最近主流のスチームアイロンは、忙しい毎日でも衣類のケアが手軽にでき、気になるシワもスグ取れます。
ただし、手順や素材の扱いを間違えると、大切な衣類を傷めてしまったり、スチームアイロン本体の故障につながることもあって注意が必要です。
本記事では、スチームアイロンの基本の使い方や素材別の上手なかけ方を紹介します。
スチームアイロンを効果的に使ってパリッとした装いをしていれば、印象アップにつながりますよ。ぜひ参考にしてください。
スチームアイロンの基本と効果
最初に、スチームアイロンの特徴や、ドライアイロンとの違いを紹介します。
スチームアイロンの仕組みとは?
スチームアイロンは、スチーム(水蒸気)とプレス(圧力)のパワーで衣類のシワを伸ばします。
大きくは2種類あり、アイロン台を使う「プレスタイプ」と、衣類に触れることなくスチームを当てられる「衣類スチーマータイプ」です。
アイロン台を使ってプレスすれば、細かなシワや強いシワをしっかり伸ばせます。
ハンガーに服をかけたままスチームを当てるだけでも、ジャケットやシャツの全体的なシワを取ったり、二ットをふんわりさせられます。
スチームアイロンには、ドライモードとスチームモードを使い分けられるタイプや、スチームモードを数段階から切り替えて使えるタイプも出ています。
「サイズ」「電源コードの有無」「給水タンクの容量」「重さ」などによって好みのタイプを選びましょう。
スチームアイロンから噴射される高温のスチームには、シワ伸ばし以外にも消臭・除菌の効果が期待できます(全ての菌や臭いに効果があるわけではありません)。
衣類に染みついた汗や食べ物などのニオイ、生活臭や防虫剤などのニオイなどが気になるときにも便利です。
なぜスチームアイロンがシワを取るのか?
衣類のシワは、「水分・熱・圧力」の3つをかけると、効果的に伸ばせます。
生地の繊維は、水分を含むと膨らんで柔らかくなる性質があります。
スチームアイロンは、アイロン本体からスチームを噴射し、生地を湿らせて柔らかくします。そこにアイロンのプレスで熱と圧力を加えると、シワをしっかり取れるのです。
また、衣類のシワは、素材によっては「水分と熱」だけでも、ふんわり伸ばすことができます。
生地からスチームアイロンを少しだけ浮かせてスチームを当てることで、二ットなどの生地に水分を含ませ、整えられるのです。
スチームは、1ヶ所につき10秒程度かけて、たっぷりかけるのがポイントです。
ドライアイロンとスチームアイロンの違い
ドライアイロンは、熱と圧力によってシワを伸ばすアイロンです。
スチームアイロンは、スチームと圧力(またはスチームのみ)でシワを伸ばします。
ドライアイロンは、高温になるため、生地の水分がしっかりと飛び、パリっとした仕上がりになります。
ドライアイロンは、水を嫌うシルクや、麻や合成繊維といったシワがなかなか伸びない素材のアイロンがけにおすすめです。
綿や麻にドライアイロンを使用するときは、霧吹きで水を吹きかけてからアイロンがけします。
スチームアイロンは、ドライアイロンのようにしっかりシワを伸ばせるのに、霧吹きを使う手間が要りません。ですが、洗濯糊は、スチームモードでは使用せず、ドライモードで使ってください。
スチームアイロンは、プレスせずにスチームを当てるだけでも、シワを目立たなくしたり、消臭・除菌効果も期待できます。
毎日のお出かけ前や帰宅後の衣類ケアがサッとできて、忙しい人でも取り入れやすいのがスチームアイロンです。
効果的な使い方とシワ伸ばしのコツ
スチームアイロンを効果的に使うにはコツがありますので、ぜひ押さえましょう。
正しい水の入れ方: タンクの取り扱いと水の選び方
スチームアイロンには、付属の給水カップでタンクの指定部分まで水を入れましょう。付属のカップがなければ、キッチン用のカップなどで注ぎましょう。水道から直接入れると水漏れの原因になるので避けた方がベターです。
スチームアイロンには、水道水または精製水、蒸留水を使い、それ以外の水は使わないようにしてください。リネンウォーター、アロマ水などは製品の故障につながるので入れてはいけません。製品の取扱説明書に従ってください。
使える/使えない素材の見分け方
スチームアイロンが使えるかどうかの見分けは、衣類の「アイロン表示」で確認できます。
アイロン表示:
アイロンの絵の中の「高」「中」「低」 | アイロンの設定温度を示す。 |
アイロンの絵の中の黒い点 | 点3つが「高」、2つが「中」、1つが「低」を示す。 |
アイロンマークに「×」 | アイロン使用不可。スチームも不可。 |
適温の目安:
高温(180~210℃) | 麻や綿 |
中温(140~160℃) | シルク・ウール・ポリエステルなど |
低温(80~120℃) | アクリル・ポリウレタンなど |
素材別のアイロンがけ方法は以下が目安です。
ただし、必ず「アイロン表記」を確認し、目立たない部分に試してから全体をアイロンがけするようにして、生地の縮みやテカリを防ぎましょう。
スチームアイロン可
- 麻や綿
→スチームアイロンでしっかりプレスする。 - ウール素材のセーター
→スチームをふんわりかけてシワをとる。
スチームアイロン不可
- シルクや低温推奨の合成繊維(レーヨン・ポリエステルなど)
→当て布をしてドライアイロン(モード)を使用する。
当て布とは、素材に直接熱が当たって傷めることがないように生地の上にかける布です。
熱から守るだけでなく、生地に付着している皮脂などの汚れが、熱で焦げないようにするのにも効果があります。
熱に強い綿100%の素材で、下に置いている衣類が見やすい白がおすすめです。
当て布が必要な素材の例
シルク・ウール・ポリエステル・カシミヤ・レーヨン・Tシャツのプリント部分・ニット・ベルベット など
水分や熱を嫌う素材は、誤ってスチームアイロンをかけてしまうと傷めてしまい、せっかくのお気に入りが台無しになってしまいます。アイロンを使用する前には、必ず「アイロン表示」を確認するようにしましょう。
ワイシャツやTシャツ、その他の衣類別のアイロンのかけ方
アイテム別のアイロンのかけ方を押さえておきましょう。コツを押さえるだけで、ヨレずにパリッと仕上げられます。
ワイシャツのかけ方
- 全体にスチームをかける。
- 「襟→肩→袖口→袖→右前身ごろ→後ろ身ごろ→左前身ごろ」の順にアイロンがけする。
- 裏面からもアイロンをかける。
綿や麻製のシャツは、シワが伸びにくいので、まずはスチームを充分にかけ、次にドライモードでしっかり熱と力を加えながら伸ばしていきます。
動かす速さは「10cmを約3秒」が目安です。
混紡素材製(ポリエステルと綿など)は混合している素材の種類に応じて温度を調節します。
アイロンは、一方向にかけるようにします。アイロンを持っていない手で生地を引っ張り、袖口は縫い目に沿ってプレスします。
細かいパーツから先にアイロンがけすることで、プロ仕様のパリッとした仕上がりになります。
表面だけでなく裏面からもアイロンがけすることで、ボタンに引っ掛からずスムーズにシワが伸ばせます。
ポケットは外から中に向けてアイロンがけすると、ヨレにくくスッキリ仕上がります。
Tシャツのかけ方
- 「左右の袖→身ごろ(右)→左身ごろ(左)」の順にアイロンがけする。
- スチームを当てる。
- 冷ましてから収納する。
Tシャツは、軽くアイロンで押さえるだけでシワが取れます。強く押さえると、かえってヨレる原因になるので、軽く当てましょう。
身ごろは大きいパーツなので、左右にわけてアイロンがけし、最後に裾の伸び具合が気になる場合はスチームをかけて揃えます。
裏側からスチームを当てることで、生地をふんわりさせ、ヨレやシワが目立たなくなります。
アイロンの熱が冷めると形状が安定します。Tシャツはハンガーにかけて冷ましてから収納しましょう。
その他の衣類についても、アイロンがけは以下のポイントに気をつけましょう。
その他の衣類のかけ方
- 細かいパーツから始めて一方向に動かす。
- 袖口など込み入ったパーツは上からプレスするようにする。
- 冷ましてから収納する。
コツを押さえて効果的にアイロンがけしましょう。
スチームアイロンのお手入れとメンテナンス
スチームアイロンは水を入れて使うので、お手入れ方法を知っておくと、長く快適に使えます。
カルキや目詰まりの予防と対策
水道水にはカルキが含まれていますので、スチームアイロンの「スチーム穴」部分やスチームの通り道に目詰まりを起こさせることがあります。
放っておくと、衣類に移ってしまったり、アイロンの性能や寿命を縮める原因になりますので、定期的にお手入れしましょう。
手軽なのは市販のクエン酸シートで拭き取る方法です。
用意するもの
- クエン酸シート
- めん棒
(クエン酸1:水5でクエン酸水を作り、キッチンペーパーで拭き取ってもよいです。)
クエン酸シートでアイロンの裏側をなでるようにやさしく拭き取ります。スチーム穴部分の細かい汚れが落ちにくい場合は、クエン酸シートを楊枝などに巻きつけると上手に落とせます。
詳細は商品ごとに異なるため、取扱説明書で確認してから行ってください。
定期的な水の抜き方とタンクのお手入れ
スチームアイロンのタンクの水は、使い終わったらその都度捨てて空にし、できるだけ乾かしましょう。
タンク内の水滴までは落としきれないため、少量であれば残っていても問題ありません。
水を入れっぱなしにするとタンク内にカビや水垢が発生し故障の原因になります。
カートリッジ式はタンクを取り外し手水を捨てましょう。
タンクを取り外せない一体型は、かけ面を上にしてタンク内の水を捨てます。
スチームボタンを押して残った水を出し切っておくと安心です。
ショット付きは、水を捨てた後に、余熱を利用して空打ちショットをしてください。エアーが出てスチーム穴などのクリーニング効果があります。
注水口の蓋を開けておき、タンク内を乾かします。
スチーム切替モードは「ドライ」マーク に合わせて保管しておきましょう。次に使うときの水漏れを防止できます。
手のかかるお手入れは必要ありませんが、使用後には毎回水を捨て、タンクに入れっぱなしにしないようにしましょう。
トラブル発生時の対処法
スチームアイロンでよく発生するトラブルに水漏れがあります。
ですが、スチームアイロンの水漏れは、必ずしも不良品や故障とは限りません。
次の2つのケースが考えられます。
構造上仕方のないケース
スチームアイロンの構造上、水漏れが気になる箇所は2つあります。
1箇所目は、空気穴やスチーム口です。
水を入れる際に「ドライモード」に設定しておくことで、水漏れを防げます。使用後に「ドライモード」に設定して保管しておくようにしましょう。
次にスチームアイロンを使用するときは、ゆっくりとすべらせるように使ってください。小刻みに動かすと、水が揺れて漏れやすくなります。
2箇所目は、パッキンです。
水道水に含まれるカルキの影響の場合などで、パッキンから水漏れしてくることがあります。
パッキンのパーツだけ買い替えが可能な場合があるので、商品サイトなどで確認しましょう。
スチームのパワー不足のケース
スチームのパワー不足が水漏れにつながる場合もあります。
設定した温度になる前にスチームを使用すると、水漏れの原因になることがあります。
スチームアイロンのサインを確認してからスチームを使用しましょう。
上記以外の水漏れの場合には、故障の可能性がありますので、製品サイトから問い合わせましょう。
まとめ
スチームアイロンは、ドライアイロンと衣類スチーマーのよさを兼ね備えていて、衣類のシワを伸ばしたり嫌なニオイを飛ばせる便利なアイテムです。
素材ごとに効果的に使いましょう。
- 麻・綿 →スチームアイロンでしっかりプレスする。
- ウール素材のセーター →スチームをふんわりかける。
- シルクや低温推奨の合成繊維 →当て布をしてドライアイロン(モード)を使用する。
お手入れは以下の点に気をつけましょう。
- 毎回の使用後にはタンクの水抜きをする。
- 数ヶ月に1度、クエン酸シートでカルキを拭き取る
生地の素材によっては、かえってダメージを与えてしまうこともあります。衣類の「アイロン表示」を確認したうえで目立たない場所に試しがけし、適した設定で使うことが大切です。スチームアイロンを効果的に使って、毎日快適に装いましょう。