離婚・別居で電気の名義を移すと請求中の料金はどうなる?|名義変更と契約し直しの分かれ目

「離婚して家を出るけれど、電気の契約は自分の名義のまま」「別居した相手が住む家の電気代が、まだ自分の口座から落ちている」——世帯が分かれるとき、電気の契約をどう片づけるかは意外と迷うところです。
じつは、残る人へ名義を移す「名義変更」は、名前を書き換えるだけの手続きではありません。
東京電力エナジーパートナーでは、譲渡・継承などで名義変更をすると、請求中の料金まで新しい名義の人に引き継がれます(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
この記事では、離婚・別居・同棲の解消で契約者が家を出るときに、名義変更にするか、いったん契約を終えて新しく契約し直すかの分かれ目と、支払い口座や未払い分の扱いを整理します。
- 離婚・別居で電気の手続きが必要になる4つのパターン
- 名義変更と「停止+開始」の違い(請求中の料金の行き先)
- どちらを選ぶかを決める3つの質問と、会社ごとの公式の書き方
- 家を出る人の新居の手続きと、停止日の合わせ方
- 相手名義の口座・カードと、未払い分の扱い
手続きが要るかは「誰が残り、誰が契約者か」で決まる
離婚や別居で電気の手続きが必要になるかどうかは、夫婦の関係が変わったこと自体では決まりません。
分かれ目は、その家に誰が住み続けるのか、そして電気の契約者が誰なのかの2点です。
同棲の解消も、考え方はまったく同じになります。
まずは自分がどのパターンかを、次の表で確かめてください。
| 状況 | 残る家の電気 | 家を出る人 |
|---|---|---|
| 契約者が出て、相手が住み続ける | 名義変更か、停止+開始で契約し直す | 新居で使用開始 |
| 契約者が残り、相手が出る | 契約はそのまま。支払い口座だけ確認 | 新居で使用開始 |
| 二人とも家を出る | 使用停止 | それぞれ新居で使用開始 |
| 別居中で、名義は当面そのまま | 契約者の契約として続く | 新居で使用開始 |
迷いやすいのは1行目の「契約者が出て、相手が住み続ける」ケースです。
このとき選べるのが「名義変更」と「停止+開始」の2つです。
東京電力エナジーパートナーの案内では、どちらにするかで請求中の料金の行き先が変わります(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
この記事では、離婚・別居ならではの「どちらを選ぶか」に絞って見ていきましょう。
名義変更と「停止+開始」は請求中の料金の行き先が変わる会社がある
東京電力エナジーパートナーは、名義変更について「譲渡・継承等で名義変更を行う場合、現在ご請求中のお支払いも名義変更後の方に引き継がれます」と案内しています(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
引き継ぎを希望しない場合は、一度契約を終了して新規で契約する必要があるとしています(同)。
東京電力で同居の家族へ名義を移すときの具体的な手順は、電気の名義変更のやり方で解説しています。
中部電力ミライズも、旧契約名義人と新契約名義人で支払いを分ける場合は、使用廃止と使用開始の手続きが必要としています(出典:中部電力ミライズ公式サイト)。
名前の書き換えに見える名義変更が、じつは契約の中身ごと受け渡す手続きだということは、約款の言葉にも表れています。
たとえば東北電力の特定小売供給約款は、新たなお客さまがそれまでのお客さまの「すべての権利義務を受け継ぎ」、引き続き電気を使う場合に「名義変更の手続きによることができます」と定めています(出典:東北電力 特定小売供給約款 44 名義の変更・2026年11月1日実施)。
| 比べる点 | 名義変更 | 停止+開始(契約し直し) |
|---|---|---|
| 契約 | 今の契約を残る人が受け継ぐ | 今の契約を終え、残る人の名義で新しく結ぶ |
| 請求中の料金 | 残る人に引き継がれる(東京電力EP) | 引き継がない場合の方法として案内されている(東京電力EP) |
| 支払いを二人で分けたいとき | 名義変更ではなく右の手続きになる(中部電力ミライズ) | 使用廃止と使用開始で分ける(中部電力ミライズ) |
どちらにするかを決める3つの質問
名義変更か、停止+開始か。
迷ったら、次の3つの質問に順番に答えていくと整理できます。
誰も住まなくなるなら、名義変更は不要です。
使用停止を申し込み、二人とも新居で使用開始の手続きをします。
契約者本人が残るなら、契約の手続きは要りません。
出ていく相手の口座やカードで払っていないかだけを確かめます(後述)。
契約者ではない人が残るなら、次の質問へ進みます。
引き継いでよいなら名義変更、引き継がずに料金をはっきり分けたいなら停止+開始で契約し直します。
名義変更で請求中の料金まで引き継ぐと公式に書いているのは、この記事で確かめた範囲では東京電力エナジーパートナーです。
ほかの会社は電話で確認してください。
まだ払っていない月があるかどうかを、先に検針票や会員ページで確かめておくと判断しやすくなります。
ここで一つ注意したいのは、名義変更の扱いそのものが、状況によって変わる会社があることです。
九州電力は、結婚による改姓のような「ご使用実態に変化のないもの」は今の契約のまま名義だけを変え、契約者の他界のような「ご使用実態に変化のあるもの」は今の契約を終えて新しい名義で契約するとしています(出典:九州電力公式サイト)。
契約者が家を出ていく離婚・別居がどちらに当たるかは、この案内には書かれていません。
また、名義変更に出ていく側の同意や同席が要るかどうかも、東京電力エナジーパートナー・中部電力ミライズ・九州電力の名義変更の案内には書かれていない点です(出典:東京電力エナジーパートナー・中部電力ミライズ・九州電力)。
相手と連絡を取りにくい事情があるときほど、電話の段階で「離婚(別居)で契約者が家を出た」と状況を伝え、誰から何を申し込めばよいかを確かめてください。
公式の書き方を会社ごとに並べると
名義変更についての案内と、料金を分けたいときの方法を、公式の案内や約款で確かめられた範囲で並べました。
書かれていない部分は推測で埋めず、「電話で確認」としています。
| 会社 | 名義変更についての公式の案内 | 料金を分けたいとき |
|---|---|---|
| 東京電力EP | 請求中の支払いも名義変更後の人に引き継がれる | 契約を終了して新規契約(停止+開始) |
| 中部電力ミライズ | 請求中の料金の扱いは案内に記載なし(電話で確認) | 使用廃止+使用開始 |
| 九州電力 | 使用実態に変化があれば契約終了+新しい名義で契約 | 案内に記載なし(電話で確認) |

残る家の名義の切り替えと、新居の電気の使用開始を、まとめてサポートします。
送信後は担当者からお電話でご案内します
家を出る人の手続きと、停止日の合わせ方
家を出る人は、新居で電気の使用開始を申し込みます。
これは通常の引っ越しと同じ手続きです。
申し込みの時期や必要なものは電気の開通・使用開始の手続きで確認できます。
離婚・別居で気をつけたいのは、むしろ元の家の契約をどう終えるかのほうです。
契約者が出ていくときに元の家の使用停止だけを申し込むと、残る人が住んでいても電気は止まります。
東京電力エナジーパートナーの場合、停止日の当日中は使えて、停止日の夜0時に電気が止まります(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
停止+開始で契約し直すなら、停止日を二人で共有し、残る人の新しい契約の開始日が空かないよう、申し込みのときに日付を確認しましょう。
東京電力エナジーパートナーも、契約を終える「停止を申込む」と一緒に、新しい名義の「開始を申込む」を申し込む流れを案内しています(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
使用停止の申し込み方そのものは、電気の解約・使用停止の手続きで解説しています。
ガスや水道は電気とは別の契約です。
3つの手続きの順番や立会いの注意点は引っ越しの電気・ガス・水道の手続きで確認してください。
- 家を出る人:新居の使用開始を申し込んだか
- 家を出る人(契約者):元の家を名義変更にするか、停止+開始にするかを、残る人と決めたか
- 残る人:停止+開始なら、自分の名義の開始日と停止日の間が空いていないか
- 二人とも:電気代の引き落とし口座・カードが、いまの契約者のものになっているか
- 二人とも:まだ払っていない月の料金がないか
よくある4つの場面で進め方を当てはめる
ここまでの考え方を、離婚・別居でよくある場面に当てはめてみます。
どの場面でも、決める順番は「誰が残るか」「残る人は契約者か」「請求中の料金を引き継いでよいか」の3つです。
契約者が家を出て、子どもと一緒に住み続ける
残る人が契約者ではないので、名義変更か停止+開始のどちらかを選びます。
まだ払っていない月がなく、残る人がこの先の支払いを担うと決まっているなら、申し込みが1回で済む名義変更が向いています。
その際は、引き落とし口座をどうするかも同じ電話で確認しておきましょう。
過去の料金を引き継ぎたくない
払い終わっていない月がある、どちらが払うかで折り合いがついていない、といったときは停止+開始が向いています。
東京電力エナジーパートナーや中部電力ミライズの案内では、元の契約を止め、残る人の名義で新しく始めれば、それまでの分とこれからの分を分けられます(出典:中部電力ミライズ公式サイト・東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
東京電力エナジーパートナーの場合、元の契約は停止日の夜0時に止まります。
ほかの会社でも、開始日が空かないよう申し込みのときに停止と開始の日付を確認してください。
同棲を解消して二人とも部屋を出る
誰も残らないので、名義の問題は起きません。
退去日に合わせて使用停止を申し込み、二人がそれぞれの新居で使用開始を申し込みます。
最後の月の料金も含めて、どちらがいくら負担するかを退去前に話し合っておくと安心です。
別居が一時的で、名義はしばらくそのまま
名義を変えなければ、契約は家を出た契約者のものとして続きます。
それで差し支えないかは、支払い口座が誰のものか、電気の使い方を相手に任せてよいかで判断が分かれるところです。
別居が長引きそうになった時点で、上の3つの質問にもう一度戻って考えましょう。
相手名義の口座・カードから引き落とされ続ける
別居や離婚のあとで見落としやすいのが、支払い口座です。
東京電力エナジーパートナーは、契約名義と口座名義が違っていても「名義が違っていても口座引き落とし可能です」と案内しています(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
裏を返すと、誰かが手続きをしない限り、出ていった人の口座から残る家の電気代が落ち続けるということです。
名義変更のあと支払い口座がどうなるかは案内に書かれていないため、名義変更の電話で口座の切り替えもあわせて確認しましょう。
しかも、支払い方法の切り替えはすぐには終わりません。
東京電力エナジーパートナーは、申込みから手続き完了まで1〜2か月ほどかかる場合があり、完了までは今の支払い方法が続くとしています(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
名義の変更や契約者の変更を伴う場合は、カスタマーセンターへの連絡が必要です(同)。
名義の手続きと支払い方法の変更は、同じ電話でまとめて伝えると二度手間を防げます。
口座振替やクレジットカードへの切り替え手順は電気の支払い方法を変更するにはで、契約者と支払う人が違うときの考え方は未成年・学生・外国籍の電気契約の記事で取り上げています。
未払い分は契約を終えても消えない
「契約を止めてしまえば、残っている料金は帳消しになる」ということはありません。
東京電力エナジーパートナーの特定小売供給約款は、需給契約期間中の料金その他の債権債務は、需給契約の消滅によっては消滅しないと定めています(出典:東京電力エナジーパートナー 特定小売供給約款 44 需給契約消滅後の債権債務関係)。
自由料金プランに適用される電気需給約款[低圧]にも、同じ定めがあります(出典:東京電力エナジーパートナー 電気需給約款[低圧]34)。
東北電力の特定小売供給約款も同様です(出典:東北電力 特定小売供給約款 48 需給契約消滅後の債権債務関係・2026年11月1日実施)。
東京電力エナジーパートナーでは、名義変更をすると請求中の料金は残る人へ引き継がれます(出典:東京電力エナジーパートナー公式サイト)。
引き継ぎを希望しない場合は、一度契約を終えて新規で契約する方法が案内されています(同)。
どちらを選んでも、払うべき料金そのものが消えるわけではありません。
二人のどちらが負担するかをどう取り決めるかは、電力会社の手続きとは別の話です。
必要に応じて、弁護士などの専門家に相談してください。
契約を終えたあとの最終請求のしくみは電気の解約後の最終請求・精算で、支払いが遅れて止められたときの戻し方は電気が止められたときの再開手順で解説しています。
離婚・別居の電気手続きとあわせて読みたい記事
- 電気の名義変更のやり方(会社別の窓口・用意するもの)
- 電気の開通・使用開始の手続き(家を出る人の新居の電気)
- 電気の解約・使用停止の手続き(元の家の契約を終える)
- 電気の支払い方法を変更するには(口座振替・クレジットカードの切り替え)
- 電気の解約後の最終請求・精算のしくみ(停止したあとの請求)
- 引っ越しの電気・ガス・水道の手続き(3つをまとめて済ませる順番)
よくある質問
まとめ
離婚・別居・同棲解消で電気の手続きが変わる分かれ目は、その家に誰が住み続け、誰が契約者かです。
契約者本人が住み続けるなら契約の手続きは要らず、二人とも家を出るなら、使用停止とそれぞれの新居での使用開始を申し込みます。
いちばん迷いやすいのは、契約者が家を出て、契約者ではない人が住み続けるときです。
このとき選べるのは名義変更と停止+開始の2つで、東京電力エナジーパートナーでは、譲渡・継承などで名義変更をすると請求中の料金も残る人に引き継がれます。
料金をはっきり分けたいなら、東京電力エナジーパートナーや中部電力ミライズの案内では、元の契約を止めて残る人の名義で新しく始める形になります。
家を出る人は、新居での使用開始も忘れずに申し込みましょう。
手続きのあとに残りやすいのが、相手名義の口座からの引き落としと未払い分です。
東京電力エナジーパートナーの場合、口座は名義が違っても引き落とされ続けることがあり、切り替えには1〜2か月かかる場合があります。
また、東京電力エナジーパートナーや東北電力の約款では、契約を終えても未払いの料金は消えないと定められています。
九州電力のように状況で扱いが変わる会社もあるので、電話では「離婚(別居)で契約者が家を出た」と伝え、自分のケースでの手続きを確かめてから進めると安心です。
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