電力自由化とは?新電力の仕組みを図解でやさしく解説

本記事の情報は2026年10月時点のものです。制度や料金プランは改定される場合があります。最新情報は経済産業省・資源エネルギー庁や各電力会社・小売電気事業者の公式サイトでご確認ください。

「電力自由化」という言葉はよく聞くけれど、結局なにが自由になったの?新電力ってどういう仕組み?と気になりますよね。

この記事では、電力自由化とは何か、電気が届くまでの「発電・送配電・小売」の3部門と自由化で選べるようになったもの、「なぜ安くなると言われるのか」と安くならない場合、送配電網を公平に使うための改革(発送電分離)、そして「変わったこと・変わらないこと」を、資源エネルギー庁の公式情報をもとに図解でやさしく整理します。

📋 この記事でわかること
  • 電力自由化とは何か(2016年4月の全面自由化)
  • 仕組みを図解:発電・送配電・小売の3部門と、選べるもの・変わらないもの
  • 新電力のお金と契約の流れ
  • 自由化で電気代はなぜ安くなると言われるのか・安くならない場合
  • 発送電分離で送配電網の中立性を高めるしくみ
  • 自由化が進んだ順番(2000年から2016年まで)
  • 自由化で「変わったこと・変わらないこと」
  • 倒産・撤退したらどうなるのか

電力自由化とは?

電力自由化とは、電気を売る事業(小売)への参入が自由になり、消費者が電力会社や料金メニューを自由に選べるようになったことです。

資源エネルギー庁は「2016年(平成28年)4月1日以降は、電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました」としています(出典:資源エネルギー庁)。

それまで、家庭の電気は地域の大手電力会社からしか買えませんでしたが、2016年4月からは家庭でも電力会社を選べるようになったのです。

電力自由化・新電力の仕組みを図解|発電・送配電・小売の3部門

電力自由化や新電力の仕組みを理解するカギが、電気が家庭に届くまでの「発電」「送配電」「小売」の3つの部門です。
まずは、電気が家庭に届くまでの流れと、そのどこが自由化されて家庭が選べるようになったのか、どこが変わらないのかを図解で見てみましょう。

図解:電気が家庭に届くまでと、自由化された部門

発電

電気をつくる

自由化・届出制
▶

送配電

電線・電柱で送り届ける

地域独占・許可制
▶

小売

契約・料金請求

自由化・登録制
▶

ご家庭

電気を使う

契約先を選べる

新電力に切り替えて変わるのは、右から2番目の「小売」だけです。
電気を届ける「送配電」は、どの会社と契約しても地域の一般送配電事業者が担い続けます。
だから新たに電線を引く必要はなく、停電のリスクや電気の品質も変わりません(スマートメーター未設置の家庭は交換工事が必要で、交換時に短時間の停電が伴う場合があります)。

出典:資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」「よくある質問」「電力会社の切り替え方法」・エネルギー白書2023をもとに作成。

部門役割自由化の扱い家庭から見ると
発電電気をつくる参入自由(届出制)直接は契約しない(再エネ中心の事業者から買うことは可能)
送配電電気を送り届ける(電線・電柱)一般送配電事業者が地域独占(許可制)選べない・変わらない(地域の一般送配電事業者)
小売電気を売る・契約・料金請求参入自由(登録制)会社・料金メニューを選べる
資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」・エネルギー白書2023より作成。発電→送配電→小売の順で電気が届く。

このうち自由化で新規参入できるようになったのは「発電」と「小売」です。
一方、電気を送り届ける「送配電」は、資源エネルギー庁が「送配電部門については、電力小売全面自由化後も、政府が許可した事業者が担っています」とするとおり、引き続き地域ごとの一般送配電事業者が担っています(出典:資源エネルギー庁)。

エネルギー白書2023でも、小売電気事業(登録制)・送配電事業(許可制)・発電事業(届出制)と事業ごとに区分され、一般送配電事業者には「需給バランス維持、送配電網の建設・保守、最終保障サービスの提供、離島のユニバーサルサービスの提供」が義務づけられているとされています(出典:資源エネルギー庁)。
家庭が直接契約するのは小売の会社で、資源エネルギー庁は「再生可能エネルギーを中心に電気を供給する事業者から電気を買うことも可能です」としています(出典:資源エネルギー庁)。
つまり、私たちが契約する「電力会社(小売)」は変わっても、電気を届ける送配電網は地域共通で、安定供給の責任を負う会社が管理しているのです。

新電力の仕組み:お金と契約の流れ

上の図は電気そのものの流れでした。
新電力の仕組みは、電気の流れとお金・契約の流れが別になっていると考えると分かりやすくなります。

図解:新電力と契約したときのお金と契約の流れ

ご家庭

新電力と契約し、電気料金を払う

▶

新電力(小売)

電気を調達し、送配電網の利用料を払う

▶

送配電

託送料金を受け取り、電気を届ける

家庭が契約して料金を払う相手は新電力ですが、電気を家まで運ぶのは地域の送配電会社のままです。
新電力は、送配電網を使う料金(託送料金)を送配電会社に払って電気を届けています。

出典:資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」「よくある質問」をもとに作成。

新電力は、自社や他社の発電所、卸電力取引所などから電気を調達し、地域の送配電網を通じて家庭に届けます(出典:資源エネルギー庁・資源エネルギー庁)。
送配電網を使う料金が託送料金で、新電力だけでなく大手電力会社の小売部門も、販売した電気の量に応じて負担しています(出典:資源エネルギー庁)。
つまり、新電力の料金にも送配電網の利用料がふくまれていて、その送配電網はどの会社と契約しても同じものです。

自由化後の電気料金は、会社の裁量で決まる部分(電気の調達費用や人件費など)と、法令などで決まる部分(託送料金や再エネ賦課金、税など)を合わせたものです(出典:資源エネルギー庁)。
会社ごとに工夫できるのは前者の部分です。

電力自由化で電気代はなぜ安くなる?|安くならない場合も

「自由化すると電気代が安くなる」と聞くことがありますが、新電力に切り替えれば必ず安くなる、というわけではありません。
資源エネルギー庁は、小売の自由化で「事業者間の競争をうながし、電気料金の抑制につなげることを狙いのひとつとしています」と説明しています(出典:資源エネルギー庁)。
また、「電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、料金メニュー・サービスが多様化」するとし、電気とガス、電気と携帯電話などのセット割引やポイントサービスが登場していると紹介しています(出典:資源エネルギー庁)。

つまり、安くなる可能性があるのは会社どうしの競争と、料金メニューの選択肢が増えたことによるものです。
上で見たように、託送料金や再エネ賦課金、税などは法令等で決まる部分です。
そのため、会社が自ら工夫できるのは電気の調達費用や人件費などの部分です。

安くならない場合もある

一方で、料金の決まり方によっては、燃料や電力の市場価格が上がったときに料金が上がりやすいものがあります。
資源エネルギー庁によると、規制料金(大手電力の従来型メニュー)の燃料費調整には「上限(基準平均燃料価格の1.5倍を上限として設定している)」がありますが、「自由料金の燃料費調整では、上限がないものが多いです」(出典:資源エネルギー庁)。
上限のないプランでは、燃料価格の上昇分が上限で止まらずに料金へ反映されます。

また、電力の市場価格に連動する「市場連動型メニュー」について、資源エネルギー庁は「夏季・冬季の電力の市場価格高騰時に、料金が高騰するおそれがありますので、契約内容をよくご確認ください」と注意を促しています(出典:資源エネルギー庁)。

安くなりうる理由安くならないことがある理由
会社どうしの競争がある燃料費調整に上限がない自由料金が多い
セット割・ポイントなどメニューが多様市場連動型は市場高騰時に料金が高騰するおそれ
使い方に合うメニューを選べる使い方に合わないと割高になることも
資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」「電気料金の改定について(2023年6月実施)」をもとに編集部作成。

安さだけで選ばず、燃料費調整の上限の有無と、市場連動型かどうかを契約前に確かめておくと安心です。
確認のポイントは新電力の選び方の記事、市場連動型の仕組みや2021年の高騰の例は市場連動型プランの記事で詳しく解説しています。

発送電分離|送配電網を公平に使うための改革

ここで疑問になるのが、「発電や小売を自由化しても、送配電が大手電力のものなら、新電力は不利にならないのか?」という点です。
この課題に対応する改革のひとつが発送電分離です。
資源エネルギー庁は「電気を各会社や家庭に届ける送配電部門が、これまでの電気事業者と新しく参入した事業者を平等に扱わないと、健全な競争が行われず、改革は進みません」とし、「さまざまな事業者が送配電網を公平に利用できるよう、中立性を高める」方法のひとつが法的分離(送配電部門の分社化)だと説明しています(出典:資源エネルギー庁)。

そして、エネルギー白書2023によれば「2020年4月に送配電部門の法的分離が行われました」(沖縄電力を除く各社)(出典:資源エネルギー庁)。
送配電網の中立性を高め、大手電力も新電力も同じ送配電網を公平に利用できるようにするのがねらいで、健全な競争を支える仕組みのひとつです。

自由化は段階的に進んだ|2000年から2016年まで

自由化は一度に行われたわけではなく、段階的に進んできました。
資源エネルギー庁によると、1995年の電気事業法改正で、まず発電部門への参入が原則として自由になりました(出典:資源エネルギー庁)。

小売の自由化は「2000年3月に始まりました」とされ、はじめは「特別高圧」区分の大規模工場やデパート、オフィスビルが電力会社を選べるようになりました。
その後、2004年4月・2005年4月には対象が「高圧」区分の中小規模工場や中小ビルへと広がり、2016年4月1日からは「低圧」区分の家庭や商店などでも電力会社を選べるようになりました(出典:資源エネルギー庁)。
つまり、大きな工場から順に自由化が進み、最後に家庭が加わって「全面自由化」になったという流れです。

時期自由化の対象
1995年発電部門への参入が原則として自由に
2000年3月小売:特別高圧(大規模工場・デパート・オフィスビル)
2004年4月・2005年4月小売:高圧(中小規模工場・中小ビル)
2016年4月1日小売:低圧(家庭・商店など)=全面自由化
資源エネルギー庁「電力の小売全面自由化って何?」「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」より作成。
「仕組みはわかったけれど、結局どの会社を選べばいいの?」という方は、電気手続き受付センターにご相談ください。
お住まいのエリアやご希望に合わせた電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。
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新電力と多様な料金プラン

大手電力会社以外で電気の小売を行う会社は「新電力」と呼ばれ、とくに2016年の全面自由化以降、数多くの事業者が参入しています(出典:資源エネルギー庁)。
事業者が料金を自由に設定できるようになったことで、これまでにない多様な料金メニューが登場しました。

エネルギー白書2023は「段階別料金や既存事業とのセット割、時間帯に応じて料金差を付ける時間帯別料金」「完全従量料金メニューや定額料金メニュー、…節電状況に応じた割引メニュー、セットプラン等」が提供されるようになったとしています(出典:資源エネルギー庁)。
ガスや通信とのセット割、時間帯によって単価が変わる時間帯別プランなど、ライフスタイルに合わせて選べるのが自由化のメリットです。

ただし、料金の安さだけで選ぶと合わないこともあるため、規制料金と自由料金の違いや損得は規制料金と自由料金の違いの記事、選び方は新しい電力会社の選び方の記事をご覧ください。

自由化で「変わったこと・変わらないこと」

自由化で何が変わり、何が変わらないのかを整理すると、安心して見直しを検討できます。

変わったこと変わらないこと
電力会社・料金プランを自由に選べる電気の品質・停電のしやすさは同じ
セット割・時間帯別など多様なプラン電気を届ける送配電網は地域共通
会社どうしの料金・サービス競争送配電は地域独占で安定供給の義務あり
資源エネルギー庁より作成。

とくに知っておきたいのが、会社を変えても電気の品質や停電のしやすさは同じという点です。
資源エネルギー庁は「今ある送配電網を使うので新たに電線を引くことにはなりません。また、電気そのものの品質や信頼性(停電の可能性など)は、どの会社から電気を買っても同じです」としています(出典:資源エネルギー庁)。
「新電力に変えると停電しやすくなる」といった心配はいりません。

契約先が倒産・撤退したらどうなる?

「新電力は倒産しそうで不安」という声もありますが、契約先が倒産・撤退しても、電気がすぐ止まるわけではありません。
資源エネルギー庁は「電力会社が倒産・撤退する場合、電力会社から無契約状態になるまでの期日について通知が来ることになります。原則、その期日までに新しい小売電気事業者と契約していただくことで引き続き電気の供給を受けることができます」としています(出典:資源エネルギー庁)。

期日までに契約が間に合わなかった場合も、ただちに電気の供給が止まるわけではありませんが、無契約状態が長期間続くと止まることもあり得るとされています(出典:資源エネルギー庁)。
通知が来たら、早めに次の会社を探して契約しましょう。
倒産・撤退時の詳しい流れやセーフティネットは、電力会社の乗り換えのデメリットの記事で解説しています。

電力自由化とあわせて読みたい記事

よくある質問

電力自由化はいつから始まったのですか?

家庭向けを含む「小売全面自由化」は2016年4月1日からです。それ以前も、大型工場などの特別高圧、中小規模工場などの高圧では段階的に自由化が進んでおり、最後に残った家庭向けの低圧が2016年4月に加わって全面自由化が実現しました。

新電力に変えると停電しやすくなりませんか?

なりません。電気を届ける送配電網はどの会社でも共通で、資源エネルギー庁も「電気そのものの品質や信頼性(停電の可能性など)は、どの会社から電気を買っても同じ」としています。自由化で変わるのは契約する小売会社であり、送配電網や安定供給の仕組みは変わりません。

発送電分離とは何ですか?

大手電力の送配電部門を別会社に分け、送配電網の中立性を高める改革です。2020年4月に、沖縄電力を除く各社で送配電部門の法的分離(分社化)が行われました。大手電力も新電力も同じ送配電網を公平に利用できるようにすることがねらいです。

電力自由化でなぜ安くなるのですか?新電力は必ず安くなりますか?

自由化のねらいのひとつは、事業者間の競争をうながして電気料金の抑制につなげることで、料金メニューも多様になりました。ただし、必ず安くなるとは限りません。燃料費調整に上限がない自由料金プランは燃料価格の上昇分が上限で止まらず、市場連動型のプランは市場価格の高騰時に料金が高騰するおそれがあります。使い方に合わないプランを選ぶと割高になることもあるため、規制料金と自由料金の違いや選び方の記事も参考に、自分の使用量に合うかを見極めて選びましょう。

まとめ

電力自由化とは、2016年4月に電気の小売が全面自由化され、家庭も電力会社や料金プランを選べるようになったことです。
電気は「発電・送配電・小売」の3部門で届けられ、自由化で参入自由になったのは発電と小売、送配電は引き続き地域の一般送配電事業者が担っています。
2020年4月には沖縄電力を除く各社で送配電部門が別会社に分かれ、新電力も大手電力も送配電網を公平に使えるよう、中立性を高める改革が進められました。

自由化で安くなる可能性があるのは、会社どうしの競争と料金メニューの選択肢が増えたためです。
ただし、燃料費調整に上限がないプランや市場連動型のプランは高騰時に料金が上がることがあり、必ず安くなるわけではありません。

会社を変えても電気の品質や停電のしやすさは同じで、倒産・撤退時も通知を受けて期日までに次の会社と契約すれば供給は続きます。
仕組みがわかったら、規制料金と自由料金の違いや、自分に合う会社の選び方を確認して、電気の見直しを検討してみましょう。

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