容量拠出金とは?電気料金の明細に載る理由と規制料金にはもう含まれているのか

本記事の情報は2026年10月時点のものです。容量拠出金の金額や負担割合、電気料金への反映方法は年度や電力会社によって異なり、変更される場合があります。最新情報は電力広域的運営推進機関(OCCTO)・資源エネルギー庁・ご契約の電力会社の公式サイトでご確認ください。

「電気料金の明細や料金改定のお知らせに『容量拠出金』と書いてあった。これは何?」
容量拠出金は、将来の供給力(発電することができる能力)を確保する「容量市場」の費用で、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が小売電気事業者などに請求しているお金です。
じつは、容量市場そのものの規模を示すメインオークションの経過措置を踏まえた約定総額は、実需給年度2025年度のメインオークションで5,140億円、実需給年度2029年度のメインオークションで2兆2,094億円と、年度によって大きく違います(出典:OCCTO・OCCTO作成資料)。

この記事では、容量拠出金の仕組み、誰が誰に払うのか、金額の決まり方、家庭の電気料金への表れ方、大手電力の規制料金での扱いを、公式情報をもとに整理します。

📋 この記事でわかること
  • 容量市場・容量拠出金がつくられた理由
  • 誰が誰に払うのか(お金の流れ)
  • 金額の決まり方と、実需給年度ごとの約定総額の推移
  • 家庭の電気料金への表れ方と、大手電力の規制料金での扱い
  • 再エネ賦課金・燃料費調整額との違い

容量拠出金とは将来の供給力を確保するための費用

OCCTOによると、容量市場は将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する仕組みです(出典:OCCTO)。
OCCTOは、供給力を「発電することができる能力」と言い換えています(出典:OCCTO)。

資源エネルギー庁の解説記事(2021年6月)によると、卸電力取引市場は電力量(kWh)を取引し、容量市場は将来にわたって見込める供給力(kW)を取引します(出典:資源エネルギー庁)。
同じ記事は、容量市場で取引されるのは「4年後の電力の供給力」だとしています。

なぜこうした仕組みが必要になったのかについて、OCCTOは導入の背景として、市場価格が下がると将来の売電収入が見込めず、発電所の建設や建て替えの投資が断念されうることを挙げています(出典:OCCTO)。
OCCTOによると、火力発電所は開発計画から運転開始まで標準で10年程度かかります。
OCCTOは容量市場の目的に、kWhの取引価格の安定化と電気料金での消費者のメリットを挙げています(出典:OCCTO)。

OCCTOによると、容量市場は国の制度設計のもと、2020年にOCCTOを市場管理者としてオークションが始まりました(出典:OCCTO)。
資源エネルギー庁の解説記事(2021年6月)によると、2020年7月に、2024年度に供給できる電源を確保するための第1回オークションが行われました(出典:資源エネルギー庁)。

誰が誰に払う?容量拠出金のお金の流れ

OCCTOは発電事業者等に供給力の対価を交付し、その原資を「容量拠出金」として小売電気事業者・一般送配電事業者・配電事業者に請求しています(出典:OCCTO)。
OCCTOによると、日本全体で確保した供給力への対価を、小売電気事業者と一般送配電事業者・配電事業者が負担し、この費用を「容量拠出金」というとしています(出典:OCCTO)。

💴 お金の流れ(OCCTOの説明をもとに整理)
  • 小売電気事業者・一般送配電事業者・配電事業者 → OCCTO:容量拠出金を払う
  • OCCTO → 発電事業者等:供給力の対価を交付する
  • 小売電気事業者の請求額:2024年度以降、OCCTOの会員である小売電気事業者は年間ピーク時kWシェア等に応じて通知される
  • 一般送配電事業者・配電事業者の負担:託送料金に算入されている部分(H3需要×X%)で、割合は2024年度6%、2025年度以降8%

上の請求額の通知の仕組みはOCCTOの説明によるもので、一般送配電・配電事業者は各エリアのH3需要に応じて請求額が通知されます(出典:OCCTO)。
負担割合の6%・8%もOCCTOの説明です(出典:OCCTO)。

OCCTOによると、支払いはメインオークションの4年後の実需給年度からで、2020年度実施分の実需給年度は2024年度です(出典:OCCTO)。
OCCTOによると、4月分の初回請求は実需給年度の7月で、その後は月次請求になります。
小売電気事業者等がOCCTOに払う容量拠出金は、消費税の課税対象です(出典:OCCTO)。

負担額の決まり方とオークションの約定総額の推移

小売電気事業者の負担額は、OCCTOが示す手順で決まります(出典:OCCTO)。

STEP
全国の総額をエリアに配分する

全国の容量拠出金の総額を、エリア別のH3需要比率で各エリアに配分します。

STEP
控除と送配電の負担を引く

エリアの配分額から、経過措置の控除額と一般送配電事業者の負担額を引いた額が、そのエリアの小売電気事業者の負担額になります。

STEP
各社の比率で分ける

各社の配分比率は、実需給年度の前年度の需要実績(4〜9月分は夏季ピーク7〜9月、10〜3月分は冬季ピーク12〜2月)を基準に算定し、さらに実需給年度のシェア変動に応じて補正します。

次に、容量市場そのものの規模として、メインオークションの約定総額を見てみます。
OCCTOが公表したメインオークションの結果を、実需給年度ごとに並べると次のとおりです。

実需給年度約定価格(エリアプライスの例)経過措置を踏まえた約定総額
2024年度全エリア14,137円/kW1兆5,987億円
2025年度北海道・九州 5,242円/kW、それ以外 3,495円/kW5,140億円
2026年度東京 5,834円/kW、北海道 8,749円/kW、九州 8,748円/kWなど8,504億円
2027年度東京 9,555円/kW、北海道 13,287円/kWなど1兆3,140億円
2028年度北海道/東北/東京14,812円/kWなど1兆8,506億円
2029年度東北/東京15,111円/kWなど2兆2,094億円
出典:OCCTO 容量市場メインオークション約定結果(2024年度・2025年度・2026年度(2023年2月22日訂正版)・2027年度・2028年度・2029年度)

表の年度は、オークションを実施した年度ではなく、実需給年度(支払いが始まる年度)です。
OCCTOによると、2024年度の経過措置は、2010年度末以前に建設された電源の支払額を42%の控除率で減らすものでした(出典:OCCTO)。

OCCTOによると、実需給年度2025年度・2026年度にはメインオークションとは別に追加オークションもあり、追加オークション分の経過措置を踏まえた約定総額はそれぞれ105億円・582億円です(出典:OCCTO 2025年度分・2026年度分)。
今後について、資源エネルギー庁の資料(2026年1月23日)は、上限価格を引き上げると小売電気事業者の容量拠出金の負担が大きく変動する可能性があり、激変緩和策の検討も必要ではないかとしています(出典:資源エネルギー庁)。

家庭の電気料金にはどう表れる?

OCCTOによると、小売需要の電気料金に容量拠出金を反映させるかどうかは、各小売電気事業者の判断です(出典:OCCTO)。
新電力が設ける調整項目の中での扱いは、電源調達調整費とはで整理しています。
表れ方について、ENEOS Powerは、容量拠出金相当額は料金の項目として立てられることもあれば、基本料金や電力量料金に含まれることもあると説明しています(出典:ENEOS Power)。

料金改定の理由として示した例もあります。
みんな電力は、2026年度の容量拠出金の当社負担額が変わるため、2026年4月使用分(5月請求分)から家庭向けプラン(オープン限定プランを除く)の料金を改定しました(出典:みんな電力)。
同社によると、エポスプランの改定の影響額の目安(改定後の単価を2025年2月分に当てはめた場合との比較)は、関東エリアの2人暮らし(30Aもしくは6kVA未満・250kWh)で月+59円、中部エリアの4人暮らし(40Aもしくは6kVA未満・350kWh)で月+199円です。

みんな電力は、容量拠出金の負担は増えたが電源調達コストの削減で可能な限り吸収し、結果として若干の値上げになったと説明しています。
この金額は1社の1プランの改定全体の影響額で、容量拠出金そのものの額ではありません。

「いまの電気料金が、大手電力の規制料金と比べて高いのか知りたい」という方は、電気手続き受付センターにご相談ください。
お住まいのエリアの電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。
電気の手続きを相談する

送信後は担当者からお電話でご案内します

大手電力の規制料金には含まれている?

大手電力の規制料金(従量電灯など)での扱いについては、値上げ審査の資料に記述があります。
料金制度専門会合の事務局資料(2022年12月26日)によると、2023年度からの規制料金の値上げ申請(原価算定期間2023〜2025年度)では、北陸・中国・四国の3社が容量拠出金を購入電力料に織り込み、東北電力は織り込んでいませんでした(出典:電力・ガス取引監視等委員会)。

料金制度専門会合(2024年6月14日)の資料が参考としてまとめた規制料金の値上げ審査の査定方針では、容量拠出金・容量確保契約金額をそれぞれ営業費・控除収益として織り込むとされました(出典:電力・ガス取引監視等委員会)。
東京電力EPの規制料金値上げ申請の概要(2023年2月6日)も、取引所購入・その他の増加理由に、容量拠出金の創設による小売の負担増を挙げています(出典:東京電力エナジーパートナー)。

なお、2026年11月1日には東京電力EPの規制料金の約款も変わります。
東京電力EPの2026年11月1日実施の特定小売供給約款の変更届出は、理由を一般送配電事業者の託送供給等約款の見直しとしています(出典:東京電力エナジーパートナー)。

東京電力パワーグリッドによると、2026年11月1日から実施予定の同社の託送料金(低圧)の平均単価は9.65円/kWh(税抜。現行8.58円)です(出典:東京電力パワーグリッド)。
11月1日からの規制料金の見直しについては、2026年の電気料金の値上げで整理しています。

再エネ賦課金・燃料費調整額との違い

明細で見かける3つの項目を、誰が決めるかで比べると違いがはっきりします。

項目決まり方料金への表れ方
再エネ賦課金全国一律の単価で、毎年度、経済産業大臣が決定2026年度は1kWhあたり4.18円(2026年5月検針分から2027年4月検針分まで)
燃料費調整額大手電力の規制料金では燃料費調整制度の設定が義務規制料金では、料金に反映できる燃料価格の上限が基準燃料価格の1.5倍
容量拠出金OCCTOが小売電気事業者などに請求。料金への反映は各小売電気事業者の判断項目として立てる場合と、基本料金・電力量料金に含める場合がある(ENEOS Powerの説明)
出典:九州電力(再エネ賦課金の決まり方)、経済産業省(2026年度の単価)、資源エネルギー庁(燃料費調整制度)、OCCTO、ENEOS Power

再エネ賦課金は経済産業大臣が毎年度決める全国一律の単価で、燃料費調整額は大手電力の規制料金で設定が義務づけられた制度です。
容量拠出金は、将来の供給力を確保する費用として小売電気事業者などが払うもので、家庭の料金にどう反映するかは各小売電気事業者の判断です。
燃料費調整額は燃料費調整額とは、再エネ賦課金は再エネ賦課金の今後の見通しで詳しく整理しています。

料金の仕組みとあわせて読みたい記事

よくある質問

容量拠出金は、誰が払っているのですか?

OCCTOによると、日本全体で確保した供給力への対価を小売電気事業者と一般送配電事業者・配電事業者が負担し、この費用を「容量拠出金」といいます。
家庭の電気料金に反映させるかどうかは、各小売電気事業者の判断です。

いつから始まった制度ですか?

OCCTOによると、オークションは2020年に始まり、支払いはメインオークションの4年後の実需給年度からで、2020年度実施分の実需給年度は2024年度です。

大手電力の従量電灯にも容量拠出金は入っていますか?

料金制度専門会合の事務局資料(2022年12月26日)によると、2023年度からの規制料金の値上げ申請では、北陸・中国・四国の3社が容量拠出金を購入電力料に織り込み、東北電力は織り込んでいませんでした。
同会合の資料(2024年6月14日)が参考としてまとめた値上げ審査の査定方針では、容量拠出金を営業費として織り込むとされました。
ご契約の会社の扱いは、各社の公式情報で確かめてください。

まとめ

容量拠出金は、将来の供給力(発電することができる能力)を確保する容量市場の費用で、OCCTOが小売電気事業者・一般送配電事業者・配電事業者に請求し、発電事業者等への対価の原資にしているお金です。
メインオークションの経過措置を踏まえた約定総額は、実需給年度2025年度の5,140億円から実需給年度2029年度の2兆2,094億円まで、年度によって大きく変わってきました。

家庭の電気料金にどう反映するかは各小売電気事業者の判断で、ENEOS Powerが説明するように、項目として立てる場合と基本料金や電力量料金に含める場合があります。
規制料金の値上げ審査では、料金制度専門会合の資料が参考としてまとめた査定方針で、容量拠出金を営業費として織り込むとされました。
明細や改定のお知らせで容量拠出金を見かけたら、ご契約の電力会社の約款や料金表で、どの項目に含まれているかを確かめましょう。

電気の契約・手続きの相談なら

「いまの電気料金が暮らしに合っているか見直したい」「引っ越し先の電気の手続きをまとめて済ませたい」という方は、電気手続き受付センターにお気軽にご相談ください。
お住まいのエリアやご希望に合わせた電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。

選んだエリアのページでは、ページを移動せずにそのままご相談いただけます。静岡県は富士川の西が中部電力、東が東京電力のエリアです(色の左右で選べます)。