たこ足配線は何個まで?決めるのは口の数ではなく合計ワット|家電の組み合わせ別に計算する

「電源タップに何個まで挿していいの?」「冬になるとヒーターもこたつも同じところにつないでしまう」
たこ足配線が心配になったとき、まず知っておきたいのは、決めるのが差込口の数ではないということです。
じつは、九州電力送配電は、テーブルタップの差込口の数以内の電気機器しか使っていなくても、使用可能な電力(定格容量)を超える場合もあるとしています(出典:九州電力送配電)。
この記事では、消費電力の合計を出す方法、家電の組み合わせ別の合計、ブレーカーが落ちなくても安全とは限らない理由、危ない使い方と電源タップの選び方を、公式情報をもとに整理します。
- たこ足配線が「何個まで」ではなく合計ワットで決まる理由
- 家電の消費電力の確かめ方と、ワットからアンペアへの換算
- 冬の暖房・朝のキッチンなど、家電の組み合わせ別の合計
- ブレーカーが落ちなくても安全とは限らない理由
- 危ない使い方と、電源タップの選び方・交換の目安
たこ足配線は「何個まで」ではなく合計ワットで決まる
九州電力送配電は、1つのコンセントやテーブルタップで同時に使用できる電流(アンペア)は決まっていて、これを定格電流というと説明しています(出典:九州電力送配電)。
そのうえで、テーブルタップの差込口の数以内の電気機器しか使っていなくても、定格容量を超える場合もあるとしています。
同社は、定格容量1,500ワットのテーブルタップで電気ポット(700ワット)とオーブントースター(1,200ワット)を同時に使うと、定格容量を超えてしまい危険だという例を挙げています。
差込口がいくつあっても、2つ挿しただけで超えてしまうことがあるわけです。
ほくでんネットワークは、ひとつのコンセントから使える電気の容量は、受け口数に関係なく、1,500W(15アンペア)までだとしています(出典:ほくでんネットワーク)。
同社は、受け口がたくさんあると容量を超えて電気を使用しがちで、コードが過熱して火災の原因になることがあるとして注意を呼びかけています。
中国電力ネットワークも、テーブルタップの容量を超えて一度にたくさんの電気器具を使うと過熱して危険で、器具が増えたらコンセントも増やすよう案内しています(出典:中国電力ネットワーク)。
壁のコンセント・テーブルタップ・ブレーカーそれぞれの上限の一覧は、賃貸でコンセントを増やしたいときの「電源タップの容量の目安」にまとめています。
中国電気保安協会は、合計1,600Wのオープンケースを使用できる電力が1,500Wの延長コードにつないでコンセントが焼損した事例から、注意すべきはタコ足の数だけではなく使用できる電力量で、ワットが重要だとしています(出典:中国電気保安協会)。
数は少なくても合計が大きければ危なく、数が多くても合計が小さいこともある、ということです。
合計ワット数は3ステップで計算できる
計算に必要なのは、つなぐ家電の消費電力と、電源タップの上限の2つです。
順番に見ていきましょう。
東京電力エナジーパートナーは、実際の消費電力(W)は家電製品の商品ラベルなどに記載されている消費電力を確認するよう案内し、メーカーの機種により消費電力は多少異なるため、同社の掲載値は参考値だとしています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
環境省(デコ活)は、LED照明器具の表示を例に、電流と電圧を掛けた数値が消費電力になると説明しています(出典:環境省 デコ活)。
NITEは、オーブントースター1200Wと電気炊飯器1240Wを同時に使った場合の消費電力は計2440Wになるという例を示しています(出典:NITE 2024年11月28日)。
使う時間が重なる家電だけを足すのがポイントです。
NITEは、テーブルタップの接続可能な最大消費電力または定格電流は、テーブルタップ本体やパッケージに記載されているとしています(出典:NITE)。
表示がアンペア(A)なら、次の換算でワットに直して比べます。
ワットとアンペアの換算は、家庭の100Vならかんたんです。
東京電力エナジーパートナーは、アンペア数は「100Wで1A、1,000W(1kW)で10A」と考えるよう案内しています(100Vの場合)(出典:東京電力エナジーパートナー)。
東北電力も、アンペア数は家電製品のワット数をボルトで割った数値で、例として消費電力1,000W÷100V=10Aを挙げています(出典:東北電力)。
NITEも、一般の家庭の電圧は通常100Vのため、100Wで約1A、1000Wで約10Aと考えることができるとしています(出典:NITE 2024年1月25日)。
九州電力送配電は、通常1つのコンセントの差込口の定格電流は15アンペアのため、消費電力1,500ワット(=15A×100V)までの電気機器が使用できるとしています(出典:九州電力送配電)。
そもそも電源タップを使ってはいけない家電もあります。
NITEは、消費電力の大きな電気製品の中にはテーブルタップなどの使用を禁止しているものがあるとして、接続する電気製品の取扱説明書や本体表示を確認し、記載されている指示に従うよう求めています(出典:NITE)。
国民生活センターも、炊飯器など消費電力の大きな電気製品の中には延長コードなどの使用を禁止している製品もあるとしています(出典:国民生活センター 2025年7月31日)。
家電の消費電力の目安と組み合わせ別の合計
電力会社が公表している家電の消費電力の目安を、出典ごとに並べます。
同じ家電でも出典によって値が違うので、一覧の値ではなく、自分の家電の表示を見るのが確実です。
| 家電 | 東京電力エナジーパートナー | 東北電力 | 九州電力送配電 |
|---|---|---|---|
| ドライヤー | 1200W | 切替え600/1200W | 10A(切り替え5A) |
| こたつ | 弱100W・強500W | 弱100W・強500W | 1〜5A(弱〜強) |
| 電気カーペット | 3畳用 400W〜800W | 3畳用 800W | 2畳用 全面6.8A |
| 電気ポット | 700W〜900W | 沸騰時1,000W | — |
| アイロン | 1200W〜1400W | — | 10A |
| 電子レンジ | 30L 500W〜1500W | — | 10A |
| 暖房器具 | オイルヒーター300W〜1500Wファンヒーター200〜1300W | ハロゲンヒーター1200Wファンヒーター(ミニタイプ)500〜700W | — |
| その他 | IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時)1300W | ホットプレート(汎用鍋タイプ)1300Wテレビ42型(液晶)210W | — |
東京電力エナジーパートナーは、アンペアの目安としてヘアードライヤー12A、アイロン14A、電子レンジ(30Lクラス)15Aを挙げ、各電気機器を使用した場合の想定値で、実際の値は各機器の取扱説明書などで確かめるよう注記しています(出典:東京電力エナジーパートナー)。
上の目安を使って、よくある場面の合計を計算してみます。
九州電力送配電やNITEの事例にある定格1,500Wのテーブルタップを基準に比べています。
自分のタップの上限は、本体やパッケージの表示で確かめてください。
| 場面 | つなぐ家電(目安の出典) | 合計 | 1,500Wと比べると |
|---|---|---|---|
| 冬の脱衣所 | ドライヤー1200W(東京電力EP)+ハロゲンヒーター1200W(東北電力) | 2,400W | 超える |
| 冬のリビング | テレビ42型(液晶)210W+こたつ強500W+電気カーペット3畳用800W(いずれも東北電力) | 1,510W | 家電3つでわずかに超える |
| 朝のキッチン | 電気ポット沸騰時1,000W(東北電力)+IHジャー炊飯器炊飯時1300W(東京電力EP) | 2,300W | 超える |
| 九州電力送配電の例 | 電気ポット700ワット+オーブントースター1,200ワット | 1,900W | 超える |
冬のリビングの例は、差込口を3つしか使っていないのに1,500Wを超えます。
冬は特に合計を意識しましょう。
NITEも、特に冬場には暖房器具など消費電力の大きな製品が多く、配線器具の事故も多くなっているとしています(出典:NITE)。
暖房器具ごとの電気代は暖房器具の電気代の比べ方で見られます。
ブレーカーが落ちなくても安全とは限らない
「使いすぎればブレーカーが落ちるから大丈夫」と考えがちですが、そうとは限りません。
NITEは、通常一般家庭の配線用遮断器は定格電流が20Aで、25A(約2500W)では最大60分間、40A(約4000W)では最大2分間、電気が流れ続ける可能性があるとしています(出典:NITE 2024年1月25日)。
先ほどの中国電気保安協会の事例でも、ブレーカーは切れませんでした。
同協会は、合計電力がブレーカーの容量以下で、かつ配線のショートなどもなかったため、安全装置が働かなかったものと考えられるとしています(出典:中国電気保安協会)。
実際に起きた事故の例です。
- NITEは、電気ストーブとこたつ(合計1770W)を最大1500Wのテーブルタップにつなぎ、コードプロテクター付近から発火した事例を挙げています(出典:NITE)。
- NITEは、2口コンセントの上に1200Wの電気冷温風機、下にテーブルタップを介して500Wの電気こたつと149Wの液晶テレビ等をつなぎ、コンセントが焼損した事例を挙げています(コンセントは46年使用)(出典:NITE)。
- NITEは、コードリールをほとんど巻き取ったまま、巻き取り時の定格を超える製品(布団乾燥機2台と電気除湿器2台)をつなぎ、建物が半焼した事例を挙げています(出典:NITE)。
同じ回路でブレーカーが何度も落ちるときの見直し方は、ブレーカーが同じ場所だけ落ちるときを見てください。

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合計ワットのほかに避けたい使い方
合計ワット数のほかにも、使い方そのものが事故につながります。
電力会社・NITE・消防などが注意している使い方を並べると、次のとおりです。
| 危ない使い方 | 公式情報の注意 |
|---|---|
| タップを連結して差込口を増やす | NITEは、テーブルタップなどを連結して差込口を増やすたこ足配線は、電源コードや電源プラグが異常発熱するおそれがあるとし、連結やマルチタップの取り付けをしないよう求めている |
| コードを束ねる・巻いたまま使う | 関東電気保安協会は、束ねたり巻いた状態で使うと熱がこもり発火することがあるとしている。北海道電気保安協会は、長いコードを束ねたままW数の大きな器具を使うと発熱して事故になることがあるとしている |
| 家具の下敷き・ドアに挟む | ほくでんネットワークは、中の線が切れたり表面が傷ついたりして、漏電や接触不良の原因になるとしている |
| くぎ・ステープルで留める | 中国電力ネットワークは、コードが傷んで断線や過熱の原因になるとしている |
| 折り曲げる・踏む・引っ張る | NITEは、電源コードの芯線が断線して、異常発熱や発火に至るおそれがあるとしている |
| コード同士をねじってつなぐ | NITEは、テーブルタップの電源コードに別のタップを「ねじり接続」し、2人が死亡した火災の事例を挙げ、コードの改造や不適切な修理をしないよう求めている |
NITEは、たこ足配線による異常発熱を再現した映像で、異常発熱により発煙やショートが発生し、火災に至る場合もあるとしています(出典:NITE)。
消防庁は、コンセントの電気の許容量を超えて使用するたこ足配線は絶対にやめるよう呼びかけ、コードを傷んだ状態や束ねた状態、重い荷物が乗った状態で使うと断線して出火する可能性があるとしています(出典:消防庁)。
東京消防庁も、たこ足配線は絶対にしない、コードを束ねたまま使用しない、コードが家具などの下敷きにならないようにする、と呼びかけています(出典:東京消防庁)。
ほこりにも注意が必要です。
NITEは、プラグとコンセントや電源タップとの間に隙間がある状態で差したままにすると、ほこりや水分でショートやトラッキング現象が生じるおそれがあるとし、掃除の際は必ずプラグを抜いて、から拭き(乾いた布で拭く)でほこり等を取り除くよう求めています(出典:NITE)。
トラッキング現象のしくみと焦げたときの対処は、コンセントが焦げたらまずブレーカーを切るにまとめています。
NITEは、次のような異常がある場合は使用を中止するよう求めています(出典:NITE)。
- 異常に熱くなる
- 電源プラグの抜き差しが緩い
- コードを動かすと、接続している機器の電源がついたり消えたりする
- 焦げたにおいなどの異臭がする
使い方が関係する事故はトラッキングと接触不良が多い
NITEは、2019年度から2023年度までの5年間に、NITEに通知があった配線器具の事故は153件だったとしています(重大製品事故に加え、非重大製品事故やヒヤリハット情報を含む)(出典:NITE 2024年11月28日)。
NITEによると、153件のうち火災は125件、死亡は2件(被害者2人)でした。
NITEは、調査が完了した事故の中で、事故に至った要因として使い方や設置状況が関係しているものが約4割だとしています。
その内訳を見ると、意外なことがわかります。
NITEによると、使い方や設置状況が関係する46件の内訳は、トラッキング現象19件、外力によるプラグ栓刃の接触不良13件、プラグ栓刃可動部の接触不良7件、最大消費電力を超える接続3件などでした(出典:NITE 2024年11月28日)。
この内訳では、合計ワットの超過(3件)よりも、トラッキング現象(19件)やプラグ栓刃の接触不良(13件・7件)のほうが多くなっています。
合計ワットを守ったうえで、置き方と掃除にも気を配りましょう。
火災全体の数字も見ておきます。
NITEは、2019年から2023年の5年間に配線器具の火災事故は126件あり、2023年の件数は2019年の約2倍だったとしています(出典:NITE 2024年1月25日)。
東京消防庁によると、令和7年に管内で起きた住宅の電気設備機器火災は906件(速報値)で、この10年間で約2倍、過去最多でした(出典:東京消防庁)。
東京消防庁によると、その906件の発火源の内訳には、差込みプラグ54件・コード53件・コンセント34件・テーブルタップ25件・マルチタップ23件が含まれます。
消防庁の検討会報告書は、住宅火災のうち「配線に付属する器具」ではテーブルタップやプラグによる火災が特に多いとしています(出典:消防庁)。
電源タップの選び方と交換の目安
電源タップは、PSEマークの付いたものを選びます。
経済産業省は、「延長コードセット」の一般呼称の例としてテーブルタップ・OAタップ・延長コードを挙げています(出典:経済産業省)。
経済産業省の手引書は、特定電気用品(116品目)の中にマルチタップ・コードリール・延長コードセットを挙げています(出典:経済産業省 電気用品安全法 法令業務実施手引書)。
電気用品安全法施行令は、別表第一(特定電気用品)に、定格電圧100V以上300V以下で交流の電路に使用する配線器具のうち、定格電流が50A以下で極数が5以下の接続器として「差込み接続器」を挙げています(出典:e-Gov法令検索 電気用品安全法施行令)。
経済産業省の手引書は、PSEマーク表示が付されている電気用品でなければ、原則として、販売や販売のための陳列が禁止されているとしています(出典:経済産業省)。
同じ手引書は、特定電気用品には届出事業者名に加えて登録検査機関名の表示も義務付けられているとしています。
経済産業省は、USBポートからスマホなどを充電できる機能を持つ延長コードセットは「直流電源装置」として扱うとしています(出典:経済産業省)。
安全機能のある製品もあります。
NITEは、トラッキングを検知して電流を遮断する製品や、水分などが内部に入りにくいようにシャッターが付いた製品も販売されているので、次回購入時の参考にするよう案内しています(出典:NITE)。
NITEは、異常発熱や接続可能な最大消費電力を超えたことを検知して電流を遮断する製品も販売されているとしています(出典:NITE)。
電源タップは消耗品です。
国民生活センターは、延長コードやテーブルタップには寿命があるので、異臭や変色を定期的に確かめ、古くなったら交換するよう呼びかけています(出典:国民生活センター)。
NITEは、配線器具にも寿命があり、工業会やメーカーが交換の目安を発信しているので買い替えの参考にするよう案内しています(出典:NITE)。
北海道電気保安協会は、テーブルタップ(コードセット)を含む配線器具の寿命は一般的に設置後10〜15年が目安で、定格容量いっぱいで使うと短くなるとしています(出典:北海道電気保安協会)。
電源タップでは足りないほど家電が増えたときは、コンセントを増やすことも考えましょう。
賃貸での進め方は賃貸でコンセントを増やしたいとき、家全体のブレーカーが落ちるときは契約アンペアの変更手続きガイドを見てください。
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まとめ
たこ足配線は「何個まで」ではなく、同時に使う家電の消費電力の合計で考えます。
家電の表示でワット数を確かめて足し、電源タップの表示(アンペアなら100倍してワット)と比べるのが基本です。
東北電力の目安の値で計算すると、冬はテレビ・こたつ・電気カーペットの3つだけでも1,500Wをわずかに超えます。
また、ブレーカーが落ちないからといって安全とは限りません。
NITEの統計で、調査が完了した事故のうち使い方や設置状況が関係する46件の内訳を見ると、トラッキング現象やプラグ栓刃の接触不良が多く、連結・束ねる・下敷きにするといった使い方も避けましょう。
電源タップはPSEマークの付いたものを選び、異常に熱い・焦げたにおいがするなどの異常があれば使用をやめて交換します。
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