「電気の点検に来ました」は本物?4年に1回の定期調査と点検商法の見分け方

「電気の点検に伺います、と電話があった。本物なのかな」
じつは、家庭の電気設備には法律で決められた調査があり、本物の調査員はその場で分電盤の交換などの契約を持ち掛けません。
一方で、分電盤の点検を口実に交換を迫る点検商法の相談が、ここ数年で大きく増えています。
この記事では、本物の調査で行われること・行われないこと、見分け方のチェックリスト、契約してしまったときの対処を、経済産業省・国民生活センター・各地の電気保安協会の公式情報をもとに整理します。
- 本物の「電気の点検」は、法律で決められた4年に1回以上の調査であること
- 本物の調査で行われること・行われないこと
- 電話や訪問が本物かを見分けるチェックリスト
- 点検商法のよくある手口と、相談の件数
- 契約してしまったときのクーリング・オフと相談先
本物の点検は法律で決められた調査
家庭の電気設備の点検は、電気事業法で決められています。
電気事業法第57条は、一般用電気工作物(家庭の電気設備など)とつながる電線路を維持・運用する者に、その設備が技術基準に適合しているかどうかの調査を義務づけています(出典:e-Gov法令検索 電気事業法)。
同法第57条の2により、この調査は経済産業大臣の登録を受けた登録調査機関に委託できます。
電気事業法施行規則は、調査を設置時と変更の工事の完成時に行うほか、一般の家庭などでは四年に一回以上行うと定めています(出典:e-Gov法令検索 電気事業法施行規則)。
経済産業省は、この調査を、設置時と変更工事の完了時に行う竣工調査と、一般需要家では4年に1回以上実施する定期調査に分けて説明しています(出典:経済産業省)。
東京電力パワーグリッドも、法律にもとづき4年に1度以上、お客さまの電気設備(自家用電気工作物を除く)の安全調査を実施しているとしています(出典:東京電力パワーグリッド)。
調査を行うのは、地域の電気保安協会だけではありません。
経済産業省の登録調査機関の登録簿(令和6年7月現在)には、地域の電気保安協会のほか、電気工事業工業組合や民間会社も載っています(出典:経済産業省 登録調査機関登録簿)。
そのため、「電気保安協会」以外の名前だからといって偽物とはかぎりません。
見分けるときは、名前ではなく、次に紹介する「されること・されないこと」で判断します。
本物の調査でされること・されないこと
経済産業省は、調査の内容を、絶縁抵抗計又は漏れ電流計による屋内配線の絶縁抵抗等の測定と目視点検と説明しています(出典:経済産業省)。
国民生活センターは、一般家庭で4年に1回行われる法定点検は無料で、点検後に調査員が分電盤の交換工事の契約を持ち掛けることはないとしています(出典:国民生活センター)。
各地の電気保安協会も、費用や事前のお知らせについて、次のように案内しています。
| 協会 | 費用 | 事前のお知らせ |
|---|---|---|
| 北海道電気保安協会 | 無料。お金をいただくことはない | 調査員が事前にお知らせを届ける |
| 東北電気保安協会 | 直接お金をいただくことはない | 「電気設備の定期調査のお知らせ」で訪問日時を予告 |
| 関東電気保安協会 | 販売や金銭の請求は一切ない | 「電気設備安全点検訪問日のお知らせ」で日時と調査員の氏名などを事前に知らせる |
| 中部電気保安協会 | 定期調査の費用はいただかない | 中部電力パワーグリッドから1か月前ほどにはがき。竣工調査ははがきなし |
| 関西電気保安協会 | 費用の請求は一切ない | 訪問前に電話で都合を聞くことがある(所属・氏名を名乗る) |
| 九州電気保安協会 | 点検手数料等は一切いただかない | 勧誘の電話はしない |
| 沖縄電気保安協会 | 直接料金をいただくことはない | 前日までに配布。予告なしで初回訪問する場合がある |
この表のとおり、お知らせの方法は地域によって違い、「電話が来たから偽物」「はがきが無いから偽物」とは言い切れません。
表の7協会はいずれも、費用を請求しないと案内しています(中部電気保安協会は定期調査の費用について)。
留守にしていた場合の扱いもあります。
国民生活センターは、点検時に住人が不在の場合や屋内の点検を断った場合は、屋内の分電盤等の点検は行われず、屋外のみの点検になると注意しています(出典:国民生活センター)。

本物かを見分けるチェックリスト
経済産業省は、点検日時を電話で知らせることはなく、訪問した点検作業員がその場で設備交換等の契約を持ち掛けることもなく、交換工事には電気工事士の資格が必要だとしています(出典:経済産業省)。
この案内と各地の協会の案内をもとに、確かめたい点をまとめました。
- その場で「交換」「契約」「代金」の話が出たか
経済産業省と国民生活センターは、法定点検で調査員がその場で交換の契約を持ち掛けることはないとしています。
出たら、その場では決めないでください。 - 身分証を見せてもらったか
電気事業法施行規則は、調査員に身分を示す証明書の携帯と、請求されたときの提示を義務づけています。
国民生活センターも、必ず調査員証の提示を求めるよう呼びかけています。 - 事前のお知らせが届いていたか
経済産業省は、点検日時は事前に書面で案内しているとしています。
ただし沖縄電気保安協会のように、予告なしで初回訪問する場合があるとしている協会もあります。 - 電話の相手が所属・氏名・連絡先を言えるか
関西電気保安協会は、訪問前に電話で都合を聞く場合は所属・氏名を名乗り、尋ねられれば電話番号等を答えるとしています。
東京電力ホールディングスは、同社グループもしくは関係会社が、発信者番号非通知や発信専用番号で電話することはないとしています。 - 自分で調べた番号で確かめたか
北海道電気保安協会は、最寄りの協会事業所や電力会社に確認の電話をするよう案内しています。
相手が伝えてくる番号ではなく、公式サイトなどで自分で調べた番号にかけましょう。
出典:経済産業省/国民生活センター(2026年9月)・同(2025年1月)/電気事業法施行規則/沖縄電気保安協会/関西電気保安協会/東京電力ホールディングス/北海道電気保安協会(いずれも公式サイト・2026年10月確認)。
北海道電気保安協会は、このほかにも、勧誘に即答せず一度電話を切ること、その場で料金の支払いや健康保険証などの提示を求められても応じないことを挙げています(出典:北海道電気保安協会)。
国民生活センターは、書面などで案内を受けた場合も相手の所属や点検の目的・根拠を確かめ、不安なら管轄の電力会社(一般送配電事業者)等に確認するよう呼びかけています(出典:国民生活センター)。
点検商法のよくある手口と相談の件数
経済産業省は、実在する電力会社等を名乗る業者が、電話や訪問で分電盤やブレーカーの点検を持ち掛け、「すぐに交換しなければ漏電して火事になる」などと不安をあおり、その場で高額な契約を持ち掛ける事例が発生していると注意を呼びかけています(出典:経済産業省)。
相談は急増しています。
国民生活センターによると、PIO-NETに寄せられた分電盤の点検商法に関する相談は次のとおりで、2025年度は前年度の約5倍になりました(出典:国民生活センター)。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2022年度 | 14件 |
| 2023年度 | 39件 |
| 2024年度 | 1,290件 |
| 2025年度 | 6,545件 |
| 2026年度 | 2,223件(7月31日まで) |
同センターによると、分電盤の点検商法に関する2025年度の相談の契約当事者は70歳以上が8割を超えていました。
2025年度受付分(2026年7月31日までの登録分、不明・無回答等を除く)の契約購入金額は15万円以上20万円未満が最も多く、平均は約18万円でした(出典:国民生活センター/同 資料)。
「分電盤は法律で15年」に根拠はない
国民生活センターは、「電力会社のものですが分電盤の点検に伺います」と電話があり、法定点検だと思って承諾したところ、「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」と交換を勧められ、約14万円で交換工事の契約をした事例を紹介しています(出典:国民生活センター)。
同センターは、住宅用分電盤の使用期限を定めた法律はないとして、交換を検討する場合は複数の業者に見積もりを取り、機能や価格を十分に確認した上で契約するよう呼びかけています(出典:国民生活センター)。
中国電気保安協会も、「中国電力の依頼で漏電調査に来た」と言った男が、ブレーカーの取替や屋内配線の改修が必要だとして保証金80万円を要求した事例を紹介しています(出典:中国電気保安協会)。
本物の調査で「不良」と言われたら
本物の調査でも、設備に問題が見つかることはあります。
電気事業法第57条は、技術基準に適合していないと認めるときは、とるべき措置と、その措置をとらなかった場合に生ずべき結果を、所有者又は占有者に通知しなければならないとしています(出典:e-Gov法令検索 電気事業法)。
大事なのは、通知はされても、その場で工事を売られることはないという点です。
関東電気保安協会は、調査で修理の必要な箇所が見つかればお客さまに知らせるものの電気工事は行うことができず、電気工事は知り合いの電気工事店に依頼するよう案内しています(出典:関東電気保安協会)。
東京電力パワーグリッドも、不具合がある場合は電気工事店または住宅電気工事センターへ修理を依頼するよう案内しています(出典:東京電力パワーグリッド)。
電気事業法施行規則は、通知の後、相当の期間を経過したときに、所有者又は占有者の求めに応じて再び調査を行うと定めています(出典:e-Gov法令検索 電気事業法施行規則)。
経済産業省は、交換工事には電気工事士の資格が必要だとしているので、修理は資格のある電気工事店に頼みましょう。
契約してしまったときのクーリング・オフと相談先
国民生活センターは、点検のために訪問した業者と契約した場合でも、特定商取引法の訪問販売に該当すれば、契約書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフできるとしています(出典:国民生活センター)。
同センターは、事前に電話でアポイントを取って訪問する場合も、訪問販売に該当すると考えられるとしています。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売では法律で決められた書面を受け取った日から8日以内なら、書面又は電磁的記録でクーリング・オフができるとしています。
国民生活センターは、書面(はがき可)または電磁的記録で行うとし、はがきで行う場合は両面をコピーして、特定記録郵便や簡易書留など発信の記録が残る方法で送り、コピーや送付の記録を保管するよう案内しています。
消費者庁は、困ったときは消費者ホットライン188に相談するよう呼びかけ、身近な消費生活センターや相談窓口を案内するとしています。
出典:消費者庁 特定商取引法ガイド/国民生活センター/消費者庁 消費者ホットライン(いずれも公式サイト・2026年10月確認)。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、訪問販売でクーリング・オフをした場合、役務が提供済みでも対価を支払う必要はなく、建物などの現状が変更されている場合は無償で元に戻してもらえるとしています(出典:消費者庁)。
離れて暮らす親のために家族ができること
国民生活センターによると、分電盤の点検商法に関する2025年度の相談の契約当事者は8割超が70歳以上で、高齢の家族がいる場合は特に気をつけたいトラブルです。
国民生活センターは、消費生活センター等への相談は家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも可能としています(出典:国民生活センター)。
親に「電気の点検でお金や契約の話が出たら、その場で決めずに家族に電話して」と伝えておくだけでも、契約を防ぐきっかけになります。
実家の地域の送配電会社や電気保安協会の連絡先を、あらかじめ調べて渡しておくと安心です。
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よくある質問
まとめ
家庭の電気設備には、電気事業法で決められた調査があり、電気事業法施行規則は一般には四年に一回以上行うと定めています。
国民生活センターによると法定点検は無料で、本物の調査員はその場で分電盤の交換などの契約を持ち掛けません。
お知らせの方法は地域によって違い、関西電気保安協会のように訪問前に電話をする場合や、沖縄電気保安協会のように予告なしで初回訪問する場合もあります。
見分けるときは、その場で交換・契約・代金の話が出るか、身分証を見せてもらえるかを確かめ、自分で調べた番号で送配電会社や電気保安協会に確認しましょう。
契約してしまった場合も、訪問販売に当たれば書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフでき、迷ったら消費者ホットライン188に相談できます。
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