エアコンの除湿には弱冷房除湿と再熱除湿の2種類がありますが、見分け方が分からない人も多いのではないでしょうか。
機能がよく分からないままエアコンを使うのは不安ですよね。
今回は弱冷房除湿と再熱除湿について基礎から解説します。
それぞれの除湿の仕組みからメリットまで詳しく分かりますよ。
弱冷房除湿と再熱除湿の機能の特徴やメリットについてよく理解して、自宅のエアコンを上手に使ってください。
この記事でわかること
- 弱冷房除湿は室温を下げながら除湿、再熱除湿は室温を維持しながら除湿する機能
- 再熱除湿機能は、すべてのエアコンには搭載されておらず、それぞれメーカー特有の機能特徴もある
- 弱冷房除湿と再熱除湿を見分ける方法は、リモコンを確認するか、対象製品のWebサイトやカタログを確認する2つの方法がある
弱冷房除湿と再熱除湿とは
そもそも弱冷房除湿と再熱除湿がどんなものか文字だけを見ても見当がつかない人も多いでしょう。
ここからはそれぞれの除湿について仕組みから解説します。少し科学的な話になりますが難しくありませんよ。
仕組みが分かると弱冷房除湿と再熱除湿を安心して使いこなせるので、まずはそれぞれの仕組みを確認してみてください。
弱冷房除湿とは
初夏は冷房じゃなくて除湿を使っているよ
弱冷房除湿なら初夏にぴったりですよ!
弱冷房除湿とは、空気を室温より冷たくして除湿した風を送り出す機能です。
そもそも除湿をするためには室内の空気をエアコンが吸い込んで冷やす必要があります。
空気は温度を低くすると保持できる水分量が減る性質があるからです。
暖かく水分を多く含む空気を冷やして水分量を減らすのが除湿の仕組みです。
弱冷房除湿は冷やして除湿した空気をそのまま部屋に送り出します。
冷房を使うほど冷たくはなりませんが、室温より少し冷たい空気になるのでマイルドな冷房として使えます。
再熱除湿とは
雨の日に弱冷房除湿を使うと冷えすぎる…。
それなら再熱除湿が便利ですよ!
再熱除湿とは、空気を室温より冷たくして除湿した上で快適な温度に温め直した風を送り出す機能です。
再熱除湿も除湿する時に空気を冷やす必要がありますが、その後室温と同じ温度まで空気を温め直します。
そのため再熱除湿を使うと部屋の湿度だけを下げられます。
除湿した空気を温め直す分、電気代は余計にかかりますが肌寒い季節に除湿したい場合は役に立つ機能です。
ハイスペックなエアコンやプレミアムモデルには、再熱除湿が搭載されています。
弱冷房除湿の特徴やメリット
弱冷房除湿には温度を下げながら除湿できる特徴があり、消費電力が少ないメリットがあります。
特徴・メリットをよく理解しておけば、弱冷房除湿を効果的に使いこなせるようになりますよ。
ここからは弱冷房除湿の特徴・メリットについて詳しく解説します。
温度を下げながら除湿できる
弱冷房除湿は温度を下げながら除湿できます。除湿するために冷やした空気をそのまま送り出すのが弱冷房除湿の機能だからです。
そのため、初夏などの湿度や気温が少し高い時期に便利に使えます。
夏場の冷房に比べると室内の空気を冷やす能力は劣りますが、少しの暑さなら弱冷房除湿だけで十分対処できます。
夏場に湿度を下げるだけでも快適さは上昇するので、冷房を使うまでもない気温なら弱冷房除湿がおすすめです。
消費電力が少ない
弱冷房除湿は再熱除湿や冷房に比べて消費電力が少ないのがメリットです。
除湿するのに必要なだけ空気を冷やしてそのまま送り出しているのであまり電力を使いません。
そのため除湿する際に室温が下がってもよいなら、再熱除湿よりも弱冷房除湿を使う方が節約になります。
また、多少の蒸し暑さなら冷房を使うよりも弱冷房除湿を使った方が電気代を抑えられます。
まずは弱冷房除湿を使ってみて、パワーが足りなければ冷房を使うのがおすすめです。
再熱除湿の特徴やメリット
再熱除湿は温度を下げずに除湿できるのが特徴で、梅雨時の使用にも向いているメリットがあります。
再熱除湿の特徴・メリットを踏まえて弱冷房除湿と使い分ければ、快適に部屋を除湿できますよ。
ここからは再熱除湿の特徴・メリットを詳しく解説します。
温度を下げずに除湿できる
再熱除湿は温度を下げずに除湿できます。除湿するために一度冷やした空気を温め直すのが再熱除湿の機能だからです。
そのため肌寒い時期に湿度だけ下げたいときは再熱除湿が向いています。
空気を温め直す分、弱冷房除湿よりも電気代はかかってしまいますが、湿度だけをコントロールして快適な空気を作り出せますよ。
冷房と一緒に使えば、室温を設定温度に保ちながら除湿できます。
高価格帯のエアコンには冷房と再熱除湿を自動で切り替えるエアコンもあるので要注目です。
梅雨時期の使用にも向いている
再熱除湿は梅雨時の使用にも向いています。梅雨時はまだ気温が低い日もある時期です。
そのため弱冷房除湿を使ってしまうと部屋の空気が冷えすぎる場合もあります。
再熱除湿なら部屋の温度を下げないので快適です。
梅雨時は外に洗濯物を干せない天気が続くので部屋干しをする人も多いでしょう。
部屋干しをするとどうしても部屋の湿度が上がり、快適さが下がるだけでなく洗濯物が乾きにくくなります。
部屋干しをするなら同時に再熱除湿をしておくと、快適な温度を保ちながら湿度も下げることができ、ストレスなく過ごせるでしょう。
弱冷房除湿と再熱除湿の見分け方
弱冷房除湿と再熱除湿はそれぞれに特徴があるまったく別の機能ですが、どう見分けたらよいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
実は弱冷房除湿機能と再熱除湿機能が両方とも搭載されているエアコンは多くありません。
エアコンの価格帯によってどちらかの除湿機能が搭載されています。
おおまかな傾向としては10万円以上の高級エアコンは2つの除湿機能の両方や再熱除湿機能が搭載されています。
一方、中低価格帯のエアコンは弱冷房除湿機能のみの搭載です。
そのためエアコンの価格帯によっては2つの除湿機能を見分けるまでもないでしょう。
とはいえ高級エアコンを使っている場合はどちらの除湿機能なのか知りたくなるときもあるかもしれません。
弱冷房除湿と再熱除湿はリモコンやカタログなどで簡単に確認できます。
ここからはそれぞれの除湿機能の見分け方を解説します
リモコンで確認する
弱冷房除湿と再熱除湿の一番手軽な見分け方はリモコンの確認です。
再熱除湿機能がある場合はリモコンの除湿ボタンなどに「カラッと除湿」などの特殊な名称が記載されています。
名称はエアコンメーカーによって異なるので、どの名称が再熱除湿機能を示しているかは調べるしかありません。
機種によってはリモコンのボタンには「除湿」とだけ記載され、リモコンの画面に除湿の名称が表示される場合もあります。
リモコンをよく見て除湿の名称を調べてみましょう。名称さえ分かればWeb検索で機能の詳しい内容を調べられます。
カタログやWebサイトで確認する
カタログやWebサイトで確認するのはより確実な方法です。
カタログならそれぞれの除湿機能についてより詳細な説明が記載されている場合がほとんどです。
カタログがない場合は使っているエアコンの型番や商品名をWebで検索するとメーカーによる商品説明ページが見つかります。
商品説明ページでも多くの場合はカタログと同様に除湿機能についてより詳細な説明がされています。
カタログやWebサイトをチェックするとこれまで知らなかった機能が見つかる場合もあるでしょう。
この機会に家のエアコンについて調べてみましょう。
各メーカーの再熱除湿機能
エアコンメーカーによってどのような再熱除湿機能を搭載しているかは異なります。
中には再熱除湿機能を他の機能と組み合わせて快適な空気を作り出すメーカーもあります。
それぞれのメーカーの違いを知れば、今後エアコンを買い替える際にも役立つでしょう。
ここからはエアコンの主なメーカーごとの再熱除湿機能について詳しく解説します。
三菱電機の「さらっと除湿冷房」
三菱電機の「さらっと除湿冷房」は冷房と再熱除湿をエアコンが自動で切り替える機能です。
室温を下げるのが第一優先の冷房と湿度を下げるのが第一優先の再熱除湿を最適なかたちで組み合わせます。
そのため、「さらっと除湿冷房」を使えば設定温度まで室温を下げながら除湿できます。
「さらっと除湿冷房」は三菱電機エアコンの以下のモデルに搭載されています。
- Zシリーズ
- Xシリーズ
- ZDシリーズ
冷房だけでもある程度の除湿はできますが、「さらっと除湿冷房」は普通の冷房以上にサラッとした空気にしてくれます。
単に冷房を使うだけだと湿気が気になる人は三菱電機の「さらっと除湿冷房」がおすすめです。
ダイキンの「さらら除湿」
ダイキンの「さらら除湿」は「ハイブリッド方式」と「リニアハイブリッド方式」の2種類があります。
「ハイブリッド方式」は弱冷房除湿や再熱除湿などを自動で切り替えて快適な除湿を行う方式です。
壁掛けエアコンのMXシリーズに搭載されています。
「リニアハイブリッド方式」はダイキン最新鋭の除湿機能です。
弱冷房除湿も再熱除湿も両方可能で、熱交換器の冷却・加熱をリニアコントロールしてシーンに合わせた除湿を実現します。
熱交換器のリニアコントロールを実現しているのはダイキン独自の膨張弁です。
省エネ性と除湿能力のどちらを求めるかによって冷媒の流量を変化させて、希望に沿った除湿を実現します。
家庭用エアコンにリニア制御を搭載したのはダイキンが初めてでした。
さらにパワフルに除湿をしたければ、除湿運転中に「パワフル」ボタンを押して除湿量をアップできます。
試験空間では1時間あたり1800mLの除湿ができた強力除湿を体感できます。搭載機種はRXシリーズです。
除湿機能を25年間進化させてきたダイキンの技術力を体感したい人はぜひ試してみてください。
日立の「カラッと除湿」
日立の「カラッと除湿」は室温を自動設定して寒くならずに除湿できる再熱除湿機能です。
湿度は40~60%の範囲で5%刻みの設定ができるのが「カラッと除湿」の特徴。
自分にとって居心地の良い湿度にするのもよし、部屋干しの洗濯物が乾きやすい湿度にするのもよしで便利に使えます。
さらに80%以上の湿度を約1時間で40%ほどに下げる「急速パワフル」も合わせて使えます。
急いで除湿したいときにも力強く答えてくれますよ。
室温は10~32℃の範囲で0.5℃刻みで設定できるので、温度・湿度ともに自分好みに調整できます。搭載機種はXシリーズです。
自動設定機能も使いつつ、自分好みのカスタマイズもしたい人は日立の「カラッと除湿」がおすすめです。
富士通ゼネラルの「さらさら冷房」
富士通ゼネラルの「さらさら冷房」は冷房と再熱除湿を自動で切り替える機能です。
冷房によって室温が設定温度に到達する前に冷房を再熱除湿に切り替えます。
そのため、設定温度を保ちながら湿度を下げて蒸し暑さを減らせます。
湿度が高い状態で冷房を使うと湿度が下がりきらず、設定温度を下げているのに涼しく感じない状態になりがちです。
しかし、「さらさら冷房」なら不快感を感じずにサラサラとした涼しい空間で過ごせるようになります。
また、再熱除湿のみのモードもあり、強・標準・弱の3つのモードから好みの除湿モードを選べます。
搭載機種はXシリーズです。自動で快適な冷房に調節するエアコン機能がほしい人は富士通ゼネラルの「さらさら冷房」がおすすめです。
リモコンで弱冷房除湿と再熱除湿を簡単に見分けられる
今回は弱冷房除湿と再熱除湿について解説してきました。
弱冷房除湿なら湿度を下げながらマイルドな冷房として、再熱除湿なら湿度だけを下げる除湿機能として使えます。
季節や気温に合わせて最適な除湿を選びましょう。
また弱冷房除湿と再熱除湿はリモコンで簡易的に見分けられるほか、カタログやWebの商品ページを見ればより確実に判別できます。
複数の除湿機能が搭載されたエアコンは限られていますが、自分が使っている除湿について悩んだ場合は調べてみましょう。
各メーカーのプレミアモデルやハイスペックモデルなら再熱除湿と弱冷房除湿や冷房を自動で切り替えてくれるエアコンもあります。
エアコンの買い替えを検討しているなら自動切り替え機能付きのエアコンも検討してみてはいかがでしょうか。
部屋の中で快適に過ごすためには室温だけでなく湿度のコントロールも重要です。
最適な除湿機能を使って蒸し暑い季節を乗り切ってくださいね。