ブレーカーが同じ場所だけ落ちるなら契約アンペアを上げても直らない|回路単位で見直す

「またこの部屋のブレーカーが落ちた」と、月に何度も分電盤の前に立っていませんか。
じつは、落ちる場所が毎回同じなら、契約アンペアを上げても直りません。
この記事では、落ちたブレーカーの種類による見分け方と、回路単位で負荷を分ける考え方を、大手電力会社・一般送配電事業者の公式情報をもとに整理します。
- 家全体が消えたのか、その部屋だけかで原因が変わること
- 同じ回路が落ちるなら契約アンペアの変更では直らないこと
- 1回路で使える量の目安が会社によって違うこと
- 同じ回路のW数を足して確かめる方法
- ブレーカーを触ってはいけないサイン
家全体が消えたのかその部屋だけかで原因が変わる
まず確かめたいのは、電気が消えた範囲です。
分電盤には役割の違うブレーカーが並んでいて、どれが落ちたかで原因が変わります(出典:東京電力パワーグリッド)。
東京電力エナジーパートナーは、家の中の全部がつかない場合は一度に電気を使いすぎている可能性、家の中の一部がつかない場合は電気製品の故障によるショートか一部の部屋での使いすぎの可能性がある、と案内しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
| 消えた範囲 | 主に落ちるブレーカー | 主な原因 |
|---|---|---|
| 家全体 | アンペアブレーカー(契約ブレーカー) | 家全体で契約容量を超えた |
| その部屋・その回路だけ | 安全ブレーカー(配線用遮断器) | その回路での使いすぎまたは機器の故障・ショート |
ただし、家全体が消えたときに落ちているのが、いつもアンペアブレーカーとはかぎりません。
中国電力ネットワークは、家の全部が消えている場合について、分電盤で漏電しゃ断器が「切」れていないかを調べるよう案内し、同社の設備の故障の可能性もあるとしています(出典:中国電力ネットワーク)。
漏電が疑われるときの見分け方は 漏電ブレーカーが上がらないときの記事 で解説しています。
ここで一つ注意したいのが呼び方です。
家全体の容量を決めるブレーカーは、東京電力や東北電力では「アンペアブレーカー」、中部電力では「サービスブレーカー」、九州電力では「リミッター」と、会社によって呼び名が違います(出典:中部電力・九州電力送配電)。
検索して出てきた説明と自宅の分電盤で呼び方が違っても、同じものを指していることがあります。
安全ブレーカーは、分電盤から各部屋へ電気を送る分岐回路に1つずつ取り付けられています(出典:東京電力パワーグリッド)。
役割は屋内配線を守ることです。
大きな電流が屋内配線に流れると発熱し、火災などにつながる可能性があるため、それを防ぐために電気を切ります(出典:沖縄電力)。
なお、漏電ブレーカーが落ちている場合は原因が異なるため、電気がつかないときの原因の切り分けを参照してください。
同じ回路だけ落ちるなら契約アンペアを上げても直らない
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい点です。
東京電力エナジーパートナーは、小さなブレーカーの一つがよく落ちる場合について「契約アンペアを大きくしても改善されません」と明言しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
落ちる原因は、そのブレーカーがつながっている部屋などでの電気の使いすぎだからです。
契約アンペアは家全体の合計に効く数字で、回路ごとの上限には関係がありません。
見ている単位が違う、ということです。

同じ部屋だけ落ちるなら、契約を増やしても同じことが起きます。
反対に、家全体が落ちる場合は契約アンペアの見直しが公式に案内されています。
東北電力は、アンペアブレーカーのつまみが頻繁に「切」になる場合で、電気の使い方を変えることが難しいときは契約アンペアの変更をすすめています(出典:東北電力)。
自分の家がどちらなのかを決めてから動くと、むだがありません。
家全体が落ちるほうだった場合は、契約アンペアの変更手続きで手順を確認できます。

電気の契約の手続きを、まとめてサポートします。
送信後は担当者からお電話でご案内します
1回路で使える量は20Aとはかぎらない
ネットでは「安全ブレーカーは20A」と書かれがちですが、公式の説明は会社によって違います。
実際に各社の公式ページを並べると、次のように分かれます。
| 会社 | 1回路の目安 | 公式の言い方 |
|---|---|---|
| 東京電力パワーグリッド | 20A | 流すことのできる電気の量は20アンペアが目安 |
| 中部電力 | 20A | 許容電流は一般的に20A |
| 沖縄電力 | 20A | 容量以上(およそ20アンペア) |
| 九州電力送配電 | 15Aまたは20A | そのブレーカーのアンペア(15アンペアまたは20アンペア) |
| 東北電力 | 15Aまたは20A | 各分岐回路の許容電流は通常15アンペア、20アンペア |
| 北陸電力送配電 | 15A | 1つの回路で同時に使える電気は15アンペアが目安 |
つまり、確実なのは自宅の安全ブレーカーに書かれている数字を見ることです。
小さなブレーカーの本体には容量のアンペア数が表示されているので、自宅の分電盤で確かめてください。
なお、東北電力は家庭で使われる一般的なコンセントは15アンペアまで使用できると説明しています(出典:東北電力)。
回路の容量とコンセント1口の容量は別物として見てください。
同じ回路のW数を足して100で割る
落ちるかどうかは、その回路で同時に使う家電のワット数を足せば見当がつきます。
沖縄電力は、次の計算例を公式に示しています(出典:沖縄電力)。
- 掃除機600W+ホットカーペット800W+ホットプレート1400W=2,800W=約28A→ 20Aの回路は切れる
- ホットプレートの使用を控えると600W+800W=1,400W=14A → 20Aに収まる
この例のように、同じ回路で使う家電のワット数を足して100で割ると、その回路に流れるおおよその電流が分かります(出典:沖縄電力)。
ここで使った100という数字は、100Vの機器を前提にしたものです。
エアコンなど200Vで使う機器がある場合は前提が変わるため、分電盤の表示や取扱説明書で確認してください。
家電1台ごとの消費電力も、本体の表示や取扱説明書に書かれています。
この足し算で考えると、消費電力の大きい家電が集まるキッチンや洗面所ほど、合計が上限に近づきやすいことが分かります。
冬は、この合計が上がりやすい季節です。
東京電力エナジーパートナーの情報サイトは、暖房器具の電気代の試算で、赤外線ストーブを1.150kW(1,150W)、セラミックファンヒーターを1.170kW(1,170W)としています(機種や使用状況により変わります。出典:東京電力 くらひろ)。
1,170Wを100で割ると約12Aなので、20Aの回路なら、ほかに800W前後の家電を同時に使うだけで、ほぼ上限に達する計算です。
暖房器具を足すときは、別の回路のコンセントに分けるか、使う時間をずらしましょう。
暖房器具ごとの電気代の目安は 冬の暖房器具の電気代の記事 にまとめています。
落ちにくくするための3つの手当て
公式が案内している対処は、次の順番です。
東京電力エナジーパートナーは、その部屋などで同時に使用する電気機器を減らすことをすすめています。
使う時間をずらすだけでも合計は下がります。
同じ部屋のコンセントが同じ回路とはかぎりません。
分電盤のラベル(「エアコン」「キッチン」など)を見て、どの機器が同じ回路に載っているかを確かめます。
中国電力ネットワークは、使う家電を減らすか、屋内配線の増強工事を電気工事店に申し込むよう案内しています。
回路を分ける工事は電気工事店の領域です。
出典は東京電力エナジーパートナー(公式FAQ)と中国電力ネットワークです。
エアコンなど大きな電力を必要とする器具には、専用の回路を設けることが公式にすすめられています(出典:東北電力)。
照明用とコンセント用のように回路を分けておくと、異常が起きたときの影響も小さくて済みます(出典:東京電力パワーグリッド)。
アンペアブレーカーが無い家は自動で復帰するのを待つ
スマートメーターで契約アンペアを設定している家には、アンペアブレーカーが取り付けられていません(出典:東京電力パワーグリッド)。
この場合、家全体で契約容量を超えるとメーター側で遮断され、しばらくすると自動で復帰します。
ただし待ち時間は会社によって違います。
| 会社 | 自動復帰まで | 繰り返したとき |
|---|---|---|
| 東京電力エナジーパートナー | 10秒後 | 記載なし |
| 東北電力ネットワーク | 10秒程度 | 30分間に9回連続で停電状態 |
| 北海道電力ネットワーク | 約15秒 | 短時間に8回で自動復帰を取り止め |
| 北陸電力送配電 | 1分後 | 短時間に4回で自動復帰をロック |
この場合に落ちているのは家全体の容量です。
回路単位の話ではないので、混同しないようにしてください。
スマートメーターそのものの役割はスマートメーターとはで解説しています。
ブレーカーを触ってはいけないサイン
次のような状態のときは、ブレーカーを操作せずに管轄の送配電事業者へ連絡してください(出典:東京電力パワーグリッド)。
- ブレーカーから焦げくさい臭いがする
- ブレーカーから変な音がする
- ブレーカーの一部が溶けている
あわせて避けたいのが、たこ足配線です。
製品評価技術基盤機構(NITE)は、たこ足配線はテーブルタップなどの異常発熱を引き起こすおそれがあり、発煙やショートから火災に至る場合もあるため行わないよう呼びかけています(出典:NITE)。
消防庁の資料では、電気器具類を原因とする火災は住宅火災の原因の第1位で、10年間で約4割増加しています。
同じ資料によると、消防庁の検討会が4つの消防本部(札幌市・東京・大阪市・神戸市)を対象に行った抽出調査では、電気火災の約7割が不適切な使用や維持管理不良など使用者に起因するものでした(出典:総務省消防庁)。
繰り返し落ちること自体が、いまの使い方に回路が合っていないサインです。
関連記事
- 契約アンペアの変更手続きガイド(家全体が落ちるときの手続き)
- 契約アンペア・kVA・契約容量とは(家全体の容量の決まり方)
- 電気がつかないときの原因の切り分け(漏電が疑われるとき)
- スマートメーターとは(アンペアブレーカーが無い家)
よくある質問
まとめ
ブレーカーが繰り返し落ちるときは、消えたのが家全体か、その部屋だけかをまず確かめてください。
その部屋だけなら、落ちているのはたいてい安全ブレーカーで、契約アンペアを上げても直りません。
同じ回路のワット数を足して100で割り、上限に近づいていないかを見るのが近道です。
1回路の目安は20Aとする会社も15Aとする会社もあるため、分電盤の数字を確認しましょう。
手当ては、同時に使う家電を減らす、別の回路を使う、それでも落ちるなら電気工事店に相談する、の順です。
家全体が落ちるほうだった場合は、契約アンペアの見直しが選択肢になります。
焦げくさい臭いや変な音があるときは、操作せずに送配電事業者へ連絡してください。
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