限られたキッチンスペースに冷蔵庫を設置するには、横幅が収まるかどうかが重要なポイントです。しかし、周りの家具や壁に隙間なく設置すると、稼働時の熱を上手く放出できず、トラブルや故障の原因となってしまいます。
この記事では、冷蔵庫の設置で確保すべき寸法を解説。さらに、横幅別におすすめの製品をご紹介します。新しく冷蔵庫を購入する予定の方や、設置時の寸法が分からないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
冷蔵庫の横幅と容量の目安は?
まずは、冷蔵庫本体の横幅と容量の目安から説明していきましょう。各メーカーの製品によって違いはありますが、一般的な幅寸法と容量を表にまとめてみました。
100L〜200L | 幅50cm以下、50cm前後 |
200L〜300L | 幅55cm前後 |
300L〜400L | 幅55〜60cm以内 |
400L〜500L | 幅60〜65cm以内 |
500L〜600L | 幅65〜70cm以内 |
600L〜650L | 幅68〜70cm以内 |
650L以上 | 幅80cm以上 |
ちなみに、自分や家庭に合った冷蔵庫容量の目安は、「70L×世帯人数+100L(常備食品分)+70L(予備食品分)」の計算式で算出できます。
1人暮らしの目安:70L×1人+100L+70L=240L
2人暮らしの目安:70L×2人+100L+70L=310L
3人暮らしの目安:70L×3人+100L+70L=380L
上記の適容量はあくまで目安となり、自炊やまとめ買いの頻度によっては、ワンサイズアップしたほうが良いケースもあります。自分の使い方に合った適量を割り出してみてください。
◆自炊をする方、まとめ買いが多い方におすすめの大容量冷蔵庫の魅力については、こちらの記事をご覧ください。
冷蔵庫の設置に必要なサイズとは
冷蔵庫の幅と容量のおおまかな目安が分かったところで、続いては実際の設置時に必要なサイズを見ていきましょう。冷蔵庫の設置では、本体の幅だけをクリアできれば良いわけではなく、正常に稼働させるために大切な据付必要寸法があります。
冷蔵庫本体の横幅
まずは冷蔵庫本体の横幅が、設置予定の場所に収まるかどうかです。本体幅が収まらなければ、放熱に必要な寸法も確保できません。気になる冷蔵庫モデルを探し始める前に、設置予定の寸法を測り、寸法内に収まるように本体サイズを絞ってから、購入予定の製品を探しましょう。
近年では集合住宅ユーザー向けに、本体幅をスリムに設計したコンパクトモデルが多く販売されています。幅がスリムながら容量を多く確保したモデルもあるので、設置場所が狭いからと希望する容量を諦めずに探してみてくださいね。
放熱のための左右の隙間
続いて確保したいのが、放熱のために必要な左右の隙間です。先ほどから軽く触れているように、冷蔵庫の設置では放熱スペースを設ける必要があります。モデルやメーカーによって、放熱スペースの寸法は若干異なりますが、下の表におおよその目安距離をまとめてみました。
100L台 | 左右3〜5cm、上10〜30cm 奥行き6〜10cm |
200L台 | 左右1〜2cm、上方5〜10cm、奥行き6cm |
300L〜500L台 | 左右0.5cm、上5cm、奥行き6cm |
冷蔵庫が大型になるほど放熱スペースも広く確保しなければならないと思われがちですが、本体が大きければ放熱板も比例して大きく設計できるので、小型であるほど放熱スペースが広く必要です。特に小型サイズの冷蔵庫を検討している方は、放熱スペースの確保に注意して選びましょう。
◆放熱スペースについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
◆放熱スペースとして確保した冷蔵庫と壁の隙間は、収納スペースとして活用できます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
搬入口や搬入経路
冷蔵庫の購入や買い替えでは、設置場所だけではなく搬入時の経路についても把握しておきましょう。
特に、アパートやマンションなどの集合住宅の場合、通路や階段、エレベーターなどの搬入経路を確認しておく必要があります。搬入ルートに余裕がないと、せっかく購入した冷蔵庫が搬入時に傷ついたり、室内まで運び入れられない可能性があるためです。
購入前に実際に自宅までの搬入ルートの通路幅などを測って、冷蔵庫の本体幅に10~15センチを足しても余裕があるかを見てください。搬入スペースの余裕がない場合、作業要員の追加やクレーン搬入を行わなければならず、料金が上乗せされるケースもあります。
扉を開けたときの寸法
意外と見落とされがちなのが、冷蔵庫の扉を開けたときの寸法です。冷蔵庫のドアには、片手で開けられるスタンダードな「片開き」タイプと、中央から分かれて左右に開く「観音開き」タイプがあります。片開きタイプの場合、扉は手前に開きますから、だいたい冷蔵庫の横幅分の開閉スペースを確保しておきましょう。
観音開きタイプは左右に開く分、手前側の開閉スペースが少なく済むのがメリットですが、周囲の壁や家具に近づけすぎると、開閉時の角度が足りずに使いにくくなってしまいます。
開閉時の角度が90度だと、庫内を見渡しにくく出し入れにも不便なので、最低でも130度くらいの開閉角度を確保できるよう、壁や家具と離して設置しましょう。
横幅50センチ以下|おすすめの冷蔵庫
ここからは、冷蔵庫本体の横幅別に、おすすめしたい製品を紹介していきます。まずは、横幅が50センチ以下のコンパクトサイズの冷蔵庫です。容量の目安としては150L〜200L以下が多く、本体幅はスリムなものの、大型モデルよりも放熱スペースを多く確保する必要があります。使用人数は1人〜2人暮らし向けです。
三菱電機 MR-P15J
三菱電機のMR-P15Jは、省スペースキッチン向けに使いやすく設計されたモデルです。天板部分のテーブルスペースを扉の上部まで延ばし、調理時の「ちょい置き」用として設けています。
ドアポケットは横から取り出しやすいデザインで、扉を大きく開かなくても出し入れが可能です。開閉スペースを抑えられるので節電効果も期待できます。ドアポケットはたっぷり使える大容量で、上段に500mLペットボトル10本、下段に2Lペットボトル3本が収納できます。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 右開き・2ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 146L |
冷蔵室 | 100L |
冷凍室 | 46L |
野菜室 | ー |
幅×高さ×奥行き | 480×1213×595mm |
重量 | 35kg |
省エネ基準達成率 | 100%(2021年度) |
年間消費電力 | 304kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 8208円(50Hz/60Hz) |
カラー | マットホワイト、マットチャコール |
ハイアール JR-NF121B
ハイアールのJR-NF121Bは、幅49.5センチのコンパクトモデルです。48Lの冷凍室には、引き出して収納できるクリアバスケットがあり、パッキング食材やアイスなどの小さい食品類を見やすく保管できます。
天板は耐熱仕様で、電子レンジ置き場としても使えます。省エネ基準達成率が110%と高い製品なので、ランニングコストを安く抑えられる点や、ハイアール製品は価格帯がリーズナブルなので、初期費用を抑えられる面でもおすすめです。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 右開き・2ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 121L |
冷蔵室 | 73L |
冷凍室 | 48L |
野菜室 | ー |
幅×高さ×奥行き | 495×1140×553mm |
重量 | 34kg |
省エネ基準達成率 | 110%(2021年度) |
年間消費電力 | 270kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 7290円(50Hz/60Hz) |
カラー | ホワイト |
横幅65センチ以下|おすすめの冷蔵庫
続いては、横幅が65センチ以下のコンパクトサイズの冷蔵庫です。容量の目安としては200L〜500L以下と幅広く、自分に適した容量を探しやすい幅サイズです。使用人数は2人〜4人暮らしに向いています。
AQUA Delie AQR-V43P
AQUAのAQR-V43Pは、独自機能の「見える野菜室」を搭載したDelieシリーズです。冷蔵室の下段に67Lの野菜室があり、チルドルーム前の野菜室がクリア天板になっています。
冷蔵室を開けたついでに野菜室の様子も見えるアイディア設計です。こまめに野菜の鮮度をチェックできるので、食べ頃を逃さずに調理に使えて、調理計画を立てやすいメリットがあります。
冷凍室は買い物カゴ約2.5個分相当量の食品を保管できる、152Lの大容量サイズです。買い置きした生鮮食品なども鮮度を長く保てる「おいシールド冷凍」が採用されています。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 右開き・4ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 430L |
冷蔵室 | 211L |
冷凍室 | 152L |
野菜室 | 67L |
幅×高さ×奥行き | 600×1750×710mm |
重量 | 94kg |
省エネ基準達成率 | 100%(2021年度) |
年間消費電力 | 270kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 7290円(50Hz/60Hz) |
カラー | チタニウムシルバー、ダークウッドブラウン |
東芝 VEGETA GR-W500GT
東芝のGR-U500GZは、野菜を新鮮なまま長く保存できるのが特長のVEGETAシリーズです。野菜室に搭載されたミストチャージユニットから、うるおい冷気を1日に20回以上送り込んで乾燥を防ぎます。
野菜が傷んでしまう原因となるエチレンガスを分解するので、葉物などの傷みやすい野菜も長持ちします。ユニットに配合された銅イオンで、野菜室の嫌なニオイを抑えてくれる効果も。鮮度が保たれると栄養素も守られるので、野菜を多く使う家庭では嬉しい機能ですね。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 右開き・5ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 501L |
冷蔵室 | 257L |
冷凍室 | 129L |
野菜室 | 98L |
幅×高さ×奥行き | 600×1850×704mm |
重量 | 108kg |
省エネ基準達成率 | 109%(2021年度) |
年間消費電力 | 279kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 7533円(50Hz/60Hz) |
カラー | フロストグレージュ、フロストホワイト |
シャープ SJ-X418K
シャープのSJ-X418Kは、シャープの独自技術「プラズマクラスター」を搭載し、冷蔵庫内を除菌しながら、食品類を清潔に保管できます。
ドアタイプは左開き・右開きの好きなほうへ付け替えられる「どっちもドア」が採用されています。どっちもドア機能はシャープだけの機能で、転居が多くキッチン環境が変わりやすい家庭にはおすすめです。
「低温新鮮モード」では、生鮮食品類や作り置きのおかずを低温保存することで、菌の繁殖を抑えます。ワンタッチだけでさっと使える便利な機能です。低身長の女性や年配の方でも使いやすいようローウエストに設計され、高さ調節可能なドアポケットも採用されています。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 左右開き・5ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 412L |
冷蔵室 | 215L |
冷凍室 | 101L |
野菜室 | 76L |
幅×高さ×奥行き | 600×1820×698mm |
重量 | 86kg |
省エネ基準達成率 | 96%(2021年度) |
年間消費電力 | 262kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 7074円(50Hz/60Hz) |
カラー | ブライトブラウン |
横幅70センチ以上|おすすめの冷蔵庫
最後に、横幅が70センチ以上の大型冷蔵庫モデルをご紹介します。容量は550L〜600L以上の製品がほとんどで、中には80センチ幅の製品も含まれます。使用人数は5人家族以上におすすめのサイズです。横幅も奥行きも十分なスペースが必要ですが、放熱スペースは小型冷蔵庫よりも少なく済みます。
大型サイズはフレンチタイプの観音開きドア製品が多くラインナップされています。観音開きを検討している場合は隣り合う家具や壁との設置スペースに気を付けて選びましょう。
◆観音開きタイプのおすすめ冷蔵庫は、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
三菱電機 置けるスマート大容量 WXDシリーズ MR-WXD70K
三菱電機のMR-WXD70Kは、プレミアムフレンチモデルです。「置けるスマート大容量」として展開されるシリーズで、薄型断熱構造「SMART CUBE」を採用することで、本体サイズはそのままに内壁を薄くして大容量を実現しました。
冷凍機能「切れちゃう瞬冷凍」では、調理時に必要な食材を解凍せずにカットできます。カット後はそのまま冷凍室へ戻して保存しておけます。
専用アプリとスマートフォンと連携させれば、庫内温度や機能をスマホから設定変更できて、食材の保存方法についてのアドバイスやレシピ提案なども閲覧できて、レパートリーの幅が広がります。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | フレンチドア(観音開き)・6ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 700L |
冷蔵室 | 378L |
冷凍室 | 118L |
野菜室 | 134L |
幅×高さ×奥行き | 800×1821×738mm |
重量 | 139kg |
省エネ基準達成率 | 110%(2021年度) |
年間消費電力 | 310kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 8370円(50Hz/60Hz) |
カラー | グレインクリア、フロストグレインブラウン |
パナソニック NR-FVF45S1-W
パナソニックのNR-FVF45S1-Wは、「AIエコナビ」の節電機能が特長の省エネモデルです。AIのセンシングによってユーザーの生活リズムを把握し、無駄のないよう自動運転を行い、節電しながら効率よく食品を保管できます。
約450Lと大容量ですが、奥行きは約63センチと薄型に設計されています。冷蔵庫本体の飛び出しが少なく、キッチンスペースを広く使えるデザインです。野菜室と冷凍室は「ワンダフルオープン」を採用し、フルオープンで奥まで広々と見渡しやすく出し入れにも便利です。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | 右開き・6ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 451L |
冷蔵室 | 232L |
冷凍室 | 110L |
野菜室 | 95L |
幅×高さ×奥行き | 685×1828×630mm |
重量 | 82kg |
省エネ基準達成率 | 67%(2021年度) |
年間消費電力 | 390kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 10,530円(50Hz/60Hz) |
カラー | ハーモニーホワイト |
シャープ SJ-GK46K
シャープのSJ-GK46Kは、専用アプリ「COCORO HOME」と連携対応したスマートモデルです。COCORO HOMEからは、ユーザーの居住エリア付近の特売情報が届き、特売品を使ったレシピ提案も閲覧できます。
2段構造のチルドルームはそれぞれで保存温度が違い、片方には生鮮食品、片方には作り置きの保管といったように適温によって使い分けられるので、食材がより美味しく長持ちします。
本体カラーはピュアホワイト、グラデーションスタッコブラウンの2色展開。グラデーションスタッコブラウンはボディの下部に向かってグラデーションが濃くなっていくカラーデザイン。ガラスドアを採用した傷つきにくいデザインでお手入れも簡単です。
タイプ | 冷凍冷蔵庫 |
ドア | フレンチドア(観音開き)・6ドア |
冷却方式 | 間冷式(ファン式) |
容量 | 457L |
冷蔵室 | 240L |
冷凍室 | 115L |
野菜室 | 82L |
幅×高さ×奥行き | 650×1838×630mm |
重量 | 99kg |
省エネ基準達成率 | 106%(2021年度) |
年間消費電力 | 244kWh(50Hz/60Hz) |
年間電気代 | 6588円(50Hz/60Hz) |
カラー | ピュアホワイト、グラデーションスタッコブラウン |
冷蔵庫の設置に必要な横幅を事前に確認して購入しよう
今回は、冷蔵庫の設置に必要なスペースや、設置時の注意点について、本体幅別に見たおすすめ製品もあわせてご紹介してきました。
- 冷蔵庫の設置前に、設置スペースの寸法を確認
- 必要な放熱スペースは大型になるほど少なく済む
- 搬入ルートを踏まえて、本体幅+10~15センチの余裕を確保
- 観音開きタイプは、隣り合う家具や壁との距離に注意
省スペースに設置しやすい小型の冷蔵庫は、本体幅はスリムでも放熱スペースが多く必要なので特に注意が必要です。また、観音開きドアの冷蔵庫では、開閉時に十分な開閉角度を確保できないと出し入れに不便ですので、設置時に壁や家具に寄せすぎないよう注意してください。
冷蔵庫は高価な買い物ですから、購入前に設置場所や搬入寸法をきちんと確認して、失敗のないよう慎重に検討しましょう。