新築の電気の申込は電気工事店が代理で出す|受電点が決まらないと引き渡しが遅れる

家が建つ日は決まったのに、電気の手続きをいつ誰がやるのかが分からない、と感じていませんか。
じつは、新築の電気は施主が自分で申し込むとはかぎりません。
この記事では、配線工事をともなう新築で申込を出すのは誰か、施主が決めないと工事が止まる項目は何かを、大手電力会社・一般送配電事業者の公式情報をもとに整理します。
- 新築の電気の申込を出すのは電気工事店だということ
- 申込の宛先は送配電会社ではなく小売電気事業者だということ
- 申込の前に固まっている必要がある3つの項目
- 電力会社が公表している遅れの実例
- 工期の目安が会社によって違うこと
新築の電気は施主が自分で申し込むとはかぎらない
まず押さえたいのが、申込を出す人です。
中国電力は、家屋の新築などにともなって屋内の配線工事をする場合、電力会社への手続きは電気工事店が施主を代理して行うと案内しています(出典:中国電力)。
東北電力も、電気設備の新設は電気工事会社を通して申し込む必要があるとしています(出典:東北電力)。
北陸電力は引越し手続きの案内で、中部電力ミライズは事業者向けの案内で、いずれも配線工事をともなう使用開始はインターネットから申し込めず、電気工事店から申し込むよう明記しています(出典:北陸電力・中部電力ミライズ)。
代理とはいえ、契約の中身を確かめるのは施主の側です。
中国電力は同じページで、申し込む前に各料金メニューの契約内容と契約に関する重要事項を必ず事前に確認するよう求めています(出典:中国電力)。
どの会社のどのプランで契約するかは、この段階で決まります。
気づかないうちに決まっていた、という事態を避けるには、建築会社に「電気の申込は誰がいつ出すのか」を早めに聞いておくことです。

まず確認するのは、申込を出す人です。
申込の宛先は送配電会社ではなく小売電気事業者
もう一つ間違えやすいのが、申込の宛先です。
東京電力パワーグリッドは建築事業者向けの資料で、電気工事店が実際に電気の申込を出す先は小売電気事業者であると明記しています(出典:東京電力パワーグリッド・2024年8月)。
同社のインターネット新増設申込サービスの利用対象も、電気工事店・電気主任技術者・小売電気事業者の3者で、施主は含まれていません(出典:東京電力パワーグリッド。高圧以上は小売電気事業者のみ)。
手続きの窓口は、契約する小売電気事業者だということです。
| 登場人物 | 役割 |
|---|---|
| 施主 | 電気工事店に依頼し、プランと容量に同意する |
| 電気工事店 | 施主の代理で小売電気事業者へ申し込む |
| 小売電気事業者 | 契約先。送配電会社へ手続きを回す |
| 一般送配電事業者 | 引込線・計量器を工事して送電する |

電気の使用開始などの手続きを、まとめてサポートします。
送信後は担当者からお電話でご案内します
電気の申込は1回で終わらない
新築で必要な申込は、1回ではありません。
東京電力パワーグリッドは、工事用の仮設電源と住宅用の本設電源はそれぞれ別の申込で、小売電気事業者から申込を受けてはじめて送電に向けた準備に着手できる、と説明しています(出典:東京電力パワーグリッド・2024年8月)。
工事中に使う電気と、住みはじめてから使う電気は別扱いということです。
さらに、引き渡しのタイミングで名義の切り替えが入ることがあります。
北海道電力は、竣工調査後から使われている建築会社等の契約を、管理会社・オーナー・施主の契約へ変更するための廃止連絡について案内しています(出典:北海道電力)。
同社は戸建て住宅について、入居者本人から事前にインターネットまたは電話で申し込むよう案内しています。
注文住宅か建売かによっても流れが変わるため、引き渡し時に何の手続きが必要かは建築会社に確認しておくと安全です。
申込の前に決まっていないといけない3つ
申込を出す前に、内容が固まっていないといけない項目があります。
東京電力パワーグリッドの資料では、電気工事店が確認する項目の例として契約容量・受電点位置・電気メーターの位置の3つが挙げられています(出典:東京電力パワーグリッド・2024年8月)。
- 受電点の位置
引込線を建物のどこで受けるか。外観にも関わる - 契約容量
何アンペア・何kVAで契約するか - 電気メーターの位置
計量器をどこに付けるか
このうち受電点の位置は、施主にも関係します。
同社は、受電点の位置が決まらずに申請が遅延した場合を工期が長期化する例として挙げ、建築事業者と施主の受電点の位置に関する協議が長引いて引き渡しが遅れた事例も公表しています。
設計の打ち合わせでは後回しにされがちですが、ここが決まらないと申込が出せません。
契約容量については、この記事の後半でもう一度ふれます。
電力会社が公表している遅れの実例
「早めに」と言われてもピンとこないかもしれません。
東京電力パワーグリッドは、建築事業者向けの資料で実際に引き渡しが遅れた例を挙げています(出典:東京電力パワーグリッド・2024年8月)。
| 申込のタイミング | 起きたこと | かかった期間 |
|---|---|---|
| 送電希望日の2週間前 | 配電設備が容量不足だった | 増強工事に4か月 |
| 送電希望日の2週間前 | 電柱が付近になく新たに建てる必要 | 建柱までに7か月 |
| 送電希望日の2週間前 | 河川や国道が近く行政申請が必要 | 承認まで5か月 |
3件とも、申し込んだのは送電希望日の2週間前です。
建物が完成していても、電気が来なければ引き渡せません。
同社は、受電点の位置の協議が長引いて電気工事店への依頼が遅れ、工期を確保できずに引き渡しが遅れた例も挙げています。
施主側の判断の遅れが、そのまま入居日に跳ね返るということです。
工期の目安は会社によって違う
「何日かかるのか」は、会社ごとに案内が違います。
数え方そのものが違うため、ひとつの日数にまとめられません。
| 会社 | 公式の案内 |
|---|---|
| 中部電力パワーグリッド | 架空線供給の引込線以下の工事は2週間〜3週間程度 |
| 東京電力パワーグリッド | 東京23区・新宿地域の引込線工事は3〜8週間程度 |
| 東北電力 | 供給設備の新設は最短でも10営業日 |
| 中国電力ネットワーク | 外線工事がなく引込線以下の工事なら5営業日または15営業日。外線工事があると1.5〜3か月 |
とくに時間がかかるのが、電柱を新たに建てる場合です。
中部電力パワーグリッドは電柱新設工事に3か月程度としています(出典:中部電力パワーグリッド)。
東京電力パワーグリッドの電柱工事はエリアごとに掲載されていて、東京23区の新宿地域は3か月程度ですが、千葉では5〜7か月程度と幅があります(出典:東京電力パワーグリッド)。
また東北電力は、官庁申請・用地交渉・高圧配電線の停止をともなう場合、申込から使用開始まで2か月程度を要することがあるとしています(出典:東北電力)。
正確な期間は担当の電気工事店か、お住まいのエリアの送配電会社の所要期間のページで確認してください。
期間が延びる要素は他にもあります。
中国電力ネットワークは、申込時に契約に必要な情報や書類に不足があると、標準所要日数は必要書類を提出した翌営業日から数え直されるとしています(出典:中国電力ネットワーク)。
有償の工事になる場合は、原則として工事費負担金の入金が確認されたあとで工事日・調査日が調整されます(出典:東京電力パワーグリッド)。
なお東京電力パワーグリッドは、低圧の供給では原則として調査日を供給開始日とすると案内しています(出典:東京電力パワーグリッド)。
契約容量は黙っていると決まってしまう
3項目のうち、あとから効いてくるのが契約容量です。
中部電力ミライズは事業者向けの手続き案内で、新たに使用を開始する場合の契約容量は、変更の申込がないかぎり現在設置されているブレーカー容量になるとしています(出典:中部電力ミライズ)。
つまり何も言わなければ、工事店が付けたブレーカーの容量でそのまま契約が立ちます。
もう一つ知っておきたいのが上限です。
東京電力エナジーパートナーは、アンペアブレーカーでの契約は60アンペアまでで、60アンペアを超える契約を希望する場合は電気工事店による屋内配線工事が必要になるとしています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
オール電化でIHや電気温水器を入れる家は容量が大きくなりがちです。
着工前に相談しておくほうが手戻りがありません。
容量の考え方そのものは契約アンペア・kVA・契約容量とはで解説しています。
通電の日に立ち会いは要るのか
電気の使用開始は、原則として立ち会いが不要です。
東京電力エナジーパートナーは、使用開始・停止は原則立会い不要としながら、設備状況などにより立会いが必要になる場合があると留保しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
中部電力ミライズも、電気は原則として立会い不要としています(出典:中部電力ミライズ)。
例外として挙げられているのが給湯設備です。
東京電力エナジーパートナーは、エコキュートや電気温水器がある場合は通電作業が必要なことがあり、その際に立ち会いをお願いする場合があるとしています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
また北海道エリアでは、2026年5月以降、遠隔操作が可能な物件について契約の廃止時にスマートメーターを通電しない設定にするため、引越しなどでの使用開始時はブレーカー操作ではなく遠隔の通電作業が必要になりました(出典:ほくでんネットワーク)。
新築の初回の通電に同じ扱いが適用されるかは公式に記載がないため、申込先の電力会社に確認してください。
住所がまだ決まっていなくても申し込める
新築では、申込の時点で住居表示が決まっていないことがあります。
東京電力エナジーパートナーは電気工事店向けの案内で、その場合は番地の欄に隣家の住所を入力し、連絡事項欄にその旨を書いて申し込む方法を示しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
確定後に、確定した住所をメールで知らせる流れです。
住所が決まるまで申込を待たなくてよい、ということです。
これは東京電力エリアの運用で、工事完了前の申込が対象です。ほかのエリアの扱いは工事店に確認してください。
書類についても、同社は施工証明書すなわち内線図面の添付は必須ではないとしています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
ただし負荷設備契約や小柱からの引込など、申込の内容によっては別の添付書類が求められます。
なお同社は、計器ありの契約について、お客さま番号・供給地点特定番号・計器番号のいずれか1つの入力が必要になるのは新設以外の申込だと案内しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
必要なものの全体像は電気の契約に必要なものまとめで確認できます。
関連記事
- 電気の開通・使用開始の手続き(入居してから使いはじめるまで)
- 電気の契約に必要なものまとめ(申込で用意するもの)
- 契約アンペア・kVA・契約容量とは(容量の決め方)
- マンション・アパートの入居日から電気を使う段取り(集合住宅の場合)
よくある質問
まとめ
新築の電気でまず確かめたいのは、申込を出すのが誰で、宛先がどこかです。
屋内の配線工事をともなう場合、申込は電気工事店が施主の代理で小売電気事業者へ出します。
申込の前に固まっている必要があるのは、契約容量・受電点の位置・電気メーターの位置の3つです。
とくに受電点の位置は施主との協議事項で、決まらないと申込が出せません。
工期は会社によって案内が違い、電柱の新設が必要なら数か月単位になります。
電力会社は、送電希望日の2週間前の申込で引き渡しが遅れた実例を公表しています。
間取りの打ち合わせと同じ時期に、電気の段取りも建築会社と詰めておきましょう。
電気の契約・プラン選びの相談なら
「新居でどの電力会社を選べばいいか分からない」「契約容量をいくつにすべきか迷っている」という方は、電気手続き受付センターにご相談ください。
お住まいのエリアやご希望に合わせた電気の契約・切り替えの手続きを、まとめてサポートします。
選んだエリアのページでは、ページを移動せずにそのままご相談いただけます。静岡県は富士川の西が中部電力、東が東京電力のエリアです(色の左右で選べます)。