コンセントが焦げたらまずブレーカーを切る|トラッキング現象の原因と賃貸で直すのは誰か

「コンセントのまわりが黒く焦げている」「プラグを抜いたら差し込み口が茶色くなっていた」
コンセントまわりの火災の原因というとトラッキング現象が有名ですが、じつは東京消防庁の管内の令和6年中の集計では、コンセントから出火した火災102件のうち最も多かった経過は「金属の接触部が過熱する」の69件(67.6%)でした(出典:東京消防庁 令和7年版 火災の実態)。
この記事では、焦げに気づいたときにまずやること、焦げる原因、交換を誰に頼むか、賃貸で誰が直して費用を誰が負担するかを、NITE・東京消防庁・国土交通省などの公式情報をもとに整理します。
- 火が出たとき・焦げ跡に気づいたときに、まずやること
- コンセントが焦げる原因(トラッキング現象と接触不良など)
- 焦げたコンセントを使い続けてはいけない理由と、交換を頼む先
- 賃貸で焦げたときの連絡先と、費用の負担の考え方
- 焦がさないための掃除と使い方
焦げに気づいたらまずやること
やることは、火が出ているかどうかで変わります。
まず、火や煙が出ている場合です。
火は出ておらず、焦げ跡や焦げくさいにおいに気づいた場合は、次の順番です。
NITEは、異常発熱や焦げたにおいなどの異臭といった異変を見つけたら、直ちに使用を中止するよう呼びかけています(出典:NITE)。
東京電力パワーグリッドは、まずブレーカーを落とし、その際は焦げた部分の「安全ブレーカー」(配線用遮断器)を落とすとよいとしています(出典:東京電力パワーグリッド)。
同社は、安全ブレーカーを落としたら電気工事店などに連絡し、有資格者が来るまで家族(無資格者)が触れないよう注意するよう案内しています。
焦げる原因はトラッキング現象だけではない
トラッキング現象について、NITEは、ほこりと水分で栓刃の間に微弱な電流が流れて火花放電を繰り返し、樹脂部分が炭化してトラック(電気の通り道)ができ、異常発熱・発火に至る現象と説明しています(出典:NITE 2025年7月31日)。
東京消防庁も、プラグの刃と刃の間についたほこりが湿気を帯びて電気回路を形成し、放電による火花で出火する現象と説明しています(出典:東京消防庁)。
NITEは、プラグとコンセントの間に隙間がある状態で差したままにすると、ほこりや水分でショートやトラッキング現象が起きるおそれがあるとしています(出典:NITE 2025年7月31日)。
何も差していない差し込み口でも、ほこりなどの異物が付着するとトラッキング現象が起きるおそれがあるとしています(出典:NITE 2019年2月28日)。
四国電気保安協会は、起きやすい場所の例として、洗面所・台所など湿気が高く湯気や水滴がかかる場所と、家具の裏で長期間差したままのコンセントを挙げています(出典:四国電気保安協会)。
もう一つの大きな原因が、差し込み部分の接触不良です。
NITEは、プラグの抜き差しの繰り返しや変形したプラグの使用で、コンセントの刃受金具が変形して接触が悪くなり、異常発熱するおそれがあるとしています(出典:NITE)。
四国電気保安協会の調査事例では、たんすの後ろで延長コードのプラグが半分ほど抜けた状態のまま使われ、接触不良で過熱してコンセントとプラグが炭化していました(出典:四国電気保安協会)。
ほかにも、NITEは次のような使い方を注意点に挙げています(出典:NITE)。
- つなぎすぎ:一般住宅の二口の壁コンセントは、二口の合計で1500Wが接続可能な最大消費電力で、片方に1000W分をつなぐともう片方は500Wまで
- コードへの無理な力:折り曲げる・踏みつける・引っ張るなど外から無理な力が加わる使い方をすると、芯線が断線して異常発熱や発火に至るおそれ
- 洗浄液:差込口にアルコールスプレーなどの洗浄液が直接かかると、ショートやトラッキング現象が起きるおそれ
- NITE(製品事故):2019〜2024年の6年間に起きた家電製品の「プラグ・コード・コンセントの事故」は219件で、8割以上が火災につながりました。トラッキング現象による事故は電源プラグ側(ほこり・水分等)16件・コンセントや電源タップ側(内部に入った水分等)21件、コンセントや電源タップ側では「差し込まれたプラグとの接触不良(接続部の発熱)」が23件、「最大消費電力を超える電気製品を接続して異常発熱」が6件でした(出典:NITE)
- 東京消防庁(管内の火災・令和6年中):トラッキング現象による火災は149件(前年比43件増加)で電気設備機器火災の8.4%。コンセントから出火した火災は102件(前年比15件増加)で、経過は「金属の接触部が過熱する」が69件(67.6%)で最多でした(出典:東京消防庁 令和7年版 火災の実態)
- 東京消防庁:電気コード等が原因の住宅火災は令和6年に488件で過去10年で最多。経過別では「電線が短絡する」「金属の接触部が過熱する」「トラッキング」の順に多いとしています(出典:東京消防庁)
NITEの件数は2019〜2024年の家電製品の事故、東京消防庁の件数は管内の令和6年中の火災で、対象と期間が違うため、そのまま比べることはできません。
それでも、トラッキング現象のほかに、接触不良や接触部の過熱も原因として数えられていることは押さえておきましょう。
焦げたコンセントは使い続けない交換は有資格者に頼む
東京電力パワーグリッドは、一度焦げたコンセントは漏電や接触不良の原因になるので使用を中止し、新しいものに交換してもらうよう案内しています(出典:東京電力パワーグリッド)。
家電のプラグの側について、NITEは、変形や焦げがある場合や異常に熱い場合は使用を中止し、メーカーや販売店に相談するよう呼びかけています(出典:NITE)。
NITEは、コンセントや延長コードに差し込んだプラグを前後に傾けてぐらつく、または抜けやすい場合も、接触が悪くなっている可能性があるとしてメーカーや販売店への相談をすすめています。
壁のコンセントを自分で取り替えるのは避けてください。
電気工事士法は、電気工事士でなければ一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事してはならないと定めています(保安上支障がないとして省令で定める作業を除く)(出典:e-Gov法令検索 電気工事士法)。
どこまでが資格の要る作業かを、法令と保安協会の説明で整理すると次のとおりです。
| 作業 | 資格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 露出型以外のコンセントの交換・取り付け | 電気工事士が必要 | 電気工事士法施行規則(配線器具の取り付け・電線の接続) |
| 露出型コンセントの取り換え | 資格の要る作業から除外 | 電気工事士法施行規則 |
| 差込み接続器などにコードをつなぐ | 「軽微な工事」として電気工事から除外 | 電気工事士法施行令(電圧600V以下で使用するもの) |
関東電気保安協会も、露出型を除くコンセントの交換には第二種電気工事士以上の資格が必要だとしています(出典:関東電気保安協会)。
焦げたコンセントについて、東京電力パワーグリッドは、安全ブレーカーを落として電気工事店などに連絡し、有資格者が来るまで家族(無資格者)が触れないよう案内しています。
岐阜市(消防)は、素人の配線工事は接続不良で出火するおそれがあるとして、電気工事は専門業者に任せるよう呼びかけています(出典:岐阜市)。
北海道でんき保安協会は、コンセントやプラグなどの配線器具にも寿命があり、一般的に設置後10〜15年が目安としています(出典:北海道でんき保安協会)。

新しい住まいの電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。
送信後は担当者からお電話でご案内します
賃貸で焦げたら誰が直す?費用は誰が払う?
賃貸で最初にやるのは、管理会社や貸主への連絡です。
民法615条は、借りている物に修繕が必要なとき、借主は遅滞なく貸主に通知しなければならないと定めています(貸主がすでに知っている場合を除く)(出典:e-Gov法令検索 民法)。
国交省のガイドラインは、通知を怠って被害が広がれば、損害賠償を求められる可能性があるとしています(出典:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)。
自分で業者を呼ぶ前に、管理会社の案内も確かめておきましょう。
レオパレス21は、自社物件で設備の故障があれば必ず同社に連絡するよう求め、入居者が自分で修理会社を手配した費用は入居者の負担になる場合があるとしています(出典:レオパレス21)。
大東建託は、自社の管理物件について、入居者が直接修理業者に依頼した場合や入居者起因のトラブルの費用は支払えないとしています(出典:大東建託)。
費用の負担は、焦げた理由によって考え方が分かれます。
民法606条は、貸主が修繕義務を負うこと、ただし借主の責めに帰すべき事由で修繕が必要になった場合は別であることを定めています(出典:e-Gov法令検索 民法)。
国交省のガイドラインの別表3(契約書に添付する原状回復の条件の様式)の修繕分担表は、次のように分けています(出典:国土交通省)。
| 負担する人 | 修繕分担表の項目 |
|---|---|
| 貸主 | 設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの) |
| 借主 | 日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損 |
同じガイドラインは、原状回復を、借主の故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧することと定義しています。
負担を自分で決めつけず、契約書を確かめたうえで、自己判断で修理せずにまず管理会社へ連絡して状況を伝えましょう。
なお、積水ハウスのシャーメゾンFAQは、一部の物件に、過熱を検知するとブザーで知らせて自動で電気を遮断する「感熱・トラッキングお知らせコンセント」があると案内しています(出典:シャーメゾン)。
焦がさないための掃除と使い方
予防の基本は、ほこりをためないことと、差しっぱなしを減らすことです。
四国電気保安協会が起きやすい場所の例に挙げる、洗面所・台所などのコンセントや、家具の裏で差しっぱなしのコンセントから順に見直すと効率的です。
製品を買い替えるときは、NITEが、コンセント側でトラッキングを検知して電流を遮断する製品や、水分などが内部に入りにくいようにシャッターが付いた製品も販売されているとして、次の購入時の参考にするよう案内しています(出典:NITE)。
ブレーカーとあわせて読みたい記事
- ブレーカーが同じ場所だけ落ちるときの見直し方(使いすぎ・回路の容量)
- ブレーカーが上がらないのは漏電かも(漏電している回路の探し方)
- 分電盤・ブレーカーの交換は誰に頼む?(設備の交換と費用の負担)
- 感震ブレーカーは付けるべき?(地震のあとの電気火災を防ぐ)
よくある質問
まとめ
火が出ている場合、岐阜市(消防)は、プラグを抜いてブレーカーを切り、電気火災に対応した消火器などで消し、消し止めても119番に通報するよう案内しています。
火が出ていなくても、焦げた部分の安全ブレーカーを落として電気工事店などに連絡するのが東京電力パワーグリッドの案内で、賃貸なら管理会社にも連絡しましょう。
焦げる原因はトラッキング現象だけではなく、東京消防庁の管内の令和6年中の集計では、コンセントから出火した火災102件のうち、経過は「金属の接触部が過熱する」が69件で最多でした。
露出型を除くコンセントの交換は電気工事士の作業にあたるため、自分では直さないようにしましょう。
賃貸では民法615条のとおり遅滞なく貸主に知らせ(貸主がすでに知っている場合を除く)、費用の負担は契約書を確かめたうえで管理会社に相談します。
日ごろは、NITEがすすめるようにプラグを抜いてから「から拭き」し、東京消防庁がすすめるように外出時や就寝時などは使わないプラグを抜いておきましょう。
電気の契約・手続きの相談なら
「引っ越し先の電気の手続きをまとめて済ませたい」「いまの電気の契約が暮らしに合っているか見直したい」という方は、電気手続き受付センターにお気軽にご相談ください。
お住まいのエリアやご希望に合わせた電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。
選んだエリアのページでは、ページを移動せずにそのままご相談いただけます。静岡県は富士川の西が中部電力、東が東京電力のエリアです(色の左右で選べます)。