指示出しが「上手な人」と「下手な人」の決定的な違い
ChatGPTを使ってみて、「期待外れな回答しか返ってこない」「結局自分で書いた方が早い」と感じて使うのをやめてしまった経験はありませんか? 断言します。それはAIの能力不足ではなく、「頼み方(プロンプト)」の精度不足が原因です。
AIは「超優秀だが、指示待ちの新人スタッフ」と同じです。「いい感じにやっといて」という曖昧な指示では動きませんが、「誰に対し、何のために、どのような形式で」と具体的に指示すれば、ベテラン社員顔負けの成果物を数秒で提出してきます。
本記事では、不動産実務におけるAI活用の質を劇的に向上させる「プロンプトの使い方」をご紹介します。
「誰になりきってほしいか」を明確にする
指示出しが下手な人は、いきなり「用件」だけを伝えます。一方、上手な人はまずAIに「役割(キャラクター)」を与えます。
- 下手な例:「物件の紹介文を書いて」
- 上手な例:「あなたは20年のキャリアを持つ、ベテランの不動産営業マンです。お客様に信頼される、誠実で魅力的な物件紹介文を書いてください」
なぜ「役割」が必要なの?
AIはインターネット上のあらゆる情報を学習しています。役割を指定しないと、AIは「百科事典のような硬い文章」から「SNSのような軽い文章」まで、どの引き出しを開ければいいか迷ってしまいます。「ベテラン営業マン」と役割を与えることで、AIは「営業マンの引き出し」だけを開けて回答するようになり、精度が劇的に向上するのです。
「背景」と「ターゲット」をセットで伝える
AIは、あなたが「なぜその文章が必要なのか」を知りません。ここを補うのがプロンプトの達人です。
- 下手な例: 「内見のお礼メールを作って」
- 上手な例:
- 背景: 本日、中古マンションを内見したお客様へ送るメールです。
- ターゲット: 30代の共働き夫婦。日当たりの良さを気に入っていましたが、収納の少なさを気にされていました。
- 目的: 不安を解消し、リフォームで収納は増やせることを伝えて、次回の商談に繋げたい。
「感情」や「温度感」も伝える
背景情報に加え、「お客様は少し不安を感じているので、安心させるような温かいトーンで」「投資家向けなので、数字を強調してドライに」といった温度感(トーン&マナー)を伝えると、人間味のある文章になります。
「出力形式」を指定する
「どんな形で出してほしいか」を具体的に指定すると、手直し(修正)の時間が激減します。
- 下手な例: 「地域の魅力を教えて」
- 上手な例: 「この地域の住みやすさを、【交通】【買い物】【子育て】の3つの項目に分けて、各200文字程度の箇条書きでまとめてください」
「表」や「リスト」も一瞬で作れる
AIは文章だけでなく、表組みも得意です。
- 「メリットとデメリットを表形式でまとめて」
- 「競合物件AとBの比較表を作って」
- 「重要なポイントを箇条書きにして、それぞれに【見出し】をつけて」 このように指定すれば、Excelに貼り付けられる形式で出力してくれます。
「やってはいけないこと」を先に釘を刺す
不動産実務で最も重要なのが、この「禁止事項(ネガティブプロンプト)」の指示です。
不動産広告のルールを守らせる
AIは日本の「不動産公正競争規約(広告ルール)」を完全には理解していません。放っておくと「最高の物件」「完全なセキュリティ」といったNGワードを使いがちです。 そこで、プロンプトの最後に以下の条件を加えましょう。
【禁止事項】
- 「最高」「絶対」「完全」「日本一」などの最上級表現は使用しないこと。
- 嘘や誇張表現は避けること。
- 専門用語を多用せず、素人にもわかる言葉を使うこと。
これを入れるだけで、コンプライアンス違反のリスクを大幅に減らせます
AIとの「壁打ち」で精度を高める
一発で完璧な回答が出なくても諦めないでください。AIは対話を重ねることで進化します。
「ゴールシークプロンプト」を使う
AIに逆に質問させることで、情報不足を補うテクニックです。最初の指示の最後に、以下の一文を加えてください。
「このタスクの成果を最高のものにするために、私に聞きたいことはありますか? もし情報が足りなければ、勝手に推測せず、私に質問してください」
これを伝えると、AIは「ターゲットの年収層は?」「物件の広さは?」と質問を返してきます。それに答えることで、驚くほど精度の高い回答が得られます。
具体的な修正指示(フィードバック)
回答が気に入らない場合は、具体的に修正を指示します。
- ×「もっといい感じにして」
- ○「全体的に堅苦しいので、語尾を『〜です・ます』調から、手紙のような親しみやすい口調に変えて」
- ○「メリットばかりで胡散臭いので、デメリット(駅からの距離)も正直に伝えた上で、それをカバーする提案を盛り込んで」
指示出しが「下手な人」vs「上手な人」比較表
| 項目 | 指示出しが下手な人 | 指示出しが上手な人 |
|---|---|---|
| 指示の長さ | 短すぎる(「〇〇して」の一言) | 具体的(背景や条件を添える) |
| 役割の設定 | なし | 「プロの営業」「敏腕事務」と指定 |
| 情報の提供 | AIの想像に任せすぎる | 箇条書きで事実を伝える |
| 結果への対応 | 一度で諦めて「使えない」と判断 | 回答を元に「もう少し優しく」など追加で頼む |
実践!そのままコピーして使える「お手本プロンプト」
そのままChatGPTに貼り付けてみてください。
【不動産広告・作成用プロンプト】
― 役割
あなたは不動産キャッチコピーの専門家です。
― 依頼内容
以下の物件の魅力を伝えるキャッチコピーを5つ提案してください。
― 物件情報
・築40年(フルリノベーション済み)
・駅から徒歩15分(少し遠い)
・公園が目の前で静か
― 条件
・「古い=汚い」というイメージを払拭する言葉を使ってください。
・30代の小さなお子様がいるファミリー向けにしてください。
― 禁止事項
・「最高」「絶対」「完全」「日本一」などの最上級表現は使用しないこと。
・専門用語を多用せず、素人にもわかる言葉を使うこと。
AIは「育てて、使いこなす」もの
プロンプトは、一度で完璧を目指す必要はありません。返ってきた回答に対して「もう少し文字数を減らして(300文字以内で)」「堅苦しすぎるので、もっとフレンドリーに書き直して」「メリットばかりではなく、リスクについても触れて」と会話を重ねることで、どんどんあなたの好みに近づいていきます。
この対話こそが、AIの回答を100点に近づける最短ルートです。AIは文句を言いません。納得いくまで何度でも書き直させましょう。
AIは、あなたの指示次第で「頼りない新人」にも「超一流のパートナー」にもなります。今日から、少しだけ丁寧な「頼み方」を意識してみませんか?
講師:ナカソネ
AI活用スペシャリストのナカソネです。ビジネスパーソン向けに「現場で使えるAI活用」をサポートしながら、少しでもAIに興味を持ってもらえるよう情報を発信しています!
