サブスクリプションサービス(以下サブスク)は、月々の定額料金で手軽に商品やサービスを利用できるシステムです。動画配信サービスや音楽サービスをはじめ、近年はさまざまなジャンルで普及しています。
サービスごとの支払いが不要なため便利な反面、ついつい使いすぎてしまい「サブスク貧乏」になってしまう人がいるのも大きな特徴です。そのため、サブスクに対して「もったいない」「やめたほうがいい」という意見を持つ人もいます。
今回の記事では、サブスクに月いくら使っている人が多いのか、サブスクの種類ごとにどの程度の金額が必要なのか、また無駄遣いを防ぐためのコツについても解説します。サブスクを上手に利用して、賢く節約しましょう。
この記事でわかること
- 多くのユーザーは、サブスクに月3,000円程度使用しており、平均利用数は2.3個。
- 周りに流されやすい人や、管理能力が甘い人は「サブスク貧乏」になる傾向にある。
- 動画配信サービスや音楽配信サービスの利用が多いものの、食品や美容などさまざまなサブスクが存在している。
- 無料トライアルを利用したり定期的に内容を見直すことが、無駄遣いを減らすことにつながる。
サブスクに使う金額は平均で月いくらなのか
サブスクにかける月額費用はどのくらいが一般的なのでしょうか。調査によると、サブスクの平均利用数は約2.3個で、ユーザーの約7割が月額3,000円未満で利用していることがわかりました。
サブスク利用数は「1個のみ」という人が最も多く、全体の31.9%を占めています。次いで「2個(29.6%)」や「3個(14.5%)」と続き、基本的に少数のサブスクをコンパクトに利用する傾向が強いようです。
利用料金については「1,000円〜3,000円未満」が31.4%で最も多く、次いで「500〜1,000円未満」の27.1%という結果が出ています。以下の表からわかるとおり、約75%の人が3,000円以内でサブスクを楽しんでいます。
1か月あたりの利用料金の割合 | |
---|---|
500円未満 | 16,5% |
500円以上1,000円未満 | 27.1% |
1,000円以上3,000円未満 | 31.4% |
3,000円以上5,000円未満 | 11.6% |
5,000円以上10,000円未満 | 8.8% |
10,000円以上30,000円未満 | 3.5% |
30,000円以上 | 1.2% |
※参照:「サブスクリプションサービスの利用実態に関するアンケート」|Appliv(アプリヴ)
利用経験があるサブスクサービス1位は動画配信
多くのサブスクサービスのなかで、最も利用者が多いのは「動画配信サービス」です。映画・ドラマ・アニメ・バラエティなどが見放題という点が魅力で、全体の7割以上の人が利用したことがあります。代表的なサービスとしては、「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」「U-NEXT」などが挙げられます。
動画配信サービスに続いては「音楽配信サービス」や「電子書籍」「アプリ」なども人気です。とくに音楽配信では、「Spotify」や「Apple Music」などが有名で多くのユーザーが利用しています。どのサービスも、決まった金額を払えば豊富なコンテンツにアクセスできるため、手軽にエンターテインメントを楽しみたい人に最適です。
利用経験があるサブスクサービス | 人数(全体:2,350人) |
動画配信 | 1,712人 |
音楽配信 | 1,155人 |
電子書籍・雑誌 | 511人 |
食品 | 282人 |
ウォーターサーバー | 280人 |
学習サービス | 173人 |
美容・コスメ | 156人 |
※参照:「サブスクリプションサービスの利用実態に関するアンケート」|Appliv(アプリヴ)
節約の大敵!「サブスク貧乏」になる人の特徴
気づけば複数のサブスクに加入し、生活費を圧迫してしまう「サブスク貧乏」になる人にはどのような特徴があるのでしょうか。以下の3つに自分が当てはまっていたら要注意です。
周りに流されやすい
友人や同僚がサブスクを利用している、SNSで話題になっているなど、他人の影響でサブスクを次々と契約してしまう人は注意が必要です。自分が本当に必要としているかどうかを考えずに、周囲に流されて契約を増やしてしまうと、知らず知らずのうちに出費がかさむ原因となります。
まずは、自分のライフスタイルに本当に必要なサービスかどうかを見極めてみましょう。たとえば、「友達がNetflixに加入しているから自分も…」という考え方をするのではなく、そのサービスが本当に興味があるコンテンツかどうかを調べてみることが重要です。
たとえ魅力的なコンテンツがあったとしても、それ以外に続けられる要素がなければ余計な出費につながりかねません。先々を見据えて冷静な判断をしましょう。
支出の見直しをおこなわない
サブスクは一度契約すると、毎月自動的に引き落とされるため、実際にいくら使っているのかがわかりにくくなる傾向があります。少額だからこそ意識しづらく、複数のサブスクを利用しているうちに月々の固定費が膨らんでしまうこともあるでしょう。
だからこそ、定期的に支出を見直し、どのサブスクにいくらかかっているのかを把握することが大切です。使っていないサブスクがあれば、すぐに解約を検討しましょう。
とくに、利用頻度が少なくなっていたり、同じサービス内容をほかのサブスクで代用できたりする場合は要注意です。面倒な作業ではあるものの、見直しを積極的におこなえる人はサブスク貧乏にはなりづらいといえます。
管理能力が甘い
「無料トライアル期間が終わったら解約するつもりだったのに、うっかり忘れて料金が発生してしまった…」というように、管理能力が低いと余計な出費につながります。解約のタイミングを逃してしまうことは、サブスクにおいてよくあるトラブルの1つです。
このような問題を避けるためには、カレンダーやリマインダーアプリなどを活用して、無料期間の終了日や解約のタイミングをしっかりと管理しなければなりません。
また、定期的にサブスクの契約状況を確認し、不要な契約がないかチェックする習慣をつけるのも、余計な出費を防ぐためには効果的です。
ジャンル別サブスクにかかるお金
ここでは、主なジャンルごとにおおよその月額費用を解説します。無駄遣いを防ぐコツも紹介するので、参考にしてください。
動画配信サービス
映画・ドラマ・アニメなどが定額料金で観られる動画配信サービスは、もっとも多くの人が利用しているサブスクサービスの1つです。月額料金は500円から2,000円程度で、1,000円前後のサービスが多い傾向にあります。
たとえば、「DMM TV」は月額550円、「Netflix」は月額890円から利用可能でリーズナブルに映画やドラマを楽しめます。
ただし、サービスによって配信コンテンツが異なるため、複数の動画配信サービスを契約している人が多いのも特徴です。そのため、すべてのコンテンツを楽しもうとすると月々2,000円以上かかることも。
人気コンテンツを独占配信したりオリジナル作品を配信したりする場合もあるため、サービスを絞りきれない人もいるでしょう。しかし、独占配信やオリジナル作品を観終わったら、ほとんど使わないサービスがあるかもしれません。定期的に利用頻度を見直し、よく利用するサービスだけを残すようにしましょう。
◆以下の記事ではおすすめのサブスク動画サービスについて紹介しています。新たなサービスへの契約を検討している人はぜひ参考にしてください。
音楽配信サービス
音楽配信サービスは、世界中の楽曲を聴けるサブスクとして人気です。月額料金はおおむね1,000円程度で利用可能で、「Spotify」や「Apple Music」などが主要なサービスとして挙げられます。
学生向けの学割プランを利用すれば、月額500円程度で利用可能です。CDを買ったり借りたりするよりも手軽なうえに、コストパフォーマンスの面からみても非常に優れているといえるでしょう。
どのサービスも似たような楽曲数を提供しており、メジャーなアーティストの楽曲がそろっているため、1つのサービスを契約すれば十分です。新たな楽曲を発見できるプレイリスト機能や、音質など細かな使い勝手を比較して自分に合うものを選ぶとよいでしょう。
◆具体的にどんなサービスに契約したらよいか迷っている人は、以下の記事を参照してください。おすすめのサブスク音楽サービスについて紹介しています。
電子書籍・雑誌
電子書籍や雑誌のサブスクも人気が高まっています。スマホやタブレットで手軽に読めるため、忙しい人や紙媒体を増やしたくない人におすすめです。月額料金は500~1,000円程度で、紙で購入するよりも安価な場合がほとんどです。
「Kindle Unlimited」や「dマガジン」といったサービスが人気で、いずれも無料期間があるので試してみましょう。
また、サブスク動画配信サービスの「U-NEXT」で契約すると、基本的に有料ではあるものの電子書籍や雑誌も読めるようになります。契約するサービスをなるべく少なくしたいという人に最適です。
場所を取らずに大量の本や雑誌を持ち歩けるため、読書や情報収集が好きな人は検討してみてください。
食品
食品のサブスクは、毎日の食事を手軽に提供してくれる便利なサービスです。弁当やミールキットを定期的に届けてもらえるため、自炊の手間を省きたい人や忙しい一人暮らしの人にとくにおすすめといえます。
月額料金は配送料や頻度によって異なり、数千円から数万円と幅が広いのが特徴です。たとえば、週に1度の配送なら数千円で済むこともありますが、毎日のように利用する場合は月額2~3万円かかることも考えられます。
食品サブスクといっても、温めれば完成する弁当タイプから調理が必要な食材タイプまでさまざまです。節約したい場合は、使用回数を減らしたり、食材タイプを選択したりといった調整が必要です。
◆以下の記事では一人暮らしにおすすめのご飯・弁当サブスクを紹介しています。自炊の手間を省きながら健康な食事がしたいという人はぜひ参考にしてみてくださいね。
ウォーターサーバー
ウォーターサーバーのサブスクは、水にこだわりたい人に人気のサービスです。定期的に届けられるミネラルウォーターをウォーターサーバーに入れることで、安全でおいしい水がいつでも飲めます。
ウォーターサーバー自体のレンタル料は、無料のものから月額1,000円程度のものまで選べます。ただ、そのほかの初期費用に関しては顧客獲得のため無料にしている場合がほとんどです。
ウォーターサーバーのサブスクでもっとも費用がかかるのが、毎月のミネラルウォーターの費用です。1,000~4,000円程度の支払いで、毎月決まった量のミネラルウォーターが自宅に届きます。
また、浄水機能がついたサーバーを使用すれば、水道水を注いで使えるため大幅なコストカットも可能です。ただし、フィルターの交換をする必要があったり味が落ちたりするというデメリットが存在するのでご注意ください。
◆ウォーターサーバーの導入を検討している人はこちらの記事を参考にしてみてください。選び方や特徴でまとめているので、どれが自分に最適な製品なのかがわかりやすいでしょう。
学習サービス
学習系のサブスクは、英語・プログラミング・マーケティングなどを学ぶのに便利なサービスです。通勤・通学時といったスキマ時間に学習を進められる点が魅力的です。月1,000円程度から本格的なものになると、数万円を要するサービスまでさまざまあります。
たとえば、初心者向けのプログラミングが学べる「Progate」は、月額990円から多くのプログラミング言語を習得できます。一方で、英会話レッスンの「イーオン(AEON)」では、最低でも月額11,550円が必要です。
学べる内容やレッスンの質にもよって異なるため、料金が安いからといって飛びつくのは危険です。気になるサービスがあれば、内容もチェックしてみましょう。
美容・コスメ
美容やコスメのサブスクも、多くの人気を誇っています。美容は脱毛・エステ・フィットネス・ネイルといったさまざまな分野があり、必要費用は数千円から数万円までさまざまです。月額料金を払えば通い放題というケースが多いため、通えば通うほどコスパはよくなります。
たとえば、美容室サブスクの「MEZON」では月額5,830円から、エステサブスクの「エスプラ」では月額8,800円から利用可能です。
コスメに関しては、定期的に化粧品やスキンケアアイテムが届く仕組みで、相場は月額3,000円程度です。毎月異なるコスメが届くので、美容意識が高い人や新しいアイテムを試してみたい人は利用してみましょう。
サブスクにお金を使い過ぎないための方法
サブスクは便利ですが、複数のサービスを同時に利用すると知らず知らずのうちに出費がかさんでしまうことがあります。ここでは、サブスクにお金を使い過ぎないための具体的な方法を紹介します。
サブスクに月いくら使うか設定する
まず、サブスクに使う金額を設定することが重要です。毎月の手取り額から家賃・光熱費・食費などの生活必需費を差し引き、その余剰を「娯楽費」として考えます。さらにそのなかから、交際費や趣味のための予算を割り振り、サブスクに使える金額を決めるとよいでしょう。
2020年に総務省がおこなった「家計調査」によると、月収の5~8%を趣味に使う費用として捻出している人が多いことがわかりました。月収30万円の人であれば、15,000円から24,000円あたりです。
そのなかからさらに、サブスクの費用を考える必要があります。ほかに趣味があれば、それだけでかなり圧迫されてしまうでしょう。これを機に、サブスクに月いくらまで使えるのか考えてみることをおすすめします。
※参考:「2020年 家計調査(家計収支編)」|総務省
無料トライアルを活用してから契約を検討する
気になるサブスクサービスがあれば、まずは無料トライアルを試してから契約するのがおすすめです。多くのサービスでは、1週間や1か月間など、無料でサービスを体験できるプランを提供しています。
この期間に、サービス内容やコンテンツの充実度を確認し、継続的に利用する価値があるかどうかを見極めてみましょう。
ただし、トライアル期間が終了すると自動的に課金が開始されるため、解約を忘れないようカレンダーやリマインダーを設定しておくと安心です。
定期的に内容を見直す
サブスクは自動で引き落とされるため、使っていないサービスの存在を忘れがちです。そのため、定期的に契約内容を見直してみましょう。複数のサブスクを契約している場合、サービスの利用頻度を確認し、不要なものは解約するのが賢明です。
また、サービスの使用状況を確認してみると、月額料金以上の価値を感じていないことも多くあります。とくに、月に数回しか使っていないサービスは、元が取れていない可能性が高いので、契約を見直すタイミングです。
サブスクは目に見えづらいサービスなので、意識的に内容を見直すようにするとよいでしょう。
優先度をつける
自分が契約しているサブスクをすべてリスト化し、優先度をつけることも有効です。まずは、頻繁に利用する音楽配信サービスや動画配信サービスをリストアップしましょう。次に、あまり使っていないサービスや「なくても困らない」ものを洗い出します。
この方法を活用すると、無駄遣いを防ぎつつ本当に必要なサービスの絞り込みができます。また、サービスを使う頻度が低い場合は、都度払いに切り替えたり、必要なときだけ契約したりと柔軟な対応を検討してみましょう。
解約方法を把握しておく
サブスクは解約手続きが複雑な場合が多く、解約をためらう原因になりかねません。契約満了月に解約手続きが必要なこともあり、余計な手間や手数料が発生することもあるでしょう。また、年単位で契約しているとすぐに解約できない場合も多くあります。
そのため、事前に解約方法をしっかりと確認しておき、いざ解約したい時にスムーズに手続きができるように準備しておくことが大切です。利用規約や解約にかかるコストを把握しておけば、慌てずに対処できるでしょう。
いったんやめてみる
迷った場合は、思い切っていったんやめてみるのも1つの方法です。迷っている時点で、そのサブスクは必ずしも必要ではないかもしれません。利用を停止しても支障がなければ、そのまま解約することも考えられます。
一方で、やはり必要だと感じた場合は、再度契約すれば問題ありません。一度離れてみることで本当に価値があるかどうか再確認できる可能性があります。
サブスクは柔軟に利用できるのが大きなメリットです。再契約をする際も面倒な手続きが不要な場合が多いため、思い切ってやめてみても、思ったほど支障はないかもしれませんね。
まとめ|無駄遣いをしないためにも、サブスクは定期的な見直しが重要
サブスクは便利で気軽に利用できる反面、少額の料金であるため、ついつい無駄遣いをしてしまいがちです。以下は本記事のまとめです。
- サブスク利用者の約7割が月3,000円未満で利用しており、平均利用数は約2.3個。
- サブスクに加入する人のなかで、周囲に流されやすい人や管理が甘い人は無駄な支出が増える傾向がある。
- 動画配信・音楽配信・電子書籍などのサブスクは月額1,000円前後で、食品やウォーターサーバーなどは数千円から数万円の費用がかかる。
- サブスクに使う金額を設定し、無料トライアルを活用、定期的に契約内容を見直すことで、無駄遣いを防ぐことができる。
- 定期的にサブスクの使用状況を確認し、不要な契約を解約することで節約につながる。
サブスクに対する意識を少しだけ費用面に向けてみると、余計な出費が減るかもしれません。自分に本当に必要なサービスなのかを定期的にチェックしながら、快適なサブスクライフを楽しんでください。