炊飯器の保温機能は、ごはんを炊いた後も温かく保つための便利な機能ですが、その温度は一般的に何度なのか、また、保温が可能な時間はどれくらいなのかなどは、意外と知られていません。
この記事では、炊飯器の保温温度の設定やごはんの保管方法について解説します。さらに、炊飯器を使って低温調理ができるのかどうかについても注目。炊飯器をもっと活用したいと考えている人には必見の内容です。炊飯器の新たな可能性を探って、おいしいごはんをより手軽に楽しみましょう。
炊飯器の保温機能の温度
炊飯器の保温機能は、炊きたてのごはんをおいしく保つ機能です。ごはんの温度を一定に保つことで、水分量や食感を調整します。炊飯器の保温温度は、一般的な製品では約60〜70度に設定されています。
しかし保温時間が長くなると、ごはんが乾燥したり色が変わったりしてしまうので、保温時間はできるだけ短くしましょう。また、保温機能を使う場合は、ごはんを均等にかき混ぜてから蓋を閉めることで、ムラを防げます。
炊飯器の保温温度が一定である理由
炊飯器の保温温度って60〜70度なんだ。意外と高温に設定されているんだね。
どうして保温温度が一定なんだろう。何か理由があるのかな。
続いては、炊飯器の保温温度がなぜ一定なのか、その理由にもう少し詳しく迫ってみましょう。炊きたてのごはんのおいしさを保つだけではない、他の理由やメリット、効果は一体何なのでしょうか。
雑菌の繁殖を防ぐため
保温温度が一定に維持される主な理由は、雑菌の繁殖を防ぐためです。食べ物が腐敗する主な原因は、さまざまな雑菌によるものです。
雑菌は温度が60度以下の環境で特に繁殖しやすくなります。保温温度が60度未満に下がると、雑菌が増殖し、同時に傷みやすくなり、食品の質が低下して食中毒や健康リスクが高まる可能性があります。
保温機能で適温を維持することで、ごはんが安全な状態で保たれ、おいしさも維持できるのです。
メイラード反応によるお米の変色を防ぐため
保温温度が一定なもうひとつの理由は、メイラード反応によるごはんの変色を防ぐためです。メイラード反応とは、糖とアミノ酸が加熱されると褐色化する化学反応のことで、お米にも含まれている成分です。炊飯器の保温温度が高すぎると、お米の表面が茶色くなり、風味や食感が損なわれます。
逆に保温温度が低すぎると、お米が冷めてしまい細菌の繁殖にもつながります。保温機能ではメイラード反応を抑えつつ、ごはんを適度に温かく保てる温度に管理されているのです。
炊飯器の保温機能を使う時の注意点
予約炊飯をして保温しておけば、いつでもおいしいごはんが食べられるから便利だよね!
長時間保温できて便利だけど、どのくらいまでおいしい状態で保温しておけるんだろう。安全面も気になるな。
炊飯器の保温機能は、炊飯後のごはんの品質を保ち、炊きたての温かさでいつでもおいしく食べられる便利な機能ですが、使う時には注意点がいくつかあります。次は、保温機能を活用する際に知っておきたいポイントについて詳しく見てみましょう。
炊飯器を頻繁に開け閉めしない
保温運転の最中は、炊飯器の蓋を頻繁に開け閉めしないように注意しましょう。炊飯器の蓋を開けると、保温中のごはんから水分が蒸発してしまいます。
水分が失われると米粒が乾燥して硬くなったり、カビや細菌の繁殖に繋がったりする可能性があります。水滴がごはんに落ちると味や品質が低下する原因になるので、蓋を閉めるときには内側に付いた水滴を拭き取ってから閉めることもポイントです。
しゃもじなどを一緒に入れて保温しない
ごはんのおかわりが多い家庭では、炊飯器の中にしゃもじを入れている様子が見られますが、しゃもじなどを入れたままで保温するのはNGです。しゃもじには手の雑菌がついているため、炊飯器の中にしゃもじを入れたままで保温すると、炊飯器内での雑菌の繁殖が懸念されます。
手洗いをして清潔にしていても、雑菌は完全にはなくなりません。雑菌繁殖による健康面への影響だけでなく、せっかくおいしく炊けたごはんの味の品質が落ちる懸念もあります。
また、プラスチック製のしゃもじの場合、保温によって高温になるとしゃもじがひび割れたり溶け付いたりする可能性があります。衛生面と安全面の観点から考えて、保温機能を使うときには必ずしゃもじを取り出して、炊飯器の蓋を閉めて保温しましょう。
おいしく保管できる保温の時間
おいしいごはんを炊いたら、その美味しさを長く保ちたいですよね。通常、炊飯器で炊いたごはんの保温では、5〜6時間程度がおいしさを維持する限界と言われています。これを超えると、ごはんの水分が失われ、味わいが損なわれ、食感が悪くなり、黄色みがかったり、パサついたりする可能性が高まります。
また、何日も保温し続けると、腐敗の危険性も出てきます。さらに、電気代もかさむことから、長時間の保温は避けた方が良いでしょう。朝炊いたごはんをお昼に食べるなら、保温したままでも問題ありませんが、前日の夜に炊いたごはんを朝に食べる際には、安全と鮮度の観点からおすすめできません。
冷ましたごはんを再び温めると微生物の繁殖が促進され、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。炊いたごはんはできるだけ早く食べるよう心がけましょう。ただし、最近の炊飯器には長時間の保温機能を備えたモデルも増えているので、長く保温しておきたい人は検討してみてください。
■炊飯器でどれくらいの時間を保温できるかについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
保温機能の使用時の電気代
長時間使う炊飯器の保温機能ですが、いったい電気代はどのくらいかかっているのでしょう。
保温機能の消費電力は、平均して約20~30W程度と言われています。これを電気代の目安である31円/1kWh(参考:全国家庭電気製品公正取引協議会|新電力目安単価)で換算すると、1時間で約0.5~0.6円です。そして炊飯時の消費電力は500~600W程度なので、電気代は約5~6円と算出されます。
つまり、10時間保温=炊飯時の電気代と同じくらいになるということです。保温機能は便利ですが、長時間使うと電気代がかさむことが分かります。節約のためには、必要な分だけごはんを炊いてすぐに食べるか、冷凍保存してレンジで温めるなどの工夫が必要です。
保温機能で低温調理はできる?
炊飯器の保温機能を活用した低温調理は可能なのでしょうか。結論から言うと、保温機能による低温調理はあまりおすすめできません。
保温機能では炊飯器内の温度が約60~約75度に保たれるので、低温調理の適温よりも高い設定です。保温の設定温度では、低温調理にはやや高すぎるため不向きです。
レシピによっては炊飯器で作れる料理もあるものの、低温調理には専用器具を使うか、近年では低温調理用の機能が搭載されたモデルも登場しているので、低温調理機能付きの炊飯器を選ぶのがおすすめです。
保温機能に特化したおすすめの炊飯器
炊きたてごはんのおいしさを味わうのには欠かせない、炊飯器の保温機能。保温機能に優れている高性能の炊飯器を選べば、毎日のごはんがもっと楽しみになりますね。
しかし市場にはさまざまな炊飯器が販売されていて、どれを買えばいいのか悩んでしまいますよね。続いては保温機能を重視したい人にぴったりな、保温機能に特化している炊飯器のおすすめ製品をご紹介します。
タイガー魔法瓶 土鍋ご泡火炊き JPL-S100
タイガー魔法瓶の土鍋ご泡火炊き JPL-S100は、「連続ノンストップ加熱」機能によって、お米の炊き上げに理想的な火力を発揮する炊飯器です。内なべには高い蓄熱性を持つ本土鍋が採用され、内なべ外側の温度が約280度に達すると旨みを引き出す遠赤効果が発揮されます。
炊飯時の高温蒸らしで発生する蒸気を取り除く「ハリつやポンプ」では、炊きあがり後しばらくしてからポンプが稼働し、外気を取り込んで蒸気を放出します。過剰な蒸気を放出することで釜内の湿度が整えられ、24時間経ってもごはんをおいしく保温できるのです。
さらに、70種類の「銘柄巧み炊きわけ」機能では、日本全国5,000種以上のお米の銘柄の特長の分析データを活用し、それぞれのお米に合った炊き方でおいしく炊き上げます。
「一合料亭炊き」機能では、お米に熱が均等に伝わりにくくなる1合炊きでも、専用の土鍋中ぶたを用いて炊飯空間を小さくして炊飯環境を最適化します。お茶碗一杯分から0.5合まで、食べたい分だけいつでもおいしいごはんを楽しめる便利な機能です。内なべには安心の5年保証付きで、長く使い続けられます。
象印 炎舞炊き NW-FB10
象印の炎舞炊き NW-FB10は、6つの底IHヒーターによる「炎舞炊き」が特徴の炊飯器です。加熱範囲を6つのブロックに分割、加えて2つのコイルを対角線上で同時加熱する独自の仕組みによって、部分的な集中加熱を繰り返し、釜の中心部まで均一に炊き上げます。
釜内には温度を正確に検知する、蓋・底・蒸気の3つのセンサーが搭載されています。圧力センサーは釜内部の圧力を細かく調整して食感を最適化し、保温時にはうるおいセンサーが蓋の開閉回数を監視します。室温センサーは保温温度を適切に調整し、おいしさを持続させます。
内釜内面には遠赤外線とプラチナナノ粒子からなる「うまみプラス プラチナコート」が施され、ごはんの甘み成分の還元糖とアミノ酸を引き出します。また、121通りの炊き方から好みの食感に合わせる「わが家炊き」では、前回の食感を元に炊き方を微調整し、炊飯のたびに好みのごはんに近づく便利な機能です。
日立 ふっくら御前RZ-W100GM
日立のふっくら御前RZ-W100GMは、専用アプリと連携できるスマート炊飯器です。大火力で沸騰させ、圧力スチームで蒸らす「圧騰甘み炊き」を採用し、じわっと広がるごはんの甘みと土鍋釜で炊いたような粒立ちを実現しています。
お米に吸水をしっかりさせて、最高1.3気圧まで圧力を上げ、大火力の加熱と高温蒸らしを組み合わせることにより、甘みを最大限に引き出し、粒立ちよく炊き上げられます。水温に合わせて火加減や浸し時間を調整する「水温あわせ浸し」も採用されており、水温の変化に関係なく、米の芯まで均一に水分を吸収させます。
炊飯中にはほとんど蒸気が発生しない蒸気カット機能があるため、炊飯器の置き場所に困りません。専用アプリとの連携機能では、「わがや流」コースからお好みの炊き上がりをカスタマイズでき、外出先からでも予約時間を変更できます。
保温温度が低い状態で最大40時間の保温を行なう「スチーム保温」や、まとめて炊いて食べたいときに温められる「冷凍用」コース、少量のごはんでもおいしく炊ける「少量コース」などの便利な機能も満載です。
低温調理もできるおすすめの炊飯器
最近では低温調理機能を備えた炊飯器が注目を集めています。低温調理は、食材をじっくりと加熱することで、素材の旨味を引き出し、食事をよりおいしく、栄養豊富にする方法として評価されています。
続いては、低温調理が可能なおすすめの炊飯器をご紹介します。料理の幅を広げる選択肢として、気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。
タイガー魔法瓶 炊きたて JPV-A100
タイガー魔法瓶 炊きたて JPV-A100は、もっちり食感の「圧力炊き」ができる炊飯器です。圧力炊きでは、炊きあげ時に約1.25気圧の圧力をかけることで、内なべの中の温度を約106度に高め、ごはんの粘りと甘みを引き出します。
土鍋コート釜の外側には、蓄熱性を高める素材「ヒートカットパウダー」を採用し、異なる粒子の素材を重ねることで蓄熱性を向上させて、高火力と遠赤効果によってごはんの甘みが一層引き立ちます。
土鍋からヒントを得た「旨み粒立ち炊飯プログラム」では、低めの温度でごはんを長時間吸水させ、急速に温度を上昇させることで、甘みともっちり食感を持つごはんを炊き上げます。
お手入れ面にも配慮されており、内ぶたはワンタッチで着脱できて、内ぶたと内なべの洗浄だけで毎回のお手入れが完了。しかも内ぶたは食器洗い乾燥機対応なので、最小限のお手入れで済みます。内なべには3年保証がついており、フッ素コーティング剥がれなどのトラブルにも対応できて安心です。
パナソニック SR-NA102
パナソニックのSR-NA102は、圧力炊飯を駆使してお米を炊き上げます。内釜には、優れた発熱性と蓄熱性を兼ね備えた「ダイヤモンド竈釜」を採用。お米の芯までしっかりと熱を通すことで、冷めてもおいしく、ふっくらとした仕上がりです。
100度以上の高温で加熱することで、芯までしっかりと糊化させ、固くなりにくいごはんを炊き上げます。さらに、多彩なレシピから自由に選んで、お手軽に調理できる優れた自動調理機能も搭載。手動調理も可能で、煮込みから無水調理、低温調理など幅広い料理に対応できるので食卓が豊かになりますね。
5合炊きの大容量モデルながら最小限の設置面積を実現し、キッチンのスペースを有効活用しながら、使いやすさとデザイン性を両立させています。フレーム形状は凹凸が少なく、お手入れが簡単で、圧力を利用したお手入れ機能を備えています。
アイリスオーヤマ IHジャー炊飯器 RC-IL50-W
アイリスオーヤマのIHジャー炊飯器 RC-IL50-Wは、1台でさまざまな調理を楽しめて、低温調理によってパンやケーキの調理も可能です。
炊飯メニューでは、お好みや料理に合わせてごはんのかたさと食感を調整でき、9通りの細かい炊き分けが可能です。50種類以上の米銘柄に対応した、各銘柄それぞれの特徴を最大限に引き出すおいしいごはんを炊き上げます。
極厚火釜は、ごはんをムラなくふっくらと炊き上げるために設計されており、お米一粒一粒に均等に熱を伝えます。料理に合わせてお米の炊き上がりを選べるので、いつもの料理もグレードアップしますね。
低温調理機能は、材料を入れて設定するだけで、サラダチキンからヨーグルト、甘酒まで手軽に調理できます。本体は落ち着いたマットな質感で、暮らしに馴染むシンプルなデザインも魅力的です。
炊飯器の保温機能は温度と時間が重要
この記事では、炊いたごはんを適切な温度でおいしく保てる、炊飯器の保温機能について詳しくお伝えしてきました。
- 保温機能は5〜6時間がおいしさを維持できる限界
- 保温設定は雑菌繁殖の防止のため約60〜70度に設定されている
- 温度が高すぎるとごはんが乾燥してしまう
- 保温により、メイラード反応によるごはんの変色も防げる
- 保温中は水分の蒸発を防ぐため、蓋を頻繁に開け閉めしない
- しゃもじを入れて保温すると雑菌が繁殖する原因となる
- 保温機能は基本的に低温調理に不向き
- 低温調理には専用の調理モードを備えた製品がおすすめ
炊飯器の保温機能は、炊きたてのごはんのおいしさをキープする上で欠かせません。保温機能を適切に使うことで、食感や風味が守られ、おいしい状態で保たれます。
時間が長すぎると、ごはんが過度に乾燥してしまいます。保温機能は温度と時間のバランスが鍵です。炊けたごはんはおいしいうちになるべく早く食べるよう心がけて、お米の甘みや旨みを味わいましょう。