生活保護の電気代は誰が払う?保護費に含まれるしくみと冬季加算、払えないときの相談先

本記事の情報は2026年10月時点のものです。生活保護の基準額や加算額、各通知の内容は改定される場合があり、運用はお住まいの自治体(福祉事務所)によって異なることがあります。最新情報と個別の判断は、担当の福祉事務所や厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

「生活保護を受けたら、電気代はどうなるの?払わなくていいの?」
じつは、電気代は生活保護費の生活扶助に含まれていて、受け取った保護費から自分で電力会社に払うしくみです。

この記事では、電気代が保護費のどこに含まれるか、割引はあるのか、冬季加算、払えないときの相談先、転居のときの注意を、厚生労働省の通知と法令をもとに整理します。

📋 この記事でわかること
  • 電気代が保護費の生活扶助に含まれていること
  • 生活保護世帯向けの電気料金の割引があるかどうか
  • 冬季加算の対象月と地区の分け方
  • エアコンの購入費が認められる場合
  • 電気代が払えないときの相談先
  • 転居するときに福祉事務所へ相談すること

電気代は生活扶助から自分で払う

生活保護費には、目的ごとにいくつかの扶助があります。
厚生労働省は、生活扶助は日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)に対応する扶助だと説明しています(出典:厚生労働省)。

同省は、生活扶助の基準額は食費等の個人的費用と光熱水費等の世帯共通的費用を合算して算出するとしています(出典:厚生労働省)。
厚生労働省の生活保護基準部会の資料(令和3年4月)も、第2類費を光熱費・家具什器等の世帯共通経費としています(出典:厚生労働省)。

生活扶助は、お金で渡されます。
生活保護法第31条は、生活扶助は金銭給付によって行うものとしています(出典:e-Gov法令検索 生活保護法)。

同条第3項は、居宅で生活扶助を行う場合の保護金品は世帯単位に計算し、世帯主またはこれに準ずる者に交付するとしています(出典:e-Gov法令検索 生活保護法)。
同条第2項は、生活扶助のための保護金品は1か月分以内を限度として前渡するとしています(出典:e-Gov法令検索 生活保護法)。
つまり、原則として月々受け取る保護費の中から、電気代を自分で電力会社に払うことになります。

扶助厚生労働省の説明
生活扶助日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)
医療扶助費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護扶助費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出典:厚生労働省「生活保護制度」保護の種類と内容

厚生労働省の「保護の種類と内容」の表では、医療扶助と介護扶助は費用を直接医療機関・介護事業者へ支払う(本人負担なし)としています(出典:厚生労働省)。
生活保護法第60条も、被保護者に、生計の状況を適切に把握し支出の節約を図るなど生活の維持・向上に努める義務を定めています(出典:e-Gov法令検索 生活保護法)。
自治体の案内の例として、秋田県の生活保護受給者向けのしおりは、家賃・公共料金・学校納付金などは必ず納付するよう求めています(出典:秋田県)。

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生活保護で電気代の割引はある?

電気代そのものを安くする制度があるか、厚生労働省の資料で確かめました。
厚生労働省の法令等データベースには、昭和51年6月11日の保護課長通知「被保護世帯に対する電気料金の特別措置について」(社保第96号)があります(出典:厚生労働省 法令等データベース)。

この通知の別添(電力会社から厚生大臣あての文書)は、昭和51年の電気料金改定にあたり、生活保護世帯には昭和52年3月31日までの間、旧料金を据え置く特別措置を講じるとしています(出典:厚生労働省 法令等データベース)。
この特別措置は、北海道電力・東北電力・北陸電力・九州電力の4社の料金改定にあたって行われたものでした(出典:厚生労働省 法令等データベース)。

これは期限のある一時的な措置でした。厚生労働省の生活保護制度の説明と、保護の基準(告示)・実施要領の通知を調べた範囲では、いま生活保護世帯向けに続いている電気料金の割引・減額の定めは見当たりませんでした。

電気とよく比べられるのが、NHKの受信料です。
総務省が公表しているNHK(日本放送協会)の受信料の免除基準の資料は、生活保護法の扶助を受けている者が締結する受信契約を全額免除の対象としています(出典:総務省)。
受信料にはこうした免除の基準があります。

冬の暖房費は冬季加算で上乗せされる

電気代が上がりやすい冬には、生活扶助に加算があります。
厚生労働省は、10月から4月までのうち、地域に応じて5か月から7か月間、冬季加算を支給すると説明しています(出典:厚生労働省)。
生活保護の基準(告示)は、冬季加算の対象月と地区を次のように定めています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の基準・同 地区別)。

地区都道府県対象月
Ⅰ区北海道・青森県・秋田県10月から4月まで
Ⅱ区岩手県・山形県・新潟県10月から4月まで
Ⅲ区宮城県・福島県・富山県・長野県11月から4月まで
Ⅳ区石川県・福井県11月から4月まで
Ⅴ区栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県11月から3月まで
Ⅵ区その他の都府県11月から3月まで
出典:厚生労働省 生活保護法による保護の基準 別表第1・同 地区別

金額は地区と世帯の人数で変わります。
生活保護の基準(告示)の地区別冬季加算額(月額・令和8年10月時点)は、Ⅰ区が1人12,780円・4人22,270円、Ⅵ区が1人2,630円・4人4,580円です(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の基準)。

厚生労働省の「生活扶助基準額の算出方法(令和8年10月)」も、冬季加算の例として札幌市の4人世帯で月額22,270円(10月~翌4月)を示しています(出典:厚生労働省)。
加算額は改定されることがあるので、ご自身の額は福祉事務所で確かめましょう。

療養のため常時在宅せざるを得ない人や乳児がいる世帯には、上乗せが認められることがあります。
厚生労働省の局長通知は、傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない者や乳児が世帯員にいる場合で、地区別冬季加算額によりがたいときは、1.3倍の額の範囲内で必要な額を認定して差し支えないとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。

課長通知は、この特別基準の適用が必要だと実施機関が認めた場合について、こうした人が世帯員にいることが確認できれば、冬季に増加する光熱費が地区別冬季加算額で賄える特段の事情がない限り、1.3倍の額を認定して差し支えないとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて)。
自動で上乗せされるものではなく、実施機関の判断を経るので、当てはまりそうなら福祉事務所に相談しましょう。
冬の電気代を抑える使い方は、冬の電気代・暖房費が高い理由と節約で紹介しています。

夏の加算はなく、エアコン代は条件つき

冬と違い、夏の電気代に対する加算はありません。
生活保護の基準(告示)の第2類に定める季節の加算は地区別冬季加算額で、告示に夏季の加算は定められていません(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の基準)。

エアコンを買う費用は、条件を満たせば認められることがあります。
厚生労働省は、家具什器費は特別な事情がある場合に限り一時扶助として認めているもので、熱中症による健康被害を踏まえ、平成30年7月1日からこの家具什器費に冷房器具(エアコン)を加えたと説明しています(出典:厚生労働省)。

厚生労働省の局長通知は、保護開始時に持ち合わせがない等の(ア)〜(オ)のいずれかに該当し、熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合で、それ以降初めて熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり冷房器具の持ち合わせがなく、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、冷房器具の購入費用を78,000円の範囲内で、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。
(ア)〜(オ)には、保護開始時に家具什器の持ち合わせがないときや、犯罪等の被害や暴力から逃れるために転居する場合で持ち合わせがないときなどが挙げられています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。

生活保護を受けていれば誰でもエアコン代が出る、というわけではありません。
厚生労働省は、特別な事情がない生活保護世帯は、従来どおり毎月の保護費のやり繰りの中で冷房器具等の購入費用を賄うことになるとし、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付の紹介などの配慮を求めています(出典:厚生労働省)。

エアコンの保有についても、通知に問答があります。
厚生労働省の課長通知は、ルームエアコンの保有を認めてよいかという問いに「お見込みのとおり」と答えています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて)。
夏のエアコンの電気代を抑える使い方は、エアコンの夏の電気代で紹介しています。

電気代が払えないときの相談先

支払いが難しくなったら、福祉事務所と電力会社の両方に早めに相談しましょう。
厚生労働省は、電気料金等の滞納やそのおそれがある者に対しても、家計支援の助言指導などにより、必要な家電製品等が使用できなくなることがないよう配慮するよう求めています(出典:厚生労働省)。

同省は、世帯の実態に応じて福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行うと説明しています(出典:厚生労働省)。
訪問を待たずに、担当のケースワーカーに連絡して大丈夫です。

電力会社の窓口もあります。
東京電力エナジーパートナーは、規制料金プラン(従量電灯B・Cなど)の契約者向けの案内として、生活保護を受給中または生活保護法の適用を申請中の方などに支払いの相談を受け付けており、該当しない方の相談は受けられず期日までの支払いを求めています(出典:東京電力エナジーパートナー)。

契約中の電力会社にも、早めに事情を伝えて相談しましょう。
止められるまでの流れと再開の手順は、電気が止められたら今日中に戻せるのかで紹介しています。

国の指針にも、生活保護受給者への配慮が書かれています。
経済産業省の「電力の小売営業に関する指針」(令和8年3月31日最終改定)は、一般送配電事業者等が無契約を理由に供給を停止する際は、生活保護受給者等であることが確認できた場合の配慮措置等を検討した上で行うことが前提だとしています(出典:経済産業省)。
これは契約がない状態での供給停止の場面の定めで、生活保護なら電気を止められないという意味ではありません。

電気代は代理納付の対象外

家賃のように、福祉事務所が代わりに払ってくれる仕組みは、電気代にはありません。
生活保護法第37条の2は、介護保険料その他政令で定める費用について、保護の実施機関が被保護者に代わって支払うことができる(代理納付)と定めています(出典:e-Gov法令検索 生活保護法)。
生活保護法施行令第3条が定める代理納付の対象は、住宅を賃借して居住することに伴い通常必要とされる費用のうち省令で定めるもの(施行規則第23条の2で共益費)、無利子・低利の貸付金の償還、学校が徴収する費用、住宅扶助の保護金品、介護保険料で、電気料金は挙げられていません(出典:e-Gov法令検索 生活保護法施行令・同 施行規則)。

口座振替やクレジットカード払いにしておくと払い忘れを防げます。
支払い方法の変え方は、電気料金の支払い方法の変更で紹介しています。

転居するときは先に福祉事務所へ相談する

引越しの費用が出るかどうかは、転居の理由で変わります。
厚生労働省の局長通知は、転居に際し敷金等を必要とする場合で、家賃の特別基準額以内の住居に転居するときは、特別基準額に3を乗じて得た額の範囲内で必要な額を認定して差し支えないとし、近い将来保護の廃止が予想され、その後に転居することで足りる人はこの限りでないとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。
厚生労働省の課長通知は、敷金等の認定は、実施機関の指導による低家賃住居への転居や、老朽・破損で居住にたえない場合、家主の立退き要求などの列挙した場合に限られるとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて)。

厚生労働省の局長通知は、移送費について、他に経費を支出する方法がないときに、転居する場合で真にやむを得ないときは、荷造費・運搬費について実施機関が事前に承認した必要最小限度の額を認定して差し支えないとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。
「事前に承認した」額のため、引越しを決める前に福祉事務所へ相談することが大切です。

新しい住まいで家具や家電が使えないときの扱いもあります。
厚生労働省の局長通知は、転居で新旧住居の設備の相異により家具什器を使用できず、補填しなければならない事情があるときを家具什器費の対象として挙げ、家具什器を必要とする状態にあると認められるときに認定するとしています(出典:厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領について)。
自治体の案内の例として、秋田県の生活保護受給者向けのしおりは、入退院や転入・転出など世帯の状況が変わったときは福祉事務所に連絡するよう求めています(出典:秋田県)。

旧居の使用停止と新居の使用開始を、引越しの日に合わせて申し込んでおきましょう。
手続きの流れは、引っ越しの電気手続きで紹介しています。

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よくある質問

生活保護を受けると電気代は無料になりますか?

厚生労働省は、生活扶助は食費・被服費・光熱水費等の日常生活に必要な費用に対応する扶助だと説明しています。
生活保護法は生活扶助を金銭給付で行うとしており、電気料金は代理納付の対象にも挙げられていないため、電気代は受け取った保護費の中から払うことになります。

電気代を福祉事務所から直接払ってもらえますか?

生活保護法施行令第3条が定める代理納付の対象に、電気料金は挙げられていません。
口座振替などで払い忘れを防ぎ、難しいときは担当のケースワーカーに相談しましょう。

冬季加算はいつからいつまでですか?

生活保護の基準(告示)は、Ⅰ区・Ⅱ区は10月から4月まで、Ⅲ区・Ⅳ区は11月から4月まで、Ⅴ区・Ⅵ区は11月から3月までと定めています。
Ⅰ区は北海道・青森県・秋田県、Ⅵ区はⅠ区〜Ⅴ区に挙げられていない都府県です。

夏の電気代の加算はありますか?

告示に夏季の加算は定められていません。
エアコンの購入費は、厚生労働省の局長通知が定める(ア)〜(オ)のいずれかに当てはまり、熱中症予防が特に必要とされる人がいて、それ以降初めての暑い時期を迎えるに当たって冷房器具の持ち合わせがなく、真にやむを得ないと実施機関が認めた場合に、78,000円の範囲内で認定されることがあります。

生活保護の世帯向けの電気料金の割引はありますか?

昭和51年に一部の電力会社の料金改定で旧料金を据え置く期限つきの特別措置がありましたが、いま続いている割引の定めは、厚生労働省の生活保護の資料を調べた範囲では見当たりませんでした。

まとめ

生活保護を受けていても、電気代は保護費の中から払うことになります。
厚生労働省は、生活扶助は光熱水費等の日常生活に必要な費用に対応すると説明しており、電気代は受け取った保護費から自分で電力会社に払います。

生活保護法施行令が定める代理納付の対象にも電気料金は挙げられていません。
いま続いている生活保護世帯向けの電気料金の割引の定めは、厚生労働省の生活保護の資料を調べた範囲では見当たりませんでした。

冬は地区と世帯人数に応じて冬季加算があり、傷病・障害等による療養のため外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない人や乳児がいる世帯で、地区別冬季加算額によりがたいと実施機関が認めたときは、1.3倍の範囲内で認定されることがあります。
夏の加算はなく、エアコンの購入費は条件に当てはまる場合に限られます。
払えないときや転居するときは、担当の福祉事務所と契約中の電力会社に早めに相談しましょう。

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