賃貸の照明は自分で替えていい?天井の取り付け口で分かる交換の可否と蛍光灯の製造終了

「入居した部屋の照明が暗い」「古い蛍光灯の器具をLEDに替えたい」
賃貸でも照明を替えられるかどうかは、まず天井の取り付け口を見ると分かります。
じつは、NITEは、天井に引掛シーリングなどの配線器具が取り付けられていれば、基本的に工事は不要で、照明器具ごと自分でLED照明に交換できるとしています(出典:NITE)。
この記事では、自分で替えられる場合と電気工事士に頼む場合の境目、蛍光灯の製造が終わる時期と使い続けてよいか、費用を誰が負担するか、退去時の扱いを、公式情報をもとに整理します。
- 天井の取り付け口ごとに、自分で替えられるか・誰に頼むか
- 蛍光灯の製造・輸出入が終わる時期と、使い続けてよいか
- ランプだけLEDにするときに気をつけること
- 電球が切れた・器具が壊れたときの費用を誰が負担するか
- 自分で付けた照明を退去時にどうするか
自分で替えられるかはまず天井の取り付け口を見る
NITEは、天井に引掛シーリングなどの配線器具が取り付けられていれば、基本的に工事は不要で、照明器具ごと自分でLED照明に交換できるとしています(出典:NITE)。
一方で、天井に配線器具がない場合や、別の形式の取り付けがされている場合は、電気工事業者に工事を依頼する必要があるとしています(出典:NITE 2025年3月27日)。
経済産業省も、環形蛍光灯をLEDシーリングライトに交換する場合、引っ掛けシーリングがあれば商品ごとの取扱説明書をよく見ることで自分で交換でき、無い場合は工事が必要となる場合があるので電気店や工事店に相談するよう案内しています(出典:経済産業省)。
法律の線引きも確かめておきましょう。
電気工事士法は、「電気工事」から政令で定める軽微な工事を除いています(出典:e-Gov法令検索 電気工事士法)。
電気工事士法施行令は、600V以下で使うソケット・ローゼットなどの接続器にコードをつなぐ工事を、その軽微な工事に挙げています(出典:e-Gov法令検索 電気工事士法施行令)。
ただし経済産業省の解説は、ここでいう「ローゼット」はランプ側のキャップで、天井側に取り付けるボディは除くとしています(出典:経済産業省)。
同じ解説は、資格が要らないのは接続器や開閉器とコードなどをつなぐ工事に限られ、コード又はキャブタイヤケーブル以外に接続する場合は資格が必要だとしています。
電気工事士法施行規則は、配線器具を造営材などに取り付け・取り外したり、配線器具に電線を接続したりする作業を、資格が不要な軽微な作業から除いています(出典:e-Gov法令検索 電気工事士法施行規則)。
ただし、露出型点滅器や露出型コンセントを取り換える作業は、この資格が必要な作業から除かれています。
経済産業省のQ&Aは、壁に埋め込まれた室内照明用スイッチを交換する場合は、電気工事士が工事する必要があるとしています(出典:経済産業省)。
天井と壁を見て判断できるように、場面ごとにまとめると次のとおりです。
| 天井・壁の状態 | 自分で替えられるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 引掛シーリングなどの配線器具がある | 基本的に工事は不要で、器具ごと自分で交換できる | NITE |
| 配線器具がない・別の形式で取り付けられている | 電気工事業者に工事を依頼する | NITE |
| 天井側のローゼットのボディ | 資格が必要 | 経済産業省の解説 |
| 壁に埋め込まれた照明用スイッチ | 電気工事士が工事する必要がある | 経済産業省のQ&A |
| 電球・蛍光灯だけ | 国土交通省の標準契約書では借主が自ら行える修繕 | 国土交通省 |
賃貸では、自分で替えられる場合でも、元の器具が備え付けの設備かどうかを契約書で確かめておきましょう。
費用と退去時の扱いは、このあと「費用は誰が負担するか」と「退去するとき」の節で整理します。
蛍光灯は製造・輸出入が終わるが使用は禁止されない
環境省は、「水銀に関する水俣条約」で一般照明用の蛍光ランプが製造・輸出入廃止の対象に追加され、日本でも製造・輸出入禁止になるとしています(出典:環境省)。
環境省は、禁止時期は蛍光ランプの種類で異なり、2026年1月以降に段階的に禁止になるとしています。
| 蛍光ランプの種類 | 製造・輸出入の禁止 |
|---|---|
| 電球形 | 2026年1月1日から(30Wを超えるものは2027年1月1日から) |
| コンパクト形 | 2027年1月1日から |
| 直管形 | 2028年1月1日から(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から) |
| 環形(丸形) | 2028年1月1日から(ハロりん酸塩を主成分とする蛍光体を用いたものは2027年1月1日から) |
ここで勘違いしやすいのが、使えなくなるかどうかです。
環境省は、蛍光ランプの使用・販売・購入は禁止されないとしています(出典:環境省)。
経済産業省も、規制開始後も蛍光灯の継続使用、在庫の売買とその使用は可能だとし、蛍光灯が安全に点灯し続けているなら、すぐに交換する必要はないとしています(出典:経済産業省)。
そのうえで経済産業省は、規制開始後には製造されなくなるので、不点灯になったときにLED照明に交換するなど、計画的にLED照明への交換を進めるよう呼びかけています。
自分の部屋の照明が蛍光灯かどうかは、ランプの品番で見当がつきます。
環境省は、蛍光灯の品番は「F」か「EF」で始まるものが多い(海外製品などでは表記が異なる場合もある)としています(出典:環境省)。
環境省は、交換には工事が必要となる場合もあるため、家電量販店や電器店等で相談するよう案内しています。
不要になった蛍光ランプは、家庭の場合、お住まいの自治体のルールに従って分別・排出するよう案内しています。
割れたらどうなるのか気になる方もいるでしょう。
経済産業省は、水銀は蛍光灯の内部に封入されているので、蛍光灯の破損等がなければ外部に漏れ出ることはなく、健康上のリスクもないとしています(出典:経済産業省)。
ランプだけLEDにするときは器具との組み合わせに注意
器具はそのままで、ランプだけLEDに替える方法もあります。
ただし経済産業省は、直管形・環形・コンパクト形の蛍光ランプのみをLEDランプに交換する場合は、不適切な取付け等を原因とした事故が発生する場合があるとしています(出典:経済産業省)。
経済産業省は、直管形の器具交換は工事を必要とし、ランプだけを交換する場合も工事が必要なケースがあるとしています。
NITEは、ランプだけ交換するときのポイントとして、①蛍光灯器具の点灯方式に応じたLEDランプを選ぶ、②パッケージや取扱説明書の注意事項を守って作業する、③交換後に異常がないか確認する、の3つを挙げています(出典:NITE 2025年3月27日)。
NITEは、照明器具とLEDランプの組み合わせによっては電気工事士の有資格者による工事が求められる場合もあり、工事が必要な場合や不明点がある場合は、絶対に自分自身での交換作業はしないよう呼びかけています。
NITEは、ラピッドスタート式の蛍光灯器具で、安定器を取り外す工事をせずにLEDランプを使い、異常発熱した安定器内部の部品がショートして出火したと推定される事例を挙げています。
器具の古さも見ておきましょう。
NITEは、ランプだけをLEDランプに交換する方法では古い蛍光灯器具を使い続けるため、外観に異常がなくても内部の電気部品が劣化し、発煙・発火につながるおそれがあり、使用年数が10年を超えている場合は蛍光灯器具ごとLED照明への交換を検討するよう呼びかけています(出典:NITE 2026年3月26日)。
NITEが受け付けた製品事故情報によると、2016年から2025年までの10年間に発生した蛍光灯器具の事故は205件で、使用年数が推定できた133件のうち約9割(120件)は使用年数が10年を超えていました(出典:NITE)。
消費者庁も、蛍光灯照明器具をLED照明に替えたい場合は、ランプのみではなく照明器具ごとの交換を検討するよう呼びかけています(出典:消費者庁)。
電球形のLEDに替えるときも、器具に合うかを確かめます。
消費者庁は、調光機能がある照明器具に対応していないLED電球を使うと、内部の回路が損傷し、破損や発煙の原因になるとしています(出典:消費者庁)。
また、天井に埋め込まれたダウンライトの枠などにSマークが付いていたら、断熱材施工器具対応のLED電球を使うよう案内しています。

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電球が切れた・器具が壊れた費用は誰が負担するか
まず法律の基本です。
民法は、賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負い、賃借人の責めに帰すべき事由で修繕が必要になったときは、この限りでないとしています(出典:e-Gov法令検索 民法)。
民法は、賃借人が修繕が必要である旨を通知したのに賃貸人が相当の期間内に修繕しないときや、急迫の事情があるときは、賃借人が修繕できるとしています。
賃借人が賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、直ちに償還を請求できるとしています。
電球や蛍光灯の交換については、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」に決まりがあります。
標準契約書の別表第4には「電球、蛍光灯の取替え」が挙がっており、借主は別表第4の修繕を自ら行うことができ、その場合の費用は借主が負担し、貸主への通知や承諾は要しないとしています(出典:国土交通省 賃貸住宅標準契約書)。
ただし国土交通省の解説コメントは、別表第4の修繕も貸主に修繕を求めることが可能で、別表第4の内容は当事者間の合意で変更・追加・削除できるとしています。
国土交通省は、標準契約書の使用は法令で義務づけられているものではないとしています(出典:国土交通省)。
電球の交換を誰が負担するかは、まず自分の契約書で確かめましょう。
国土交通省の原状回復ガイドラインも、既に契約を結んでいる場合は、現在の契約書の内容に沿った取扱いが原則で、契約書の条文があいまいな場合などはガイドラインを参考に話し合うよう案内しています(出典:国土交通省)。
入居時に照明が付いているかどうかも、契約書で確かめられます。
標準契約書の頭書には「備え付け照明設備」の欄があり、照明が備え付けてある場合は電球の種類や交換日などを記入するとされています(出典:国土交通省)。
備え付けの器具に異常があるときは、自分で替える前に連絡します。
消費者庁は、賃貸住居などに付帯している照明器具は入居前から長期間使われている場合があり、使用中に異音や発煙など異常がある場合は使用をやめ、貸主や管理会社へ申し出るよう呼びかけています(出典:消費者庁)。
経済産業省は、日本照明工業会によると照明器具は設置から10年が「適正交換時期」、15年が「耐用の限度」だとしています(出典:経済産業省)。
NITEは、蛍光灯器具の銘板に記載されている製造年を確認し、使用年数が10年を超えている場合は蛍光灯器具ごとLED照明への交換を検討するよう案内しています(出典:NITE)。
NITEは、点灯時に「ちらつく」「異音がする」「焦げたにおいがする」などの異常に気づいたら、直ちに電源を切って使用を中止するよう呼びかけています。
場面ごとに、確かめる先を整理すると次のとおりです。
照明が貸主の設備かどうかと、電球交換などの小さな修繕を誰がするかを確かめます。
国土交通省の解説コメントは、別表第4の内容は当事者間の合意で変更・追加・削除できるとしており、原状回復ガイドラインも、既に契約を結んでいる場合は現在の契約書の内容に沿った取扱いが原則だとしています。
消費者庁は、異音や発煙など異常がある場合は使用をやめ、貸主や管理会社へ申し出るよう呼びかけています。
電球を替えても点かない、器具が熱いといったときは、自分で器具を外す前に連絡しましょう。
引掛シーリングがあれば基本的に工事は不要で器具ごと自分で替えられますが、外した器具が貸主の設備なら勝手に処分しないようにします。
配線器具のない天井や、別の形式で取り付けられている器具は電気工事業者に頼む工事になるので、契約書の決まりを確かめ、工事の前に管理会社に相談しましょう。
自分で付けた照明は退去するときどうするか
民法622条で賃貸借に準用される599条1項は、借主が借用物を受け取った後に附属させた物を、契約が終わったときに収去する義務を定めています(借用物から分離できない物や、分離に過分の費用がかかる物は除く)(出典:e-Gov法令検索 民法)。
民法は、賃借人は受け取った後に生じた損傷(通常の使用・収益による損耗と経年変化を除く)について、賃貸借が終わったときに原状に復する義務を負い、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときはこの限りでないとしています。
自分で買って付けたシーリングライトは外して持っていき、元の器具があれば付け直せるように保管しておきましょう。
天井に直接付けた場合は注意が必要です。
国土交通省の原状回復ガイドラインと標準契約書の修繕分担の表は、「借主が天井に直接つけた照明器具の跡」を借主の負担となる例に挙げています(出典:国土交通省)。
ガイドラインはその考え方として、あらかじめ設置された照明器具用コンセントを使用しなかった場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多いとしています(出典:国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)。
経年変化や通常の使用による損耗の修繕費用は、賃料に含まれるという考え方です(出典:国土交通省)。
退去の前にほかの電気まわりも確かめておくと、立ち会いがスムーズです。
ブレーカーを落とすかどうかは賃貸の退去でブレーカーは落とす?、電気の契約の止め方は電気の解約手続きを見てください。
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よくある質問
まとめ
賃貸の照明を自分で替えられるかは、まず天井の取り付け口で見当がつきます。
そのうえで、元の器具が貸主の設備かどうかを契約書と管理会社に確かめます。
引掛シーリングなどの配線器具があれば、基本的に工事は不要で器具ごと自分で交換でき、配線器具がない天井は電気工事業者に工事を頼みます。
壁に埋め込まれた照明用スイッチの交換も、電気工事士の工事です。
蛍光灯は種類ごとに製造・輸出入が終わりますが、使用・販売・購入は禁止されないので、安全に点いているならすぐに替える必要はありません。
電球の交換や器具の故障の費用は、法律と国のひな形に考え方がありますが、まず自分の契約書で確かめましょう。
備え付けの器具に異常があれば使用をやめて管理会社へ連絡し、自分で付けた器具は退去時に外して元に戻せるようにしておきましょう。
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