い手続きではなくなった、ということです。

いっぽうで、期待しても叶わないこともあります。
パネルを新しくすれば、また固定価格で買い取ってもらえるのではないか、という質問への回答は明快です。
「一度、固定価格買取制度で支援を受けた方は、同じ場所で太陽光発電設備を更新したとしても、再度支援を受けることはできません」とされています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。

そもそも制度は、満了後も使い続けることを見込んで作られています。
「一般に、太陽光パネルは20〜30年間又はそれ以上発電し続けることが可能です」とされ、住宅用については最初の10年間は制度に基づく買取が行われ、その後少なくとも10年間は自家消費や自由契約での売電が行われることを想定して制度設計されている、と説明されています(出典:資源エネルギー庁 どうする?ソーラー よくあるご質問)。
満了は設備の寿命ではなく、制度の想定どおりの折り返し地点です。

売る電気だけでなく買う電気のプランも見直しどき

売電先を決めるときに見落とされがちなのが、買う側の契約です。
卒FIT後にいくらで売れるかは事業者ごとに異なりますが、夜間や雨の日に買う電気の単価は、毎月の請求に確実に効いてきます。
売電先の条件だけを見比べて、電気料金プランを何年も前のまま放置していると、家計全体の損得は見えません。
卒FITは、売る契約と買う契約を同時に見直せる数少ないタイミングです

太陽光発電のある住宅向けの電気料金プランと、引っ越しにともなう電気の開始手続きは、エリアごとのページにまとめています。
北海道電力エリア東北電力エリア東京電力エリア中部電力エリア北陸電力エリア関西電力エリア中国電力エリア四国電力エリア九州電力エリア沖縄電力エリア

家の名義が変わっているなら、売電先を決める前にやるべき手続きがもうひとつ。
売買や相続で持ち主が変わったときは、国と電力会社の2か所に名義変更を出す必要があります。
詳しくは 太陽光の名義変更をしないとどうなるのか をご覧ください。

卒FITとあわせて読みたい記事

よくある質問

卒FITになると売電できなくなるのですか?

いいえ。終わるのは固定価格での買取期間で、住宅用は10年間と定められています。資源エネルギー庁も固定価格買取制度自体が2019年に終了するわけではないと明言しており、満了後も小売電気事業者などと個別に契約して売電を続けられます。

何もしないと本当に0円で引き取られるのですか?

契約が自動継続になっていれば、新しい単価で買取が続きます。自動継続でない場合に、どの小売電気事業者とも契約していないときだけ、一時的・例外的な受け皿として一般送配電事業者が無償で引き受けることになります。まず自分の契約がどちらかを確認してください。

満了の通知はいつ届きますか?

買取期間満了の6か月から4か月前、買取者のシステムの都合によっては3か月前を目途に、現在買取を行っている事業者から届くことになっています。資源エネルギー庁のサイトには大手電力会社10社の通知サンプルも掲載されているので、届いた書面と見比べられます。

いまの電力会社のまま継続して、あとから乗り換えられますか?

旧一般電気事業者が満了後に結ぶ1回目の買取契約については、違約金など解除を制限する条項を設けないことが望ましいとされ、国が要請して了承されています。ただし電力会社の負担で蓄電池等を設置するような、相当程度の設備投資が必要なメニューは例外とされ、法律による禁止でもありません。申し込む前に契約書の解約条件を確認してください。

売電先はどうやって探せばよいですか?

資源エネルギー庁が買取を希望する小売電気事業者の一覧を公開しており、都道府県で絞り込めます。ただし掲載は事業者からの希望登録にもとづくため、載っていない会社が買い取らないという意味ではありません。候補が決まったら各社の公式サイトで条件を確認してください。

まとめ

卒FITで終わるのは固定価格での買取期間だけで、制度も売電も終わりません。
何もしなかったときの結果は、いまの契約が自動継続かどうかで正反対です。
自動継続なら新しい単価で買取が続き、そうでなければ買取者が不在となって、一般送配電事業者が無償で引き受けることになります。
だからこそ、他社の単価を調べる前に、自分の契約がどちらなのかを確かめてください。

そして、旧一般電気事業者にあたる大手電力会社との1回目の契約には違約金など解除を制限する条項を設けないよう国が要請しており、あとから乗り換える道は残されています
電力会社の負担で蓄電池を設置するようなメニューは例外とされているので、そこだけは契約書を読んでから決めてください。
「今日決めないと損をする」という説明は、資源エネルギー庁が4つの類型を挙げて否定しています。
通知が届いてから満了までは数か月。
売る契約と、買う契約を並べて見直す時間だと考えれば、焦る必要はありません。

卒FIT後の電気の契約でお困りなら

「通知が届いたが何から決めればいいかわからない」「売電の相談のついでに、いまの電気料金プランも見てほしい」という方は、電気手続き受付センターにご相談ください。
お住まいのエリアに合わせて、電気の契約・切替・開始の手続きをまとめてサポートします。